精査可能性モデル理論とは

精査可能性モデル理論とは、心理学者のペティと社会神経科学者のカシオッポが提唱した理論です。具体的には、説得には中心ルートと周辺ルートのがあるとする理論です。以下それぞれの意味を解説していきましょう。

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中心ルート

そのもの性能や機能、本質的な効果や特徴、スペックから説得するルートを意味します。具体的には

速度 質量 効果味
構成要素 素材 画質
処理速度 安全性 耐久性 鮮度

などが挙げられます。

周辺ルート

デザインや雰囲気、売り手の印象などを基に判断をプロセスを意味します。具体的には

デザイン ムード におい
販売員の印象 笑顔 有名人
CMの面白さ相手の誠実さ 口コミ

などが挙げられます。

判断基準

説得する際の判断基準ですが、原則として①相手の専門性、②競合性、③情緒性、の3つで判断すると説得力があがります。

相手の専門性
専門性が高い場合は中心ルートでしっかりと説明すると説得力が増します。こだわりが強い人、商品に詳しい人には中心ルートをベースに解説する必要があります。

競合性
差別化が難しい商品の場合、中心ルートで勝負を挑むことは難しいと言えます。例えば「水」については多少の違いはあるかもしれませんがそこまで成分的な違いはないでしょう。そのような場合は周辺ルートでの差別化が必要になってきます。

情緒性
素材、効果、など質を重視する方は、中心ルートで説明するのは基本です。誠実さ、面白さ、世間体など、情緒性を重視する方は、周辺ルートで説明するのは基本になります。

具体例

中心ルート、周辺ルートは実用的な理論です。コーヒーを例として解説します。

中心ルート

もしあなたが仮にコーヒーメーカーに勤めていたとしたら、誰を対象に販売するのかによって説得の仕方は異なってきます。例えば、コーヒーの品質にこだわる、という方に有名人を起用したCMを打ってもあまり意味がありません。それよりも、

産地はどこで?種類はなにか?
どのような工程で品質を確保しているか?
どのような焙煎方法を採用しているのか?

などの視点で説明したほうが説得力は上がります。

 

周辺ルート

一方で、コーヒーの品質に疎く、雰囲気や、おしゃれ感を楽しみたい方に、品質をアピールしてもピンときません。それよりも、

コーヒーを飲んでいる有名人は誰か?
パッケージはオシャレか?
社長はイケメンか?

となどの視点が大事になってきます。

中心ルート,周辺ルート

 

精査可能性モデル理論-練習

ここで、精査可能性理論の練習問題に取り組んでいきましょう。練習なので設定は自由に考えてみてください。

練習問題1

あなたの状況
・デパートの青果店の販売員
・本日東北からりんごが入荷
・このりんごをPRする

この時、中心ルートで説明する場合、周辺ルートで説明する場合、それぞれの説得の文章を100文字程度で考えてみてください。

 

解答例・解説

中心ルートで説得
当リンゴは無袋栽培によって作成されたリンゴです。無袋というのはリンゴに袋をかけない栽培法で日光が当たる分、糖度が3倍程度になります。摘葉および玉まわしも通常のリンゴよりも頻繁に行っているため少し値段は高いですが抜群の美味しさとなっております。

周辺ルートで説得
こちらはプロジェクトRでも紹介された、希望のリンゴといわれる世界一の甘さを誇るリンゴです。先日経済産業省の年間農産物最優秀賞を受賞した品種です。ぜひお試しください。

このように相手がロジカルで品質にこだわるタイプの場合は栽培プロセス、糖度などの中心ルートの説明だと説得力が増します。これに対して割と感情的で好き嫌い、周りの評価を気にされそうな方の場合はわかりやすい言葉を使って周辺ルートで説明するとよいでしょう。

練習問題2

あなたの状況
・英語教育事業に勤務
・新しい英語学習ソフトが完成
・マスコミ向け発表会

この時、中心ルートで説明する場合、周辺ルートで説明する場合、それぞれの説得の文章を100文字程度で考えてみてください。

 

解答例・解説

中心ルートで説得
こちらの英語ソフトですが、関東大学言語研究所の調査で、成人のトイックの点数が3か月で平均200点向上したとの評価をいただいています。またどこでもネイティブの方のレッスンを受けられるので、3か月程度でネイティブの英語の80%が理解できるようになります。

周辺ルートで説得
こちらの英語ソフトですが、現在グローバル企業として成長しているユニシロで採用されているソフトです。現場での英語力を高めるのにうってつけという評価をいただいています。また先日芸人のマタマタさんがこちらのソフトを使用して、3か月で海外公演まで成し遂げたということで認知度が上がっています。

このように中心ルートの説得はソフトそのものの効果をアピールし、周辺ルートでの説得は周りの評価や使用感などをアピールしていきます。どちらの説得を使うかは相手の知的レベルや専門性などで判断していきましょう。

 

お知らせ

当コラムは公認心理師、精神保健福祉士により作成されています。もっと心理学や人間関係を学習したい方は下記のコミュニケーション講座でぜひお待ちしています。

コミュニケーション講座

監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
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