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単純接触効果とビジネスの活用法,広告,CM‐

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単純接触効果とビジネスの活用法,広告,CM

皆さんこんにちは。現役経営者、公認心理師の川島達史です。私は現在こちらのコミュニケーション講座の講師として活動しています。今回は「単純接触効果」について解説していきます。

論理と直感

単純接触効果はビジネスで使える心理学として有名です。活用する機会がたくさんあるのでぜひ最後までご一読ください。

単純接触効果とは

意味

単純接触効果は、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが1968年論文にまとめ、広く知られるようになりました[1]APA心理学大辞典(2013)[2]では次のように定義されています。

人が名前、音、写真などある刺激オブジェクトに繰り返し接触した結果、それに対する選好や好意が増加すること

つまり目に触れる回数が増えると、それだけで好感度が上がる心理という理論です。

効果研究

単純接触効果に関する心理学の研究を2つ紹介します。気になる項目を展開してみてください。

鎌田ら(2009)[3]は、大学生88名を対象に「商品を見た回数」と「商品の選ばれやすさ」の関連を調べました。その結果が以下のグラフです。

 

このように、呈示回数が「10」のグラフが、もっとも選択頻度が高くなっていることが分かります。つまり、よく見る商品は選ばれやすいことが推測できます。

世の中には様々なマーケティング手法があります。特にCMや広告で自社商品を宣伝するときは、こうした単純接触効果を狙ったものが多いです。

全く知らない商品よりも「この間、TVで見た!」と事前認知のある商品の方が、手に取ってもらいやすいことが心理学の研究からも分かっています。

川上・吉田(2011)[4]は、大学生75名を対象に3D画像で作られたキャラクターにどのようなイメージを持つかを調査しました。調査では、大学生を2つのグループに分け、キャラクターを見る回数を変えています。具体的には次の通りです。

キャラクターを
・何回も見た群
・1回しか見ない群

その結果の一部が下図となります。以下は「キャラクターを何回も見た群の好感度得点」です。

単純接触効果 使い方

実験直後より3日後に好感度得点が高くなり、2週間後も維持されるという結果になっています。次は「キャラクターを1回しか見なかった群の好感度得点」の結果です。

単純接触効果 研究

実験直後の好感度得点は、何回も見た群と大きな差はありません。しかし時間とともに好感度が低下する結果が得られました。このように、接触回数が少ないと好感を得るのがとても難しいことが分かります。

 

単純接触効果-ビジネスで最大活用

単純接触効果をビジネスで最大活用する方法を9個提案させて頂きます。

①時間よりも回数を意識する
②SNSを活用する
③情報サイトを作る
④YouTubeを活用する
⑤バズを狙う
⑥小物を配る
⑦フリーミアム効果を活用する
⑧イベントを開催する
⑨コミュニティを作る

ご自身でも活用できそうなアイデアを組み合わせてご活用ください

①時間よりも回数を意識する

単純接触効果は「時間の長さ」より「回数」を重視することがポイントです。例えば、

1時間の商談を週1回する
15分の商談を週4回する

効果があるのは後者です。長い時間をかけて話し合うより、短い時間で何度もあうことを意識しましょう。

あいさつだけして帰る
チラシだけおいてかえる
月1で使用状況を直接うかがう

などが挙げられます。

②SNSを活用する

接触回数を増やすうえで、SNSは非常に活用がしやすいです。お客様の目に1日1回触れる!を意識しましょう。例えば以下の例が挙げられます。

1日1回 簡単な動画をアップする
1日1回 ツイートする
1日1回 写真をアップする

など、毎日NEWSを作ってお客様の目に触れるようにしましょう。発信する販売したい商品がある場合には、お客様がその商品を目にする機会を増やしていくことが大切です。

③情報サイトを作る

接触機会を増やすため、情報サイトを作るのもおすすめです。自社の商品とお客様の興味がリンクするような情報サイトがおすすめです。例えば、以下のような事例が挙げられます。

化粧品会社
→お肌の手入れの仕方のサイトを作る

車の会社
→車のメンテナンス、カスタムのサイトを作る

などが挙げられます。まずは無料で情報に触れてもらい、記事の中で、商品や会社を露出させていくと、その後の展開をしやすくなります。

④YouTubeを活用する

接触回数をインターネットで増やすうえで、YouTubeの利用はおすすめです。筆者はYOUTUBEは単純接触効果の最強のツールと考えています。文章と違い、視覚での情報がやはり、心に入り込む深さが違います。

これからのビジネスマンは、動画を作るのが当たり前の時代が来ると思います。もし今、提供しているサービスに関する動画発信が無かったら今すぐ始めるべきです。

所属する業界の最新情報を伝えるチャンネル
提供する商品の製造過程を伝えるチャンネル
社長が自分の考えを発信するチャンネル

サービスや業態によって内容は異なりますが、お客様に楽しんでもらえるコンテンツを企画して進めていきましょう。

YouTubeを活用しよう

⑤バズを狙う

接触回数を増やすため、バズを狙うのもいいでしょう。SNSで話題になりやすい情報を活用して目にしてもらう機会を広げていきます。実際のビジネスでは以下のような事例が挙げられます。

ペヤングソース焼きそば
 ケーキ味を販売 激辛味を販売

ガリガリくん
 今ポタージュ味を販売

ダンスコンテスト
 ロッテ Fit’s ダンスバトル

これらは明らかにSNSを意識した戦略です。ユーザーが参加しやすい企画で、目に触れる機会を設け、親しみを持ってもらうようによく練られています。

⑥小物を配る

接触回数を増やすうえで、小物などのノベルティを配るのはおすすめです。お客様の手元に置いてもらえるグッズなら、日々お客様の目に触れることができます。例えば以下が挙げられます。

社名入りボールペン カレンダー 付箋 ティッシュ 下敷き 

など、さまざまなものがあります。お客様が日常使いしてくれたら大チャンスです!きっとあなたのサービスに愛着を持ってくれるでしょう。

⑦フリーミアム戦略を活用する

より多くの人との接触機会を増やすのにフリーミアムはおすすめです。フリーミアムは、フリー(free)とプレミアム(premium)を合わせた造語になります。具体的には、基本料金を無料として、まずは体験からはじめるビジネスモデルです。例えば、

zoom Slack Amazon Prime

などが挙げられます。フリーミアム効果を活用すれば、接触回数を増やすことはもちろんサービスの有料化(購入する)の見込み客として様々なアクションがしやすくなります。

⑧イベントを開催する

接触回数を増やすうえで、イベントを開催するのはおすすめです。お客様と接触する理由を積極的に作っていきましょう。例えば、以下のようなものが挙げられます。

季節の行事 周年祭 感謝祭 大会を開く 試食会

お客様と直接接する機会を作るとグッと愛着を持ってくれるでしょう。

⑨コミュニティを作る

接触回数を増やすうえで、自社コミュニティづくりがおすすめです。例えば弊社では、無料のオンラインサロンを作って、生徒さんどうして交流を深めています。サービスに人間関係が追加されるとより、接触が深くなり、好感度が上がっていくでしょう。コミュニティを作る際は基本はSNSを使い、リアルを掛け合わせながら運営していくと効果的です。

コミュニティ

まとめ

私自身会社を経営して18年になりますが、単純接触効果ほど現実に活かせる心理学の理論はないのではないか?と感じています。今回は挙げたアイデアを参考に、皆さんのビジネスがうまくいくことを願っています。

しっかり身につけたい方へ

公認心理師,現役経営者の元でしっかりビジネススキルを向上させたい方は、私たちが開催している講座をおすすめしています。内容は以下のとおりです。

・説得理論の基礎を学ぶ
・心を打つ,プレゼン練習
・キャッチコピーを作ろう
・ビジネスコミュ力UPトレーニング

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

単純接触効果とビジネスの活用法,広告,CM,コミュニケーション講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]Zajonc, Robert B. (1968). “Attitudinal effects of mere exposure”. Journal of Personality and Social Psychology 9 (2, Pt.2): 1–27.
 
[2]VandenBos, G.R. (Ed.). (2007). APA Dictionary of Psychology. Washington, D.C.: American Psychological Association. (ファンデンボス, G.R. (監修)繁枡 算男・四本 裕子(監訳) APA 心理学大辞典 P.581 培風館)
 
[3]鎌田 晶子 臼井 信男 吉野 大輔(2009).商品選択における単純接触効果の影響–商品評価と商品カテゴリーからの検討(1)人間科学研究 (31), 153-160, 文教大学
 
[4]川上 直秋・吉田 富二雄(2011).閾下単純接触の累積的効果とその長期持続性. 『心理学研究』,82, 345–353.