非言語コミュニケーションとは

意味

非言語コミュニケーションとは以下の意味があります。

言語記号による意味を手がかりとするコミュニケーションに対する概念であり言語記号以外の手がかりからなる過程(心理学辞典,1999)

 

言語,非言語の違い

私たちは日々、以下の手段を元に、コミュニケーションをしています。

傾聴と言語・非言語コミュニケーションの関係

上記のように、書いたり、話したり、言葉そのものを使ってやり取りすることを言語コミュニケーションと言います。

一方で外見、しぐさ、身振り手振りなど、言葉以外のあらゆるやり取りは非言語コミュニケーションに分類されます。

 

歴史

・1872年
チャールズダーウィンの著書「人間と動物の感情の表現 」 出版とともに非言語コミュニケーションの研究が開始されました。本の中でダーウィンは、人間を含むすべての哺乳類が、表情を通して感情を伝達することを主張しました。

非言語,感情,ダーウイン

・1900~1950年代
1800年代に非言語コミュニケーションと言う概念は出てきたものの、研究はあまり発展しませんでした。

理由としては、多くの心理学者の興味が、心の病気の改善に目が向いていたことと、そもそもどう研究すれば良いか?その手法が未発達だったからと言えます

・1950年代
1950年代になると、コンテキスト分析と呼ばれる分析手法が確立されます。コンテキスト分析はざっくりと言うと、人間の行動パターンを、記録することで、詳細な分析を可能とする手法となります。

心理学の研究手法が発展していくにつれて、徐々に非言語コミュニケーションの研究が盛んになり始めます。

・1960年代半ば
1960年代になると、アーガイル、ジャネットディーンという有名な心理学者が非言語コミュニケーションの詳細な研究を始めました。

そのころから、アイコンタクト,パーソナルスペース,身振り手振り研究などが行われるようになっていきました。

非言語コミュニケーション研究

これまで心理学の世界では非言語コミュニケーションに関する様々な心理学的な研究がなされてきました。以下折りたたんで記載しましたので、気になる項目をクリックしてみてください。

梅野(2005)は非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。その結果、笑顔は印象形成において一番大事であることが分かったのです。

交換をもたらす非言語で笑顔は重要視されている

女性の場合、にこやかな表情よりも髪色や洋服に人生をかけている時間が長そうですが、それと同じぐらい笑顔のあり方が印象形成に関わるのです。

男性は笑顔の訓練をしている方は少ないかもしれません。もしあなたがお客さんと対面するサービス業をしている場合はビジネス的に不利になっている可能性があります。

非言語コミュニケーション 笑顔

青山・戸北(2005)は、小学5年生を対象にアイコンタクトと発話の関連を調べています。その結果の一部が下図となります。概観してみてください。

アイコンタクト 苦手

この図からわかるように、視線を感じている人は、発話数が増える傾向にあることがわかります。特に女性は視線を受ける・受けないが発話数の変化に大きく影響しています。

会話場面でうつむいていたり、スマホをいじっていると、会話に入れない可能性が高まると言えます。

非言語の効果

八重沢ら(1981)の研究によれば、女子学生38名を対象に「対人距離が不安・緊張に与える影響」を調べています。

研究では、面識のない男子学生に接近されるという状況で、距離の違いによってどのような心理的な影響ができるかを調査しました。その結果が以下の図です。

距離段階 

このように、距離が近いほど不安・緊張の大きさが高まっていることがわかります。つまり、面識のない相手とは一定の距離を保ってコミュニケーションを行った方がよさそうです。

藤原(1986)の研究では、大学生162名を対象にジェスチャーが印象形成にどのような影響を及ぼすかを調べています。実験では、参加者たちを無作為に、

・ハンドジェスチャーあり
・ハンドジェスチャーなし

のグループに分かれてもらい調査を行いました。その結果が以下の図です。

ジェスチャーと印象

このように、ハンドジェスチャーありの方がグラフが伸びていることがわかります。つまり、ジェスチャーを使った方が、知的にみられる傾向が高まるということです。

ミラーリングは、言葉通りに鏡に映っているように仕草をまねることです。

好感を寄せる相手のしぐさや動作を無意識のうちに真似・模倣してしまうことです。また、自分と同様のしぐさや動作を行う相手に対して好感を抱くことです

ミラーリングの効果について、内田ら(2018)は対人魅力に及ぼす影響を報告しています。実験では、初対面の者と実験者と受験協力者が2回対面します。

・対面:1回目
実験者と実験協力者は、実験前に対面して簡単な自己紹介を行います。実験者が退出後、実験協力者の印象について回答してもらう。

・対面:2回目
実験者と実験協力者が再び対面し、対面中でミラーリングを行い、その後、もう一度印象について回答をもらいました。

ミラーリングでは、鼻をつまむ、口を触る、前髪をおさえる、など、15個の仕草を模倣しました。

ミラーリングのやり方結果について、以下の2つの視点で解説します。

1つ目は「社交的魅力」です。社交的魅力とは、好感や親しみやすいと感じる魅力です。

ミラーリングと社交的魅力

ミラーリングすることで、相手に自分のことを

「好感を持てる人だな」
「親しみやすい人だな」

と感じてもらえます。

2つ目は「成熟的魅力」です。成熟的魅力とは、理解があり誠実だと感じる魅力です。

ミラーリングと成熟的魅力ミラーリングをすることで、相手に自分のことを

「理解力のある人なんだな」
「とても誠実な人だな」

と感じてもらえます。

この研究から、ミラーリングをすることは、対人関係において、相手にプラスの印象を与える効果があることがわかりました。

好意の返報性の効果が得られるミラーリングをすることで、円滑な人間関係を築きやすくなります。

ミラーリング

 

お知らせ

当コラムは公認心理師、精神保健福祉士により作成されています。もっと心理学や人間関係を学習したい方は下記のコミュニケーション講座でぜひお待ちしています。

コミュニケーション講座

監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

*出典・参考文献
・内田 空・寺坂 明子・池田 浩之 2018 対話状況におけるミラーリングが対人魅力に及ぼす影響 発達心理臨床研究 42,9-16.
・梅野(2015)好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要
・早瀬 光浩・中村 太郎・加納 政芳 2018 好意の返報性を表出するエージェントがユーザの親密度に与える効果 人工知能学会全国大会 32,2K2-05.
・中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
・藤原(1986)態度変容と印象形成に及ぼすスピーチ速度とハンドジェスチャーの効果 The Japanese Journal of Psychology, Vol. 57, No. 4, 200-206  広島大学
・八重沢敏男・吉田富二雄 (1981) 他者接近に対する生理・認知反応―生理指標・心理評定の多次元解析― 心理学研究 52(3), 166-172, 公益社団法人 日本心理学会