褒める意味とは

褒めるの意味

小玉(1993) は褒めることを、以下のように定義しています。

話し手と聞き手の双方が価値を認めるなにか(例えば、持ち物、性格、技術など)を自発的に見つけ出
し、それに対して明示的あるいは暗示的に良い」と認める行為

一般的には相手の良い面を自分から見つけだして、その部分を肯定する行為を指します。褒めることは、言語的ものにとどまらず、表情、ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションも含まれることがあります。

褒めることの心理的側面

心理操作の一形態として、賞賛は報酬にあたり、条件付けによる行動強化を促します。行動強化の手段としての賞賛は、BFスキナーのオペラント条件付けに基づいています。「積極的な強化」の手段とされ、賞賛することで相手のポジティブな行動を促します。

 

褒める‐心理的効果

自分の幸福につながる

褒める言葉は自分自身の心にも変化をもたらします。

高橋・森本(2012)は都内大学生234名を対象にポジティブシンキングが心理的にどのような影響があるかを調査しました。研究の中では「他人のポジティブな面に注目すること」の心理的な効果も分析されています。

その結果が下図となります。褒める効果

図を見るとわかるように他人のポジティブな面を見つけると、自分自身の幸福感が向上し、ネガティブ思考が減少します。また他者軽視が減るため、人間関係も向上します。

人は褒める言葉を積極的に使うことで、相手だけでなく、自分自身も幸福感が高まると言えます。

自他の肯定感を向上させる

褒めることは相手の肯定感を高めることが分かっています。

細田らの(2009)の研究では、周囲からのソーシャルサポートが自他肯定感に与える影響を調べています。ソーシャルサポートは社会的な援助のことで、いくつかの種類があります。なかでも「褒める言葉」は、情緒的サポートに該当します。

実験では、中学生305名を対象に、情緒的サポートを

・もらえている群(高群)
・あまりもらえていない群(低群)

にわけて自他肯定感の違いを比較しました。

その結果、以下の図になります。

自他肯定感が高まる

このように高群の方がグラフが高いことがわかります。自他肯定感を高めてくれることがわります。特に友人へのアプローチは効果的ですので、積極的に褒めていきましょう。

褒める言葉で自己効力感UP

褒める言葉をかけられた経験が多いほど、「自己効力感」が強くなることが分かっています。浅沼ら(2018)の研究では、大学生249名を対象にほめられ経験の種類が自己効力感に与える影響を調べました。

褒めることで相手の自己効力感が上がる

その結果、上図のように「能力」よりも「努力」を褒める言葉をかけられた方が、自己効力感が増加することが分かりました。能力を褒めるとは、

「やっぱりできるひとはちがうな」
「君ならできると思っていた」

など成功することに対して肯定することを言います。

一方で、努力を褒めるとは、

「一生懸命頑張っている」
「熱心に取り組んでいる」

など結果ではなく、成功までのプロセスを肯定します。

努力を褒められることで、自己効力感が上がり、さらなる努力を促進すると示唆されています。ただ、能力を褒められる経験がネガティヴに作用するわけではありません。あくまでも、努力褒めの方が自己肯定感が高まるという結果になります。

お知らせ

当コラムは公認心理師、精神保健福祉士により作成されています。もっと心理学や人間関係を学習したい方は下記のコミュニケーション講座でぜひお待ちしています。

コミュニケーション講座

監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

・小玉安恵(1993).ほめ言葉にみる日米の社会文化的価値観:外見のトピックを中心に , 言語文化と日本語教育 , 6, 22-35.
・細田ら(2009)中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究,57,309-323
・浅沼 美里 山本 奬(2018)教師からのほめられ経験・叱られ経験がその後の自己効力感に与える影響 岩手大学大学院教育学研究科研究年報 第 2 巻 9−57
・高橋,誠; 森本,哲介 学校教育学研究論集(26): 29-39 2012 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科