ワレンダ要因とは

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ワレンダ要因」について解説していきます。

カール・ワレンダ - Wikipedia

目次は以下の通りです。

①ワレンダ要因の意味
②ワレンダ要因と研究
③関連コラム

是非最後までご一読ください。

①ワレンダ要因の意味

ワレンダ要因の意味

ワレンダ要因は、以下のような意味があります。

うまく行かないことばかりに意識を向けると実際にうまく行かなくなることが増え、うまく行くことに意識を向けると実際にうまく行きやすくなること

例えば、
・失敗してはならない
・恥をかいてはならない
・誰かに迷惑をかけてはならない

と考えるほど、本来のパフォーマンスが発揮できなくなります。逆に
・成功しよう
・きっとうまく行く
・誰かに喜んでもらおう!

と考えるとうまく行きやすくなるのです。

 

語源とカール・ワレンダ

ワレンダ要因のもとになったのが、カール・ワレンダ(1905-1978)という天才的な綱渡り芸人です。彼は、1978年にプエルトリコで高さ37mのタイトロープを渡っている最中に転落死したとされています。

 

ビジネスジャーナリストのハーベイマッカイの記事によると、カールの妻は以下の証言をしてたとされています。

カールは事故の3か月前から、すべてのエネルギーを綱から落ちないようにすることを考えていた

カールは73歳になるまで、綱渡り何千回も成功させてきました。普段は楽天的に渡っていたようですが、なぜか落下死する3か月前だけは失敗を恐れていたとされています。この逸話からワレンダ要因という言葉は生まれたのです。

 

②ワレンダ要因と研究

ワレンダ要因については、直接的な研究はほとんどないですが、関連研究は複数あります。

失敗イメージと自分への影響

齋藤(2009)は、大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。結果の一部が下図となります。

絶対にミスをしてはいけないと思ってしまう

上記は、失敗過敏完全主義傾向がある方は「集団にとけこめない」「人間関係で当惑」しやすいということを表しています。

ここからは推測となりますが、失敗を恐れる状態は、「恥をかいたらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」という心理状態になり、実際に会話をする場面で、緊張しがちな会話になります。その結果、実際に会話で失敗するケースが増え、それが余計に失敗を恐れる心理に繋がっていくと考えられます。

 

失敗イメージと他人への影響

心理学者のローゼンタールは「教師の生徒に対する期待の効果」を検証しました。具体的な実験デザインは以下の通りです。

・6つの学年,それぞれ3クラス,合計18クラスで調査
・あらかじめ20%の児童をランダムに選ぶ
・学級担任に授業の前に児童の名簿を見せる
・名簿には良い成績を収めそうな児童が予測されている

 

8か月後のテストの結果が下図となります。

ピグマリオン効果,実験結果

上記の図のうち、黒い群は何も告げられない生徒達の成績の平均で、縞々の群は期待をかけられた生徒たちの平均です。図を詳細に見ると、特に1年生、2年生では、期待をかけられない生徒たちの成績は伸び悩み、期待をかけられた生徒たちは成績が伸びたことがわかります。ワレンダ要因は、自分だけでなく他人に対しても影響することが推測されます。

 

③関連コラム

失敗過敏を治す方法

今回はワレンダ要因について解説をしていきました。以下のコラムでは、実践的に失敗過敏を改善する方法を解説しています。チャレンジする前から失敗をイメージしやすい方は参考にしてみてください。

失敗が怖い心理を治す方法

 

ネガティブ思考診断

失敗をイメージしやすい方は、将来をネガティブに考える傾向があります。筆者はネガティブな思考を簡易的に診断できるシステムを作成しました。ご自身の傾向を把握したい方は、ご活用ください。

ネガティブ思考診断

 

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監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
Youtubeチャンネル

【出典・引用文献】
ウォーレン・ベニス,バート・ナナス著 伊藤奈美子訳 『本物のリーダーとは何か』海と月社 2012年
Karl Wallenda 画像出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』