気遣いの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「気遣い」について解説していきます。

気遣いの意味,素材ライブラリー様

目次は以下の通りです。

①気遣いとは何か
②気遣いのメリット
③気遣いのデメリット
④関連コラム

是非最後までご一読ください。

 

①気遣いとは何か

心理学者の満野(2013)は気遣いを、向社会的気遣い、抑制的気遣いの2つに分類しています

向社会的気遣い

1つ目は向社会的気遣いです。意味は以下の通りです。

援助や助言をする、困っている人を手助けする、相手のためを想う気遣い

「向社会的」とは、集団や他人に対して助けたり役に立とうとすることを指します。例えば、「お年寄りに席を譲る」「落ち込んでいる同僚を励ます」などの行動がこれにあたります。

抑制的気遣い

2つ目は抑制的気遣いです。意味は以下の通りです。

都合が悪いことを言わない、あえて距離を置く、そっとしておくなど、あえて消極的にする気遣い

「抑制的」とは、相手の都合が悪かったらあえてしないことを指します。例えば、「相手の気分を害するようなことは言わないでおく」「答えがわかっていても、あえて相手に言わない」などの行動がこれに当たります。

 

②気遣いのメリット

気遣いについては心理学の世界で様々な研究がなされてきました。

メンタルヘルスが改善する

長谷川(2012)は404名の中学生を対象に、ソーシャルサポート入手とストレス反応について調査を行いました。ソーシャルサポート入手とは、助けられるという意味があり、気遣いとほぼ同じ概念です。その上で、下記の図をご覧ください。

気遣いとメンタルヘルス

上記は弱い相関ではありますが、サポートを受けると、イライラや怒りが減る、緊張などの反応が減る、無気力が改善するという意味になります。気遣いをされた側はメンタルヘルスが向上していくのです。

 

気遣いした自分も嬉しい

長谷川(2012)はサポートを提供すると心理的にどのような効果があるかを調査しました。その結果が下図となります。

相手のメリット

上図は弱い相関ですが、サポートをすると怒りが減る、やる気が出てくる、という意味になります。身体反応と不安は統計的には無反応でしたが、全体的な傾向としては、メンタルヘルスに向上すると推測されます。

このように気遣いをすると、相手にとっても自分にとってもプラスの効果を見込むことができるのです。

 

③気遣いのデメリット

コミュ力低下リスク

松永ら(2008)は、大学生228名を対象に、青年の友人関係とコミュニケーションのスタイルに関する研究行いました。その結果の一部が下記となります。

気遣いとコミュ力

上図を見ると、本音群のグラフがもっとも高いことがわかります。これは「本音で話す傾向」ある人はコミュニケーション能力が高い傾向があることを意味しています。

一方で、「気遣い群」や「うわべ群」はグラフが低いことが見て取れます。本音を隠して、行きすぎた抑制的気遣いをすると、コミュニケーション能力が低下してしまうリスクがあると言えそうです。

 

ストレス反応が高まる

満野ら(2013)は大学生255人を対象に「抑制的気遣い」ついて調査をしました。その結果の一部が下図となります。

抑制的気遣いとストレス反応

上図は、相手に気遣いをしすぎて、我慢をしすぎると、友人関係でも孤立しやすいということを示しています。さらに、友人から孤立することで、ストレスも抱えやすいということを示しています。

 

対人信頼感に悪影響

松永は(2008)は気遣いと対人信頼感についても調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

 

対人的信頼感との関係

上図は、本音で話す傾向にある群が対人信頼感が高いことがわかります。この図から読み取れることは、気遣いをし過ぎるということは、相手のことを信頼していない部分があると、読み取ることができます。言いたいことを言い合い、腹を割って話すことも時には必要になりそうです。

 

④関連コラム

気遣い力を向上させる方法

当コラムでは気遣いの意味や研究を紹介してきました。実践的に気遣い力をつけたい方は以下のコラムを参考にしてみてください。心構えや具体的な声のかけ方を紹介しています。

気遣い力をつける方法

 

気遣い力診断

筆者は気遣い力を簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的に気遣い力を把握したい方は一度チェックしてみてください。

気遣い力診断

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*出典・引用文献
満野 史子 今城 周造(2017)友人への気遣いとマインドフルネス、 反芻・省察及び友人満足度との関連 昭和女子大学生活心理研究所紀要 19, 11-20
原田 純治(1990) 援助行動と動機 ・性格との関連  実験社会心理学研究 30(2), 109-121
長谷川 真穂 下田 芳幸 (2012)中学生における友人間のソーシャルサポートの互恵性と共感性およびストレス反応との関連について 人間発達科学部紀要 第6巻第 2号:211-220
松永(2008)現代青年の 友人関係 に 関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86

満野史子・今城周造(2013) 大学生の友人に対する気遣いとストレス・友人満足感の関連 日本教育心理学会総会発表論文集 55(0),272