ナーバスの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ナーバス」について解説していきます。

ナーバスの意味

目次は以下の通りです。

①ナーバスとは
②ナーバスと近接概念
③ナーバスと心理研究
④関連する精神疾患
⑤ナーバスの対処法

是非最後までご一読ください。

ナーバスとは

nervousは英語の意味としては大きくわけて2つあります。

身体的な意味

1つ目主に身体的な部位としての意味です。

神経

私たちの体はたくさんの神経システムがあるおかげで、健康的な生活を維持できます。

心理的な意味

2つ目は心理的な意味です。

不安,緊張,過敏

He’s a nervous person.

彼はナーバスな人だ!
彼は神経質な人だ!

と使われています。日本語では心理的な意味として使われることが多いですね。

語源

ナーバスは英語では、nervousと表記されます。

これは

nerve
osus

が組み合わさった言葉です。

nerveは中世ラテン語から派生した言葉で「神経」を意味します。osusは原始インドヨーロッパから派生したことばで「いっぱいにする」という意味があります。

神経質とは何か

神経質の中味についてもう少し深堀をしていきましょう。下図をご覧ください。

ナーバス,神経の図

こちらは人間の神経の図です。私たちの体には、神経が全身に伸びていて、運動をしたり、痛みを感じたり、温度を感じたりします。ナーバスとはこれらの神経が活発に活動している状態を意味します。

ナーバスな人は、ちょっとした刺激や、環境の変化を敏感に感じ取れるというイメージから派生し、このような意味になってきたのです。

 

ナーバスと近接概念

神経症的性格

人間の性格は様々な統計処理をした結果、開放性、外向性、誠実さ、調和性、神経質の5つがあることがわかっています。このうち、神経質は「Neuroticism」と言われ、神経質傾向が強いと、イライラしやすい、罪悪感を持ちやすい、不安障害になりやすいなどの特徴があります。遺伝率の推定値は40~60%とされています。下記の診断で大きさを把握することができます。

ビックファイブ診断

HSP

ナーバスについて、最近ではHPSの分野で研究されることも多くなってきています。HSPはアメリカの心理学者、アーロン博士が1996年に提唱した概念で

Highly Sensitive Person

と綴られています。直訳すると「とても敏感な人」と訳されます。

刺激に敏感
聴覚、嗅覚、触覚、味覚がとても敏感 小さな物音などに反応する

失敗や間違いへの繊細さ
とりとめもない失敗がきになる。完璧主義傾向がある。

微妙な変化に気づく
他人の表情や、雰囲気の変化に敏感、他者に対する共感力が高い

などの特徴があります。

HSPを詳しく理解する

 

ナーバスと心理研究

ナーバスな人にはどのような特徴があるのでしょうか?心理学における研究をいくつか紹介させて頂きます。

ストレスを見つけやすい

鷲見ら(1996)は、255名を対象に、ナーバスが職業性ストレスにどのような影響を与えるかを調べました。まずは職業性ストレッサーから見ていきましょう。以下の図をご覧ください。

神経質の問題

上図は、神経質傾向が高いと職業性ストレッサーも高いことを意味しています。つまり、神経質傾向が高い人は、仕事でストレスをみつけやすいと言えます。ナーバスな人は、上司の顔色や些細なミスを気にしがちです。気にしい性格のせいで職場でのストレスが高まってしまうのかもしれません。

抑うつが高い

次に抑うつとの関連を見ていきましょう。以下の図をご覧ください。

ナーバスを克服

このように、神経質傾向が高いと、抑うつも高いことを意味しています。つまり、ナーバスな人は、抑うつになりやすいと考えれます。神経質で考えすぎてしまう人は、無意識にネガティブに物事を考えることが多いです。こうした、マイナス思考が積もり積もって抑うつに発展することがあるわけです。

ナーバスは遺伝する

行動遺伝学者の安藤(2000)は、性格と遺伝の関係について調査を行っています。その結果が以下の図です。

神経質遺伝率

上図のように、神経質の遺伝率は41%、家庭環境は7%、外部環境が52%となっています。両親がナーバスだと、自分自身もその性格をある程度引き続ぐと推測されています。

性格と遺伝ついてより深く知りたい方は、下記をご覧ください。
性格と遺伝率の意味

 

関連する精神疾患

精神疾患の種類

高嶋(1989)によると、神経衰弱症(neuras-thenia)という病名が、1920年代にはじめてベアードという精神科医が提唱したとされています。その後、ナーバスの研究は進み、様々な精神疾患と関連することが分かっています。

恐怖症
特定の状況や対象が怖くなる。広場が怖い。人が怖い。とがったものが怖いなど。

不安障害
根拠のない不安を持つこと。交通事故にあうのではないか。火事になるのではないかなど。

ヒステリー
怒ったり、泣いたり感情の起伏が激しい。やや演技的である。

心気神経症
実際には病気でないにも関わらず病気と思い込む。病院の検査を繰り返したりする。

精神疾患の目安

ナーバスな状態は短期的で、理由がはっきりしている場合はそこまで問題ではありません。例えば、受験の1か月前、大きなプロジェクトが迫っている。こんな状態であれば、だれでもナーバスになるものです。

一方で、特に大きな理由がないにもかからず些細なことが気になって仕方がない感覚が続き、不眠、イライラ、抑うつ感が続く場合は上記に当てはまる可能性が出てきます。

ナーバスな女性

 

ナーバスへの対処法

ここからはナーバスで苦しい方向けにおススメの3つの心理療法をお伝えします。

認知行動療法

認知行動療法は最もポピュラーな心理療法です。大きく分けて、認知療法,行動療法,マインドフルネス療法の3部構成になっています。全部学習するのは少々骨が折れますが、ナーバスな気持ちを改善したい方にかなりおススメの心理療法です。

偏った考えの改善、極端な行動の改善、感情的になることを抑えることができます。しっかり勉強してみたい方は下記のリンクを参考にしてみてください。

認知行動療法

森田療法

森田療法は日本人が作成した心理療法で、神経質な症状を改善する手法として伝統的に使われてきました。森田療法では、「あるがまま」という考え方をベースとして、ナーバスな気持ちを無理になくそうとせず、うまく付き合いながら、行動範囲を広げていくことを目的としています。一度ナーバスになるとなかなか行動できない…という方は下記のコラムを参考にしてみてください。

森田療法入門

 

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ダイコミュ用語集監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
・NHK 天才テレビ君出演
・マイナビ出版 嫌われる覚悟
Youtubeチャンネル

*出典・引用文献
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.
わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望
高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989
鷲見 克典, 早川 精一(1996)職業性ストレスに対する職務関与と神経質傾向の効果 名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository
心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観,安藤 寿康,講談社 (2000)