アイデンティティの意味

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「アイデンティティ」について解説していきます。

目次は以下の通りです。

①アイデンティティとは
②提唱者
③心理的効果

是非最後までご一読ください。

アイデンティティとは

自己が内的に一貫して連続した存在であるという感覚と確証

アイデンティティは自我同一性とも訳されます。

・自分は何者か?
・自分の目指す道は何か?

など、自己の存在意義や、社会的な位置づけを見失わず、肯定的、確信的に答えられることです。

アイデンティティ確立

アイデンティティの確立には4つの要素があります。

①自己斉一性
どの場面でも自分は自分であると認めている。

②対自的同一性
自分がどうしたいのかがはっきりしている。

③対他的同一性
周りから自分はよく理解されていると感じている。

④心理社会的同一性
現実の社会において自分らしく生きることができる。

 

アイデンティティ拡散

自我同一性拡散とも言います。自己の存在意義などが曖昧になり、自分を見失っている状態です。Erikson,E.Hはアイデンティティ拡散には7つの状態があることを指摘しています。

①時間拡散
時間的展望や希望を見失っている

②同一性意識
自意識過剰な状態

③否定的な選択
社会的に望ましくない選択をする

④労働マヒ
課題に集中できない

⑤両価的拡散
性のアイデンティティ拡散

⑥権威の拡散
指導的役割や従う役割ができない

⑦理想の拡散
人生のよりどころになる理想像や価値観の混乱

こうしたアイデンティティの拡散は青年期に特徴的です。こうした葛藤を乗り越えながら、アイデンティティ確立に向けて成長していきます。

提唱者

アイデンティティは、アメリカの発達心理学者エリクソン(Erikson,E.H)によって提唱されました。

エリクソン自身はデンマーク人の母親から生まれ、父親は不明であったとされています。ユダヤ系の社会と、ドイツ系の社会の中で二重の差別に悩まされていました。

(画像出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia))

アンナ・フロイトにも弟子入りし、のちにアメリカで国籍を取得して発達心理学者として活躍しています。そこで、代表的なライフサイクル理論を打ち立てています。

ライフサイクル理論とは、人生の発達課題を8つのステージに分けて、人生の各年代に起きる心理的な課題を挙げています。その中で、青年期の発達課題をアイデンティティの確立としました。

アイデンティティの概念を打ち出したエリクソン自身もアイデンティティに悩み、人生を模索し続けていたとされています。

心理的効果

自己肯定感が高まる

アイデンティティと自己肯定感は相互に関係性があります。仲野,桜本(2010)は、アイデンティティの形成段階である大学1年生を対象に調査をしています。

具体的には「自分探しの心理学」という講義を通じて、アイデンティティと自己肯定感の関係について調べています。

その結果、自分を肯定的に捉えている人は、アイデンティティの形成も促される傾向にあるという結果が出ています。

アイデンティティが形成されることによって、自分を受け入れたり、ポジティブに捉えることができるということです。

レジリエンスが高まる

柴田(2020)では、アイデンティティとレジリエンスの関係について調べています。レジリエンスとは、「困難な状況に対してうまく適応する能力」のことを指しています。

アイデンティティとレジリエンスには相互に関係性があり、青年期の発達において重要な要素だと指摘しています。

下の図はアイデンティティとレジリエンスの関係と、それぞれに関わる要素との関連の図です。

つまり、アイデンティティが形成されている人は、困難な状況に対して肯定的に対処できるレジリエンスの能力が高いということです。

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ダイコミュ用語集監修

・川島達史
・公認心理師,精神保健福祉士
・目白大学大学院心理学研究科卒
・NHK 天才テレビ君出演
・マイナビ出版 嫌われる覚悟
Youtubeチャンネル

中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣 

臨床心理学辞典  1999 恩田 彰  伊藤 隆二 八千代出版

仲野好重,桜本和也(2009)大学一年生にとっての「自分探し」とは何か?–初年次教育としての自己発見授業とアイデンティティの模索  大手前大学論集 (10), 177-195

柴田康順(2020)大学生におけるアイデンティティとレジリエンスの概念的関連性――アイデンティティの問題に対して有効な心理的援助の検討 パーソナリティ研究 29(1), 34-45

谷冬彦(2001) 青年期における同一性の感覚の構造–多次元自我同一性尺度(MEIS)の作成 教育心理学研究 49(3), 265-273

Erikson,E.H画像 ウィキペディア