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シンパシーの意味とは何か?同情と共感,エンパシーとの違い

シンパシーの意味とは,同情と共感,エンパシーとの違い

皆さんこんにちは。公認心理師の川島達史です。

今回は
「シンパシー(sympathy)」
をテーマに解説していきます。

シンパシーの意味とは

意味とは

まず初めにシンパシーの意味から確認していきましょう。シンパシーは英語版wiktionaryによると

他人の苦しみや苦痛に対する哀れみや悲しみ  
他人の気持ちを共有する能力 

とされています。

私たちは誰かが苦しい思いをすると、気の毒に感じます。このように他人のマイナス感情をくみ取ることをシンパシーと言います。日本語では「同情」と訳されます。

 

empathyとsympathyの違い

よく混同されるのが、empathyとsympathyです。

・エンパシー
「共感」と訳されます。
距離感が近い
相手の心情をあたかも自分の事のように感じる
プラス感情でもマイナス感情でも使われる

・シンパシー
「同情」と訳されます。
距離感が比較的ある
あいての感情を自分の事のように感じているわけではない
他人の苦しい気持ちを気の毒に感じる

これらの微妙な違いがあるものの、ざっくりと言ってしまえば、エンパシーとシンパシーはほぼ同じ意味です。

違いがあるとすれば、エンパシーは比較的広い感情、シンパシーはマイナス感情に特化した感情と覚えておくと良いでしょう。

*詳しい両者の違いは下記の表にまとめました

 empathysympathy
日本語共感同情
距離感近い遠い
感情の種類プラス感情 
マイナス感情
マイナス感情
専門職良く使う使わない

シンパシーの発達と意味

シンパシーの発達過程

生後10か月

幼少期にシンパシーが芽生えるのはいつからでしょうか?最近の研究では、生後10か月頃から原初的な同情態度が出てくるとされています。

2歳前後
他者に対して同情的な心配を示しはじめます。

3歳前後
他者がいじめられていることを防ごうとする行動もあるといいます。

4~6歳前後
他人の心をより詳細に理解していきます。

ごめんね…
痛かった?
苦しい?

これらの言葉が見られたら順調にシンパシー能力が育っている証拠です。他者の誤信念理解として有名な、”心の理論”というものがあります。興味がある方は下記を展開してみてください。

他者の気持ちを推し量る実験として、サリーとアンの課題というものがあります。

課題ではサリーとアンの2人の女の子が出てきます。

①サリーはカゴにビー玉を入れます
②そしてサリーは部屋の外へ出ていきます
③アンはサリーのビー玉をカゴから取り出して、別の箱に入れました

⇒さて、帰ってきたサリーがビー玉を探すのはどこでしょうか?

A.「サリーは元にあったカゴを探す」
B.「サリーは別の箱を探す」

この課題が出された時に、A「サリーは元にあったカゴを探す」と推測するのが正解です。サリーは外へ出たので、アンが別の箱に入れたことを知らないからです。

しかし、他者の状況を推し量れない人は、この課題でB「サリーは別の箱を探す」と答えてしまします。主に自閉症の人が当てはまります。

 

シンパシーはある一定の年齢までは成長していきますが、それ以降はその人の環境や状況によって個人差が大きくなるとしています。

成長に伴ってより複雑な認知ができるようになるため、他者と自己の関係や他者の置かれている状況などが理解できるようになってきます。こうした認知機能が成長するにつれて、シンパシーも芽生えていくことが考えられます。

効果

シンパシーを感じると様々な効果があります。

例えば、

・他者への気づかいができる
・困っている人をサポートできる
・いじめなどの防止

など

こうした他者への気づかいや、サポートなどができる性質のことを「向社会性」といいます。人はだれでも向社会性を持っているといいますが、シンパシーを感じることできる人は、より向社会性が高い傾向にあります。

シンパシーを感じない人

精神医学や心理学の世界ではコミュニケ―ションに関する障害があり、シンパシーを感じにくい人がいることがわかっています。

自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムとは、社会性やコミュニケーション、想像力などの障害で発達上の障害がみられる疾患です。自閉症ではシンパシーを感じるというよりも、自分のペースを優先しがちで、特有の習慣や儀式にこだわることが特徴です。他人と目線を合わせることや、会話を続けることが苦手であることもシンパシーを感じない要素の一つです。

シンパシーを感じることが難しいことから、仲間を作ったり人間関係で困難を抱えることが多いです。

 

自己愛性人格障害

自己愛性人格障害とは、賞賛されたい欲求が強く、自分が特別な存在であるという信念が強い症状です。そして、共感性の欠如があり、他人に対してのシンパシーは感じません。相手の気持ちを理解しようとせず、時には相手を不当に利用したりすることもあります。

そのため、どんな行動が相手にとって良いか・悪いかを判断する能力である、向社会性の能力も低いことが示されます。

脳科学とシンパシー

シンパシーを感じるときは、脳の機能にも関係しています。少しマニアックな話となります。脳に興味がある方は展開して理解を深めてください。

ミラーニューロンとは、他者を見て自分までも同じ行動しているかのように反応をする神経細胞のことを言います。

鏡のように反応することから、この名前が付けられました。自分が行動していなくても、相手の行動を見るだけでミラーニューロンは活性化します。ミラーニューロンの詳しい説明は下からご覧ください。

ミラーニューロンは、脳のブローカ野下頭頂小葉という部位が関わっているという報告があります。

ブローカ野…脳の前頭葉にあり、言葉を発する役割を果たしています。また、手話の理解や表出にも関わっているいます。

 

下頭頂小葉…脳の頭頂葉の下に位置します。主に言語や認知など多数の処理に関わっているとされています。

シンパシーについてもこのミラーニューロンの働きによって、他人の感情を共有することができると考えられます。

 

シンパシーまとめと発展編

まとめ

シンパシーは相手のネガティブな感情に対して、同情するということです。「共感」が相手の気持ちを自分のことのように感じるのに対し「シンパシー」はもう少し離れたところから気の毒に思う感覚です。

シンパシーが高い人は、相手のネガティブな感情や状況に対して反応し、他者をサポートする行動に出やすくなります。特にお互いの助け合いが必要な場面では、シンパシーが大事になってきます!

以下は発展コラムになります。気になるコラムがありましたらクリックしてみてください!

 

共感力コラム

シンパシーを感じる場面が少ないな…と思う方は、以下のコラムで具体的なやり方をお伝えしています。特に福祉職、援助職、管理職の方はとても重要なスキルです。是非練習してみてください。

共感力をつけるコラム

 

過剰適応に注意

同情しすぎてしまう…という方は過剰適応状態になっているかもしれません。共感力が強くて、相手の感情と距離が取れないと疲弊してしまいます。

他者へ過剰に同情してしまう…という方は下記を参照ください。

過剰適応コラム

 

講座のお知らせ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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引用文献・参考文献

Kanakogi.Y,Okumura,Y.,Inoue,Y.,Kitazaki,M.,&Itakura,S.(2013)Rudimentary Sympathy in Preverbal Infants: Preference for Others in Distress. PLoS ONE,8,e65292