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気遣いとは?意味や行動例、気配りできる人の特徴を心理の専門家が解説

気遣いとは?意味や気配りできる人の例や特徴-心理の専門家が解説①

はじめまして!作業療法士の石橋、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「気遣い」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • できない問題
  • 2種類の気遣いとは?
  • プラスとマイナスの効果
  • 過剰な気配りは注意
  • 診断・チェック
  • メンタライゼーション
  • 【練習】気遣いのコツを確認
  • 【練習】非言語の読み取り

気遣いについて専門家が解説しています

早速ですが、みなさんは普段気遣いができていますか?仕事でもプライベートでも、人間関係をうまくやっていくためには相手に対する気遣いは欠かせません。相手に対する気遣いができないと…

・空気が読めないと思われる
・傍若無人な人だ
・自己中心的になってしまいがち

など、人間関係ではマイナスな印象を与えてしまいます。気遣いがない発言も問題になることもあります。例えば、相手が悲しんでいるときに、自分の楽しい話題を一方的に話したらどう思うでしょうか?

相手は「そんな楽しめる気持ちじゃない…」と、より悲しくなってしまうかもしれません。こうした気遣いがない行動や発言は、人間関係でもうまくいかないことが増えてきます。

そこで本コラムでは「気遣い」をより深く理解するために心理学的な研究を4つ紹介させて頂きます。

研究① 気遣いには2種類ある

“気遣い”は主に2つ種類があると言われています(満野,2017)。

・向社会的気遣い
相手を気遣ったり、援助や助言をすること。困っている時に手助けすること。すなわち積極的に声をかけていくのが向社会的気遣いですね。

”向社会的”とは反社会的と逆の意味で、集団やグループ、他人を助けたり役に立とうとすることを指します。例えば、「お年寄りや妊婦さんに席を譲る」「落ち込んでいる同僚を励ます」などの行動がこれに当たります。

・抑制的気遣い
相手の都合が悪い時は言わなかったり、行動をしないこと。あえて距離を置くことでそっとしておくこと。おせっかいしないことが抑制的気遣いになります。

つまり、相手が困っていたら助けてあげるのが“気遣い”ですが、相手の都合が悪かったらあえてしないことも“気遣い”になるということです。例えば、「相手の気分を害するようなことは言わないでおく」「答えが分かっていても、あえて相手に言わない」などの行動も気遣いに含まれます。気遣いができない問題について解説しています

研究② 気遣いはメンタルへルスに効果あり!

気遣いは、相手にとっても、自分にとってもプラスの効果があります。長谷川(2012)の研究では、お互いに相手を気遣うソーシャルサポートの互恵性とストレス反応の関連について実験を行いました。

404名の中学生を対象に、「怒り」「身体反応」「無気力」「不安」といったストレス反応とサポート(気遣い)の関係を調査しました。*やや弱い相関ですが参考にしてみましょう。

気遣いをしてもらった時の影響
まず、サポート入手、すなわち周りから気遣いを受けて助けてもらうことができている場合は、いずれのストレス反応もマイナスの弱い相関がわることが下記の図から分かります。つまり、気遣いを受けると、怒りや、体のマイナスの反応が減り、やる気がでない気持ちの改善、不安の改善等につながるのです。

気遣いをしてあげる時の影響
以下の図は、サポート提供の図です。すなわち自分が相手に気遣いをすると、どんな「自分自身」にどんな気持ちの変化が起こるのか?という図ですね。

図をみると、全体的に負の相関があることがわかります。気遣いをすると、怒りや、体のマイナスの反応が減り、やる気がでない気持ちの改善、不安の改善等につながるのです。気遣いをすると、相手が回復するのはイメージがつくと思いますが、実は自分自身も同様に、ストレスを減らすことができるのです。

気遣いはキャッチボールの関係で、お互い私会うことでストレス低減効果が大きくなります。もしお仕事などでストレスフルな状況にある場合は、他人への小さな親切から始めてみると良いでしょう。

気遣いができない特徴と問題

研究③ 自分が得する!も立派な気遣い動機

気遣いできる人と、できない人にはどんな違いがあるのでしょうか?原田(1990)は援助行動型とその動機についての研究をしています。そこでは、「気遣い・いたわり型」の人は以下の2つの特徴があることがわかりました。

①道徳を大事にしよう
気遣い、いたわりができる方は「援助の規範意識」と正の相関があることがわかりました。

援助の規範意識とは、「相手が困っているから助ける」「困ったときはお互い様」といったことを言います。言うなれば、社会から教えてもらった道徳的なモチベーションで、気遣いをするということです。確かに協力的な方は道徳的に優れた方が多い印象がありますね。

②自分もちょっと得してしまおう
また、気遣い、いたわりができる人は合理的援助効用の予期とも相関があります。

合理的援助効用の予期とは、
・「人を助けることは気持ちがいいから」
・「人の役に立ちたいから」

といったことを言います。援助の規範意識に比べて、自分自身の中で作られた気遣いのモチベーションと言っていいでしょう。援助というのは、先ほどもあげましたが、自分自身の気持ちもプラスにします。そうしたプラスの効果があるから援助をすると言えます。多少はヨコシマな気持ちもOKと考えておくと気が楽ですね。

研究④ 過剰な気遣いは逆効果

一方で、相手に悪いイメージを与えないように、過剰な気遣いをしてしまう方もいます。松永ら(2008)の研究では、大学生228名を対象に「青年の友人関係に関する研究」を調査しました。その研究の中では「感情労働」に近い概念として、「本音」「気遣い」「うわべ」について調べています。いくつか見ていきましょう。

・コミュ力と気遣い
研究の結果、「本音群」は「気遣い群」や「うわべ群」よりコミュニケーション能力が高い関連があることが分かりました。

上図を見ると、本音群のグラフがもっとも高いことがわかります。これは「本音で話す傾向」ある人はコミュニケーション能力が高い傾向があることを意味しています。一方で、「気遣い群」や「うわべ群」はグラフが低いことが見て取れます。本音を隠して、行きすぎた気遣いや、うわべだけの関係を続けると、コミュニケーション能力が低下してしまうことが考えられます。

・基本的信頼感と気遣い
基本的信頼感とは、この世の中に存在を認められている感覚、周囲から無条件に愛されている、信頼されているという感覚を意味します。下図のグラフは「感情労働と基本的信頼感」の関連について調べたものです。

コミュニケーション能力と同様に、「本音で話すことが多い」方がグラフが高いですね。自分の本音を隠して接すると、他人から愛されていると感じられなくなってしまうのです。もし、自分が何かを成し遂げないと人から認めてもらえないので・・・と考えている方は、少しづつ本音で周囲と付き合うようにすると良いでしょう。

・対人的信頼感と気遣い
最後に、対人的信頼との関連も今回の研究では調べられています。対人的信頼は、「他人に対する信頼感」のことを意味します。気遣いとどれだけ関連が見られるでしょうか。

やはり本音で話す傾向にある方がグラフが伸びていることがわかります。特に「うわべ群」と比較するの と「1」以上も差が出ています。つまり、本音で接した方が「他人を信頼しやすくなる」と考えることができるでしょう。

この研究から自分の本音を抑えて、過剰に気遣いをすることは人間関係にマイナスの働きがあることが分かります。もちろん、相手の気持ちに寄り添って行動することはとても大切ですが、本音を抑えすぎないように注意が必要です。何事もバランスですね!!

 

診断とチェック

気遣いについて簡易診断を作成しました。ご自身の状況を把握したい方は、コラム1を概観した後、一度診断してみることをお勧めします。
気遣い簡易診断とチェック②

 


ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

練習① 気遣い力UP!メンタライゼーション

ここからは気遣い力を高める練習方法を2つお伝えします。気遣いができる方は、心理学的にメンタライゼーショ力があると考えます。メンタライゼーションとは、1990年代にイギリスの精神分析家であるフォーナギーが提唱した概念で、心理的な背景を読み取る力とされています。気遣いと絡めて再定義すると、

① 身の周りに起こった出来事を把握し
②心理的な背景を読み取り
③相手の尋常に配慮した行動をする

と定義できるでしょう。メンタライゼーションは、気遣いをする上で欠かすことのできない能力です。

この3つはすべて関連していて、状況を考えることで心情が見えてきますし、その心情を考えることで「どうすべきか」といった行動を想像することができます。気遣いというと、相手の心情を考えて配慮するイメージが強いですが、その前後関係まで捉えることでより正確に相手の気持ちを察することができます。

その方法を具体的にご紹介していきます。

メンタライゼーションをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・1つずつ詳しく解説
・練習問題でマスター
気遣いができるようになるメンタライゼーション③

練習② 非言語を読み力UP

私たち心理学の専門家はカウンセリングを行うのですが、カウンセリングでは言葉以外の要素(非言語部分)を読み取れないとプロとは言えません。気遣いは相手の言葉以外のあいまいな要素を感じ取ることが大切です。そこで私たちが心理相談を受ける意識して観察している2つの非言語部分をお伝えします。

まず1つ目ですが、人の本心は「皺眉筋」に出やすいという特徴があります。眉間のシワを入れるのは、皺眉筋(しゅうびきん)と頬骨筋(きょうこつきん)という筋肉です。相手の気持ちは表情にでる

この筋肉は感情と直接つながっていて、知らず知らずに本心が表れやすいという特徴があります。人は、自分にとってネガティブな話題の時は、いつの間にか眉間が緊張してしまうのです。

2つ目に、相手の本心が表れるところは「声のトーン」です。

非言語の読み取りをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・声のトーンが高いか低いか
・実践!想定問題でマスター
気遣い力を高める「非言語の読み取り」④

状況をくみ取ることが気遣いの第一歩

練習問題はいかがでしたか。相手への気遣いは、まず自分や相手の状況を考えて、さらに相手がどのような心境かを察していくことが大事です。相手の状況をしっかりとくみ取ることができれば、声をかけたり、手を差し伸べたりと気遣いの行動が増えてくるはずです。気遣いができる人になって、より良い人間関係を築き上げていきましょう!気遣いで良い人間関係を築こう

最後に、これまで「気遣い」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!気遣いができることで、人間関係がぐっと良好なものになっていくはずです。そして、日々の生活の視野が広がり、ちょっとした幸せに気づきやすくなり幸福を実感できる機会が増えると思います。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

目次

①気遣いとは?心理の専門家が概観
②気遣い簡易診断とチェック
③メンタライゼーション
④「非言語の読み取り」

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
満野 史子 今城 周造(2017)友人への気遣いとマインドフルネス、 反芻・省察及び友人満足度との関連 昭和女子大学生活心理研究所紀要 19, 11-20
原田 純治(1990) 援助行動と動機 ・性格との関連  実験社会心理学研究 30(2), 109-121
長谷川 真穂 下田 芳幸 (2012)中学生における友人間のソーシャルサポートの互恵性と共感性およびストレス反応との関連について 人間発達科学部紀要 第6巻第 2号:211-220
松永(2008)現代青年の 友人関係 に 関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86