シンパシーの意味とは

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「シンパシー」について解説していきます。

シンパシーの意味,秋野スミレ様作成

目次は以下の通りです。

①シンパシーとは何か
②シンパシーの発達
③シンパシーを感じにくい人
④脳科学とシンパシー
⑤関連コラム

是非最後までご一読ください。

①シンパシーとは何か

意味

まず初めにシンパシーの意味から確認していきましょう。シンパシーは

他人の苦しみや苦痛に対する哀れみや悲しみ
他人の気持ちを共有する能力

とされています。私たちは誰かが苦しい思いをすると、気の毒に感じたり、心配することがあります。このように他人のマイナス感情をくみ取ることをシンパシーと言います。日本語では「同情」と訳されます。

 

empathyとsympathyの違い

よく混同されるのが、empathyとsympathyです。

エンパシー
「共感」と訳されます。距離感が近い、相手の心情をあたかも自分の事のように感じる、プラス感情でもマイナス感情でも使われる、などの特徴があります。

シンパシー
「同情」と訳されます。距離感が比較的ある、あいての感情を自分の事のように感じているわけではない
他人の苦しい気持ちを気の毒に感じる、などの特徴がありあます。

これらの微妙な違いがあるものの、ざっくりと言ってしまえば、エンパシーとシンパシーはほぼ同じ意味です。違いがあるとすれば、エンパシーは広い感情、シンパシーはマイナス感情に特化した感情と覚えておくと良いでしょう。*詳しい両者の違いは下記の表にまとめました

empathy sympathy
日本語 共感 同情
距離感 近い 遠い
感情の種類 プラス感情
マイナス感情
マイナス感情
専門職 良く使う 使わない

効果

シンパシーを感じると様々な効果があります。例えば、

他者への気づかいができる
困っている人をサポートできる
いじめなどの防止

などが挙げられます。こうした他者への気づかいや、サポートなどができる性質のことを「向社会性」といいます。人はだれでも向社会性を持っていますが、シンパシーが高い人は、より向社会性が高いと言えます。

 

②シンパシーの発達

シンパシーの力は年齢と共に発達していきます。

0~1歳

生後間もなくから1歳になるぐらいまでは、共鳴動作が見られます。共鳴動作とは、周りの感情や行動と自分の感情や行動が、一致することを意味します。例えば、周りの赤ちゃんが泣くと自分もなく、お母さんが舌を出すと自分も舌を出す、などが挙げられます。ただ、この時期は「自分」「他人」という区分けが出てきていないので、シンパシーとは言えず、反射的な共感と言えます。

2~3歳

2歳ごろから子供は自分のことを、名前で呼ぶようになり、「自分」「他人」が別であることを理解していきます。ただしまだ心が未発達なので、自分勝手な行動や考え方が中心となり、シンパシーは少ない時期です。

4~6歳前後

4歳を超えると、他人の心をより詳細に理解していきます。

ごめんね… 痛かった? 苦しい?

これらの相手の気持ちに配慮した言葉が増えていきます。これらの言葉が見られたら、順調にシンパシー能力が育っている証拠です。他者の誤信念理解として有名な、”心の理論”というものがあります。興味がある方は下記を展開してみてください。

他者の気持ちを推し量る実験として、サリーとアンの課題というものがあります。せっかくなので皆さんも以下の課題を解いてみてください。

①サリーとアンの2人の女の子が出てきます。
②サリーはカゴにビー玉を入れます
③そしてサリーは部屋の外へ出ていきます
④アンはサリーのビー玉をカゴから取り出して、別の箱に入れました
⑤帰ってきたサリーがビー玉を探すのはどこでしょうか

A.「サリーは元にあったカゴを探す」
B.「サリーは別の箱を探す」

この課題が出された時に、A「サリーは元にあったカゴを探す」と推測するのが正解です。サリーは外へ出たので、アンが別の箱に入れたことを知らないからです。この問題に対して3歳児はほとんど間違えます。正解できるようになるのは、主に4歳以降と言われています。サリーとアン課題については動画もありました。下記を参考にしてみてください。

 

7歳以降

6歳ぐらいまでに基本的な心の機能が出来上がると、人生経験を重ねていく度に、シンパシー力が増していきます。辛いこと、苦しいこと、失敗した痛みを味わうと、他人のマイナス感情を理解する幅が広がっていくのです。

 

③シンパシーを感じにくい人

精神医学や心理学の世界ではコミュニケ―ションに関する障害があり、シンパシーを感じにくい人がいることがわかっています。

自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムとは、社会性やコミュニケーション、想像力などの障害で発達上の障害がみられる疾患です。他人と目線を合わせることや、表情を読み取ることが苦手で、シンパシーを感じにくい特徴があります。

自閉症スペクトラム

 

自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害とは、賞賛されたい欲求が強く、自分が特別な存在であるという信念が強い症状です。そして、共感性の欠如があり、他人に対してのシンパシーを感じにく傾向があります。相手の気持ちを理解しようとせず、時には相手を不当に利用したりすることもあります。

自己愛性パーソナリティ障害

 

④脳科学とシンパシー

シンパシーと脳の関係については様々な説があります。

ミラーニューロン

ミラーニューロンとは、他者を見て自分も同じ反応をする脳の機能を意味します。パルマ大学のジャコモ・リッツォラッティらによって、1996年に発見されました。ミラーニューロンは鏡のように反応することから、この名前が付けられました。ミラーニューロンは共感や同情と関りが深い脳の部位と考えられています。ミラーニューロンは、脳の下前頭皮質、下頭頂皮質という部位が関わっているという報告があります。

メンタライジグネットワーク

脳ネットワークの中でも「メンタライジングネットワーク」は、空気を読むために重要とされています。メンタライジングとは、他者のこころの状態(欲望、意図、信念)を推測することで相手の行動を説明し、予測することをいいます。この機能を使うことで、相手とのやりとりで他者を欺いたり、だましたり、教えたり、説得することができるのです。

メンタライジングに関わる脳領域

出典:Frith, U., & Frith, C. D. (2003)を参考に作成

社会脳,メンタライジングネットワークとは

 

⑤関連コラム

共感力をつける方法

当コラムではシンパシーの意味や研究を紹介してきました。実践的にシンパシーの力をつけたい方は以下のコラムを参考にしてみてください。姉妹コラムとして共感のトレーニング方法を解説しています。

共感力をつける方法

 

シンパシー力診断

筆者はシンパシーの大きさを簡易的に診断できるシステムを作りました。客観的にシンパシー力の大きさを把握したい方は一度チェックしてみてください。

シンパシー力診断

 

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コミュニケーション講座

監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*引用文献・参考文献
Kanakogi.Y,Okumura,Y.,Inoue,Y.,Kitazaki,M.,&Itakura,S.(2013)Rudimentary Sympathy in Preverbal Infants: Preference for Others in Distress. PLoS ONE,8,e65292

Frith, U., & Frith, C. D. (2003). Development and neurophysiology of mentalizing. Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences, 358(1431), 459-473.