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シンパシーを感じる理由

シンパシーを感じる理由と相手の気持ちを読む方法①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「シンパシー」についてお話していきます。

コラム①では、こちらの内容を解説します。

  • シンパシーとは何か?
  • トラルビーの5段階
  • ロジャースと共感
  • シンパシー不足の原因
  • 診断とチェック
  • 解決策でスキルUP

コラム①でシンパシーの理解を深めたら、コラム②~⑥で具体的なトレーニング方法を見ていきましょう。全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

シンパシーとは何か

突然ですが、「シンパシー」というワードを聞いてどういったイメージを持ちますか?

・「それ、わかる!」と相手と打ち解ける
・「あるよね〜」と相手の考えを理解できる
・ 自分の気持ちを分かってもらえた!

など、幅広い「シンパシー」の印象がありますよね。心理学では「共感的理解」という言葉で説明されます。共感的理解とは「〇〇さんは、こういう気持ちなんだろうな・・と相手の気持ちを読む、察する、理解する」ことです。

ここでポイントなのが、
・相手と同じ気持ちにならなくても大丈夫!
・相手の考えを理解しようという意識が大事
・相手目線で考えてみるとよりOK!
ということです。

まずは「相手の気持ちを理解する意識や態度をもつ」ことが大事だと覚えておきましょう。

トラルビーとシンパシーの5段階

トラルビー(J.Tralbee)の著書「人間対人間の看護」によると、シンパシーに近い概念である共感について5つのステップに分けられるとされています。

1.カテゴリー理解(初期の出会いの位相)
「最初の印象」や「空気感」を感じ取り、言語的・非言語的コミュニケーションをきっかけにします。看護師と患者が初対面する時、お互いを「患者、看護師」といたカテゴリーで相手を認識します。

2.軽いシンパシー(同一性の出現の位相)
相手の価値観を受け入れ始める段階です。相手を「患者」「看護師」といったジャンルで認識するのではなく、一個人として見るようになります。ただ、シンパシーと呼べるほど懐の深い部分を理解するまではたどり着いていません。

3.深いシンパシー(共感の位相)
シンパシーはお互いに個人の存在として距離を保った上で、理解しあっているような感覚になります。相手の独自性や個性をより明確に知覚されるようになります。この位相には必要条件があり、お互いに良く似た出来事をすでに体験していることが必要となります。

例えば、バスケの面白さをあまり関心がない人に伝えるのは至難でしょう。ただ、相手が運動する喜びを知っていれば、「体を動かす面白さ」という部分で共感できるかもしれません。

4.感情移入(同感の位相)

同感とは、相手の感情にひきつけられ参加し、自分のことのように相手の気持ちを感じるプロセスを意味します。「同感」には距離がなくお互いに感情移入し合っている状態であると言えます。信頼関係が生まれる一方で、相手の感情の巻き添えになって傷つくこともあります。

5.人間対人間(ラポートの位相)

最終段階に「ラポートの位相」です。お互いに「人間対人間(interpersonal)」とよればる関係を経験します。初対面の時のような「看護師」「患者」といったカテゴリーは存在せず、相手をひとりの人間として認識しあい、距離を取らずに関係を持つようになります。

ロジャースとシンパシー

次にロジャース(Carl Ransom Rogers)の定義を見ていきましょう。ロジャースは共感(シンパシー)を

「相手の内部的照合枠を、そこに伴って生じる情動的要素なども含めて正確に知覚すること」

と定義しています。少し難しい定義ですが、

「感覚、記憶、意味、など相手の内面で生じていることを正確に感じる取る」という解釈で良いでしょう。

さらに、ロジャーズはシンパシーとは、相手の私的な世界を、”あたかも”自分自身のものであるかのように感じ取ることだと主張しています。”あたかも”が重要なポイントで、

この感覚が無ければその気持ちは主観的になってしまい、「自分が主役」になっていて、誤解が生まれやすい状態になってしまいます。共感力

 

シンパシーが得られない原因

このようにシンパシーは様々な定義がありますが、理屈ではわかってもなかなかシンパシーが得られないという方もいるでしょう。共感ができない原因については大きく分けて3つあります。以下それぞれについて解説していきます。

原因①心理的・考え方の問題

人間の感情は考え方の影響を強く受けます。例えば、「クワガタ」を見つけたとしましょう。みなさんは、クワガタを見つけた時どのように感情を抱くでしょうか。

大きく分けると、
「好き」
「嫌い」
のどちらかに大別されると思います。

「好き」と感じた方は
・捕まえて観察できる
・子どもの頃を思い出す
などの考え方があると思います。

「嫌い」と感じた方は、
・足の動きが気持ち悪い
・虫が触れない!
といった考え方があるのかもしれません。このように、人間が抱く感情は考え方に大きく左右されるということをまずは念頭におきましょう。

 

共感力がない人の考え方

シンパシーを感じる時のポイントは、相手の話を「考え方」と「感情」に分けて、まずは考え方から理解することです。

原因②パーソナリティの問題

シンパシーがない2つ目の原因としては性格の問題が考えられます。谷・天谷(2009)が大学生221名を対象にした研究では、情緒不安定な傾向がある方は共感性が高い傾向にあると統計的に分かっています。以下のをご覧ください。

このように、情緒不安定と共感可能性はプラスの相関を示していることが分かります。つまり、共感力がない人は、神経症傾向が弱いことが原因として考えられます。(※相関をより深く知りたい方はコチラをご覧ください。)

情緒不安定は、裏を返せば相手の感情に敏感ということになります。他人の様々な感情をキャッチすることができるため、感情豊かで共感力が高いのです。一方で情緒がキープされすぎると、集中力や習慣は身に付きやすいものの、感動がなくなってしまいます。

原因③精神疾患の問題

精神疾患の中でも、シンパシーの欠如に著しく症状が見られるのが、自閉症スペクトラム障害の1つであるアスペルガー症候群です。この精神疾患の代表的な特徴として、「他人への感情に無関心で、相手とズレが生じやすい」ことが挙げられます。

例えば、薄毛を気にしている人に対して何の抵抗もなく「ハゲてるね」と伝えます。一般的の人であれば、相手の気持ちを察してオブラートに包むか、薄毛の話は触れないでおくことが多いです。ただ、アスペルガーの人はシンパシーが欠如しているため、ズバッと言葉にして伝えてしまいます。

その結果、人間関係でさまざまな問題を抱えやすく、周囲から孤立しがちになってしまうのです。アスペルガー症候群に原因はハッキリとにわかっていませんが、遺伝的な影響が大きいと言われています。

診断とチェック

シンパシーについて簡易診断を作成しました。ご自身の状況を把握したい方は、コラム1を概観した後、一度診断してみることをお勧めします。
シンパシー簡易診断でチェック②

シンパシーを鍛える8つの方法

ここからはシンパシーをつけるためのトレーニング法について考えていきましょう。大きく分けると4つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

共感力を鍛える

①基本のオウム返し

シンパシーを感じるためのテクニックとして「オウム返し」があります。オウムのように相手が言ったことをそのまま繰り返すテクニックなのですが、大きく以下の3つの種類に分けられます。

1.事実のオウム返し
事実のオウム返しとは、相手が言った事実だけをそのまま返す傾聴技術です。例えば、「昨日、京都に行ってきたんだ。金閣寺に初めて行ってきたよ!」と友人が言ったとします。事実のオウム返しをすると、こんな感じです。「京都に行ってきたんだー」「金閣寺かあ~」「初めての金閣寺だったんだ」このように、事実のオウム返しでは、相手の言ったことをそのまま返すだけでOKです。

2~3つ目のオウム返しはコラム③で、より深く解説していきます。

相手の気持ちに共感することが苦手・・・という方は、オウム返しを習得することでシンパシーを感じやすくなります。

基本のオウム返しをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・感情のオウム返しとは
・言いかえのオウム返し
・練習問題で習得!
シンパシーを得るための「オウム返しの基本」③

②感情の明確化

感情の明確化とは、相手の言葉にできない気持ちを、代弁にして個々の整理を手伝うテクニックです。例を挙げると、

「先月、やっと繁忙期が終わって、
仕事が落ち着いたんだけど、
休日何していいわからなくてね・・・

上級者になると、この・・・の部分にどんな気持ちがあるかを察知して、繰り返すことができるようになります。

「若干退屈な気持ちになるよね・・・」

「急に時間が開くと困っちゃうよね・・・」

言葉できない部分に共感できるようになりたい…という方は、感情の明確化を学ぶことでより深くシンパシーを感じることができるようになります。

感情の明確化をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・明確化の長所
・明解化の短所
・練習問題で実践!
シンパシー感じる方法!「感情の明確化」④

③質問の仕方

シンパシー得る時に注意しなければならない点は、自分の「主観」で考えないことです。そこで、出来るだけ相手に質問をして、なるべく差を少なくすることがポイントです。

今回はシンパシーを高めるための質問の作り方を2つご紹介しましょう。

1.5W1Hの質問
相手の話をより細かくに掘り下げる質問テクニックです。5W1Hとは、以下6つの質問の頭文字をとって名付けられています。

・いつ(When)
・誰と(Who)
・どこで(Where)
・なぜ(Why)
・なにを(What)
・どうやって(How)

これらの質問を活用すると、話題を深堀りすることができるため、相手の気持ちが明確に分かりシンパシーを感じやすくなります。

もう1つの質問の作り方は、コラム⑤で解説していきます。

相手の状況を深く知らないまま共感しようとしてしまう…という方は、質問の仕方を知ることでより具体的に相手の悩みに寄り添うことができます。

質問の仕方をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・明確化の長所
・明解化の短所
・練習問題で実践!
シンパシーを示すコツ「質問の作り方」⑤

④非言語の読み取り

相手の表情が物語るメッセージを読み取ることはシンパシーの基本になります。

・楽しそう?
・イライラしてる?
・不満げな表情?

話の内容だけで判断すると、コミュニケーションで相手とのズレが多くなりざがちです。そこで、話の内容だけでなく、表情をしっかりチェックするということを意識しましょう。

相手の表情を見ないで気持ちを判断してしまう…という方は、非言語の読み取りを学ぶことで言葉に左右されずに相手の本心に寄り添うことができます。

非言語の読み取りをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・表情の観察
・皺眉筋に本音が出る
・練習問題で実践!
シンパシーを覚えるための「非言語の読み取り」⑥

⑤いったん相手になる

シンパシーが感じられない場合、次の方法を試してみてください。それは、

「(いったん)相手になってみる」

ということです。具体的には「自分も同じシュチェーションになれば、同じ失敗をするかもしれない」など、いったん相手の悩みや状況に自分が遭遇した時を考えてみるのです。そのとき、自分の価値観はいったん忘れてください。

あくまでも「自分は自分だけど、いったん相手になってみよう」これでOKです。

考え方の全てにシンパシーを感じようとしてしまう…という方は、いったん相手になる方法を学ぶと相手の感情に巻き込まれずに共感することができます。

シンパシーをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・自己愛が過剰な事例
・もし同じ状況だったら…
・トレーニングで習得しよう
シンパシーを高める方法「いったん相手になる」⑦

⑥考え方発見⇒共感法

シンパシーは「考え方」「感情」の2種類に分けることができます。もう少し学術的な表現をすると認知的共感と情動的共感と言うことがあります。

認知的共感・・・考え方、相手の立場の理解
情動的共感・・・悲しい、楽しい、同じ感情になる

特に共感が苦手だと感じる方は、認知的共感である考え方が狭まっている可能性があります。考え方が極端だと、自分以外の価値観や世界観を理解できない!とシャットアウトしてしまうことになります。

考え方と感情を混同してしまう…という方は、考え方を発見⇒共感法を学ぶことで、相手の感情に振り回されないようになります。

考え方を発見⇒共感法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・考え方の理解⇒感情の一致
・練習問題で身に付けよう
シンパシーを鍛える「考え方を発見⇒共感法」⑧

⑦励まし方を習得する

シンパシーを使って相手に寄り添うには、「リフレーミング」を学ぶことが大切です。心理療法の1つである解決志向アプローチ(Solution Focused Approach:SFA)や家族療法によって良く活用されるテクニックです。

今回はリフレーミングの技術から主な2つの方法をご紹介します。

1.性格リフレーミング
「相手の性格を前向きに変換して励ます」のが性格リフレーミングです。悩みを抱えている人は、自分の性格や内面を認められなくなっていることがあります。ただ、どんなにネガティブな性格も捉え方を転換すれば、自由自在に強みにすることができます。

もう1つのリフレーミングの手法はコラム⑨でより深く解説していきます。

相手の悩みに寄り添うのが苦手…という方は、リフレーミングを学ぶことでシンパシーを示す言葉が多く見つかるようになります。

リフレーミングをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・状況リフレーミングとは
・練習問題で習得!
シンパシーを示すテクニック「自分の話をする」⑩

⑧自己開示でシンパシーを

悩みを打ち明けることは、自分の深い部分をさらけ出すをことになります。そこで、自分の体験談を交えて相手の悩みに寄り添うことができれば、深いシンパシーを感じることができます。例えば、相手が以下のように悩みを打ち明けてくれたとします。

「このまえの会議で意見を求められたんだけど、
頭が真っ白になって何も言えなかったんだ・・・頑張って話そう!
と思うほど緊張しちゃって20秒ぐらい固まっちゃった。
ああ・・・もう評価ガタ落ちだよ・・・つらい・・」

この時、ただ相手を元気づけるだけでなく自己開示を交えることで、相手にシンパシーを示すことができます。

相手を励ますだけになってしまう…という方は、自己開示を含めることでより相手の悩みに寄り添うことができるようになります。

自己開示をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・自己開示の例
・練習問題で実践
シンパシーを示すテクニック「自分の話をする」⑩

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

8つの方法でシンパシー⇧

シンパシーを鍛える方法としては、「①基本のオウム返し」「②感情の明確化」「③質問の考え方」「④非言語の読む」「⑤いったん相手になる」「⑥考え方を発見⇒共感法」「⑦励まし方のコツ」「⑧自分の話しをする」の8つでしたね。

次回以降は、シンパシーを高める方法を解決していきます。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

シンパシーが得られるようなると、他の人への理解が深まり、広い視野で物事を見ることができるようになります。それによって、様々な考え方の人がいることを知り、自分と共通点のある人と出会う機会も増えるかもしれません。シンパシーの欠如から抜け出して、より良い人間関係を築いていきましょう。

次回は、「シンパシー簡易診断」を紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★シンパシーは人間関係に大切!8つのポイントを知って対処しよう

目次

①シンパシー‐概観
②簡易診断でチェック
③「オウム返しの基本」
④「感情の明確化」
⑤「質問の作り方」
⑥非言語の読み取り
⑦いったん相手になる
⑧考え方を発見⇒共感法
⑨「励まし方のコツ」
⑩「自分の話をする」

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・山口 創著 川島書店 よくわかる臨床心理学 共感性尺度の再構成
・桜井 茂男 奈良教育大学紀要(1994) 多次元共感測定尺度の構造と性格特性との関係 
・林 直樹,日本評論社(2007)『パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床』
・ADHDと自閉症の関連がわかる本 ダイアン・M・ケネディ著,田中康雄監修,海輪由香子訳 明石出版
・谷伊織・天谷祐子(2009)「性格特性の5因子と共感性および孤独感の関連」