選択のパラドックスの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「選択のパラドクスの意味」について解説していきます。

選択のパラドックス 本

目次は以下の通りです。

①選択のパラドックスとは
②2種類の後悔
③選択のパラドックスと関連研究
④関連研究コラム

最後まで読むと選択のパラドックスの意味を一通り理解することができます。是非最後までご一読ください。

①選択のパラドックスとは

提唱者

選択のパラドクスは心理学者のバリーシュワルツが、「The Paradox of Choice – Why More is Less 」という著書を執筆し、世に広めた言葉です。

シュワルツは主に、意思決定や社会の相互関係を、心理学や経済学と絡めながら研究を行っています。2016年からカリフォルニア大学バークレー校の客員教授を務めています。

 

意味

シュワルツ(2002)は選択のパラドクスを以下のように定義しています。

選択肢が増えるほど、困惑しやすくなり、選択後に後悔しやすくなること

私たちは決断をするときに、できれば複数の選択肢があるほうが有利と考えます。一方で、選択肢が多いほど、迷いが生じてしい、さらには決断した後も、後悔をしやすくなるとされています。具体例としては以下が挙げられます。

仕事の選択肢が多すぎて何をすればいいかわからない。
就職した後も、他の仕事が気になり転職を繰り返す。

出会いが多い環境で、どの異性と付き合うか決めきれない。
付き合ったとしても他の異性が気になり長続きしない。

主張

シュワルツは著書の中で以下のように主張しています。

選択の自由があれば自律性が生まれます。それは幸福にとって重要なことです。現代のアメリカ人は多くの選択肢を持っており、選択の自由と自律性を持っています。しかし、心理的にそれから恩恵を受けているようには見えません。

現代社会は多様な生き方が尊重されていますが、その選択肢の多さにより、迷いが生じ、心理的には混乱している面もあると考えられます。

②2種類の後悔

シュワルツは著書において2種類の後悔を述べています。

決定後後悔

選択肢が複数ある中で、選んだ結果、後になって後悔するのが決定後後悔です。英語表記ではpostdecision regretとされています。例えば、昼ご飯の選択肢が複数あるなかで選んだ結果、もっと別のものにしておけばよかったなど後悔します。

見越し後悔

目の前の選択肢だけでなく、未来の選択肢まで考えすぎて、決断できないのが見越し後悔です。英語表記ではanticipated regretとされています。例えば、家の購入を考えていた時に、もっといい家が今後出てくると考え続け、決断できず、結局、気に入っていた物件を買うことができないなどが挙げられます。

③選択のパラドックスと関連研究

商品数と売上への影響

Sheena S. Iyengarら(2000)は選択肢の多さと、消費行動との関連について調査を行いました。研究では、スーパーマーケット内に以下の2つの売り場を設けました。

6種類のジャムの試食販売をする
24種類のジャムの試食販売をする

その後、売り場に訪れた人数を記録して、それぞれの購買率を比較しました。6種類の売り場には、242人の買い物客が通りかかり、24種類の売り場には、260人の買い物客が通りかかりました。その結果、試食販売後の購入率は、以下のようになりました。

6種類の売り場  ⇒約30%(31人が購入)
24種類の売り場 ⇒約3%(4人が購入)

つまり、選択肢の多さによって、購入率に10倍もの差が報告されたのです。ビジネス上は選択肢を絞ることが重要であることがわかります。

生活の質が下がる

原田等(2007)は女性看護師227名を対象にQOL(クオリティオブライフ)についての調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

選択のパラドックスの意味・研究

上図は、20代、30代にとって優柔不断な傾向が高いほど、人生の充実感がマイナスになるという結果になってます。ここからは推測となりますが、選択肢が多く、優柔不断な状態になりやすい環境は、生活の質を下げる可能性があることが示唆されます。

 

④関連コラム

優柔不断の心理と治し方

選択のパラドクスと近い概念として優柔不断が挙げられます。研究も豊富で、選択のパラドクスをより深いすることに役立ちます。以下のコラムでは、研究や治し方を解説しています。興味がある方がご参照ください。

優柔不断の治し方

 

後悔しない生き方

選択のパラドクスを理解する上では「後悔」について理解を深めることが大事です。シュルツは複雑な状態での決断は後悔を生みやすいと主張していますが、実際には決断をすると後悔は少ないという研究もあります。以下のコラムでは後悔の研究と後悔しないコツを解説しています。参考にしてみてください。

後悔しない生き方,研究

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

Schwartz, B., Ward, A., Monterosso, J., Lyubomirsky, S., White, K., & Lehman, D.(2002)「Maximizingversus satisficing : Happiness is a matter of choice.」 Journal of Personality and Social Psychology
Sheena S. Iyengar  Mark R. Lepper(2000)When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing? Journal of Personality and Social Psychology, 2000, Vol. 79, No. 6, 995-1006
女性看護職の強迫傾向が主観的QOLに及ぼす影響 原田 貴史, 中村 明美, 友竹 正人, 大森 哲郎 47 巻 (2007) 1 号 p. 33-40