単純接触効果の意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「単純接触効果」について解説していきます。

単純接触効果の意味

目次は以下の通りです。

①単純接触効果とは
②人物への好感度研究
③単語への好感度研究
④単純接触効果と日本の研究
⑤単純接触効果の活用例

是非最後までご一読ください。

①単純接触効果の意味とは

提唱者

単純接触効果(mere exposure effect)はアメリカの心理学者ロバート・ザイアンス(Zajonc, R. B. )が1968年に論文にまとめ、広く知られるようになりました[1]。ザイアンスは幅広い社会的および認知的プロセスに取り組んでいます。

ロバート・ザイアンス

意味

ザイアンスは単純接触効果を以下のように定義しています。

ある対象に反復して接触することで,その対象への好意度が高まる現象

ザイアンスは、新しい事態に遭遇すると、すべての生物は恐怖心を持ち、回避反応を示すことを発見しました。そして、再び同じ事態に遭遇すると、その生物の恐怖心は減り、回避傾向が弱くなります。

さらに繰返すと、生物はその事態を好意的に解釈し始めます。ザイアンスはこの傾向から単純接触効果を着想しました。

②人物への好感度研究

ザイオンス(1968)[1]は12人の被験者を対象に以下の実験を行いました。

知らない人の写真を12枚用意する
0回・1回・2回・5回・10回・25回条件で設定
それぞれ2枚ずつ、2秒示す
無作為に86回提示
終了後、好意度を0〜6の7段階で評価
提示回数が0回の写真は最後の好意度評価のときに初めて見せられる

その結果が以下の通りです。

ザイオンス,単純接触効果

上図は白黒で少しわかりにくいですが、個別の写真に対する好感度の評価を表した図になります。全体的に接する回数が少ない左側のグラフより、多い右側のグラフが長いことがわかります。これは接触回数が多いほど好感を持ちやすいことを表しています。

以下の図は、全体として考えた図となります。

単純接触効果と好感度

図を見ると、写真の提示回数10回までは好感度が上がりやすくなっています。ただ見るだけで好感度が上がることがわかります。また、その後の好感度の上昇は緩やかになっています。単純接触効果は、出会いの初期に大きく働き、その後は緩やかになると推測できます。

③単語への好感度研究

単純接触効果は人物だけでなく文字についても効果があります。

対義語に関する研究

ザイアンス(1968)[1]は単語の使用頻度と好意度の関係について調べるために、対義語154ペアを抽出しました。ペアのどちらの単語が好きかを強制的に尋ねました。

able – unable smile – frown better – worse clean – dirty good –bad,peace – war,life – death rich– poor

その後、それぞれの使用頻度のデータ分析し、選好との関係を分析したところ、実験参加者に選好される単語は使用頻度の高い方であることがわかりました。例えば able と unable のペアでは実験参加者の 100%が able を選好した。使用頻度は able が 930 で unable は 239 であり,able の使用頻度の方が高かった。

対義語に関する研究

ザイアンスは単語を1つずつ実験参加者に呈示し,どの程度好きかを 0~6 の 7 段階評定尺度で尋ねました。

pine apple corn rose cherry  radish  yucca

その結果,単語の好意度と使用頻度の間には正の相関があることがわかりました。すなわち日常生活でよく使われる単語ほど好意度が高く,好意度の高い単語ほど使用頻度が高くなることが推測されるのです。

*当コーナーは富田ら(2011)[2]の研究を参考の記述しました。

④単純接触効果と日本の研究

見た回数と好感度上昇

川上・吉田(2011)[3]は、大学生75名を対象に3D画像で作られたキャラクターにどのようなイメージを持つかを調べました。

実験では大学生を2つのグループに分け、キャラクターを見る回数を変えています。具体的には次の通りです。

・キャラクターを
何回も見た群
1回しか見ない群

この2つの群について、一定期間の好感度を比較しました。結果は、キャラクターを見た回数が多い群ほど好感度が高いことが明らかになりました。

2つの群の好感度の結果を詳しく見ていきましょう。

まずは、キャラクターを何回も見た集団の好感度得点です。実験直後より3日後に好感度得点が高くなり、2週間後も維持されるという結果になっています。

単純接触効果 意味

何度も見た集団は、好感度が継続するのが特徴的です。

つづいて、キャラクターを1回しか見なかった集団の結果を見ていきましょう。実験直後の好感度得点に、大きな差はありませんが、時間とともに好感度が低下する結果が得られました。

単純接触効果 研究

1回しか見なかった集団では、2週間後には好感度得点が0点に近づいています。このように、接触回数が少ないと好感を得るのがとても難しいことが分かります。

見た回数が増えると好感度上昇

鎌田ら(2009)[4]は、大学生88名を対象に「商品を見た回数」と「商品の選ばれやすさ」の関連を調べました。その結果の一部が以下のグラフです。

 

呈示回数と選択頻度

このように、呈示回数が「10」のグラフが、もっとも選択頻度が高くなっていることが分かります。つまり、よく見る商品は選ばれやすいことが考えられます。

世の中には様々なマーケティング手法がありますが、特にCMや広告で自社商品を宣伝するのは、こうした単純接触効果を狙ったものが多いです。

全く知らない商品よりも、「この間、TVで見た!」と事前認知のある商品の方が、手に取ってもらいやすいことが分かっているのです。

 

⑤単純接触効果の活用例

ビジネスでの活用例

ビジネスの場面で単純接触効果を生かすには、以下のような方法があります。

・時間よりも回数を意識する
例えば、ビジネスで単純接触効果を活用したい場合、年に数回長時間の商談を行うよりも、週に1回短い商談を行う方が効果的です。先方と頻繁に会うことで、「私たちは親しい仲だ」と思うようになり、交渉もしやすくなります。

・SNSを活用する
自社の情報を毎日SNSを通して発信することで、お客さんの目に触れる機会を増やすことができます。その結果、自社の商品を思い出してもらいやすくなり、購買率も高まります。

・フリーミアム効果を活用する
フリーミアムとは商品の一部を無料で提供することです。無料体験を行うことで、お客さんの商品に触れるハードルを下げ、何度も商品を使ってもらいやすくなります。

ビジネスでの活用例をより深く知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。

単純接触効果とビジネスの活用法

恋愛での活用例

恋愛で単純接触効果を活用するには、以下のような方法があります。

・1日1回触れる
もし好きな異性が、学校や職場にいる場合は、1回は相手の目に触れることが大切です。1日に1回目に触れることで、徐々にあなたのことが気になっていきます。例えば、あいさつをする、目の前を横切る、視界に入る位置に座るなどが挙げられます。

・SNSで発信
SNSの投稿頻度を増やすことで、相手があなたのことを認識する機会も増えます。その結果、単純接触効果につながるのです。例えば、インスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどを気になる異性が使用しているSNSで発信するようにしましょう。

・ちょっとしたプレゼント
プレゼントは顔を合わせなくても、相手があなたのことを思い出すだけで単純接触効果は得られます。例えば、アロマやコーヒーカップを買うを面白い筆記用語などは、身近なグッズなので、日常的に使ってもらうことであなたを連想させすいです。

恋愛で活用例をより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

単純接触効果を恋愛で活かす方法

コミュニケーション講座のお知らせ

コミュニケーションに関する学びを深めたい方、トレーニングをしたい方は、公認心理師主催の講座をおすすめしています。内容は以下の通りです。

・単純接触効果の実践的な活かし方
・好印象になる,人間関係の心理学の学習
・ビジネスに役立つ,印象形成の心理学
・聞き上手になる,話し上手になる練習

興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています!

単純接触効果の意味とは,コミュニケーション講座

ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典

[1] Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychol ere Exposure: A Gateway to the Subliminal R.B. Zajonc1First Published December 1, 2001 Research Article

[2] 富田瑛智,森川和則(2011).単純接触効果研究の動向と展望 大阪大学大学院 人間科学研究科紀要- ir.library.osaka-u.ac.jp P200を参考に記述した

[3] 川上 直秋・吉田 富二雄(2011).閾下単純接触の累積的効果とその長期持続性. 『心理学研究』,82, 345–353.

[4] 鎌田 晶子,臼井 信男,吉野 大輔(2009).商品選択における単純接触効果の影響–商品評価と商品カテゴリーからの検討(1)人間科学研究 (31), 153-160, 2009 文教大学