セルフハンディキャッピング

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「セルフハンディキャッピング」について解説していきます。

セルフハンディキャップの意味,ありなか本舗様作成

目次は以下の通りです。

①セルフ・ハンディキャッピングとは
②「獲得的」「主張的」
②4つの原因
④深刻な問題に発展

是非最後までご一読ください。

 

①セルフ・ハンディキャッピングとは

意味

セルフ・ハンディキャッピングは、心理学者のエドワード・E・ジョーンズらによって1970年代後半に提唱された概念です。心理学辞典(1999)によると、以下のように定義されています。

ある課題を遂行する際に、結果の評価的な意味をあいまいにするため、障害を自ら作り出す行為

具体例

セルフハンディキャップは以下のような例が挙げられます。

例1
試験前の発言
「勉強やるきしなくてさあ・・・ずっとゲームしちゃったよ。ぜんぜん勉強できなかったなあ~。」

例2
発表の前の発言
「あがり症なので、緊張して頭が真っ白になってしまうかもしれません。とりあえず、一生懸命話してみます。上手くいかなくても責めないでくださいね。」

目的

セルフハンディキャッピングには、あらかじめ言い訳を作り、結果がでなかった時に自尊心を維持する目的があります。失敗をしても、「まだ自分は本気を出していないだけ」と自分を慰めることで、心の負担を抑えることができます。

 

②「獲得的」「主張的」

セルフ・ハンディキャッピングには、2つの種類があります。

獲得的セルフハンディキャッピング

獲得的セルフハンディキャップとは、自ら不利になるような状況を積極的に作り出すことで、自尊心を守ろう問うすることを意味します。例えば、試験前にあえてゲームをする、勝ち目が薄い試合の前にあえて体調不良になる行動をする、などが挙げられます。

主張的セルフハンディキャッピング

主張的セルフハンディキャッピングとは、あらかじめ予防的な発言をして、自分にはハンディキャップがあると周りに主張することを意味します。例えば、試験の直前に「全然勉強してない」と宣言する、人前に立つときに「あがり症なので」など宣言するなどがあります。

 

②4つの原因

セルフハンディキャップを行う原因には、以下の4つがあります。

①勝算が薄い

セルフハンディキャップは勝算が薄い時にも起こりやすくなります。最高のパフォーマンスを発揮しても、敗色濃厚になると、あらかじめ負けたときの、ストレスをあらかじめ軽減しようという心理が働きます。

②自尊心が低い

セルフハンディキャップを行う人は、自分に対する不安感や自信がないことが多くあります。全力を出して、取り組んだにも関わらず失敗に終わってしまえば、心に大きな傷が残るかもしれません。そこで自己評価や自尊心を守るために、セルフ・ハンディキャッピングを行ってしまうのです。

③文化的な要因

セルフハンディキャップを行う人は、謙虚として評価される文化もあります。特に日本では、謙遜が美徳として捉えられることが多いです。これは、「恥の文化」とも呼ばれており、恥をかかないための行動様式が道徳律として根付いています。出る杭は打たれるような文化の場合は後者が好まれることもあります。

 

④能力を印象付ける

勝算が確実にある場合に、自分の能力をアピールするために行われることもあります。例えば、本当はものすごい勉強をしたのに、勉強していないアピールをした人がいたとします。この方が、テストで100点を取ったとすると、周りからすると、勉強しないで100点をとるとは天才なのでは?という印象を持たせることができます。このように自分の能力を大きく見せるために行われることもあります。

 

④深刻な問題に発展

セルフハンディキャップは、試験や掃除などであれば、そこまで大きな問題になることはありません。しかし、深刻な状況になると、様々な問題が起こることがあります。以下に私の臨床上の経験を2つ紹介します。個人情報があるため事実を改変しています。

ギャンブルへの依存

【Aさん】
40歳 男性 独身 IT系
現実を忘れるためギャンブルがやめられない

Aさんは、ギャンブルへの依存が見られました。口癖のように、私の人生がうまく行かないのは、ギャンブルをしてしまうせいと発言していました。Aさんは、ギャンブルという原因のせいにしてしまうことで、セルフハンディキャップする癖がついてしまっているように感じました。

カウンセリングでは、セルフハンディキャップで自暴自棄な行動をとる癖を整理して、健康的な行動をとれるよう、一緒に考えていきました。結果的に、Aさんの自傷的なギャンブル依存の回数は減り、人生に前向きな行動が増えていきました。

 

恋愛での予防線

【Bさん】
29歳 女性 婚活中
短期的な別れを繰返してしまう

Bさんは婚活中の女性です。付き合ってもすぐに別れてしまうという問題を抱えていました。自尊心が低く、付き合ってもどうせフラれてしまう…という世界観を持っていました。

Bさんは、関係がすすむと、なぜか攻撃的になってしまう、服装がだらしなくなる、浮気をほのめかす、という行動をしていました。あらかじめ、異常な言動をすることで、フラれることに、予防線を貼ような行為に見られました。

Bさんは、恋愛について自信が持てず、失敗することを想像するあまり、あえて攻撃的に振る舞い、フラれるよう仕向け、自尊心を守るという行動パターンを持っていました。その後Bさんは、心を整理して、このような不安な気持ちがあった時に、感情に流されず、今まで通り、健康的な関係を築くことを意識するようになり、以前よりも長くお付き合いができるようになりました。

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

 

*出典・参考文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣