優越感の意味とは

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「優越感」について解説していきます。

優越感,racyo様作成

目次は以下の通りです。

①優越感とは何か
②問題となる優越感
③優越感と心理学研究
④優越感と精神医学
⑤関連コラム

最後まで読むと優越感の心理学的な意味を一通り理解することができます。是非最後までご一読ください。

①優越感とは何か

意味

優越感は以下のように定義されています。

容姿、体力、知的能力、性格、血筋、社会的地位などの点で、自分が他者よりも優れているという感情
*心理学辞典(1999)

優越感とは、ステイタスが他人よりも自分の方が優ってると感じる感覚を意味します。

提唱者

優越感という用語は1900年代初頭に、アルフレッドアドラーが提唱した言葉です。アドラーは、優越コンプレックス(superiority complex)」という言葉を研究の中で使用しています。以下はアドラーの生前の様子です。

 

アドラーは、優越コンプレックスは、劣等コンプレックスを克服する必要性から生じたと主張しました。私たちの心には自分自身を守る心の仕組みがあります。これは心の防衛機制と言われます。優越感は劣等感で傷つく自分の心を守るために生じると、アドラーは考えたのです。

 

②問題となる優越感

問題となる優越感

アドラーは、劣等感をうまくコントロールできない人は、辛い気持ちを改善するために、他者に勝る部分を強引に作り出し、補おうとしてしまうと考えました。

例えば、貧乏に対して劣等感がある人が、高級な服を無理やり着て、SNSで金持ちを演出するなどが挙げられます。このように他者に勝ろうとする優越感は終わりのない競争になり、自分にも他人にもプラスではありません。

心理学者の星野(1982)は自尊心が高くても、不安定な人は、歪んだ優越感を持ちやすいと主張しています。自尊心が不安定ということは、短期的で揺らぎやすい自尊心であり、それを覆いつくすように、優越感も歪みやすくなるのです。

 

健康的な優越感

一方で、アドラーは他者のために使う劣等感や優越感は健康的になりうると考えています。例えば、貧乏なことを劣等感があるとしたら、人が喜ぶビジネスを考えて成功して、成功をしたら、そのお金を困っている人に寄付する。このような劣等感の使い方であれば、いたずらな競争の陥ることなく、自分も他人も幸福になります。

星野(1982)は自尊心が低くても、安定している人は、健康的な優越感を持ちやすいと主張しています。自尊心が低くても安定ということは、自分を受け入れ、謙虚に考えているということになります。その結果、無理に覆いつくすために、過剰な優越的な行動をする必要がないのです。

 

③優越感と心理学研究

以下心理学における優越感の理解を深めていきましょう。優越感に対する研究は複数あります。折りたたんで記載をしたので、気になるタイトルをクリックして展開してみてください。

伊藤ら(2011)らは、大学生273名を対象に優越感の構造について調査しました。その結果をいくつか紹介します。

「見た目」と優越感には正の相関関係があることがわかりました。見た目が良い人は、人よりも優れているという感覚を高めることになるといえそうです。

優越感を高める要素見た目

知性の高さも優越感に結びつきます。特に学生時代は学業成績で比べられがちです。周りよりも良い点数を取ると優越感が高くなると言えそうです。

優越感を高める要素とは?

運動能力の高さも優越感を高める結果になっています。確かに学生時代、スポーツ万能な人は自信満々なイメージがありますよね。

優越感を高める運動神経

このように自分の見た目、学業、スポーツの成績など、満足できると優越感が高まるといえます。

講師の視点  優越感と自尊心もまた正の相関関係にあります。すなわち自尊心が高まると同時に優越感も高くなりやすいのです。自尊心を高めることは、極めて重要なことですが、アドラーの主張のように、尊大にならないように注意しなくてはなりません。

小平(2002)は、女子大学生219名を対象に、自己不一致が優越感にどのような影響を与えるかを調査しました。自己不一致とは、理想と現実とのギャップのことです。その結果は以下のようになります。

優越感 

調査の結果、こうありたい(理想)という自分と、現実の自分にギャップが小さいときに、優越感が高くなるということがわかりました。直感的に理解しやすい言葉を使うと、うまくいっている…という感覚があるほど優越感を持ちやすいということです。

他人より優れていたい!馬鹿にされたくない!と考える人ほど、対人恐怖傾向があるかもしれません。西村・井上(2008)は、141名の大学生を対象に優越感に関する調査を行いました。

その結果、人から馬鹿にされたりすることを我慢できない人ほど、対人恐怖の傾向があることが分かりました。

以下の図をご覧ください。横軸は、右に行くほど対人恐怖が高く、馬鹿にされたくない気持ちも強くなっています。全体的に右肩上がりであることがわかります。

優越感 対人恐怖

つまり他人から馬鹿にされたくない、と優劣にこだわっている人ほど、人と接することに躊躇しやすくなると推測できます。

一方で馬鹿にされようが、劣っていようがそこまで気にしない人は、不安に感じることが減り、オープンな人間関係を築くことができるのです。

 

④精神医学と優越感

精神医学,心理学での取り扱い

精神医学の世界では、誇大妄想(Grandiose delusions)の中に病的な優越感が出ることがあるとされています。精神医学上の優越感は、心理学のような劣等感の裏返しとは考えません。また優越感自体が研究されることはほとんどありません。

一方で、心理学の世界では、劣等感と優越感はどちらもよく使われる言葉です。例えば論文検索サイトのグーグルスカラーでは劣等感が14,000件程度ヒットする一方で、優越感は15,000件ヒットしました。学術的にも比較的人気の研究対象であると言えそうです。

誇大妄想と優越感

精神医学上は、誇大妄想を、病気の症状として捉えていきます。誇大妄想は、自分の能力、立場、権力などの優位性を過剰に感じる症状を意味します。誇大妄想は双極性障害で60%程度、統合失調症で50%程度生じるとされています。誇大妄想の具体例としては以下が挙げられます。

自分には人よりも優れた特別な能力があると考える
自分を王族のような特別な権力があると考える
自分が芸能人のようなスターであると考える

 

⑤関連コラム

劣等感

優越感は劣等感の裏返しとも言えます。劣等感を理解することは優越感を理解することにつながります。優越感だけでなく、劣等感もある、と感じる方は以下のコラムを参照ください。

劣等感を克服する方法

アドラー心理学

優越感の提唱者であるアドラーは、劣等感や優越感の前向きな活かし方を心理療法として確立しました。アドラーの考え方を学ぶと、優越感を活力に変えるヒントになります。優越感があるが、なぜか苦しい…と感じる方は、以下のコラムをおすすめします。

アドラー心理学の理解

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

*出典・参考文献
・西村美咲・井上健 2008 対人恐怖における優越コンプ レックスについて 臨床教育心理学研究 34,1-6.
・中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
・伊藤 正哉・川崎 直樹・小玉 正博(2011),「自尊感情の3様態―自尊源の随伴性と充足感からの整理―」,心理学研究,81,6,pp.560-568.
・小平 英志(2002),「女子大学生における自己不一致と優越感・有能感、自己嫌悪感との関連-理想自己と義務自己の相対的重要性の観点から-」,実験社会心理学研究,41,2,p165-174.

・星野命 1982 優越感の心理 劣等感の心理 青年心理33号 金子書房