ヒポコンドリー性基調の意味

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ヒポコンドリー性基調」について解説していきます。

ヒポコンドリー性基調,丑蟻様作成

目次は以下の通りです。

①ヒポコンドリー性基調とは
②ヒポコンドリー性と症状
③とらわれとあるがまま
④関連コラム

是非参考にしてみてください。

①ヒポコンドリー性基調とは

ヒポコンドリー性基調の意味

ヒポコンドリー性基調の意味は以下の通りです[1]

だれもが感じうる、身体の些細な不調や不安な感じや、自分にとって不都合であるふと思い浮かぶ嫌な考えを、よりよく生きたいという生の欲望が強いことから、重大な問題と結びつけて考え、身体的、心理的に些細な違和感を気にする精神的傾向を意味する。

ヒポコンドリー性基調の方は、自分が病気であると思い込む傾向にあり、気に病みやすいとされています。ヒポコンドリー性基調が高い人の特徴としては、完璧主義、潔癖、強い自己内省などが挙げられます。

ヒポコンドリーの歴史

ヒポコンドリーとは元々はギリシア語から作られた言葉です。ギリシア語では「ヒポ」は「下」という意味があり、コンドルというのは「胸のあたりの肋骨」という意味があります。

この2つ合わせたヒポコンドリーは、「胸の下」という意味になります。不安が高まった時に胸の下あたりが苦しくなる感覚から、心気症という意味に発展していきました。日本では1894年に三浦謹之助が神経病診断表の中でヒポコンドリーという言葉を使っています[2]

1921年になると、日本の心理療法家である森田正馬が、ヒポコンドリー性基調という言葉を、「神経質及神経衰弱症の療法」という本の中ではじめてつかいました[1]

現在では、ヒポコンドリー性基調という用語が研究対象となることは稀で、森田療法の学習の際に使用する程度です。一方で、ヒポコンドリーという用語は精神医学の世界で使われています。具体的には、WHOの精神疾患の診断基準として、 Hypochondriacal disorder(心気障害)という病名が採用されています[3]

②ヒポコンドリー性基調と症状

ヒポコンドリー性基調には以下の症状があります。

過度の心配

ヒポコンドリー性基調の人は自分が病気であると常に心配し、病気についての情報を過剰に集め、体のあらゆる症状を気にします。たとえ軽微な症状でも、それが深刻な疾患の兆候だと考えがちです。

身体的症状

疲れや痛み、不安、不眠、食欲不振、吐き気など、実際の身体的な問題を経験することがあります。しかしながら、これらの症状は心身のストレスや不安からくるものもあることを理解しづらいことがあります。

病気に対する恐怖

ヒポコンドリー性基調の人は病気に対する強い恐怖を抱くことがあります。自分が重篤な疾患に罹患する可能性や、病気に対する治療や手術を受けることに対する恐れが日常生活を支配してしまうケースも少なくありません。

医療機関への過剰な訪問

根拠のない心配や不安から、頻繁に医師を訪れる傾向があります。一度の診断や説明でも、その懸念が解消されず、何度も他の医療機関を訪れることも少なくありません。これにより、医療リソースが無駄に使われる場合もあります。

③とらわれとあるがまま

とらわれによる悪循環

ヒポコンドリー性基調が強い方は、ちょっとしたネガティブなきっかけを神経質に捉えます。そして神経質に考えだすと、余計にそれが気になり、止まらなくなってしまいます。森田療法では、この悪循環のことを「とらわれ」と言っています。「とらわれ」が過剰になると、心気症や対人関係症につながるとされています。

あるがまま

ヒポコンドリー性基調はもともと自分が持っている気質のため、変えることは難しいです。無理に変えようとすると、「とらわれ」として悪循環に陥ってしまいます。

そこで、森田療法では無理に症状に抗わない「あるがまま」という方法を取っています。湧き上がってくる症状や不安はそのままにして、素直に受け止めていく考えを重視します。そして、目の前にやるべきことに目を向けて行動する態度を重視しています。気になることはそのままに、まずは目の前のことに集中する態度が大事とされています。

④関連コラム

森田療法

ヒポコンドリー性基調を改善するには、提唱者である森田正馬が作った森田療法を学習することをおすすめします。以下のコラムでは、あるがまま、精神交互作用、目的本位などの解説をしています。

森田療法の活かし方

神経質を治す方法

ヒポコンドリー性基調の方は、神経質な方が多く、小さな出来事でも大きく悩んでしまいます。以下のコラムでは神経質な性格への対処法について解説しています。参考にしてみてください。

神経質を治す方法

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ダイコミュ用語集監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] 豊泉清浩(2004).森田療法におけるヒポコンドリー性基調と精神交互作用について 浦和大学短期大学部 浦和論叢 第 33 号

[2] 三浦謹之助(1894).神経病診断表 次世代デジタルライブラリー

[3] 疾病および関連する健康問題の国際統計分類第 10 版 (ICD-10) – 2019 年版の WHO バージョン – 新型コロナウイルス拡大版 F45.2
心気症性障害