皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「アイコンタクト」について解説していきます。
アイコンタクトの意味とは
意味
心理学辞典(1999)ではアイコンタクト(視線の交錯)は以下のように定義されています。
二者間で互いに相手の目に意識的な視線を向け見つめ合う状態
相手との積極的な関与を示したり、相手からの即時的な反応を期待して用いられる
社会的な目的
人は無意識に目や表情から、ポジティブ・ネガティブな雰囲気を察知します。また相手に自分の感情を伝え、相手に注目している意図を示すためにアイコンタクトを用います。
アイコンタクト研究
印象形成で2番目に重要
梅野(2015)は、笑顔やアイコンタクトなど、非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。
結果は下の図のようになりました。概観してみてください。
研究結果を見ると、目の表情は、笑顔ほど重視されないものの、髪色やアクセサリーより好感に影響することがわかります。アイコンタクトは非言語コミュニケーションにおいて笑顔に次いで重要だと言えます。
自信があるように見える
深山ら(2002)は、人の顔のアニメーションを利用して“視線と印象の関係”について研究しました。その結果の一部が下図となります。
図を要約すると、
・アイコンタクトが適度にある
→「自信がある」「強い」
・下を向いている
→「自信がない」「弱い」
という印象になることがわかりました。
会話に入りやすくなる
青山・戸北(2005)は、小学5年生を対象にアイコンタクトと発話の関連を調べています。その結果の一部が下図となります。概観してみてください。
この図からわかるように、視線を受けている人は、発話数が高い傾向にあることがわかります。特に女性は視線を受ける、受けないで発話数が大きく変化しています。
会話場面で下を向いたり、スマフォをいじっていると、会話に入れない可能性が高くなると言えます。
50%前後が適切
深山ら(2002)は、20代から30代の男女13名を対象に、視線と印象操作の関連を調べました。参加者は凝視量によって「1/4・1/2・3/4・全て凝視」の4群に分けられました。
グラフから、友好度を高める凝視量は1/2から3/4であることが分かります。
例えば、
相手との対面総時間が60秒だった場合「30秒~45秒」になります。
この範囲内から逸れると、「話し辛い人だな」「会話しにくい…」といった印象を持たれるかもしれません。
⑤0.5秒〜1秒が最適
深山ら(2002)の同研究では、参加者は凝視時間を基準にして「0.5秒・1秒・2秒」の3群に分けられました。グラフから、友好度を高める凝視時間は0.5秒から1秒であることが分かります。
そして凝視時間が1秒を超えて2秒に近づくと、友好度は下がることも分かります。
このように、アイコンタクトと言っても、相手の目を凝視し続けるのはあまりよくないことがわかります。凝視は悪い印象を与えてしまうため、0.5~1秒程度で十分だと言えます。
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・話しやすい,アイコンタクト練習
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ダイコミュ用語集監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
*出典・参考文献
青山 康郎・戸北 凱惟(2005)発話を促す話し合いの場に関する研究 日本教科教育学会誌 2005.6 第28巻 第1号
梅野(2015)好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要
深山篤・大野健彦・武川直樹・澤木美奈子・荻田紀博 2002擬人化エージェントの印象操作のための視線制御方法 情報処理学会論文誌
出典:深山篤・大野健彦・武川直樹・澤木美奈子・萩田紀博 (2002) ,「擬人化エージェントの視線による印象操作」,NTTコミュニケーション基礎科学研究所,p1-8.