第一印象が悪い,良くする方法,トレーニング
皆さんこんにちは!
公認心理師の川島達史です。
今回のテーマは
「第一印象を良くする」
です。
はじめに
第一印象は短時間勝負で重要
第一印象に関する研究は諸説ありますが、第一印象は概ね30秒以内に決まり、中期的に持続することが明らかになっています。
例えば、アメリカの心理学者であるナリーニ教授の研究(1992)では、30秒以内に形成される第一印象は、4~5分の印象と変わらないことが示されています。
最初の30秒で判断された印象はそのままある程度の時間持続するのです。この性質は実社会の特に
「短時間勝負」
の場面で重要になってきます。
就職活動で不利
例えば就職活動の場合、1次面接では、人間性を把握する時間はなく、極めて短い時間で採用不採用が決まります。
また集団面接で一人の持ち時間が5分程度あれば、最初の30秒で合否が決まってしまうこともあります。
いくらあなたの人間性が素晴らしくても、面接官はあなたの人間性を深く理解するほど時間をとってはくれないのです。
接客業で不利
あなたが接客業の場合、第一印象が悪いと致命的になりかねません。
例えば、喫茶店のレジの方はお客様と30秒程度接します。この時の印象が悪いと、その印象はずっとあなたの評価になってしまいます。
あなたの人生背景などは誰も理解しておらず、あなたの第一印象がすべてになってしまのです。
恋愛で不利
お見合いパーティーなどは第一印象で判断される顕著な例ですね。時間が少ないために、1分程度の自己紹介タイムで次のフリートークに発展するかが無情にも決まってしまいます。
当コラムでは、第一印象を良くするトレーニング法をしっかりと解説します。是非最後までご一読ください。
第一印象UPトレーニング
ここからは第一印象を改善する即効性のある6つのトレーニング方法を提案します。
①笑顔を8本見せよう
②アイコンタクト1秒練習
③首を深く,ゆったり相槌をうつ
④ジェスチャーを入れる
⑤顎を引く,姿勢を正す
⑥服装で第1印象UP
あくまで即効性にこだわったので内容としてはシンプルです。もっと深く知りたい場合は、リンク先をクリックしてしっかり練習してみてください。
①笑顔8本トレーニング
第一印象の王様は笑顔です。笑顔なくして第一印象の向上はない!と考えていいでしょう。笑顔の基本は前歯8本ルールです。
スマートフォンを用意して、笑顔を撮影してみましょう。この時、前歯が8本見えていたら合格です。
NG例
前歯が少しだけしか出ていないので印象が悪いです。
特に初対面が重要な場面ではぜひ練習してみてくださいね。笑顔の練習法は以下のコラムでしっかり解説しています。もっとたくさんの練習法を知りたい方は下のコラムも試してみてください。
②アイコンタクト1秒練習
相手と会話をするときは、1秒のアイコンタクトを入れていくと印象がよくなります。心理学の研究では2秒以上のアイコンタクトは相手の負担になりやすいことが分かっています。
つまり無理をせず、チラ見でぐらいのアイコンタクトが好感を持たれるのです。
会話の際は、顔と体は相手に向けて、視線は上下に散らすと印象が良いです。ずっと相手の目を見る必要はありません。
1秒ぐらいではずしてOK!と考え、肩の力を抜きながらアイコンタクトを増やしていきましょう。
視線の合わせ方について深く知りたい方は下記をご覧ください。
③相槌を増やそう
第一印象が良い人の特徴に、しっかり首を振りながら相槌をうつ傾向があります。相槌は「相手の話をしっかり聞いている」「あなたの話をもっと聞きたい」「あなたの話に肯定的です」というサインになります。
このサインが抜けていると、相手は話しにくくなってしまい、あなたの第一印象は駄々下がりとなってしまいます。
相槌が苦手な方は、高級寿司を飲み込むようなイメージで、ゆったり首を振ることから始めていきましょう。
はいはいはい
という感じで連発した相槌ではなく、
う~ん わかります
というイメージでしっかり相槌を打つと好印象です。
もっと練習したい方は下記のコラムを参照ください。
④ジェスチャーをつけよう
印象形成において身振り手振りも大事です。最初は膝の上に手を置き、話し始めたら胸のあたりで手を動かしながら話すと力強く元気な印象になります。
・腕組みをする
・後ろで手を組む
・握りこぶしをギュッと結ぶ
これらは心を閉ざしている印象になってしまうので気をつけましょう。ジェスチャーの使い方についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。
⑤姿勢を正そう
顎を引く、姿勢を正す!これだけで第一印象は格段に上がります。気持ち上目使いで、顎を引き、耳を肩の上に置く感覚にすると印象UPです。
顎があがっていると、上から見下しているような印象になります。また猫背は、だらしない印象になってしまいます。
是非ビシッとした姿勢で臨んでくださいね♪姿勢の正しさを深く知りたい方は下記をご覧ください。
⑥服装を改善しよう
色彩と人間の関係性を心理的に研究している「色彩心理学」では、色の見え方や感じ方で人がどのように反応するかを明らかにしています。学術的にも、色によって印象が変わることが分かっています。
色の影響は、心地良さなどの「心理的な影響」、交換神経や副交感神経を刺激する「生理的な影響」をはじめ、美味しそう!明るい気分など「感情的な影響」もあります。
そのため、私たちの日常の様々な色も、色彩心理学の効果を捉えた配色が活用されています。色彩心理学をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
おまけ:第一印象が悪くてもOKな裏技
おまけ動画では、実は第一印象は悪くてもOK!?な裏技を解説しました。ずっと第一印象を良くしようって疲れちゃいますよね。。気を抜くときは気を抜いても良いのです。
その辺の心理学的な裏技を解説しました。良かったら参考にしてみてください♪*チャンネル登録をして下さると励みになります。
第一印象と心理学研究
ここまで第一印象を良くする方法を解説してきました。より深く理解をしたい方のために、いくつかの研究を紹介させて頂きます。
以下折りたたんで掲載をしました。気になるタイトルを展開してみてください。
第一印象の王様は笑顔です。
梅野(2015)は非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。調査は4段階で、
好感をもたれる ⇒4
やや好感につながる ⇒3
あまり好感につながらない ⇒2
好感につながらない ⇒1
で調査を行いました。その結果は下記となります。
私達は印象をよくするために、髪色や洋服に一生懸命時間をかけています。しかし、それ以上に笑顔が印象形成に関わるのですね。
特に男性は笑顔の練習をしている方は少数派かもしれません。もしあなたが婚活中であったり、接客業などの場合はやはり笑顔の練習は必須になるでしょう。
深山ら(2002)は、20代から30代の男女13名を対象に、視線と印象操作の関連を調べました。その結果、凝視量や凝視時間によって第一印象に近い「友好度」が変わることが分かりました。
まずは「凝視量」を見てみます。参加者は凝視量によって「1/4・1/2・3/4・全て凝視」の4群に分けられました。グラフから、友好度を高める凝視量は1/2から3/4であることが分かります。
1秒程度でOK
参加者は凝視時間を基準にして「0.5秒・1秒・2秒」の3群に分けられました。グラフから、第一印象に近い友好度を高める凝視時間は0.5秒から1秒であることが見て取れます。
そして凝視時間が1秒を超えて2秒に近づくと、友好度は下がることも分かりますね。
実験結果から、アイコンタクトは2秒未満で充分と考えるとよさそうです。ずっと目を見続けて話すのではなく、お互い適度に目線を外したり、たまにばちっとあったりを繰り返しながらコミュニケーションするのがおすすめです。
藤原(1986年)は、大学生162名を対象にした実験では、スピーチ速度とハンドジェスチャーが「知性」と「自信」の印象にどれけ影響を及ぼすかを調べました。
その結果は、以下の図になりました。
まずは、知性から見ていきましょう。「スピーチ速度が遅く、ハンドジェスチャーがある」時にもっとも、知性の度合いが高まっていることが分かります。
1つ面白いのはスピーチ速度が早い場合は、ハンドジェスチャーが無い方が知性的に見えることです。早口でジェスチャーが多いと緊張している印象を与えやすいのかもしれません。
自信と身振り手振り
続いて、自信の度合いを見てみましょう。こちらも知性と同様にスピーチの速度が「遅い」ハンドジェスチャーが「ある」場合にもっとも高い数値を出しています。
やはり、話す速度が「早い」場合は、ハンドジェスチャーが「ない」方が成績が良いですね。
この研究結果から、話す時に自信や知性を演出したい場合には「ゆっくり話し、身振り手振り」を加えるのがベストだと考えることができます。話し方次第でガラりと印象も変わってしまうため、しっかりと押えておきたいところです。
恋愛と外見の魅力の関係について分析した研究を紹介しましょう。
松井・山本(1985)は男子学生を対象に、複数の女性の写真を見てもらい第一印象の重要性を調査ました。
その結果、初対面の女性について、
「美しさ」>「活発さ」>「しっかり」>「家庭的」
という順序で重視していることがわかりました。
心理学的には相関係数「.7以上」はかなり影響あり「.70~.40」はある程度ありと考えます。美しさと活発さは第一印象の影響をかなり受けるようですね。
またしっかり、家庭的もある程度の影響があるようです。確かに私自身も思いあったる節があります笑
まとめとお知らせ
まとめ
ここまで第一印象を改善する方法6つの概要を紹介しました。
①笑顔を8本見せよう
②アイコンタクト1秒練習
③首を深く,ゆったり相槌をうつ
④ジェスチャーを入れる
⑤顎を引く,姿勢を正す
⑥服装で第1印象UP
第一印象は、短時間勝負である分、比較的改善しやすいというポジティブな面があります。効果が出やすい部分になりますので、ぜひ実践してみてくださいね♪
お知らせ
公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では、
・第一印象アップ練習
・暖かい人間関係を築くコツ
・傾聴トレーニング
・発話トレーニング
など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
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*出典・参考文献
・Asch, S,E.,Forming Impression on Personality, Journal of Abnormal and Social Psychology,1946、Vol.41,pp.258-290
・Chee Kee ,R.J.,S.O.F.T.E.N. up to Make a Good First Impression, Business World,Aug.20,2002,pp.1-2
・Fiske,D.W.et al. Psychology Today,1975(南博完訳『図説 現代の心理学6 社会心理学』講談社 1984年)
・Mednick,S,A.et al. Psychology,John Wiley&Sons,1975(外山・島津監訳『心理学概論』誠信書房,1986年)
・林伸二『業績評価システム』同友館,1993年
・Nordstrom, C.R., et al.,First Impressions versus Good Impressions,The Journal of Psychology,1998, Vol.132,Iss.5,pp.477-492
・Thin slices of expressive behavior as predictors of interpersonal consequences: A meta-analysis.
By Ambady, Nalini,Rosenthal, Robert
Psychological Bulletin, Vol 111(2), Mar 1992, 256-274
・松井豊・山本真理子(1985),「異性交際の対象選択に及ぼす外見的印象と自己評価の影響」,社会心理学研究 , 1 (1) , p9-14.