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傾聴力をつける!トレーニング法

傾聴トレーニング入門コラム①精神保健福祉士が徹底解説

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「傾聴」についてお話していきます。

・仕事で傾聴力が必要
・好感を持たれるようになりたい
・人の話を聞かないと言われた
・会話が苦手で恋人ができない

など、傾聴に悩む方向けに書かせて頂きます。入門コラムの目次は以下の通りです。

入門コラムを全部読むと10分ぐらい読むのに時間がかかってしまんです・・・ええっ10分も??めどくさいなあ~と感じるかもしれません。ただ傾聴は皆さんの人生すべてに関わるものです。ぜひ改めて「傾聴」とは何か?についてしっかり向き合っていきましょう。

イラスト:話を傾聴して人間関係を大事にしている人

傾聴の2大目的

私たちは基本に2つの目的をもって傾聴を行います。

1:問題解決型
会議や打ち合わせでは、何かしらの目的達成をするためにコミュニケーションをします。例えば、売り上げが上がらない・・・という問題をどうすれば解決できるか?このようなコミュニケションでの傾聴が問題解決型にあたります。

2:人間関係を構築する
飲み会で周囲と仲良くなる為に雑談をする。落ち込んでいる友達を励ます。このようなコミュニケーショが人間関係を構築するための傾聴にあたります。

コミュニケーションはこの2つの目的が、絡み合い行われるのです。

ここで1つ問題を解いてみましょう。

問題
あなたの友人が、
「昨日会社に遅刻したんだ・・・怒られて悲しい・・・」
と話しました。あなたはどのような傾聴しますか?

考えてみましょう。



例えば
・どうして遅刻したの?
・何分遅れたの?
・ペナルティとかあるの?

このような問題解決に向けた傾聴をした場合は、問題解決型のコミュニケーションを好む方です。

例えば
・怒られると辛いよね。
・結構落ち込んでるの?
・たまには遅刻しちゃうよね。

このような相手の心情によりそうようなコミュニケーションが思い浮かんだ場合は、人間関係を構築することを好む方と言えます。

2つの目的は、傾聴する場面に応じた使い分けが必要です。例えば、差し迫った状況での上司と部下の会話であれば、問題解決型の傾聴が適切です。遅刻は致命的な問題につながってしまうからです。しかし、好意をもっている異性とのコミュニケーションなら、間違いなく人間関係を構築する傾聴が良いでしょう。

このように傾聴には、問題解決・人間関係構築 2つの目的があり目的によって傾聴もやり方が変わってきます。使い分けをすることが傾聴姿勢ではとても大切になります。

傾聴力とビジネス

ここで、傾聴がビジネスシーンでもたらす効果について触れたいと思います。2010年に松本らが行った「美容師の指名客数増加のための社会的スキルトレーニングの効果」では、新人美容師に対し社会的スキル「笑顔・声・傾聴・雑談・説明・提案・承認」7つについてトレーニングを行い、指名客数増加との関連を調査しました。こちらのは、トレーニング後のスキル評定得点と指名客数増加率との関係を示した図です。

傾聴力はビジネスで成果を出すために重要なスキル

スキル評定得点の上昇率が高い「スキル評定得点上位群」と上昇率が低い「スキル評定得点下位群」では、上位群が指名客数増加率が高いことが分かりました。また、社会的スキルの中でも「傾聴スキル」が指名客数増加にもっとも影響している傾向が見られました。傾聴調査結果から、傾聴力は結果が求められるビジネスシーンにおいて成果に直結する重要なスキルであり、トレーニングでスキルを伸ばすことができるができる考えられます。

特に、接客業などでは、説明など問題解決だけでなく、相手の話をしっかり受け止める人間関係型の傾聴スキルも重要であると言えそうです。

傾聴力をつけるために必要なもの

このように傾聴力は人生を決定づけると言っていいほど、私たちが生きていくうえで本質的なものだと言えます。では、傾聴力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?ポイントは以下の3つです。

①言葉を使った傾聴スキル
②表情や声と傾聴スキル
③心理学の学習

ここから、3つのポイントを1つずつ解説していきますね。

①言葉を使った傾聴スキル

私たちは、傾聴をする時に言語を使って相手の心情をくみ取ります。

例えば、「お寿司が好き!」と話したとしましょう。このとき「ふーん」では相手は自分の話を聞いてくれた・・・と感じることができません。

「お寿司おいしいよね!」
「お寿司私もよく食べるよ!」

と言葉にして返すことでより聞いてくれたという気持ちになるように、言葉を使った傾聴は人間関係の土台となります。

言葉を使った傾聴スキルについて、代表的なものを10種類ほど上げます。ここでは触れる程度になりますが、追ってしっかり解説していきます!

<代表的な傾聴スキル>
事実のオウム返し
感情のオウム返し
言い換えのオウム返し
要約のオウム返し

感情の明確化
適切な自己開示
5W質問
感情の質問
名詞的肯定返し
人間性肯定返し

②表情や声と傾聴スキル

コミュニケ―ションには、非言語コミュニケーションと言語コミュニケーションの2種類があります。それぞれのコミュニケーションについては図解すると下記のようになります。
傾聴と言語・非言語コミュニケーションの関係

非言語コミュニケーションが、におい・空間・姿勢など、広い範囲になることが分かりますね。非言語コミュニケーションは主に、直接の対人コミュニケーションで俄然威力を発揮します。例えば、同じ「お寿司おいしいよね!」でも、下の2つを比べた場合、どちらに好印象を持ちますか?

イラスト:非言語的コミュニケーションの比較

言うまでもなく、左側の方が印象がいいと言えますね。言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションは掛け算のような関係です。「おいしい!」というポジティブな表現も、非言語が死んでいると効果は減退してしまいます。

③心理学の学習

傾聴力を高めるために、心理学を学ぶ事も大切です。自己流という方もいるかもしれませんが、学習効率も考え心理学やコミュニケーションの正しい知識を総合的に習得すると良いでしょう。ここでは、良好な傾聴姿勢を保つためのポイントをご紹介します。

ロジャースと傾聴

「傾聴」の重要性を日本で最も広げたのは「カール・ロジャース」という心理療法家です。心理学を少しでも勉強したことがある方なら名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?傾聴について学ぶ時は、以下の3つについて基本の”き”として叩き込まれます。傾聴の導入として押さえておきましょう。

①等身大の自分(自己一致)
自分自身が感じているを相手に合わせるために、無理に否定したり歪めて、自分を隠さないこと。必要以上によく見せたりせず、ありのままの人間として自分を受け入れて、一人の人間として存在していること。簡単に言うと、あるがままの自分を受け入れ、等身大の自分として相手の話を聞く姿勢です。

②相手の立場(共感的理解)
相手の感じ方、考え方を相手の立場に立って、考える姿勢を意味します。共感は、相手と同じ感情になる必要はなく、自他の境界を守りながら、理解しようと努めます。あくまで自分という存在を保ちながら、相手の気持ちを想像するという姿勢そのものを傾聴では大事にします。

③関心を持つ(無条件の肯定的配慮)
相手がどのような価値観を持っていても、関心を持ち、存在を受容しようとする姿勢です。皆が異なった考え方や価値観を持っていると心から認めることを傾聴では大事にします。

いかがでしょうか。皆さんはこのような3つの条件を意識して人の話を聞く・傾聴したことはありますか?プロでもなければ、なかなか難しいですよね(^^; ただ、このような傾聴の姿勢は人間関係の土台になりますので、まずは頭の片隅に入れておくといいでしょう。

心理的健康と傾聴

心理的健康とは、良い傾聴をするために欠かせません。ミュニケーションを良好に保つには、土台である心理的な安定をしっかりと作る必要あります。例えば「対人不安」が強いと、傾聴力が低下することが分かっています。

直観的に分かると思いますが、元気な時と落ち込んでいるときでは、傾聴への意欲が変わってくると思います。また、傾聴する相手が好きな人の場合と苦手な人の場合では、傾聴への姿勢も随分変わってきます。コミュニケーション能力は心理的な問題と深いかかわりがあるため、傾聴へも心構えが重要です。

イラスト:お客さんへの無条件の肯定的配慮を持ち、傾聴する店員さん

 

傾聴力の簡易診断!長所・短所をチェック

現在の自分の傾聴力をチェックしたい方は、こちらの傾聴診断をご利用ください。8つの質問に答えるだけで、今のあなたの傾聴力を確認できます。傾聴トレーニング前後のセルフチェックにおすすめです。

傾聴の簡易診断!長所・短所を知ろう⑬

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション能力講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

傾聴力は改善できる!

ここまでご紹介してきた通り、傾聴力は「①言葉を使った傾聴スキル」「②表情や声と傾聴スキル・」「③心理学の学習」によって変化していくのがお分かり頂けたと思います。

ここで、傾聴力は改善できるのか?という重要な問題について触れたいと思います。

まずは、私が大学院で研究した内容を紹介させてください。研究では、100名ほどを対象に発話・傾聴について効果分析を行いました。

下記の図は、傾聴トレーニングの効果分析です。

傾聴トレーニングによる効果分析の図傾聴が苦手な方(オレンジ色)にはトレーニングを実施し、一般的な方(青色)にはトレーニングを行っていません。トレーニング後は、傾聴が苦手な方も一般の方とほぼ同じレベルに達しているのが分かりますね。

実はこの研究では、70%ほどの脱落率がありました。しかし、継続的にトレーニングをされた方は結果を残していましたので、筋トレと同じように、しっかりと練習を重ねれば傾聴力をつけることはできると言えます。

傾聴入門コラムまとめ

このように傾聴力を高めるには、

①言葉を使った傾聴スキル
②表情や声と傾聴スキル  
③心理学の学習

の3つが大事になります。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!傾聴力をたかめる事は、決して簡単ではありません。私も本当に苦労しました。でも自分に合ったスキルをつけると今までよりも人間関係がよくなったり、仕事がしやすくなったり、本当に努力してよかったと感じています。

今度は私たち講師陣が皆さんに様々な有益な情報を提供する番です。1人でも多くの方が傾聴をはじめ、コミュニケーションに関する正しい理解をして、暖かい人間関係を築ける方が増えて豊かで暖かい社会ができることを願っています。

ここから先のコラムは具体的な傾聴スキルの各論へと入っていきます♪興味がある方はぜひご一読くださいませ。

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく実践練習をしてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

人間関係講座

目次

①傾聴力を磨く方法を解説
②基礎:事実のオウム返し
③基礎:感情のオウム返し
④初級:言い換えのオウム返し
⑤中級:要約のオウム返し
⑥上級:感情の明確化
⑦適切な自己開示
⑧名詞的肯定返し
⑨人間性肯定返し
⑩5W質問
⑪感情の質問
⑫「間」の取り方・効果
⑬傾聴力の簡易診断!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考資料
松本啓子・村井佳比子・眞邊一近(2014)「美容師の指名客数増加のための社会的スキルトレーニングの効果」 行動分析学研究 第29巻 第1号
末田清子・福田浩子(2003) 「コミュニケーション学―その展望と視点」P142
目白大学大学院 現代心理学専攻 川島達史 2013 修士論文