本音と建前の意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「本音と建前」について解説していきます。

目次は以下の通りです。

①本音と建前とは
②本音と建前と日本文化
③心理学的な研究

是非最後までご一読ください。

①本音と建前とは

意味

日本大百科全書(1994)によれば、本音と建前には以下のような意味あります。

建前(家の棟上げ、表向きの方針、原則)と本音(本当の音色(ねいろ)、本心)。理念的な文化と制度的な文化、規範的な行動と現実的な行動との対照をさしている。

このように、「表の顔」と「裏の顔」との対照を意味しています。

具体例

・表では仲良くしているが裏では憎しみ合っている
・上司のギャグがつまらないけど、とりあえず笑う
・誘いを歓迎する態度を取るが実は嫌がっている

などが挙げられます。

②本音と建前,日本文化

本音を話さない日本文化

日本人はあまり本音を話さない相手の気持ちを大事にする文化があります。曖昧な部分から、相手の「本音」を判断する国民性があります。「言葉や文字」にする前に相手の本音を読み取り行動できると「気遣い上手」と褒められます。

・空気を察する
・気配り
・おもてなし
・配慮

このように日本語には相手の本音を大事にする言葉が多くあります。世界的にも、日本が本音を汲み取って行動すること大切にする傾向があるようです。

西洋と東洋の文化の違い

なぜ日本人は相手の本音を汲み取ってコミュニケーションを行うのでしょうか。1つの説として、西洋と東洋の考え方の違いがあるとされています。西洋はユダヤ教やキリスト教など、一神教の宗教によって文化が形成されてきました。

一神教は神だけ絶対的であり、それ以外はすべて相対化されます。つまり、場の空気は神ではないので、個人が場の空気に一石を投じることに抵抗がありません。

一方で、東洋は仏教やアミニズムなどの多神教の宗教によって文化が形成されていきました。多神教では、その時の場の空気によって絶対的な神が変わっていきます。その場の空気を変えようとするのではなく、場の空気に適応するような生活になっていったのです。

③心理学研究

本音と建て前については心理学で様々な研究があります。関連する研究を紹介します。

①本音と対人信頼感

松永ら(2008)は「本音、気遣い、うわべ」と様々な心理的な指標について調査を行いましました。まずは、「対人的信頼」との関連を見ていきましょう。対人的信頼は、「周囲に対する信頼感」のことを意味しています。


本音と建て前の研究

「本音群」のグラフが「うわべ群」に比べて差が開いています。本音で話す人はうわべで話す人に比べて、周りの人を信用していると言えそうです。言い換えると本音で話す人は相手を信頼するがゆえに、建前よりも本音で話す傾向があると言えそうです。

②本音と基本的信頼感

「基本的信頼感」との関係を紹介します。基本的信頼感とは、

・他人から無条件に認められている
・私は信頼されている
・大概の事はうまく行く

という感覚を意味します。下図のグラフは「基本的信頼感」と「本音、気遣い、うわべ」の関連について調べたものです。

 

本音と基本的信頼

「本音で話す傾向がある」方が基本的信頼感がもっとも高いですね。その意味で本音を話す方は、世の中全般的に信頼していると言えます。周りを信頼しているからこそ本音でコミュニケーションができるのですね。

逆に基本的信頼感が低い方は、気遣いやうわべが大きくなります。世の中に対する信頼が低いため、自分の本心を取り繕ってしまい、建て前ばかり話してしまうのです。

③思いやりと国際比較

例えば、総務庁青少年対策本部(2004年当時,現総務省)の調査によると、「親が子どもに望む性格特性」として、日本は「思いやり」を1番に重視していると報告されています(図1)。

本音と建て前の心理学的な意味

 

 

一方で、アメリカや韓国では「責任感」、韓国は「礼儀正しさ」が一番に高い結果となっています。日本は文化的な背景もあり、本音と建て前を使い分けながら、周りと協調関係を結ぼうとする特徴があるのです。

例えば、あまり仕事ができない人に「すごいですね」とお世辞を言うなどが挙げられます。このように、本音は別のことを思っていても建て前で相手を思いやることで、人間関係を円滑に保とうとする文化があるのです。

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

・総務省(2004)  青少年対策本部 「子供と家族に関する国際比較調査 」
・松永(2008)現代青年の 友人関係 に 関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86
・日本大百科全書(1994)小学館