神経質の意味

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「神経質」について解説していきます。

神経質の意味,littleisland様作成

目次は以下の通りです。

①神経質とは何か
②神経質の種類
③神経質と体の仕組み
④性格と遺伝率
⑤精神疾患との関連
⑥関連コラム

是非最後までご一読ください。

①神経質とは何か

意味

神経質は心理学辞典(1999)によると以下の意味があります。

外部刺激の敏感に反応する,小心で不安を示しやすい,心身の状態のバランスを崩しやすい,身体症状を示しやすい,等を示す性質傾向

語源

神経質は英語では、nervousと表記されます。これは「nerve」「osus」が組み合わさった言葉です。「nerve」は中世ラテン語から派生した言葉で「神経」を意味します。「osus」は原始インドヨーロッパから派生した言葉で「いっぱいにする」という意味があります。nervousは神経がいっぱいで、神経質と訳されるわけです。

歴史

1869年に、George Miller Beardという神経内科医が「神経衰弱症」(neuras-thenia)という用語をはじめて使いました。その後、神経苦悶症、強迫性神経症、など様々な言葉が生まれました。日本では心理療法家の森田正馬がこれらを「神経質」という言葉で総称し、様々な研究論文を発表し、精神医学や心理学で定着してきました。

ジョージミラービアードのポートレート

 

②神経質の種類

神経質と言う用語は、包括ワードであり、様々な意味が含まれています。神経質は、最近のHSP研究によると、主に3つに分類できます。HSPはアメリカの心理学者、アーロン博士が1996年に提唱した概念でHighly Sensitive Personと綴られています。直訳すると「とても敏感な人」と訳されます。

刺激に敏感

1つ目は、聴覚、嗅覚、触覚など、5感がとても敏感な神経質です。例えば、音に神経質な人は、繊細な音を聞きわけることができるので、音楽家としての才能を発揮できるかもしれません。一方でちょっとした物音に敏感で、隣人トラブルになってしまうというケースもあります。

失敗や間違いへの繊細さ

2つ目は些細な失敗や、小さなエラーを気にする神経質です。例えば、整理整頓されているものに気がつきやすい方は、プログラミングなどで才能を発揮することができます。一方で、他人の細かい粗にも気がついてしまうので、イライラしやすくトラブルを抱えやすい面もあります。

微妙な変化に気づく

3つ目は他人の表情、雰囲気の変化、感情の変化に敏感な神経質です。例えば、映画などを見ると人一倍入り込むことができるので、楽しむことができます。一方で人の気持ちの変化にいちいち反応してしまうので、気疲れをしてしまう面もあります。

 

③神経質と体の仕組み

脳と神経の仕組み

私たちは、全身にある神経から情報を受け取り、脳で処理していきます。神経質は脳内の情報処理や身体の神経の過剰な働きが原因であるといわれています。例えば、物音に対して普通の人が、30に感じるものが、神経質な人では100くらいに感じることがあります。

交感神経,副交感神経

私たちの体には副交感神経と交感神経の2つがあります。下図を見てみてください。
ナーバス,交感神経

図を見ると、交感神経の方が活発に動いている感じがしますよね。交感神経は、興奮したり、集中力を高める神経です。神経質な人は交感神経が優位になりやすく、身体に負担がかかります。その結果、不眠、倦怠感、高血圧などの問題を抱えやすくなります。

 

④性格と遺伝率

神経質とビックファイブ

現代の性格研究では、人間の性格は概ね以下の5つに分類していきます。これらはビックファイブと呼ばれています。

*ビックファイブ
開放性 外向性 誠実さ 調和性 神経質

このうち、神経質は「Neuroticism」と言われ、神経質傾向が強いと、イライラしやすい、罪悪感を持ちやすい、不安が強くなりやすいということがわかっています。

神経質の遺伝率

行動遺伝学者の安藤(2000)の研究では神経質の遺伝率は41%、家庭環境は7%、外部環境が52%とされています。神経質は先天的に決まっている部分もありますが、環境の影響を受ける面もあるため、過剰になっている場合はある程度改善できると言えます。

性格と遺伝コラム

 

⑤精神疾患との関連

現在、神経質という用語は精神医学の世界ではほとんど使われなくなってきています。一方で記述としては少ないですが、WHOの基準で、神経症性障害(Neurotic disorders)という、大分類が使われています。神経症性障害の大分類の中には、以下のような精神疾患が規定されています。

全般性不安障害

全般性不安障害とは、大きな不安が日常生活において長期的に続く心の病気を意味します。主な症状としては、強い緊張、疲労感、めまい、不安、不眠、集中困難などが挙げられます。

全般性不安障害

強迫性障害

強迫性障害は、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れず、わかっていながら何度も同じ確認を繰り返すことを意味します(厚生労働省)。例えば、潔癖症の方は、何度手を洗っても心配になり、1日何百回と洗ってしまいます。

強迫性障害

パニック障害

パニック障害は、厚生労働省によると、突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こします。そして、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになってしまいます(厚生労働省)。

パニック障害

 

関連コラム

神経質を治す方法

当コラムでは神経質の意味や研究を紹介してきました。実践的に神経質を改善したい方は以下のコラムを参考にしてみてください。極端な考え方を改善する方法や、神経質な思いにとらわれない手法を紹介しています。

神経質な性格を治す方法

神経質診断

筆者は神経質の強さを簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的に神経質の強さを把握したい方は以下の簡易診断を参照ください。

神経質診断

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

*出典・引用文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.

わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望 高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989

加藤(2001)対人ストレスコーピングとBig Fiveとの関連性について 9 巻 2 号 p. 140-141

心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観,安藤 寿康,講談社 (2000)