モデリングの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「モデリング」について解説していきます。

モデリングの意味,カップでスカート様作成

目次は以下の通りです。

①モデリングとは何か
②モデリングの歴史
③ボボ人形実験
④モデリングの効果
⑤4つの学習プロセス
⑥関連コラム

是非最後までご一読ください。

①モデリングとは何か

心理学辞典(1999)によると、モデリングは以下のように定義されています。

他者の行動やその結果をモデル(手本)として観察することにより、観察者の行動に変化が生ずる現象のこと

噛み砕くと「手本が学びになり行動が変化すること」という意味になります。例えば、子どものヒーローごっこはモデリングの典型例だと言えるでしょう。

②モデリングの歴史

モデリング理論は人間の学習に関する研究で発展してきました。ここで学習に関する研究について、歴史を概観していきましょう。

1930年代 条件付け時代

1930年代にはスキナーという心理学者がオペラント条件付けという理論を提唱しました。オペラント条件付けとは、人が何かを学習するときは報酬があるときだ!という理論です。例えば、勉強をするとお母さんがお菓子を買ってくれたとします。すると子供はお菓子を目当てに勉強するようになるのです。

1940年代 模倣学習時代

1940年代になると、ミラーとダラードという学者が現れ、学習は真似をするだけでも成立するとする模倣学習を提唱しました。例えば、プロサッカー選手のプレーを見て、練習で真似をしたとします。すると前よりも、スムーズにプレーをすることができるのです。

1960年代 モデリング時代

1960年代になるとアルバート・バンデューラがモデリング理論を提唱しました。バンデューラは、「観察」するだけで充分学習できる!と主張しました。それまでの学習理論は、報酬や模倣が重視されましたが、ただ観察するだけでも学習が成立するとした点で画期的だったのです。

アルバート・バンデューラー

 

③ボボ人形実験

バンデューラは1961年から1963年にかけてボボ人形実験を行いました。

①グループ分け

子供たちを、実験群と対照群に1対2の比率で2つのグループにわけます。その後、実験群は風船のように膨らませた「ボボ人形」に大人が乱暴しているのを見せます。対照群に対しては、ボボ人形は、楽しく遊ぶためのものと伝えます。

②観察結果

その後、2グループについて子供たちがボボ人形をどのように扱うかが観察されました。その結果、実験群の子供たちは対照群の子供たちに比べて、ボボ人形を蹴る、殴るなど目に見えて攻撃的であることがわかりました。

この実験により、子供は人の行動を見るだけで、学習してしまうということがわかり、暴力的なゲームの抑制などに大きな影響を与えました。

*ボボ実験は動画もあります 参考にしてみてください

 

④モデリングの効果

バンデューラによれば、モデリングの効果は以下の3つが挙げられます。

①観察学習効果

モデルの行動を観察することにより新しい行動パターンを習得できます。例えば、伝統工芸などでは、熟練した師匠のやり方を見ることで、弟子はそのやり方を学習していきます。

②脱制止効果

すでに習得している行動を抑制したり、逆にその抑制を弱めたりすることができます。例えば、ギャンブル依存で家庭に問題を抱えている人のビデオを見た場合、ギャンブルをしないように心がけることができます。

③反応促進効果

他人の行動によって、人がすでに習得している行動の精度が上がっていきます。例えば、英語を日本で学習していた人が、留学先で生の言葉を学んだ場合、より英語がうまくなっていきます。

このように、手本を見ることで、新しい知識や行動が学習できたり、良くない行動を抑制することが可能になるのです。このようなモデリングの効果は、広くビジネスやスポーツの世界で活用されています。

⑤4つの学習プロセス

モデリングが発生する過程として、以下の4つが挙げられています。

①注意過程
(attentional process)

モデルに注意を向けるステップです。例えば、ヒーローをかっこいい!と感じたり、繰り出される技にワクワクする段階です。

②保持過程
(retention process)

観察したことを記憶として取り込み、保持するステップです。例えば、ヒーローの技を寝る前に思い出すなどが挙げれます。

③運動再生過程
(motor re-production process)

記憶したモデルを土台に行動するステップです。例えば、ヒーローの技を真似してポーズを取ったり、掛け声を出してみたりします。

④動機づけ過程
(motivational process)

モデリングは行動した際に、肯定的な結果があるとさらに強化されます。例えば、ヒーローの技を繰り出したときに、一緒になって遊んでくれる友人がいると、よりやる気がみなぎってきます。こうした周りの肯定的な反応により、学習は定着していくのです。

 

まとめ

今回はモデリングについて解説していきました。「学ぶ」は「真似る」から始まると言われるように、モデリングを活用することで学習が促進されます。ぜひ、ご自身の状況に合わせてモデリングを取り入れてみてくださいね。

⑥関連コラム

コーチング,ティーチング

モデリングを実践的に活かす場面は、コーチングやティーチングの場面になります。指導をする立場の方は、モデリングと合わせて以下のコラムを読むことをおすすめします。

コーチングとティーチングの違いとは

フロー心理学

学習が続く人と、続かない人は心理的にどのような違いがあるのでしょうか?答えはフロー心理学を理解すると見えてくる部分もあります。学習意欲を持続させる方法に興味がある方は下記のコラムを参照ください。

フロー心理学の意味とは

 

コミュニケーション講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学や人間関係の理論を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・社会心理学の基礎
・性格分析
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています(^^)

コミュニケーション講座

中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
アルバート・バンデューラ 写真出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
・Albert Bandura (1971). “Social Learning Theory”. General Learning Corporation.
・Bandura, Albert (1963). Social learning and personality development. New York: Holt, Rinehart, and Winston.
・Bandura, Albert (1977). Social Learning Theory. Oxford, England: Prentice-Hall.