後悔しない生き方・人生を送る方法を知りたい
皆さんこんにちは。
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。
今回のお悩み相談
「後悔することが多い」
です。
相談者
31歳女性
お悩みの内容
私は昔から優柔不断で、やりたいと思うことがあっても、勇気が出ずにチャレンジできませんでした。恋愛では好きな人ができても一度も告白したことがないですし、仕事もなんとなく就職してしまいました。
これからの人生は後悔しないようにしたいと考えています。そのためにできることを教えてほしいです。
本当はやりたいことがあっても、勇気がなくて実行できないと、後悔してしまいますよね。今回は後悔しない生き方をするために重要な対策を提案させて頂きます。
ご自身に合いそうなものを日々の生活の中に取り入れてみてください。
後悔には2種類ある
まずはじめに、後悔についての性質を理解するところから進めていきましょう。心理学的に、後悔は以下の2つに分けられます。
・ポジテイブ行動をしなかった
・ネガティブ行動をしてしまった
ポジティブ行動をしなかった
「ポジティブ行動をしなかった」とは、人生を前向きにする行動なのに、恐怖心が勝ってしまい、実際には行動できなかった後悔を意味します。
例えば、
・親孝行をしなかった
・告白しておけばよかった
・第一志望を受験すべきだった
これらがポジティブ行動をしなかった後悔です。
ポジティブな行動をしないと、後悔は長期的に残りやすいことが分かっています。以下、具体例と研究を折りたたんで掲載しました。興味があるタイトルがありましたらクリックしてみてください。
私の例で恐縮ですが、中学野球の時、引退が掛かっている試合で、最終打席が私に回ってきてしまいました。
その時、恐怖心から、中途半端なバッティングをしてしまい、ピッチャーゴロで、チームを引退に追い込んでしてしまったのです。
どうせなら、フルスイングすればよかった…フルスイングして、その結果アウトでも納得がいったのに…と後悔しています。
これは中学生の私にとってはすごくショックなことでした。これは典型的なポジティブな行動をできなかった後悔に当たります。
私はこの出来事を今でも引きずっていて、大人になった今では、チャンスの時は「フルスイングして後悔しないようにする!」という哲学にしています。
上市ら(2004)は大学生70名に対して
「異性に対して告白したか、しなかったか」
について後悔の程度を調査しました。その結果が以下の図です。
このように、「告白しなかった」よりも「告白した」の方が短期、長期とも後悔の程度が低くくなっています。
上市ら(2004)は大学生70名に対して
「受験で第一志望に応募したか」
について後悔の程度を調査しました。その結果が以下の図です。
第一志望を受験しなかった人は後悔が大きくなったのに対して、受験した人は結果に関わりなく、後悔の度合いが小さくなっていることがわかります。
塩崎等(2010)は、がんで亡くなった患者の遺族89名に調査を行ました。研究では、被験者を以下の2つのグループにわけました。
「生前もっと何かできなかった・・・と後悔している遺族」
「亡くなった方と幸せに暮らした・・・と後悔していない遺族」
その後、2つのグループの精神的健康を比較しました。以下の図が結果となります。
上図のように後悔している遺族は、精神的な健康が低いことが示されました。
ネガティブな行動をしてしまった
もう1つの後悔は、ネガティブな行動をしてしまったときの後悔です。
・暴飲暴食をしてしまった
・ギャンブルでお金を無駄にした
・好きでもない人と付き合ってしまった
・中途半端な気持ちで決断した
これらはネガティブ後悔にあたります。
ネガティブな行動をしたときも、人は後悔しやすいことが分かっています。以下具体例と研究を折りたたんで掲載しました。興味があるタイトルがありましたらクリックしてみてください。
私自身は、8歳の頃の罪深い行いが今でも心に引っかかっています。それはある女の子の見た目を嘲笑してしまったことです。
その女の子は地黒の女の子でした。私がそれを揶揄したところ、突然泣き出してしまったのです。
その時の強烈な体験は、今でも後悔しています。その女の子は倒れこむように泣きじゃくっていたのです。
今でも、なんであんなことを言ってしまったのか…と…後悔しています。タイムマシンがあったら、当時の自分のところに行って、ひっぱたきたいぐらいです。。
中西ら(2015)の実験があるので論文に少しアレンジを加えてご紹介します。
下図のように、自信をもって決断した場合は後悔は少なく、自信がない場合は後悔が多いという「負の相関関係」があることがわかりました。
この研究から、「自信をもって行動した」ことについては、人は後悔が少ないと言えそうです。
逆に、自分の中で、なんとなく行ってしまった行動や、悪いと思いながらも行ってしまった行動については、後悔が大きくなりそうです
後悔しない人生-2大方針
2つの方針
このように後悔には2つの種類があります。後悔しない生き方のためには、
ポジティブな行動を増やす
親孝行をする、チャレンジをする、感謝を伝える、好きになった人には告白する
ネガティブな行動を減らす
暴言を吐かない、散財しない、人を傷つけない、人をだまさない
これらを意識するようにしましょう。
簡単にはいかない
さて、上記を見て、皆さんさんは何を思うでしょうか。おそらくですが、「わかっちゃいるけどできないから困っているんだよ!」という壮大な突っ込みを頂きそうです(汗)
そうなのです!人間はそんなに単純な生き物ではありません。わかっているけどできないから困ってしまうのですよね。
そこで、少しでも実行しやすくなるように、心理学における手法を提案させていただきます。
ポジティブな行動を増やす
まずはポジティブな行動を増やすコツをお伝えします。具体的には
・恐怖突入,森田療法
・失敗イメージから成功イメージ
・損得見積-実行法
の3つをお伝えします。
恐怖突入
心理学の世界には「恐怖突入」という考え方があります。恐怖突入とは、怖いという感情があったとしても、やるべきはちゃんとチャレンジすべし!という考え方を意味します。
例えば、好きな人ができたとします。告白をしようかと迷うと
フラれたらどうしよう
迷惑をかけたらどうしよう
と恐怖心が出てきます。この時、恐怖心があるから告白しない…と、行動を制限していたら、いつまでも前向きな行動をすることができないのです。
恐怖突入とは、恐怖の対象にエイヤ!と飛び込むことを推奨する考えです。ストイックな用語ですが、実際に行動をしてみると、意外とどうということがないことも多々あります。
実は相手も自分を好きだった…なんてことがあったらものすごくもったいないですよね。
恐怖突入については下記の森田療法のコラムで詳しく解説してあります。怖くなると、行動に起こせない…という感覚がある方は参考にしてみてください。
失敗イメージから成功イメージ
やろうと思っても動けない方の多くに失敗イメージが先行してしまう傾向があります。もちろん何かチャレンジするときは、失敗する未来がどうしても頭に思い浮かんでしまうものです。
ここで大事なことは、意識的に成功している自分をイメージすることです。
・行動してうまく行っているイメージ
・行動して結果を出しているイメージ
・例え失敗しても、すっきりとしているイメージ
これらも合わせて想像するようにしましょう。失敗を想像してしまう…という方は、下記のコラム1を参考にしてみてください。
損得見積-実行法
3つ目はややドライな手法です。ポジティブな行動ができない方はあれやこれやと考えすぎて、決断を先延ばしする傾向があります。その結果、本当はやるべきだった…と後になって後悔していまうのです。
なんとなく先延ばしする癖を辞め行動力をつけるには、ややドライに「損得計算」をしてみることが大事です。
メリット、デメリット可視化して、メリットがあることがわかれば行動するモチベーションが湧いてきます。なかなか行動できない…と感じる方は、行動した方が得だ!ということを可視化していきましょう。
詳しくは下記コラムを参考にしてみてください。
ネガティブな行動を減らす
次にネガティブな行動を減らすコツをお伝えします。具体的には
・アンガーマネジメント
・メタ認知力で冷静に行動
の2つをお伝えします。
アンガーマネジメント
ネガティブな行動をしてしまう時、特に致命的なのは怒りに身を任せてしまった行動です。
・暴言を吐いてしまった
・自分を許せず自傷してしまった
・手をあげてしまった
これらの根底には怒りがあります。大事なことは、怒りへの巻き込まれを減らすことです。もしあなたが怒りっぽいところがあるとしたら、下記コラムを参考にしてみてください。
メタ認知力で冷静に行動
ネガティブ行動が止まらない方は、マイナスの感情に支配されて、自暴自棄な行動をしてしまうことがあります。そこで大事なのが、感情への巻き込まれを減らすことです。
感情への巻き込まれを減らすためには、メタ認知が有効です。メタ認知とは、自分の感情を客観的に眺めることで、冷静に行動していく力を意味します。
わかっちゃいるけどやめられない…という行動が多い方は下記コラムを参考にしてみてください。
仕上げ動画とおしらせ
まとめ
最後は私の話となります。人生は選択の連続です。すべての選択がうまく行くわけはなく、大概の方は後悔するものです。
私自身は迷ったときは、GO!を人生の座右の銘にしています。前向きな行動であれば、例え失敗したとしても、自分自身にOKを出せるからです。
皆さんも自分なりの行動基準を作り、ぜひ後悔しない生き方,人生を歩んでください♪
仕上動画
ここまで後悔しない生き方,人生をテーマに解説してきました。この点については動画でも解説しています。仕上げとしてご覧ください。
ここまで後悔しない生き方について解説をしていきました。
お知らせ
私たち公認心理師・精神保健福祉士は心理学講座を開催しています。心理学の勉強を体系的にしたい!という方のご参加をぜひお待ちしています。
・行動力をつける心理学
・逃げ癖を改善する心理学
・暖かい人間関係を築く方法
・性格分析をしてみよう
などなどたくさんの学びがあると思います。詳しくは下記の看板をクリックしてみてください。是非お待ちしています(^^)*執筆者も講師をしています
3件のコメント
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たくさん我慢されてきたんですね…
男性はこうあるべき、女性はこうあるべきって考えを信じて、その通りに生きてこられたのでしょうか。
今、それは正しくないって気付くことができたのだから、遅くないですよ。
今からでも、自分自身に正直に生きてみましょうよ。
本当のあなたを受け入れてくれる人は必ずいると思います。後悔ばかりだ
サッカーをしたいと言えば良かった
ロボットを作りたいと言えば良かった
男になりたいと言えば良かった女に生まれたから…お金かかることは迷惑だから…
それで自分を抑えてきた、幼少の頃に戻ってやり直したい…
周りと違うことを堂々としていれば良かった…後悔はあまりしない方です。
決断の時は確かに自信持って選択しているからなんですね。
でも私の場合、自身にあまり根拠がないような気がします。
要は直感で選択しているように思います。
これも後悔しない人生に有効なんでしょうか?コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
YouTube→
Twitter→*出典・引用文献
塩崎麻里子・中里和弘(2010)遺族の後悔と精神的健康の関連:行ったことに対する後悔と行わなかったことに対する後悔. 社会心理学研究, 25(3), 211-220.上市(2004)後悔の時間的変化と対処方法 74 巻 6 号 p. 487-495
中西大輔・井川純一・志和資朗(2015)自信があれば後悔しない-意思決定への自信が後悔に与える影響-, 感情心理学研究, 22(3), 118-127.
Zeelenberg, M., van Dijk, W. W., van der Plegt, J., Manstead, A. S. R., van Empelen, P., & Reinderman, D.(1998)Emotional reactions to the outcomes of decisions: The role of counterfactual thought in the experience of regret and disappointment. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 75, 117-141.
僕は中学性の頃、友達が少なくて悩み始めました。中学生の頃は何もできなかったのですが、高校に入ってから色々調べて悩み始めてから4年が経過した今、ようやくこれならいけるんじゃないかと思える策を組み立てることができました。それはよかったのですが、自分が悩んでた間他の子たちは色々な経験をして人としてどんどん成長していて輝いて見えます。悩んでないでもっと行動を起こしていればよかったのに。と思います。今、僕は高3です。大学に入った暁には全力で努力してみんなと同じくらいの土俵に立ちたいのですが、2年くらいでみんなに追いつけると思いますか。