第一印象の意味とは

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「第一印象」について解説していきます。

第一印象の意味とは,きなこもち様作成

目次は以下の通りです。

①第一印象とは何か
②初頭効果
③ゲインロス効果
④第一印象研究
⑤関連コラム

是非最後までご一読ください。

 

①第一印象とは何か

意味

精選版 日本国語大辞典(2006)によれば、以下のような意味があります。

ものごとや人に接して最初に受けた印象。

第一印象の秒数

出会った瞬間から8~12秒程度で印象は形成されると言われています。実際にアメリカの心理学者であるナリーニ(1992)の研究では、30秒以内に形成される第一印象は、4~5分の印象と変わらないことが示されています。

短期的な視点

第一印象は短期間の意思決定に影響を及ぼします。例えば就職活動の1次面接では人間性を把握する時間はなく、極めて短い時間で採用不採用が決まります。このように短時間で意思決定がなされる場合、第一印象の重要性が高くなります。

長期的な視点

一方で長期的に情報を吟味する時間があれば、そこまで影響は多くありません。例えば、学校のクラスメートなどは第一印象が悪くても、覆す時間が充分あるので第一印象の重要度は下がることになります。

 

②初頭効果

初頭効果とは

心理学辞典(1999)によれば、初頭効果は以下の意味があります。

複数の情報に基づいて、態度や印象を形成したり判断を下すときに,最初に呈示された情報が特に強く影響することを「初頭効果」,判断の直前に呈示された情報が強く影響することを「新近効果」(recency effect)とよぶ。

つまり、人は「第一印象に強く影響を受ける」という心理効果のことを指します。

ソロモンアッシュの実験

初頭効果は、心理学者のアッシュ(1946)の研究によって提唱されました。研究では、参加者に対して、人を説明する2つの形容詞のリストを読みました。2つともリストの形容詞は同じですが、順番が逆になっています。最初のリストはポジティブな言葉→ネガティブな言葉、2番目のリストはネガティブな言葉→ポジティブな言葉の順番でした。

その結果、参加者たちは2番目のリストよりも、最初に読んだリストの方が好意的な評価しました。この結果から、アッシュは「初頭効果」を提唱したのです。

 

③ゲインロス効果

ゲインロス効果とは

ゲインロス効果とは、以下のような意味があります。

もともとの印象が覆された時、逆の印象が通常よりも強くなる効果

ゲインロス効果は、もともとの悪い印象が覆された時、良い印象が通常よりも強くなる(ゲイン効果)。もともとの良い印象が覆された時、悪い印象が通常よりも強くなる(ロス効果)の2つを合わせた用語になります。

ゲインロス効果の実験

ゲインロス効果は、アメリカの心理学者エリオット・アロンソンとダーウィン・リンダ(1965)の研究によって提唱されました。研究では、参加者の学生たちに、別の学生たちをニセの評価してもらいました。

評価のパターンは以下の4つです。

1.肯定的な評価
2.否定的な評価
3.否定的から徐々に肯定的になる
4.肯定的から徐々に否定的になる

その結果、3番の否定的な評価から徐々に肯定的になるパターン(ゲイン条件)の方が、最も好感が高いことが分かりました。また4番目の肯定的から徐々に否定的になるパターン(ロス条件)が最も好感度が低いことが分かりました。すなわち、第一印象の悪さを逆手に取るというやり方もあるのです。

 

④第一印象研究

心理学では第一印象に関する研究が古くから行われてきました。

・第一印象と非言語研究
・凝視量,時間と友好関係研究
・身振り手振り研究
・男女間の第一印象研究

以下それぞれの研究を紹介します。

第一印象と非言語研究

梅野(2015)は非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

第一印象 好感

上図は好印象を与えるものとしては、笑顔が最も重要であることを意味しています。私達は印象をよくするために、髪色や洋服に一生懸命時間をかけています。しかし、それ以上に笑顔が印象形成に関わるのです。

凝視量,時間と友好関係研究

深山ら(2002)は、20代~30代の男女13名を対象に、視線と印象操作の関連を調べました。その結果が以下の図です。

アイコンタクトと第一印象

まずは「凝視量」を見てみます。参加者は凝視量によって「1/4・1/2・3/4・全て凝視」の4群に分けられました。グラフから、友好度を高める凝視量は1/2から3/4であることが分かります。

もう1つの実験を紹介します。

参加者は凝視時間を基準にして「0.5秒・1秒・2秒」の3群に分けられました。

第一印象と友好度

グラフから、第一印象に近い友好度を高める凝視時間は0.5秒から1秒であることが見て取れます。そして凝視時間が1秒を超えて2秒に近づくと、友好度は下がることがわかります。

 

身振り手振り研究

藤原(1986)は大学生162名を対象にした実験では、スピーチ速度とハンドジェスチャーが「知性」と「自信」の印象にどれけ影響を及ぼすかを調べました。その結果、以下の図のようになりました。

ハンドジェスチャーと知性

まずは、知性から見ていきましょう。「スピーチ速度が遅く、ハンドジェスチャーがある」時にもっとも、知性の度合いが高まっていることが分かります。

続いて、自信の度合いを見てみましょう。こちらも知性と同様にスピーチの速度が「遅い」ハンドジェスチャーが「ある」場合にもっとも高い数値を出しています。

ハンドジェスチャーと自信

このように、話す速度が「早い」場合は、ハンドジェスチャーが「ない」方が成績が良いことが分かりました。

 

男女間の第一印象研究

恋愛と外見の魅力の関係について分析した研究を紹介しましょう。松井・山本(1985)は男子学生を対象に、複数の女性の写真を見てもらい第一印象の重要性を調査ました。その結果が以下の図です。

上図のように初対面の女性について、
「美しさ」>「活発さ」>「しっかり」>「家庭的」
という順序で重視していることがわかりました。

心理学的には相関係数0.7以上はかなり影響あり、70~.40はある程度ありと考えます。美しさと活発さは第一印象の影響をかなり受けるようです。またしっかり、家庭的もある程度の影響があると言えます。

 

⑤関連コラム

第一印象を向上させる方法

当コラムでは第一印象の意味や研究を紹介してきました。実践的に第一印象を向上させたい方は以下のコラムを参考にしてみてください。笑顔のトレーニング、声の抑揚をよくする方法を紹介しています。

第一印象をよくする方法

 

第一印象診断

筆者は第一印象を簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的に第一印象力を把握したい方は一度チェックしてみてください。

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*出典・参考文献
・Asch, S,E.,Forming Impression on Personality, Journal of Abnormal and Social Psychology,1946、Vol.41,pp.258-290
・Chee Kee ,R.J.,S.O.F.T.E.N. up to Make a Good First Impression, Business World,Aug.20,2002,pp.1-2
・Fiske,D.W.et al. Psychology Today,1975(南博完訳『図説 現代の心理学6 社会心理学』講談社 1984年)
・Mednick,S,A.et al. Psychology,John Wiley&Sons,1975(外山・島津監訳『心理学概論』誠信書房,1986年)
・林伸二『業績評価システム』同友館,1993年
・Nordstrom, C.R., et al.,First Impressions versus Good Impressions,The Journal of Psychology,1998, Vol.132,Iss.5,pp.477-492

・松井豊・山本真理子(1985),「異性交際の対象選択に及ぼす外見的印象と自己評価の影響」,社会心理学研究 , 1 (1) , p9-14.

・Ambady, Nalini,Rosenthal, Robert (1992) Thin slices of expressive behavior as predictors of interpersonal consequences: A meta-analysis. Psychological Bulletin, Vol 111(2), Mar 1992, 256-274
精選版 日本国語大辞典(2006)小学館

・ElliotAronson,DarwynLinder(1965) Gain and loss of esteem as determinants of interpersonal attractiveness Journal of Experimental Social Psychology Volume 1, Issue 2, May 1965, Pages 156-171
・Asch, S. E. (1946). Forming impressions of personality. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 41(3), 258–290.