ホーム >
コミュニケーション知恵袋 >
ビジネスコラム >
リーダーシップ入門‐管理職,経営者の方向け①

日付:

リーダーシップ入門‐管理職,経営者の方向け①

みなさんこんにちは。現役経営者,公認心理師の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。

今回は
「リーダーシップ」
がテーマです。

私は25歳の頃に起業をして15年会社を経営してきました。15年の間にいろいろと試練がありましたが、私自身リーダーシップを発揮し、実績を出してきたと考えています。

当コラムでは、現役の経営者の視点、公認心理師としての視点から、初めてリーダーになる方向けに必須の知識を基礎から解説をしていきます。

3つの流れ

リーダーシップ論は様々な分野を横断する概念です。具体的には以下の3つの分野があります。

①経営学から派生した方法論
②心理学から派生した方法論
③コミュ力とリーダーシップ

今回は①経営学を中心とした分野から派生してきたリーダーシップにかかわる理論を学習します。

・テイラーの科学的管理法
・ホーソン実験
・PM理論とSL理論
・フィードラーの状況適合理論
・ジョン・コッターのリーダーシップ論
・リーダーシップとマネジメント

経営者,ビジネスリーダーとして最低限抑えておく知識と言えます。ぜひ学習を進めてみてください。

リーダーシップについて経験を元に解説しています

テイラーの科学的管理法(1910年代)

科学的管理法は、経営コンサルタントとして活動していたフレデリック・テイラー(Frederick Winslow Taylor)が1910年代に提唱した管理法です。

科学的管理法が生まれた背景

当時の工場は多くの場合、

・職人の技能に頼っている
・個人差が非常に激しい
・一人当たりのコストが高い

などの問題点がありました。そこでテイラーは、高度な職人の技術を誰でもできるように標準化して、作業効率を上げました。具体的には、

・ストップウオッチを使う
・標準時間を設定する
・標準時間を超えた分は給料を上乗せ

などの対策を立てモチベーションのアップを図りました。テイラーはいわゆる「マニュアルの元祖」を産み出したと言えます。

科学的管理法の3つのポイント

テイラーの主張は以下の3つです。

1.課業管理
2.作業の標準化
3.最適な組織形態

科学的な方法で基準を定め、管理者で計画的に遂行される生産性を最大化しました。それによって大幅な生産高増・労働者の賃金増といった成果を残しました。

しかし、テイラーの科学的管理法には弱点がありました。少し考えてみましょう。マニュアル化するということは何が良くて何がいけないのでしょうか?

 ↓
 ↓
 ↓

考えてみましたか?

 ↓
 ↓
 ↓

科学的管理法のメリット・デメリット

メリット
・結果について白黒が出る
・給料体系が明確
・マニュアルによって熟達が早くなる

デメリット
・効率重視で非人間化しやすい
・標準時間を達成できない者のやる気低下
・管理者と労働者の対立を生み出す

このように行き過ぎたマニュアル化は、非人間的な扱いを増長させる危険性があります。そのため、結果的にマイナスが大きくなってきます。

リーダーシップを発揮するには、現実的にはマニュアルはある程度は大事になるのですが、ある程度のところで抑えておく必要があると言えそうです。

ホーソン実験(1920年代)

テイラーの科学的管理法は一世を風びして、その後の様々な実験に発展していきました。ここでテイラーの科学的管理法と同じぐらい有名なホーソン実験を紹介します。

ホーソン実験の内容

ハーバード大学のエルトンらは、労働条件によって作業効率にどれだけ影響が出るかを調査しました。

実験の内容は以下の通りです。

・従業員21,126名を対象にする
・従業員を職種ごとにグループ分け
・グループごとに電話の配線作業を行わせる
・以下のさまざまな条件で共同作業の成果を調べる
  照明の明るさ
  休憩時間を変える
  室温を変える
 など

 

ホーソン実験の結果

実験の結果、

どの条件でも作業効率がアップ

という意外な結果になりました。

作業効率に影響を与える条件を特定できないため、研究者たちはこの結果に当惑してしまいました。そこで、条件を初期設定に戻しました。すると、

・それでも作業効率がアップ

となりました。

謎が謎を呼ぶ結果となりましたが、その後、原因の解明が行われました。実験の結果から、それぞれの労働者は自分の持てる力をすべて出し切るのではなく、

状況や場面に応じて、自分の労働量を「調整」している

ことが分かりました。

労働する・しないを決める要素とは

では労働者は何によって労働する、しないを決めていたのでしょうか?少し考えてみましょう。

 ↓
 ↓
 ↓

考えてみましたか?

 ↓
 ↓
 ↓

ホーソン実験では、上司の検査官と労働者との間に

「期待や信頼関係」

があるほうが、より欠陥やミスの少ない製品を製造できることがわかりました。

ホーソン実験では研究をされている!と期待されていることによって作業量があがったのです。このように期待や信頼による作業量の上昇のことをホーソン効果といいます。

また、ホーソン実験では、作業効率が高い従業員は、仲間意識が高いなど人間関係も仕事の満足度に大きく影響していることも分かりました。

このように、ホーソン実験は、それまで常識とされてきた「科学的管理法」に一石を投じる結果となりました。

ホーソン実験からリーダーシップのポイントを紹介

PM理論(1970年代)

このように、

・テイラーはマニュアルを重視
・ホーソンは人間関係の重要性

を提唱したわけですが、もう少し発展させて、「目標達成を重視する」「集団維持」の両方の面からタイプ分けする理論が提唱されました。その1つがPM理論です。

PM理論とは

PM理論とは以下のような理論になります。

リーダーは、
Performance「目標達成能力」と、
Maintenance「集団維持能力」の
2つの能力があると規定し分析したリーダーシップ理論

になります。元九州大学教授の三隅二不二氏が提唱し、集団におけるその2つの機能の観点からリーダーシップの類型化を試みたものです。

PM理論では、

Performance「目標達成能力」と
Maintenance「集団維持能力」の

それぞれの能力要素の強弱について、

強いものは大文字 P・M
弱いものは小文字 p・m

で表し、組み合わせで4種類に分類されます。

①PM型

⇒「P行動、M行動がともに強い」

部下の状況に気をかけ、チームワークを大切にするなど、人間関係を重んじながらも目標を達成する能力も持ち合わせた理想的なリーダーシップタイプ。

②Pm型

⇒「P行動が強いがM行動が弱い」

目標達成は可能なものの、チーム内の人間関係への配慮ができていないため、部下からの信頼を得づらく、チーム内に不協和音が起きやすいタイプ。

③pM型

⇒「P行動が弱くM行動が強い」

チーム内をまとめる力はあるが、そちらに重点を置くため目標達成がなかなかできないタイプ。チーム内の雰囲気は良好なため、部下からは好かれやすく信頼関係も構築できるため、長期的な目標であれば達成も可能。

④pm型

⇒「P行動、M行動がともに弱い」

成果を上げることができず、目標達成能力が低い。また、メンバーにも関心が薄く、メンバー内をまとめる能力もないため、あまりリーダーには不向き。

 

上記のように、生産性の高さとメンバーの満足度の高さは、高いものから順に

1.PM
2.Pm
3.pM
4.pm

であるということが明らかにされています。

以下、PM理論の研究を解説しています。気になる方は下記を展開してチェックしてみてください。

三隅ら(1967)の研究では、PM式リーダーシップがどのように生産性に影響を及ぼすかを調査しました。実験では901名を対象に質問紙を用いて集団面接を行い、「pm型」と「PM型」の生産性を評価したのです。その結果は以下の通り。

PM型は低生産群(生産性が低いグループ)よりも高生産群(生産が高いグループ)の方が多いことが分かります。一方で、pm型がどうでしょうか。下図をご覧ください。

 

高生産群が低生産群よりも3倍以上も少ないことが見て取れます。この研究から、やはり目標達成能力とチームをまとめる力の両方を兼ね備えているリーダーが理想的であると考えられるでしょう。

 

状況適合理論(1960年代)

1960年代に入るとリーダーシップを考えるうえで「状況」という環境要素を取り入た、

条件適合理論や
状況対応リーダーシップ

といった理論が登場します

状況適合理論とは

状況適合理論は、フレッド・フィドラーがまとめた条件適応理論の1つです。状況適合理論とは、

リーダーシップのスタイルというのは存在せず、組織の特性や直面している状況に応じた最適なリーダーシップのスタイルがある

という考え方です。つまり、状況に応じたリーダーシップが必要であり、

・人間関係
・タスクの内容
・リーダーの権力

という3つがポイントになるとしています。

 

状況適合理論の使い方

図にすると以下の通りです。

状況適合理論とリーダーシップ

このように、状況適合理論では状況が良い場合、もしくは悪い場合はタスク指向のリーダーシップ。状況が良くも悪くもない場合は、人間関係志向のリーダシップが良いとされています。

 

リーダーシップ論(1980年代)

リーダーシップ論とは

リーダーシップ論は、1988年にジョン・コッターによって発表されました。コッターは、

・リーダーシップ
・マネジメント

の違いについて主張し、変革の時代に必要なものは「リーダーシップ」である事を強調しています。

しかし、これまでの「マネジメント」を否定しているわけではありません。組織では、ぞれぞれの役割や達成までのプロセスを別物と捉えることが重要としています。

 

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップとマネジメントの違いは以下の通りです。

リーダーシップとマネジメントの違いが分かる図

このように変革を進める、方向性を決める、メンバーをまとめる場合はリーダーシップ。複雑な環境に対処する、計画や予算を計算する、メンバーを配置して問題解決する場合はマネジメントが求められます。

 

ドラッガー

入門編の最後として、ドラッガーを紹介します。ピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、オーストリア・ウィーン生まれのユダヤ系オーストリア人です。1950~1960年代の経験から「マネジメント」を刊行し、世界的な影響を与えた人物で、2005年までご存命されていました。

日本では「もしドラ」などが流行したので、勉強され方かも多いのではないでしょうか。さて、ドラッガーを読んだことがない方は、今更しっかり読むのも大変だと思います。

そこでドラッガーの主張を最低限3つだけ押さえておきましょう。

①企業=社会貢献する使命

全ての企業は、社会の問題を解決したり、社会貢献をする指名をもっていて、その使命を達成することが企業の存在価値であると言える。つまり、リーダーは「社会貢献を意識する!」ことが大切です。

②マネジメントの意味

社会貢献をするためには、そのためにリーダーシップを発揮しなくてはなりません。この「人を動かす」活動が「マネジメント」であるとしています。

③成果を目的にせよ

ドラッカーは成果を最大限意識するように説いています。企業は気が付くと、成果に結び付かない慣習や制度を維持してしまったりします。

例えば、いまだにFAXを使っている会社がありますが、こういった慣習をリーダーはどんどん改革していく必要があると言えます。また成果については、以下の3点もドラッカーは強調しています。

・成果は100%成功しなくてもOK
・短期的な失敗でも、長期的に成功すればOK
・強みだけではなく、弱さも自覚すること

つまり、リーダーは「チームの特徴を理解し、長期的な成功を目指す」ことが大切です。

 

まとめ

コラム① 経営学のリーダーシップまとめ

今回は経営学のリーダーシップについてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

経営学のリーダシップ論は、

いかに組織をまとめるか
いかに組織を引っ張っていくか

というテーマを先人たちが何十年も、かけて積み上げてきた学問です。経営者やリーダーとして、この理論やロジックを活用してない手はありません。ぜひ、ご自身の状況に合わせて適応してみてくださいね。

 

コラム② 心理学のリーダーシップ

リーダーシップを発揮するには、人間心理を深く理解することが大切です。コラム②では心理学から派生したリーダシップ論をご紹介しています。合わせてご一読ください。

リーダーシップと心理学②

 

コラム③ コミュ力とリーダーシップ

チームの能力を最大限に発揮するには、人間関係がとても大切です。コラム➂では、チームの人間関係を円滑にするコミュニケーションスキルを解説しています。合わせてご一読ください。

コミュ力とリーダシップ③

 

お知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学や人間関係のスキルを学びたい方は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・リーダーシップの取り方
・ディスカッション
・スムーズな会議の仕方

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。ぜひお待ちしています。

助け合い掲示板

1件のコメント

コメントを残す

    • グラス
    • 2019年6月7日 11:43 AM

    テイラーの科学的管理法とホーソン実験による結果がとても身近に感じることができるので分りやすいです。
    とくにホーソン効果はとても重要だと思います。
    交互作用を活かせるかはリーダーとしての洞察力が問われますね。
    コーチングとティーチングの違いが分かりました。
    リーダーシップを発揮するうえで傾聴技法が大切だということが改めて解りました、
    そして笑顔も大切なのですね。
    「あいさつ」にひとこと加えてみたいと思います。忙しいと相手の顔を見ないで、
    あいさつをしている時もありますね。
    心に余裕を持つことが大切ですね。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

・三隅ら(1967)組織体のPM式リーダーシップ条件が,モラールとくに達成動機におよぼす効果に関する実証的研究 教育・社会心理学研究 第7巻 第1号