ホーム >
コミュニケーション知恵袋 >
人間関係 >
本音を見抜く方法

日付:

本音を見抜く方法

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「本音を見抜く方法」です。

本音がわからない

相談者
30歳 男性

お悩みの内容
私は昔から、言葉を真に受けるところがあり、本音を見抜くのがすごく苦手です。例えば、人狼というゲームをすると、絶対に負けます。

日常の人間関係でも、マルチの勧誘に引っかかったり、付き合った女性から空気が読めないといわれたことがあります。もう少し相手の本音を見抜く力をつけたいと考えています。コツがあったら教えてください。

相手の本音を見抜くのが苦手で、困っているのですね。当コラムでは、本音を見抜く7つの方法を解説していきます。

①声のトーンで判断する
②話すスピードで判断する
③皺眉筋をよく見る
④しぐさから見抜く
⑤気分がいい時に深い話をする
➅傾聴力を高める
⑦自己開示の返報性
⑧信頼関係を築く

ご自身でも使えそうなものを組み合わせてご活用ください。

 

本音を見抜く8つの方法

①声のトーンで判断する

本音は「声のトーン」に現れやすいです。少し大げさに感じるかもしれませんが、声の高低に注意するだけで、かなり相手の本音を把握することができます。

声のトーンが高い
あなた会話しているときに、声のトーンが高くなっていると感じたら、以下の心理が予想されます。あなたにプラスの印象を持っている証拠です。前向きに進めていきたい状況です。

一緒にいたい うれしい 楽しい 前向きに進めたい 感謝


声のトーンが低い
逆に普段よりも声のトーンが低めな時は、以下の心理が予想されます。コミュニケーションになんらかの問題が発生しているサインです。慎重に進めていきましょう。

一緒にいたくない つまらない 断りたい 帰りたい 希望通りではない

 

②話すスピードで判断する

話すスピードも判断材料になります。それぞれポジティブ、ネガティブな意味があります。

早口になっている
*前向きな場合
楽しくて仕方ない 嬉しくて仕方がない 聞いてほしくて仕方がない 

*後ろ向きな場合
嘘を隠そうとしている 相手に発言させないようにしている 誤魔化そうとしている

ゆっくりになっている
*前向きな場合
リラックスしている なごりおしい いやされている

*後ろ向き
困惑している 困っている 傷つけないように言葉を選んでいる

言葉のスピードの速さにはこのような意味が背景にあります。相手の表情と合わせて判断材料の1つとして活かしていきましょう。

 

相手の気持ちは声にでる

 

③皺眉筋をよく見る

人の本音は眉間のシワを作る「皺眉筋」に現れやすいという特徴があります。この筋肉は本能的な脳部位とダイレクトにつながっており、いくら本音を隠そうとしても、眉のあたりには本心が出てしまうのです。

例えば、気になる相手の脈ありサインを見抜きたいとします。この時、会話の中で、「今度飲み行きたいね!」と探りを入れたときに、相手の眉間に皺が寄っていなかったらチャンスと言えそうです。

一方で、皺眉筋に皺が寄っていたら、脈なしである可能性があります。

相手の気持ち

 

④しぐさから見抜く

人の本音はしぐさからも読み取れます。例えば以下が挙げられます。

*前向きなしぐさ
前傾姿勢になっている 首がウンウンとよく動く あなたに触ってくる あくびをする 適度に目があう 歩くときに距離が近い 座る時に距離が近い   

*後ろ向きなしぐさ
頻繁に飲み物に口をつける 何度も腕組みをする 自分の体を頻繁に触る 目を合わせない 減るなど極端 時計を何度も見る

など、相手の体の動きをよくみると、たくさんの本音を見抜くヒントが隠されています。体の動きをよく見るようにしましょう。

⑤気分が良い時は本音を話しやすい

私たち人間は、気分のいい時に質問されると、心を開いてしまう傾向にあります。例えば、

仕事がうまくいかない時
誕生日を祝わってもらっている時   

あなたはどちらの方が、本音で話してしまうでしょうか?おそらく多くの人は、後者だと思います。こうした傾向は、心理学でも研究されており、「気分一致効果」と呼ばれています。意味を簡単に説明すると、

良い気分の時は良いことをしやくなる
悪い気分の時は悪いことをしやすくなる

という心理効果のことです。つまり、気分がいい時は隠し事をしない傾向にあると言えるのです。相手の本音が出やすいタイミングは、

・仕事終わり
・デートの最中
・話が盛り上がった後

など相手の気分が良い時を狙って質問するのがオススメです。気分一致効果を深く知りたい方は下記をご覧ください。

気分一致効果の意味とは,活かし方

 

➅傾聴力をつける

相手の本心を知るためには、聞き上手であることが必要です。例えば、

・質問する力
・共感する力
・相手を受け入れる力

など聞き上手になると、本音が分からない人に自己開示をしてもらう力が身に付きます。相手の気持ちが分からない…という方は、相手の話をしっかり聞く!ことを意識してみてください。傾聴力を高める方法を深く知りたい方は下記をご覧ください。

傾聴力を高めるトレーニング法

本音が分からない人の解決策

⑦自己開示の返報性

自己開示をすると相手も自己開示しやすくなります。これは返報性の原理と言われています。ここでアルトマンとテイラー(1973)[1]の社会的浸透理論で使われる図を見てみましょう。それぞれの意味は次の通りです。

外側「表面的な話題」
中間「やや踏み込んだ話題」
内側「人に言えないような深い話」

相手の気持ちを知る自己開示の深さと広さの図

図を見ると、人物A・人物B、それぞれの矢印が最初は外側の表面的な話題からスタートし、徐々に内面的な話題へと移行していることが分かります。

これは、自己開示を積極的に行うと、相手も自己開示をしやすくなり、徐々に深い話ができるようになっていくことを意味しています。本音を聞きたい時は自分の本音を先に開示することが有効といえます。自己開示が苦手で関係が進まない…と感じる方は以下のコラムを参照ください。

自己開示が苦手,対処法

 

⑧信頼関係を築く

相手の本音を見抜くには、私たちは対人的信頼感がないと、本音を隠すようになります。松永ら(2008)[2]は、大学生228名を対象を、

・本音群
・気遣い群
・うわべ群

の3つのグループに分けて、対人的信頼感との関わりを調べました。対人的信頼感とは、簡単に言うと「他人のことを信頼できる感覚」のことです。結果は、以下のグラフのようになりました。

図の意味をわかりやすく解説すると、

・対人的信頼感が高い人は本音で話す
・対人的信頼感が低い人はうわべで話す

となります。つまり、他人を信頼している人は本音で話す傾向にあるというわけです。ここで、大事なことは、あなた自身が心を開いて、信頼できる人物になることです。

信頼できる人物になるためには、公平である、嘘をつかない、一貫した態度を取るなどが必要になります。

その結果「この人に本音を話すと誠実に対応してくれる」と感じ、深い自己開示をしやすくなるのです。信頼関係を築く力をつけたい方は以下のコラムを参照ください。

信頼関係を築く方法

 

本音が分からないを解説

まとめ

今回は本音を見抜く方法について解説してきました。本音がわかるようになると、騙されることが減る、気遣いができるようになる、などたくさんのメリットがあります。ぜひ、紹介した方法を活用して、健康的な人間関係を築いてください♪応援しています!

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

・本音を見抜く練習,表情の読み取り練習
・本音を話しやすくなる,自己開示練習
・信頼関係を築く,心理学の学習
・健康的な人間関係の心理学の学習

など練習していきます。筆者も講師をしています。皆さまの御来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリック♪↓

本音を見抜く方法,コミュニケーション講座

助け合い掲示板

1件のコメント

コメントを残す

    • かーごー
    • 2023年1月24日 10:53 PM

    聞くのが下手で自覚しています。話しを聞きながら、話しの展開を予測してしまっていたり、相槌もそうだと思った…など相手がつまらなく感じることをついつい言ってしまいます。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
Twitter→
元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Altman, I., & Taylor, D. A. (1973). Social penetration: The development of interpersonal relationships. Holt, Rinehart & Winston.
 
[2] 松永真由美,岩元澄子(2008).現代青年の友人関係に関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86