アニマ・アニムスの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「アニマ・アニムス」について解説していきます。

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目次は以下の通りです。

①アニマ・アニムスとは
②提唱者
③歴史
④アニマの発達
⑤否定的・肯定的アニマ
⑥アニムスの発達
⑦否定的・肯定的アニムス

是非最後までご一読ください。

 

①アニマ・アニムスとは

アニマとは

男性の集合的無意識に潜在している心理的な女性像

アニマの語源はラテン語で”魂”を意味しています。情熱、怒り、空想、遊びといった性質も含まれます。

アニムスとは

女性の集合的無意識に潜在している心理的な男性像をアニムス

アニムスの語源はラテン語です。”知性”を意味し、理性、権威、自信、主張なども表しています。

個性化とは何か

私たちは欲求や理想を無意識的に持っていますが、これはアニマ・アニムスに投影されていると考えられています。そして、自分の中にあるアニマ、アニムスを明らかにしていくと、個性化に向かうとされています。個性化とは、自分らしくユニークな個性を持って生きる傾向です。ユングは、心の中に、アニマ・アニムスを育てていくことで、自分の欲求や理想を完成させ、人格を成長させていくことができると考えたのです。

 

②提唱者

アニマの提唱者はスイスの精神科医のカール・グスタフ・ユングです。ユングはフロイトと共に、精神分析の分野で有名です。ユングは第1回国際精神分析学会長にもなっています。

ユングは誰しもが持っている、普遍的な無意識を「集合的無意識」と名付けました。この集合的無意識には、元型と呼ばれる心理的な機能を想定し、アニマもその中の1つであるとしました。

ユングは、男性の無意識に存在する女性像をアニマとしていました。つまり、女性が思う無意識の女性像は対象ではなかったのです。その後、修正が加えられて男性、女性とも両性の無意識的な女性像とする修正する考えも出てきました。

③歴史

1970年代

1970年代からアニマ・アニムスの概念は「心理的両性具有」の研究で引用されることが多くなりました。心理的両性具有とは、男性的特徴と女性的特徴の両方を兼ね備えた状態です。それは身体的な特徴ではなく、性役割やパーソナリティの特徴において、両方の特質を持つというものです。

1980~90年代

80~90年代では心理的両性具有の実証的な研究が進められて、心理的両性具有の優位性なども言われてきました。

2000年代以降

2000年代に入ると、男性性や女性性という見方ではなく、その人らしく生きることが重視されていきました。また、ジェンダーアイデンティティや、ジェンダースキーマなど社会的な性差の議論で、アニマが引用されることがあります。

以上の歴史をまとめると、アニマは主に心理的両性具有の研究の基盤として発展していたという背景があります。心理的両性具有の研究が下火になってくると、ジェンダーに関する研究で使われることが多くなってきたという流れがあります。

 

④アニマの発達

アニマは、以下の4つのレベルで発達します。

①肉体的なアニマ

この段階では、単に”女”や”性的欲求の対象”というアニマを持ちます。それを女性に投影し、女性に対して内面よりも、肉体的な面を求めるようになります。相手の人柄や人間性は考えず、単純に子孫を残せる相手を求めていく段階です。要するに、性欲を満たせる女性であれば、誰でもいいといった状態になります。

②ロマンティックなアニマ

第1段階とは裏腹に、ロマンティックなアニマを女性に投影し、女性に人格や人間的な魅力を求めます。相手を一人の個人として、好意を持ち、女性の内面を重視するようになります。具体的には優しさや慎ましさ、包容力などが挙げられます。

③霊性的なアニマ

特定の個人への恋愛感情ではなく、無制限に分け隔てなく”慈しみ”や”癒し”を与えるアニマです。聖母マリアなど人々を慈愛の心で救うイメージを持ちます。聖母マリアは、母親でもありながら、乙女のような純粋さも持ちわせています。

④叡智的なアニマ

叡智的なアニマは、内面の女性像が極限まで高められ、叡智にまで至った状態です。ギリシャ語の「知恵」を意味する、ソフィアと呼ばれることもあります。深淵な雰囲気と、神々しさ、知的な印象を持ちます。モナリザや観音菩薩などに例えれることがあります。

 

⑤否定的・肯定的アニマ

ユングはアニマには否定的側面と肯定的側面があることを記述しています。

否定的アニマ

否定的アニマは、母親との関わり方によって異なります。母親が自分に悪影響を及ぼしたと感じる場合は、以下のようなアニマとして現れます。
・倦怠感
・情緒不安定
・怒りっぽさ
一方で、母親から良い影響を受けたと感じる場合も、否定的アニマが生まれます。その場合、以下のようなアニマが生まれると考えられています。
・女々しくなる
・神経質になる
・マザーコンプレックスになる
このように、最初のアニマは母親の関わり方によって影響を受けるのです。

肯定的アニマ

肯定的アニマとは、以下のようになります。

・論理性に内的価値を与える
・人格に深みを与える
・適した結婚相手を見つける
・創造性の源
・生命力の源

男性から肯定的なアニマを投影された女性は、その男性によって理想のパートナーになります。そのほか、芸術家が美しい女性を描くような形で、創造力の根源となるとされています。

 

⑥アニムスの発達

アニムスは、以下の4つの段階で発達します。

①力のアニムス

第1段階は、肉体的な力を持つアニムスです。男性像として、「力強い」「たくましい」という印象を持ち、それを体現している男性を求めるようになります。具体的には、アスリートやターザンのような原始的で力強い男性に惹かれる傾向があると言えます。

②行為のアニムス

第2段階として、行為のアニムスに発達します。強い意志や決意などを感じる男性に魅力を感じるようになります。力強さやたくましさといった肉体的な魅力ではなく、心理的な男性らしさに心惹かれることが多くなりやすいです。

③言葉のアニムス

言語能力やワードセンス、論理性などのイメージを持つアニムスです。人の心を動かす言葉、知的でウィットに富んだ話し方などに魅力を感じるようになります。ユングは言葉巧みな演説で有名なロイド・ジョージに例えています。

④意味のアニムス

意義や意味を与え、新しい視点や気づき与えるアニムスです。言葉での説明力だけではなく、裏側に込められた意味まで理解できる男性に惹かれます。ユングは、ギリシャ神話の神々の使者であるエルメスに例ています。

⑦否定的・肯定的アニムス

ユングはアニムスにも否定的側面と肯定的側面があることを記述しています。

否定的なアニムス

否定的なアニムスとは

・低級な判断
・思い込みの意見
・先入観
・借り物の意見

などを示しています。

こうした否定的なアニムスは女性の心理に影響し、浅はかな考えに陥ってしまったり、絶対に自分が正しいとする思い込みにはまるとしています。簡単に言ってしまうと、女性は男性的な考えに傾いてしまうということです。

肯定的なアニムス

肯定的なアニムスとは、哲学や宗教上、一般的な考え方から生じる

・態度
・思考性
・熟慮
・認識
・精神的発揚
・関心

などが挙げられるとしています。肯定的なアニムスを持つ女性は、豊かな想像力をもって生きられると考えられています。

 

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ダイコミュ用語集監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
・NHK 天才テレビ君出演
・マイナビ出版 嫌われる覚悟
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中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣

臨床心理学辞典  1999 恩田 彰  伊藤 隆二 八千代出版

大澤尚也(2019)「心理的両性具有」の概念および測定法に関する文献展望
京都大学大学院教育学研究科紀要 65: 165-177

Jung画像Wikipediaより