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後悔しない生き方・人生を送る,方法

後悔,しない生き方


後悔しない生き方-臨床心理士が専門解説①

「後悔しない生き方」を専門家が解説します

みなさんはじめまして!臨床心理士の森です。私は、病院で精神科の患者さんの心理検査やカウンセリングを担当しています。当コラムでは、「後悔しない生き方」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

後悔がない人はいない

後悔は人生につきもの

みなさんは、「後悔していること」として思い浮かぶことはありますか。あれもこれもたくさん思い出す方もいるかもしれませんし、今は特に思いつかないという方もいるかもしれません。ただ、これまでの人生で全く後悔したことがない!と言い切ることができる方は少ないと思います。

カフェで何を頼むか、どこに就職するかなど、日常的で小さなことから人生に関わる重大なことまで、私たちの生活は意思決定の連続です。“後悔先に立たず”ということわざがある通り、終わったことを悔いても取り返しがつきません。私たちは時間を巻き戻すことも、過去にタイムスリップすることもできません。そう考えると、後悔は人生につきものだと言っても過言ではないでしょう。心理学の分野で後悔は、

 選択した行動
 選択しなかった行動

 を比較し、
 選択しなかった行動

 のほうがより良い結果が得られたと感じること

と定義することができます(Zeelenberg, 1998)。つまり、「あの時、~していれば良かった」というふうに考えることですね。この「~していれば」というとらえ方は、反実仮想(反事実的仮想;counterfactual thinking)と言います。

反実仮想とは?

この「~していれば」というとらえ方は、反実仮想(反事実的仮想;counterfactual thinking)と言います。

A:選択した行動で生じた結果(=現実)
B:選択しなかったものの結果(=仮実仮想)

AとBを比較して、Bの反実仮想のほうが良かった時に後悔はより強くなります。何かにつけ反実仮想的な推論を行いやすい人は、そうでない人よりも後悔しやすいと考えることができます。みなさんはいかがでしょうか。このコラムでは、後悔することが続いている方や今後できれば後悔したくない方向けに、後悔しない生き方について正しい知識を解説していきたいと思います。

後悔には2つの心理学ポイントがある

後悔が続くと抑うつにつながる?

後悔すると、過去に行った判断について自分を責めたり自己批判したりすることになります。その結果、何かしらの心理的苦痛を感じてしまいます。後悔ばかりしていて思い悩んでいると、ネガティブな感覚が高まり、気持ちが落ち込みやすくなる可能性があるので注意が必要です。例えば、塩崎ら(2010)は、がんで亡くなった患者の遺族に調査を行ました。

「生前もっと何かできなかったか・・・と後悔している遺族」
「亡くなった方と幸せに暮らした・・・と後悔がない遺族」

を比べたところ、後悔している遺族は精神的に不健康悲嘆が強い状態であることが示されました。この研究を踏まえると、「あれをやっておけば良かった」と後悔することがあると、そうした後悔のない人と比べ、メンタルヘルスの不調をきたしやすいという可能性があるのです。

現状維持VS変更

道家ら(2007)は、92名の参加者に短いシナリオを読んでもらい、様々な条件ごとに後悔をどのくらい感じるか評定してもらいました。その結果、次の2点が示されました。

①現状維持効果
過去にポジティブな経験をしていた場合、過去と同じ選択をした方が、たとえ結果が失敗でも後悔が少ないことです。例えば以下のようになります。

→ある温泉旅館に宿泊してそこがとても気に入った
→次に温泉旅行に行く時も同じ温泉旅館を選ぶ
→後悔が少なくて済む
*一度ポジティブな体験をしたらそれを繰り返す方が比較的後悔が少ないと言えます。

②現状変更効果
過去にネガティブな経験をしていた場合、その時とは異なる選択をした方が、同じ選択をするよりも後悔は弱くなることです。

→ある温泉旅館に宿泊して、嫌な思い出が残った
→次に温泉旅行に行く時は、違う温泉旅館を選ぶ
→同じ温泉旅館を選ぶよりも後悔が少なくて済む

*ネガティブな体験をした場合は、過去の経験を修正したほうが後悔は少なくなりそうです。

このように現状維持効果と現状変更効果は、海外でもいろいろな研究者によって確かめられています。もちろん例外はいくらでもありますが、ヒントとして参考にしてみてください。

後悔の度合いをセルフチェック

まずは、ご自分の後悔の度合いをセルフチェックしてみましょう。次の文章について、ここ1~2週間のあなたの状態どの程度あてはまるか考えてひとつ選んでください。回答が終わったら、すべての項目の得点を合計してください。

後悔度合いのチェック表

セルフチェックの傾向と対策

9~15点:後悔の度合いは低め
後悔の度合いは低めだと判定されます。過去に起きたことはあまりくよくよ考えず、前向きな姿勢が見られます。また、あらゆる事柄について、自信をもって決心・決断することができる状態にあります。普段の生活で後悔の念に惑わされることが少ないでしょう。

16~25点:後悔の度合いは中程度
後悔の度合いは中程度と判定されます。時に、過去のことをくよくよと考えることもありますが、そこから立ち直ることもできます。ものごとの決断に迷いが生じることがありますが、たいていは最終的には自信をもって決めることができるでしょう。

普段は後悔の念のために落ち込むようなことはあまりありませんが、プレッシャーがかかる大きな判断をする時はよく考えてから最終決断するようにします。

26~45点:後悔の度合いは高め
後悔の度合いは高めだと判定されます。これまでの人生で起きたことについてくよくよと思い悩んだり、自分の決断を気に病んだりしがちです。決断を下すまでに時間がかかりやすく、優柔不断に陥りやすいでしょう。

何かを選択しても、違った選択があったのではないか、もっと良い方法があったのではないか、などと否定的に思い返すことが多いのではないでしょうか。後悔しやすい感じ方や考え方の癖がついている可能性があります。こうした癖は工夫次第で変えられることが多いですから、後悔が一生続くと決まったわけではありません。

後悔しにくくなる3つの方法

後悔しにくくなるための3つの方法

セルフチェックはいかがでしたか。あまり思わしくない結果が出たとしても、後悔の度合いは変えることができると信じて、前向きに考えましょう!…とは言え、そんなにすぐには後悔しやすい癖を変えることなんてできない、という方も多いと思います。そこで、本コラムでは、後悔について解決策を提案させていただきます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目について、リンク先をチェックしてみてください。

①行動活性化技法

あれもこれも・・・な人は注意
後悔しやすい人の中には、何事に対しても消極的だったり、迷った挙句行動しないで終わる癖がついていたりすることがあります。これらは、行動すべき時に行動しない点が問題となりやすいと言えます。優柔不断でなかなか行動に移せない、行動するより行動しないほうを選びやすいという方は要注意です。

行動活性化技法とは?
なかなか行動に移せない状態が続いている時、段階的に行動に移すための計画を立てることが有効です。そのための方法のひとつに行動活性化技法があります。この技法を使うと、優柔不断で不安が高まっている状態でも行動を起こしやすくなります。行動力をつけて解決していきたい!という方はコラム②を参考にしてみてください。

②損得勘定→実行法

自信がないまま決断するのは禁物
自信をもって決断・行動すると、たとえ結果がうまくいかなくても、後悔の念は比較的少なくて済みます。逆に、自信が持てないまま、とりあえず行動に移してしまうと、後悔してしまうリスクがあります。よく考えずにどんどん行動に移してしまうのも要注意と言えます。

自信をもって決断しよう
なるべく後悔しないようにするには、自信をもって決断・行動することが大切です。お昼に何を食べるか、たくさんの種類がある中からどの歯ブラシを買うか…日頃の何気ない選択場面も、自信が持てるかどうかに注目してみると後悔を減らせる可能性があります。自信をもって決断するためのコツを知りたい!という方はコラム③をチェックしてみてください。

③失敗を糧に未来イメージ技法

過去の失敗に焦点を当てすぎるのはやめよう
後悔の念を抱きやすかったり、同じことをずっと後悔し続けたりしている場合は、うまくいかなかったことに焦点を当てすぎている可能性があります。失敗やネガティブなことにばかり注目することは、「~していれば良かった」と反実仮想をすることにつながり、後悔しやすい原因になります。

失敗をとらえ直して次へ進もう
後悔して思い悩んでいると、落ち込んだり、あれこれと過去の事ばかり考えたりしてしまいます。たとえうまくいかないことがあっても、失敗を糧に未来に焦点を当てて捉えなおすほうがメンタルヘルスが良いと言われています。過去に区切りをつけて前向きになりたいという方はコラム④を参照してみてください。

後悔から解き放たれよう

後悔しにくくなる方法を解説

このように、後悔しない生き方を達成するには、「行動活性化」「損得勘定法」「失敗を糧に未来イメージ法」が有効です。次回以降のコラムでは、具体的な方法ついてご紹介していきます。

後悔しない生き方を身につけられると、日々の生活が今より少し気楽になるでしょう。しかし、そう簡単に後悔の念を切り替えることはできないかもしれません。これからご紹介する後悔しにくくなる方法を日々の生活の中で意識していただくことで、少しずつ後悔の念から解き放たれることでしょう。

次回の後悔コラムでは、後悔しにくくなるための方法の1つ目「行動活性化技法」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★後悔が多いとメンタルヘルスに影響。コツをつかんで後悔しにくくなろう
心理学講座

*出典・引用文献
道家瑠見子・村田光二(2007)意思決定における後悔:現状維持が後悔を生むとき. 社会心理学研究, 23(1), 104-110.
塩崎麻里子・中里和弘(2010)遺族の後悔と精神的健康の関連:行ったことに対する後悔と行わなかったことに対する後悔. 社会心理学研究, 25(3), 211-220.
Zeelenberg, M., van Dijk, W. W., van der Plegt, J., Manstead, A. S. R., van Empelen, P., & Reinderman, D.(1998)Emotional reactions to the outcomes of decisions: The role of counterfactual thought in the experience of regret and disappointment. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 75, 117-141.



後悔しにくくなる3つの方法