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シンパシーを感じる理由

シンパシーを感じる理由と相手の気持ちを読む方法-精神保健福祉士が解説①

シンパシーを専門家が解説

みなさんはじめまして!精神保健福祉士の川島です。当コラムは「シンパシー」をテーマに解説をしていきます。私は精神保健福祉士として現在、精神疾患を抱える方に心理テストとカウンセリングなどの活動を行っています。カウンセリングのプロとして活動するまでに、シンパシーについて徹底的に学んできました。

今回は精神保健福祉士が日常的に意識しているシンパシーを感じるためのコツを解説します。コラム1では共感力の理解、コラム2~6は具体的なトレーニング方をお伝えします。全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

①共感的理解とシンパシー

突然ですが、「シンパシー」というワードを聞いてどういったイメージを持ちますか?

・「それ、わかる!」と相手と打ち解ける
・「あるよね〜」と相手の考えを理解できる
・ 自分の気持ちを分かってもらえた!

など、幅広い「シンパシー」の印象がありますよね。心理学では「共感的理解」という言葉で説明されます。共感的理解とは「〇〇さんは、こういう気持ちなんだろうな・・と相手の気持ちを読む、察する、理解する」ことです。

ここでポイントなのが、
・相手と同じ気持ちにならなくても大丈夫!
・相手の考えを理解しようという意識が大事
・相手目線で考えてみるとよりOK!
ということです。

現代社会は、多様な価値感を持った人が多くいます。自分と完全に同じ気持ちを持っている人と出会うことは困難を極めます。もちろん、同じ気持ちになれる相手と出会えればラッキーですが、これを求めすぎると人間関係の構築がスムーズに行かなくなります。

そのため、まずは「相手の気持ちを理解する意識や態度をもつ」ことが大事だと覚えておきましょう。

②シンパシーを感じる「考え方」と「感情」

「態度」を意識したら、次に相手の「考え方」を理解しようとしてみるのも良いかもしれません。人間の感情は考え方の影響を強く受けます。例えば、「クワガタ」を見つけたとしましょう。みなさんは、クワガタを見つけた時どのように感情を抱くでしょうか。

大きく分けると、
「好き」
「嫌い」
のどちらかに大別されると思います。

「好き」と感じた方は、
・捕まえて観察できる
・子どもの頃を思い出す
などの考え方があると思います。

「嫌い」と感じた方は、
・足の動きが気持ち悪い
・虫が触れない!
といった考え方があるのかもしれません。このように、人間が抱く感情は考え方に大きく左右されるということをまずは念頭におきましょう。

③「考え方」で相手の気持ちが分かる

相手に共感して、気遣いや配慮をすることはとても大切です。そうは言っても、なかなか相手にシンパシーを感じられない!という方は、「考え方」が偏っているのかもしれません。実は、「感情だけで共感する」ということは非常に困難で、考え方も含めることで、ようやく強い共感が生まれるのです。

シンパシーを感じる時のポイントは、相手の話を「考え方」と「感情」に分けて、まずは考え方から理解することです。練習をしてみたい方は後半にまた解説をしますので、是非チャレンジしてみてください。

④自己愛がシンパシーに与える影響

臨床心理学では「自己愛」という言葉をよく使います。自己愛とは読んで字のごとく自分を愛する気持ちで人間の基本的な感情です。健康的な自己愛であれば、自分を愛し、他人にシンパシーを感じる感覚を持つことができます。

・人は誰でも愛される価値がある
・相手の価値も自分の価値も大切
・相手の体験も自分の意見も面白いものだ

こうした考え方がある方は健康的な自己愛を持っていると言えます。これに対して

・自分だけは特別な人間だ
・周りは大したことない人ばかり
・自分の意見に賛同しないやつはおかしい

など自己愛が偏った形で形成されることがあります。臨床心理学的には、自己中心的な考えが強い方を「自己愛が過剰」と表現したりします。

 

現場での経験上、

・母子関係が影響している
・親からのしつけがゆるくかった
・過保護で育てられ、いつも肯定されてきた
・健全な友人との喧嘩や議論の経験がない

という方に多いと言えます。自己愛が自己中心的に偏った方は「自分は特別だ」「自分は他人よりも優れている」と考えて、相手の立場になって物事を考えることができなくなってしまいます。その結果、他人の気持ちを無視した発言をしてしまい、シンパシーを感じる能力が欠けてしまう恐れがあるので注意が必要です。

シンパシー診断・テスト【その①】

それではここで、自分のシンパシー力はどれくらいあるのかをチェックしてみましょう!次の問題を読んで、選択肢の中からあなたの気持ちに近いものを選んでください。

問題
あなたが好まない映画のジャンルを1つ、イメージしてみてください。それを全く知らない友人が、誕生日プレゼントに、好まないジャンルの映画を買ってきてくれました。あなたはどのような気持ちになりますか?複数選択OKです!

選択肢
1:そこまで好きじゃないから困るな。映画をもらってもみないよ~。

2:自分の好みを知らなかったから仕方ないか。

3:○○さん(友人)が進めるなら、少し見てみようかな。

4:この映画のジャンルが好きな人からすれば、最高のプレゼントだろうな。

 

解説をチェックしよう

選択肢1⇒シンパシーは低め
相手ではなく自分の気持ちばかり見ています。シンパシーは感じづらい傾向にあります。

選択肢2⇒シンパシーは普通
相手の立場を考える意識があります。共感的理解のベースはできています。

選択肢3⇒シンパシーはやや高め
相手の気持ちを考える姿勢があり、実際に行動を起こそうとしています。

選択肢4⇒シンパシーは高め
他の人なら?と自分から想像力を働かせることができるため、シンパシーを感じる力は高いと言えます。

いかがでしたか。選択肢1だけしか選ばなかった方は、非常に危険です。人と接する時には注意しましょう。そしてシンパシーを高めるには、徐々に2と3の意識を持つようにしましょう。4の考え方ができている方は、相手の気持ちに寄り添う能力がとても高いと言えます。

それでは、さらに詳しく知るためにもう1つ診断してみましょう

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

シンパシーを高める!4つの解決策

共感力をつけるためのトレーニング法について考えていきましょう。大きく分けると4つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪


①「一度」相手になってみる法

自分勝手な価値観に注意
人は過度に肯定される環境にあったり、孤独な時間が長いと、「自分は特別だ」「自分の考えが正しい」という偏った自己愛を形成することがあります。その結果、他人の気持ちに寄り添うことが難しくなり、シンパシーを感じる力が低くなってしまうのです。

「一度」相手になってみる
こうした自己中心的な価値観は、一度相手の立場になって物事を考えてみることで修正できます。「一度」というのが重要で、「ずっと」ではありません。ちょっと難しいですよね。相手の気持ちに共感することが苦手・・・という方は、コラム②の解説をチェックしてください!

②シンパシーの技術を習得しよう

共感したことを伝えられない
シンパシーを感じたことを、うまく伝えるテクニックがないと、相手は気持ちを分かってくれたと感じてくれません。共感を言葉にするスキルがないと、あなたの共感的理解は伝わらないのです。
・相手の表情から気持ちが読めない
・相手の考えを想像するのが苦手
という方は、共感を伝える技術が不足している可能性が高いです。

4つの技術でシンパシーを感じる
共感スキルをUPさせるには「想像・表情・質問・言葉」がコツです。共感する気持ちはあっても具体的にどう表現すればいいのかわからない…という方はコラム③の解説と練習問題に取り組んでみてください。


③「感情」と「考え方」を分ける

感情だけに共感しようとする
先ほど解説したように、シンパシーは「考え方」「感情」の2つパターンに分けることができます。もう少し学術的な表現をすると認知的共感と情動的共感ということがあります。

認知的共感・・・考え方、相手の立場の理解
情動的共感・・・悲しい、嬉しい、同じ感情になる

特に共感に苦手意識がある方は、認知的共感である考え方が偏っている可能性があります。

「感情」と「考え方」分けて理解
考え方が偏っていると、自分以外の価値観や気持ちはわからない!と拒絶してしまうことになります。そんな時は、感情と考え方を分けて考えてみましょう。そして、考え方の一部分で良いので、共感できそうなポイントを探してください。考え方が偏りやすい…価値観の合う人が少ない…という方はコラム④の解説をチェックしてください。

④適度な距離感を保つ

相手と適度な距離感が保てない
相手の気持ちの寄り添うこと大切ですが、そもそも考え方は人によって多様に変わっていきます。そのため、すべての相手にシンパシーを感じることは現実的には困難だと言えます。また、相手との適切な距離感が保てないと「共感疲れ」してしまい、ストレスフルな状態になってしまいます。

適度な距離感を把握しよう
自分も相手もお互いに心地よいシンパシーを感じられるためのポイントをいくつかご紹介します。共感しようとしすぎて疲れてしまう…相手と自分の気持ちの距離感が掴めない…という方はコラム⑤の解説と練習問題に取り組んでみてください。

4つの方法でシンパシーを感じよう!

シンパシーが感じられない原因には「自己中心的な価値観」「共感を伝えるスキル不足」「認知的共感ができない」「相手と程よい距離感が保てない」の4つが大きく関わっていることがわかりました。

次回以降は、共感力を高める方法を解決していきます。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

共感力が身に付くと、他の人への理解が深まり、広い視野で物事を見ることができるようになります。それによって、様々な考え方の人がいることを知り、自分と共通点のある人と出会う機会も増えるかもしれません。共感力の欠如から抜け出して、より良い人間関係を築いていきましょう。

次回は、共感力を高める方法の1つ目「(いったん)相手になってみる法」を紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★共感力は人間関係に大切!4つの原因を知って対処しよう

*出典・参考文献
・山口 創著 川島書店 よくわかる臨床心理学 共感性尺度の再構成
・桜井 茂男 奈良教育大学紀要(1994) 多次元共感測定尺度の構造と性格特性との関係 
・林 直樹,日本評論社(2007)『パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床』
・ADHDと自閉症の関連がわかる本 ダイアン・M・ケネディ著,田中康雄監修,海輪由香子訳 明石出版



相手の気持ちを読む方法