気遣いできる人になる7つの方法,意味とは
皆さんこんにちは。
公認心理師の川島達史です。私は現在初学者向け人間関係講座の講師をしています。
今回のお悩み相談
「気遣いができるようになりたい」
やりがない,持つ方法を知りたい」
相談者
32歳 男性 独身
お悩みの内容
最近彼女にフラれてしまいました。理由を聞くと、気が利かない、自分勝手と言われました。
実は会社でも気遣いができないと言われることがあり、上司から指摘を受けています。
私自身、もう少し気遣いができる成熟した男性になりたいと考えてます。何か対策はありますか?
大切な人から気が利かないといわれると、辛い気持ちになりますね。
本コラムでは気遣い力をアップさせる作戦を、たくさん提案させて頂きます!ぜひ最後までご一読ください。
気遣いの効果
まずはじめに、気遣いをするとどんな効果があるのか?抑えておきましょう。
相手のメンタルヘルス向上
気遣いは、相手のメンタルヘルスに様々な良好な効果があります。
長谷川(2012)は404名の中学生を対象に、ソーシャルサポートとストレス反応について調査を行いました。
結果を下図で見てみましょう。サポート入手とは、気遣いをされて助けられるという意味になります。
いずれのストレス反応もマイナスの相関があることがわかります。つまり気遣いを受けると、
・イライラや怒りが減る
・緊張などの反応が減る
・無気力を改善する
・不安が改善する
などにつながると推測ができるのです。
自分のメンタルヘルス向上
長谷川(2012)はサポートを提供すると、心理的にどのような効果があるかも調査しました。その結果が下図です。
全体的に負の相関になることがわかります。つまり気遣いをすると、
・イライラや怒りが減る
・体の健康度が増す
・やる気が出てくる
・不安が改善する
などの効果につながるといえます。
気遣いで、相手が回復するのはイメージがつくと思いますが、は自分自身も同様に、ストレスを減らすことができるのです。
気遣いと7つのコツ
ここからは気遣い力をつける、7つの方法を提案させて頂きます。
1:積極的な気遣い
2:抑制的な気遣い
3:しぐさを読み取る
4:表情や声を読み取る
5:道徳力をつける
6:自分の得も考える
7:過剰適応に注意
ご自身に活かせそうな項目がありましたら、ぜひご活用ください。
1:積極的な気遣い
「相手を気遣う」「援助や助言をする」「困っている時に手助けする」これは向社会的気遣いと言われています。
向社会的気遣いとは、実際に表にだしていくことで気遣いの基本と言っていいでしょう。
「お年寄りや妊婦さんに席を譲る」「落ち込んでいる同僚を励ます」などの行動がこれに当たります。
月並みですが、困っている人がいたら助けよう!とまずは決意することが大事です。
2:抑制的気遣い
一方で、相手の都合が悪かったらあえて「何もしない」ことも気遣いになることがあります。これは抑制的気遣いと言われています。
「落ち込んでいる同僚をそっとしておく」「失恋したての友達には恋愛の話を避ける」などの行動がこれに当たります。
気遣いは積極的にすべきですが、時にそっとしておくのも愛情であることも抑えておきましょう。
3:しぐさを読み取る
気遣いができる方は、相手のしぐさからメンタライゼーションをします。
メンタライゼーションとは、イギリスの精神分析家であるフォーナギーが提唱した概念で、自分や相手の心理的な背景を読み取る力とされています。
例えば、私が遭遇したケースでは、コロナウイルスが流行っている時期に、うっかりしてマスクを忘れたことがありました。
電車のホームで、カバンをガサガサしながらマスクを探しましたがありません。
すると驚いたことに近くにいた、年配の男性が「お兄さんマスクあげるよ!」と言ってマスクを1つ下さったのです。おそらくその方は、私の狼狽っぷりから、心理を推測し気遣いをして下さったのです。
このように気遣い力をつけるには、ちょっとしたしぐさから真意を見抜くようにすると効果的です。
部屋で顔を仰ぐしぐさの人がいたら
「暑いですか?温度を下げますか?」
と声をかける
同僚が昼休みに
腕組みをして険しい表情をしてたら
「なんかあった?」
と声をかける
人間の心理はしぐさに現れます。しぐさを読みとり、真意に即した行動ができるようになると気遣い力はグッと向上します。
4:非言語の読み取り力
人間の本音は言葉よりも表情や声の抑揚といった非言語に出やすい特徴があります。なぜなら表情や声の抑揚は操作が難しく、言葉よりも素直に出てしまうからです。
そのため気遣いができる方は、言葉よりも非言語をしっかりと読み取っていきます。
例えば、
「ラーメンを食べにいこうよ♪」
と誘ったとして、
相手が
「う、うん・・・いこう」
と言ったとします。
声のトーンが低く、眉間にしわを寄せていたらNGなサインです。
相手の本音は言葉だけでなく、非言語に現れます。非言語に違和感がないか意識すると気遣い力はグッと向上します。
非言語の読み取り力は気遣い力をアップさせる上で必須です。ぜひ以下のコラムも読んでみてくださいね。
5:道徳力をつける
原田(1990)は、援助行動型とその動機についての研究をしました。その結果、「援助の規範意識」がある方は「気遣い,いたわり」をする傾向のあることがわかりました。
援助の規範意識とは
「相手が困っているから助ける」
「困ったときはお互い様」
といった道徳観、倫理感を意味します。例えば、論語を読んでみたり、仲間と助け合うスポーツ系の漫画を読むのもいいかもしれません。
個人的には、スラムダンク、キャプテン、ヒーローズなどがおススメの漫画です♪
6:自分の得を考えてもOK
原田(1990)の研究では、気遣い,いたわりができる人は、合理的援助効用の予期とも相関があることがわかりました。
合理的援助効用の予期とは、
「人助けは気持ちがいいから」
「人の役に立ちたいから」
といったことを言います。援助の規範意識に比べて、自分自身の中で作られた気遣いのモチベーションと言っていいでしょう。
先ほどもあげましたが、援助は自分自身の気持ちもプラスにします。合理的援助効用の予期は、そうしたプラスの効果があるから援助をするといえます。
多少はヨコシマな気持ちもOK!と考えておくと気が楽ですね。
7:過度の気遣いに注意
気遣いはあくまで自分ができる範囲内でOKです。限界をきちんと設定して、無理のない範囲内で行うようにしましょう。
もしあなたが過剰に気遣いをしてしまう傾向がある場合は、以下のコラムも参考にしてみてください。
過剰適応に注意
限界設定をする
自他尊重の精神-アサーティブ
まとめとお知らせ
まとめ
相手への気遣いは、健康的な範囲内であれば、自分にとっても相手にとってもプラスの効果があります。あなたが気遣いをして、相手が笑顔になってくれた時、自分と相手の心に花が咲くのです。
ぜひ、花咲かじいさんのように、気遣いの花を咲かせていきましょう♪
お知らせ
公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり人間関係を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では
・気遣い力をUPさせる傾聴コラム
・相手を肯定する力をつける
・暖かい人間関係を築くコツ
など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。ぜひお待ちしています。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
YouTube→
Twitter→*出典・引用文献
・長谷川 真穂 下田 芳幸 (2012)中学生における友人間のソーシャルサポートの互恵性と共感性およびストレス反応との関連について 人間発達科学部紀要 第6巻第 2号:211-220
・原田 純治(1990) 援助行動と動機 ・性格との関連 実験社会心理学研究 30(2), 109-121
記事がためになりました、ありがとうございます