承認欲求の意味とは

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「承認欲求」について解説していきます。

承認欲求, はしもん様作成

目次は以下の通りです。

①承認欲求とは何か
②承認欲求と心理的影響
③承認欲求が強くなる原因
④SNSと承認行為
⑤関連コラム

是非最後までご一読ください。

①承認欲求とは何か

承認欲求の意味

承認欲求は心理学辞典(1999)[1]において以下のように定義されています。

他者に自分の存在を認めてもらいたい、あるいは自分の考え方を受け入れてもらいたい、という欲求

古典的,承認欲求

承認欲求はアメリカの心理学者マズローが提唱した欲求階層説により有名になりました[2]

マズローの欲求階層説は、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる有名な理論です。

マズローの欲求階層説の図

承認欲求は比較的高次の欲求で、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求が満たされると、生じやすくなります。1~4階層は欠乏欲求と言われ、不安や緊張から生じると言われています。

マズローによれば、承認欲求は2つのレベルに分けられるとされています。低いレベルのものであれば、「他者からの尊敬」や「社会的地位を高めたいという欲求」など挙げられます。高いレベルのものであれば、「能力」「強さ」「習熟」「自信」など高めたいという欲求が挙げられます。

特子どもにとって自分が有能さを認識できる機会が重要です。大人は成功体験やポジティブな経験を通じて、子供たちに自尊心を高め、自己意識を広げる機会を提供することが大切だとされています。これにより、安定した評価が得られ、相互に関連する自尊欲求の側面が育まれるでしょう。

理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

マズローの欲求5段階仮説

賞賛獲得欲求と拒否回避欲求とは?

心理学では、承認欲求は「賞賛獲得欲求」と「拒否回避欲求」の2つ面から研究をされてきました。それぞれの意味として以下の通りです[3]

・賞賛獲得欲求
他者から肯定的な評価を得ようとする欲求
(菅原,2004)
・ 
・拒否回避欲求
否定的な評価を避けようとする欲求
(菅原,2004)

つまり承認欲求と1口に行っても、ただ人から認められたいという欲求だけでなく、批判されたくないという欲求も含まれているということになります。

②承認欲求と心理的影響

承認欲求は人の心理に様々な影響を及ぼします。

自己像が不安定になる

小塩 (2001)[4]は、大学生195名を対象に、青年の心理について調査を行いました。研究結果の一部を下図に作成しました。

承認欲求 自己像

上図は、賞賛欲求が強くなると、自分がわからなくなり、自尊心が揺らぎやすいことを意味しています。賞賛欲求とは、承認欲求の一部で、「目立ちたい」「みんなに褒められたい」という願望を意味します。

他人の賞賛をベースに生きている人は、他人によって、自分を変化させることになるので、自分の意見や感覚が不安定になってしまうのです。

不安が強くなる

石井ら(2017)[5]は、中高生623名を対象に承認欲求とストレス反応の関連について調べました。その結果の一部が下図となります。

承認欲求 抑うつ

上図は、承認欲求が高くなると、抑うつ・不安が高くなることを意味しています。承認欲求が強くなり、周りから評価されないと落ち込むことが増え、抑うつになりやすいと推測されます。

無気力状態になる

石井ら(2017)[5]の研究では、下図のように承認欲求と、無気力に関連があることが分かっています。

承認欲求 無気力

承認欲求が強くなると、着飾ったり、自分を必要以上に大きく見せる発言が多くなります。こうした努力は精神的に疲れるので、無気力になりやすくなると推測されます。

③承認欲求が強くなる原因

承認欲求はなぜ起こるのでしょうか。心理学的にはいくつかの原因が考えられます。

自信がないと承認を求める

石井・荻田・善明(2017)[5]は中高生623名を対象に、承認欲求と心の状態を調査しました。その結果の一部が下図となります。

承認欲求 自己不全感

上図は、自己不全感があると、他人の目を気にしやすくなり、よく見られたいという意識が高くなることを意味しています。この意味で、承認欲求の根底には、自分への自信の無さが影響していると推測されます。

愛着不安が承認欲求に影響

強い承認欲求は幼少期の家庭環境に問題があった可能性があります。私たちは、幼少期に親から愛情を受け、安定した愛情を育んでいきます。このように安定した養育環境で育った方は、承認欲求も安定しやすいと言えます。

一方で、養育環境に問題がある方の中には、他人の顔色を窺う癖がつき、承認欲求が不安定になる方もいます。心理学的には「愛着不安」という用語をつかうことがあります。

愛着不安,愛着障害とは何か

パーソナリティの問題

承認欲求が過剰になっている人の中には、一部パーソナリティ障害を持っている方がいます。例えば、自己愛性パーソナリティ障害がある方は、他人からの賞賛を耐えず求める傾向があります。

自己愛性パーソナリティ障害

 

④SNSと承認行為

2010年ごろからSNSでの承認行為について、心理学では研究が進み、不安を抱えている若者像が明らかになってきています。

SNSは承認欲求を高める

加納(2019)[6]の研究では、大学生22名を対象にSNSの利用頻度と承認欲求の関わりについて調べました。その結果の一部が以下の図です。

承認欲求とSNS

上図は、Twitterの利用頻度が低い群の方が、承認欲求が高い人数が少ないことを意味しています。またInstagramでも調査したところ、同じ傾向があります。この意味で、SNSをよく使う人は承認欲求が高い傾向があると推測されます。

承認欲求を高める利用動機

井川(2020)[7]の研究では、大学生114名を対象にSNS利用動機と承認欲求について調査を行いました。今回は、もっとも影響の大きかった以下の2つの利用動機との関わりを示します。その結果の一部が下図となります。

承認欲求 友人関係維持

上記のように、友人関係維持への欲求が高いほど、承認欲求も高いことがわかります。自分の投稿を友人に認めてもらいたい…という気持ちから、承認欲求が高まるのかもしれません。続いて、以下の図をご覧ください。

承認欲求 良い出来事

上図は、よい出来事の共有への欲求が強いほど、承認欲求も高くなりやすいことを意味しています。ここからは推測となりますが、承認欲求が強い人は、認めてもらいたいという気持ちから、良い出来事をSNSに頻繁に投稿していると言えるのかもしれません。

⑤関連コラム

承認欲求をおさえる方法

当コラムでは承認欲求の研究や原因を中心に解説してきました。以下のコラムではより実践的に承認欲求をおさえる方法を解説しました。理解を深めたい方は参照ください。

承認欲求をおさえる方法

SNS疲れを改善する方法

現代では承認欲求が満たされる場所としてSNSが大きな役割を負っています。この点、SNSの使い方を間違えると、自分を過剰に偽り、精神的に消耗してしまいます。以下のコラムではSNSとの健康的な付き合い方を解説しました。

SNS疲れを改善する方法

コミュニケーション講座のお知らせ

人間関係に関するトレーニングをしたい方、心理学をより深く学びたい方は、公認心理師主催の講座をおすすめしています。内容は以下の通りです。

・承認欲求とマズロー5段階説
・自己肯定感を向上させる,心理学
・人間関係を築く力を高める,トレーニング
・メンタルヘルス向上,心理療法の学習

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承認欲求の意味,コミュニケーション講座

ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典

[1] 中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999).心理学辞典 有斐閣

[2] Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review, 50(4), 370–396.

[3] 菅原健介(編著)(2004). ひとの目に映る自己 -「印象管理」の心理学入門 金子書房

[4] 小塩 真司(1998).青年の自己愛傾向と自尊感情, 友人関係のあり方との関連 教育心理学 研究46巻3号 p. 280-290

[5] 石井麻美子,荻田純久,善明宣夫(2017).中学生・高校生を対象とした過剰適応に関する研究 : 承認欲求とストレス反応の関係から 教職教育研究 : 教職教育研究センター紀要 (22), 101-110,

[6] 加納寛子(2019).承認欲求とソーシャルメディア使用傾向の関連性 Research Report of Informatics Education Vol. 1 pp.18-23

[7] 井川純一(2020).大学生の Instagram利用と SNSストレス ―いいね!が気分に与える影響に着目して― 大分大学経済学会 ISSN 04740157 大分大学経済論集  AN00027296 72巻 2号1-21p