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本音で話すコツと方法を学ぼう

本音で話すコツやその方法を-精神保健福祉士が解説①

はじめまして!社会心理学の専門家川島です。精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「本音」についてお話していきます。コラム①の目次は以下の通りです。

  • 人への信頼不足と本音
  • 思いやりで本音を隠す?
  • メンタライゼーションとは?
  • 本音を見抜く力を付ける
  • 自己開示を積極的に
  • 心の読みすぎに注意

「本音」がわからないことの問題

「相手の本音がわからない」ことは人間関係など様々な問題の原因となります。

・購買意欲のあるお客さんを逃す
・脈のない異性に入れ込んでしまう
・愛想笑いを勘違いして
 デートに誘ったらセクハラ扱い・・・

など、様々なトラブルに発展してしまいます。実際に、私たちがカウンセリングをしている中で、「相手の本音がわからずに仕事で大きなミスをしてしまう」と相談される方が多いです。

中には、上手くコミュニケーションができず自分を責め続け、職場欝にかかるまで問題が深刻化しまうこともあります。

本音と心理学研究

この本音問題にうまく対処できるようになるには、そもそも「本音」とは何か?について理解しなくてはなりません。そこで本コラムでは心理学の研究をいくつか紹介します。

研究‐①本音で話さない=信頼していない?

・信頼感が低い人は本音を隠す
松永ら(2008)は「本音、気遣い、うわべ」と様々な心理的な指標について調査を行いましました。まずは「基本的信頼感」との関係を紹介します。基本的信頼感とは、

・他人から無条件に認められている
・私は信頼されている
・大概の事はうまく行く

という感覚を意味します。性善説に近いでしょうか。下図のグラフは「基本的信頼感と気遣い」の関連について調べたものです。


「本音で話す傾向がある」方が基本的信頼感がもっとも高いですね。その意味で本音を話す方は、世の中全般的に信頼していると言えます。周りを信頼しているからこそ本音でコミュニケーションができるのですね。

逆に基本的信頼感が低い方は、気遣いやうわべが大きくなります。世の中に対する、信頼が低いため、自分の本心を取り繕ってして本音がわかりにくくなるのです。

・対人的信頼感と本音
この研究では、対人的信頼との関連も調査されています。対人的信頼は、「周囲に対する信頼感」のことを意味しています。さて、本音で話すと相手を信頼することができるようになるのでしょうか。


やはり「本音群」のグラフが高くなっています。特に「うわべ群」とは差が開いています。本音を抑えて、うわべや気遣いをする方は、周りの人を信用していない傾向があると推測されます。

そのため本音を探るには、「基本的信頼感を高める」「相手を信頼する」という心を育てていく必要がありそうです。

研究-②文化の影響もあり?

一方で日本人はあまり本音を話さない相手の気持ちを大事にする文化があります。曖昧な部分から、相手の「本音」を判断する国民性があります。「言葉や文字」にする前に相手の本音を読み取り行動できると「気遣い上手」と褒められます。

・空気を察する
・気配り
・おもてなし
・配慮

このように日本語には相手の本音を大事にする言葉が多くあります。世界的にも、日本が本音を汲み取って行動すること大切にする傾向があるようです。例えば、総務庁青少年対策本部(2004年当時,現総務省)の調査によると、「親が子どもに望む性格特性」として、日本は・「思いやり」を1番に重視していると報告されています(図1)。

本音

一方で、アメリカは「責任感」、韓国は「礼儀正しさ」が一番に来ています。海外では、思いやりよりも自立心や礼儀などのマナーを身に付けてもらいたと考える親が多いと言えます(図2)。


このように日本人は文化的な背景もあり、本音を隠しながら、周りと協調関係を結ぼうとする特徴があるのです。相手の本音を理解するのはこうした文化的な背景も考慮する必要があります。

研究‐③ メンタライゼーション力の意義

心理学の世界では「相手の本音をくみ取る」概念として、メンタライゼーションが発展してきました。メンタライゼーションとは、1990年代にイギリスの精神分析家であるフォーナギーが提唱した概念です。メンタライゼーションとは以下のような性質があります。

・ 心で心を思うこと
・ 自分や相手の心を意識すること
・ 誤解することを受け入れること
・ 自己を外から眺めること、他者を内からみつめること
*Mentalizing in Clinical Practice,2008より

本音を見抜く

菊池ら(2012)は、34人の大学生を対象とした面接調査と質問紙調査を合わせて実施しました。面接調査では、メンタライゼーション能力と対人関係の不全感の関係が調査されました。その結果が下図となります。

対人関係がうまく行っていないと感じる感覚である「対人関係不全感」とメンタライゼーション能力の値の相関係数が-47.と中程度の相関を示しました。

つまり他者へのメンタライゼーションができない人ほど、対人関係がうまくいかないという結果を示しています。すなわち、本音を見抜く力がないと、対人見解で挫折しやすいと推測することができます。

逆に考えると、本音を見抜く力をつけると、人と円滑にコミュニケーションする感覚を得ることができると読み取ることもできそうです。

研究-④ 本音と偽り

本音と偽りについて動画を作成しました。特に、本音を隠して演技的になりやすい方におススメの動画です。良かったらご覧ください。*チャンネル登録をして下さると励みになります!

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

本音で話せる関係を築く3つのコツ

ここまで「本音」に関する心理学の研究を紹介してきました。ここからは相手の本音を理解する力をつけるための解決策について考えていきましょう。解決策は大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①本来を見抜く力を付ける

私たち心理学の専門家はカウンセリングを行うのですが、相談に来られる方の中には、自分の症状や本音を口に出すのが難しい方もいらっしゃいます。この場合、カウンセリングにおいては言葉以外の要素(非言語部分)をしっかりと読み取ることが非常に重要となります。そこで、私たちがクライアントの方から相談を受ける際に注意を向けている2つの非言語部分をお伝えします。

1つ目は、人の本音は表情筋の一つである「皺眉筋(しゅうびきん)」に表れやすいという特徴があります。眉間のシワを作っているのは、皺眉筋(しゅうびきん)と頬骨筋(きょうこつきん)という筋肉です。
この2つの表情筋は感情と直接つながっていて、無意識のうちに本音が出やすいのです。

つい言葉だけで相手の本音を判断してしまう…という方は、本音を見抜く方法を知ることで、相手の気持ちに寄り添うことができるようになります。

本音を見抜く方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・眉を観察する
・声から本音を読む
本音と建て前がわからない時の対処法「表情と声」③

②自分から本音を話そう

心理学の世界には「自己開示の相補性」という言葉があります。こちらから自己開示をすると、相手も自己開示をしやすくなるという原理を意味しています。

自己開示とは自分の情報を嘘を偽りなくありのままに伝えることを指します。つまり、本音や事実を相手に話すということです。本音を理解したい場合、相手に自己開示をさせようと思って、根ほり葉ほり質問してしまうことが多いです。しかし、相手の本音を引き出すのであれば自分から自己開示する必要があります。

先に自己開示をすると、「相手の警戒心を解く」ことができます。よく知らない人と話す場合、警戒心が芽生えるのが普通です。そのため、いくら質問をしても表面的な会話ばかりになってしまって、相手の本音を知ることができません。

相手の質問ばかりしてしまう…という方は、自己開示を学ぶことで。本音で話せる関係を作りやすくなります。

自己開示をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・自己開示での話題の選び方
・深い自己開示がゴール
本音で話せる関係性を築く方法「自己開示」④

③過度な心の読みすぎに注意

相手の本音を知りたい!という気持ちが強すぎると、人間関係でトラブルを起こしてしまうことがあります。相手の気持ちを考える事は、もちろん良い面もあります。しかし、本音の読みすぎ(読心術)がかえって誤解を生んだり、逆に本音がわからなくなることも可能性もあるため、注意が必要です。

相手を推測することはできても、100%理解することはできません。最終的に相手の「本心」を知るのは「本人」だけです。察するだけの関係ではなく、しっかりと本音を確認し合うことで深い関係を築くことができます。大きな問題だと考えていたことも読心術による勘違いだった!というのはよくあることです。

本音を読まなきゃという気持ちが過剰だな…という方は心の読みすぎの対処法を理解することで、勘違いを防ぐことができるようになります。

本音を読みすぎない方法より深く知りたい方は下記をご覧ください。
・本音の一人相撲
・やるべきことに集中する
本音で話せる関係になるには「読みすぎない」こと⑤

「本音」で話せると関係を

相手の本音が読めない原因には、「言葉や文字だけ判断してしまう」「相手が話すのを待つ」「心の読みすぎ」の3つが大きな部分であることがわかりました。次回以降は、本音を汲み取る方法を具体的に考えていきます。

相手の本音が理解できるようになると、仕事や恋愛、家族などあらゆるコミュニケーション場面で信頼される人になれます。人間関係も良好になっていくことでしょう。

1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)次回は、相手の本音を理解する方法の1つ目「表情と声をから本音を読む」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★本音を知るには「言葉以外」「自己開示」「確認」が大切!3つの方法で対処

目次

①本音で話すコツ-概観
②簡易診断でチェック
③「表情と声」で見抜く
④自己開示で本音の関係
⑤「読みすぎない」こと

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・ダイアン・M・ケネディ著,田中康雄監修, 海輪由香子訳 明石出版,ADHD と自閉症の関連がわかる本 
・長野恵子 西九州大学健康福祉学研究科健康福祉学専攻論文2009,現代青年の友人関係と対人ストレスに関する研究 西村麻希,
・ 山口 創著 川島書店,よくわかる臨床心理学
・(2004) ,総務庁青少年対策本部「子供と家族に対する国際比較調査」
・菊池裕義・山田仁子・舘岡達矢他(2012)メンタライゼーションの測定 :
 その信頼性と日本人大学生における境界例傾向との関連性,心理臨床学研究 30(3)355-365
・Mentalizing in Clinical Practice:Washington.D.C, American Psychiatric Publishing,Inc,2008
 Jon G. Allen, Ph.D., Peter Fonagy, Ph.D., F.B.A., and Anthony W. Bateman, M.A., FRCPsych
・松永(2008)現代青年の 友人関係 に 関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86