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人見知りの原因と克服する,治す方法

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人見知りの原因と克服する,治す方法

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「人見知りを治す方法」です。

人見知り 克服

相談者
29歳 男性

お悩みの内容
私は小さい頃から人見知りで、友達がほとんどいません。仕事や恋愛で消極的になってしまい、人間関係を作ることができません。孤独で日々、寂しいです。恋人も欲しいです。どうすればよいでしょうか。

人見知りで孤立している状態はとても辛いことだと思います。

実は講師の私自身、人見知りをこじらせてしまい、社交不安障害になったことがあります。人間関係を作ることができず、孤独でとても辛い状況でした。

私たちは人見知りとどうやって付き合っていけばいいのでしょうか?当コラムでしっかり解説していきます。人見知りで悩む方は是非最後までご一読ください。

人見知りの2つ原因

心理学の研究によると人見知りは、恐怖型、自意型の2つの種類あることがわかっています。それぞれ性質が異なるので基礎として抑えておきましょう。ご自身にあてはまるか検討してみてください。

恐怖型

恐怖型は、生まれながらに恐怖心が強い性格傾向の方を意味します。人間関係だけでなく、日常生活ぜんぱんで怖がりな傾向があります。

恐怖型の人見知りは、生後7か月前後からはじまり、遺伝的要因が強いと言われています。恐怖型には以下の特徴があります。

幼い頃から警戒心が強かった
小さな頃から引っ込み思案だった
人間関係以外も恐怖心が強い
新しい環境が苦手である

以下、関連する研究を折りたたんで解説しました。興味がある項目を参考にしてみてください。

心理学者の日比野(1977)は、満10ヶ月の乳児43名を対象に、乳幼児の人見知りについて調査を行っています。そして参加者を人見知りの強度により

人見知りが激しいグループ
人見知りが中程度のグループ
人見知りしないグループ

の3つ群に分けて調べました。以下の図は、それぞれのグループの人数とパーセンテージを表したものです。

人見知り 赤ちゃん

上記のように、約80%が中程度~激しい人見知りを経験することがわかります。恐怖シャイネスはごくごく自然なことであると言えそうです。

センら(2004)は、日本とアメリカの人たちの緊張に関わるS遺伝子とL遺伝子の割合を調べました。まずは以下の図をご覧ください。


 

遺伝子と人見知り


それぞれの意味ですが以下を表しています。

SS型・・・緊張や不安になりやすい
SL型・・・緊張や不安は中程度
LL型・・・緊張や不安に強い

SS型が最も人見知りになりやすいタイプであり、LL型の人たちはプレッシャーや不安に強く、外向的な人が多いです。

図のように日本はSS型とSL型に分類される人の割合が多く、その割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で示されています。恐怖型の人見知りは私たち日本人からすれば身近な気質なのですね。

行動遺伝学者の安藤(2000)は、外向性と遺伝率について調査を行いました。以下のグラフをご覧ください。外向性遺伝率

このように外向性は

・遺伝率は 49%
・家庭環境は2%
・外部環境は49%

という結果になったのです。外向性は人見知りの逆の概念です、裏を返せば、人見知りは約50%遺伝の影響を受けるという意味でもあるのです。

人見知りは半分は生まれつき、半分は育ちや努力で決まってくる、そんな風に解釈することができます。性格と遺伝についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

性格と遺伝の確率とは?計算方法,遺伝率

 

自意識型

自意識型は他人からの評価が気になる、周りの視線が気になる心性から起こる人見知りです。主に10代の前半から大きくなります。自意識型の特徴は以下の通りです。

人の目を気にしてぎこちなくなる
恥をかくのが嫌になる
好きな人だと緊張する
人前で話せる自信がない

小学生の頃は自由闊達だったけど、中学生ぐらいから人が怖くなって来たという方は、自意識型に当てはまりそうです。以下、関連する研究を折りたたんで解説しました。興味がある項目を参考にしてみてください。

日常生活に支障が出るほどに人見知りが大きくなると「社交不安障害」と診断されることもあります。社交不安障害を発症した人の約75%が15歳以下で発症しています。

社交不安障害

図1. 社交不安障害の発症年齢(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアルより、一部改変)

社交不安障害の特徴は、発症年齢と、相談に訪れた年齢に差があることです。発症は15歳までが一般的であるにも関わらず、すぐに悩みを打ち明けることができないのです。

ある研究では、発症してから10年たってから医療機関を訪れるという調査もあります。このような相談の遅延が症状を悪化させる要因にもなると言えます。

社交不安障害の意味と治療法

石田(1998年)は、大学へ入学して8か月経過した新入生を対象に人見知りに関する研究を行いました。まずは女性のテスト結果から見ていきましょう。

人見知り 比較

女性の場合、シャイな人とシャイでない人との図の大きさは小さな差になっています。つまり女性にとってシャイ傾向は、相手を好きになったり、好かれたりといったことにあまり影響しないと言えます。

一方、男性の場合はどうでしょうか。男性の結果は以下の通りです。シャイな男性親密性のテスト結果

男性の場合、シャイな人とシャイでない人とに親密性で大きな差が出ていることが分かります。男性は好かれたり、好きになったりする場合に、シャイ傾向の大きさが重要な基準となるのです。

こうした男女差は、文化的な違いも大きく影響していると考えられます。

女性の場合は人見知りは奥ゆかしさや、かわいらしさとして見られることがあります。一方で、男性の場合は、自信がないとみられてしまうこともあります。

このような文化的なとらえ方が劣等感に結びついて、対人関係での自信のなさにつながっている側面がありそうです。

周囲からの視線に意識が向いてしまうことを「公的自己意識」呼びます。「公的自己意識」が過剰になると、対人不安が起こりやすいと考えられています。

キム(2005)は、522名を対象に「公的自己意識がメンタルへルスにどんな影響を与えるか?」について調査を行っています。

対人不安と公的自己意識

その結果、上記の図のように公的自己意識は「対人不安」に影響することが分かりました。人の目を気にすると、人との関わりことに不安になり、人見知りが悪化すると考えられます。

齋藤(2009)は、大学生474名に対して、対人恐怖心性について調査を行いました。その結果、完璧主義傾向が強く、失敗を過剰に恐れる人は、

「集団にとけこめない」
「人間関係の当惑」

があることがわかりました。つまり、人見知りになりやすいということです。

失敗過敏と人見知り

上記の図の数字は相関係数と呼ばれるものです。簡単に説明すると、AとBはどれぐらい関わりがあるかという数字です。心理学的には0.4~0.6の数値はある程度関連していると解釈していきます。

人見知り傾向が強い方は「失敗はダメだ」「嫌われたくない」と意識するあまり、ますます人見知りを増幅されている可能性もあります。

 

 

人見知りを治す方法

ここからは人見知りを治す、うまく付き合う方法を7つ提案させて頂きます。

①全体の指針を理解
②他人の目よりも自分の気持ち
③うまく行くイメージを大事に
④会話の練習をしょう
⑤リラックス法で緊張を和らげる
⑥森田療法であるがままに
⑦人見知りを受けれいる

ご自身でも使えそうなものを組み合わせてご活用ください。

①全体の指針を理解

人見知りは

後天的な影響で改善がしやすい領域

遺伝的に決まっていて改善が難しい領域

に分けられます。人見知りを100%治そうとするのではなく、改善できる部分は改善する一方で、自分自身の気質として受け入れていく姿勢も大事になってきます。まずはこの2点を抑えておきましょう。

 

②他人の目よりも自分の気持ち

人見知りの原因は、公的自己意識が過剰であることが挙げられます。公的自己意識とは、

周りから嫌われたくない
評価をされたい
異性にモテる服を着る
周りに気に入られる話をする

といった周りの目を気にする自意識です。人見知りを改善するには、公的自己意識だけでなく、私的自己意識を強くすることが、改善のコツとなります。私的自己意識とは

自分のやりたいことを大事にする
自分の評価は自分でする
自分が着たい服を着る
楽しい話をしたいから話す

これらの意識を意味します。人見知りが強い方は、これらの意識を大事にしてみてください。人と話すときの緊張がほぐれる効果があります。詳しくは以下のコラムを参考にしてみてください。

人の目が気になる時の対処法

 

人見知り,私的自己意識

③うまく行くイメージを大事に

人見知りな人の多くは、失敗するイメージに捉われてしまいます。

ミスしてはいけない
変だと思われてはいけない
緊張がバレてはいけない

その結果、人間関係でのミスを恐れ、人とのコミュニケーションを避けてしまいます。対策としては、下記のように、成功するイメージを大事にすることです。

まあなんとかなるさ
きっと仲良くできるはずだ
多少緊張してもご愛敬だ

このようにうまくイメージを大事にすると、緊張がほぐれ、人と積極的に関わろうという気持ちを育てることができます。失敗をイメージしがちな方は以下のコラムで練習してみてください。

失敗が怖い…を改善する方法

④会話の練習をしよう

人見知りな方は、人と話すことが苦手で、会話力を低下しがちです。心理学の研究では、会話力が低下すると、対人不安、孤独感、抑うつ感が強くなることがわかっています。

対策としては、会話のトレーニングをすることをおすすめします。例えば、人の話を聴くときは、以下のように、一言肯定する文言を入れるだけで随分印象が変わります。

(話し手)
私はいま横須賀に住んでいます

(聞き手)
横須賀ですか~ +海の近くで楽しめそうですね

(話し手)
私はマラソンが趣味です

(聞き手)
走るのが好きなのですね~ +気持ちよさそうです

いかがでしょうか。一言肯定するだけで随分、印象がよくなりますよね。会話は練習するだけうまくなっていきます。会話が苦手…という傾向がある方は下記ご覧ください。

会話力トレーニング

 

⑤リラックス法で緊張を和らげる

人見知りな方は、緊張しやすく、人がいる場面を避けがちです。緊張をほぐすコツとしては、考え方をほぐしたり、身体のリラックス法を覚えることが有効です。簡単なやり方を1つ紹介します。

1 肩をぎゅーと上にあげる
2 5秒キープ
3 ゆっくりおろす
4 余韻を味わう

これだけです。緊張しそうな場面の前に、5回程度繰り返すだけで身体がほぐれていきます♪

緊張をほぐすやり方については、以下のコラムでたくさん紹介しています。人見知りで緊張しやすい方は下記を参照ください。

緊張をほぐす方法

身体のリラックス

 

⑥森田療法であるがままに

森田療法という心理療法を聞いたことはありますか?森田療法の根本には、”あるがまま”という哲学があります。あるがままとは、以下の意味があります。

恐怖、不安、緊張を自然なものとして受け入れ、その感情を持ちながら、やるべきことをやる

人見知りであることを自然なことだから、人と接する恐怖を持ちながらも、やるべきことをやりなさい!というイメージになります。ストイックですね(汗)

森田療法は、日本人が作った心理療法で、対人恐怖研究で発展してきました。以下のコラムでは森田療法について詳しく解説しました。

人見知りであることを恥ずかしい…人と接することを避けてしまう…と感じる方は、参考にしてみてください。

森田療法の基礎

 

⑦自己受容を大事にしよう

人見知りの原因の部分でも解説しましたが、人見知りはある程度は遺伝の影響があると考えるのが基本です。遺伝の影響であるということは、脳や体の仕組みとしてそうなっているのです。

そのため、人見知りについては、改善できる部分は改善し、土台として残る緊張や不安はある程度受け入れることが大事です。

人見知りであっても発言はできる
人見知りであっても充分恋愛はできる
人見知りであっても、好きになってくれる人はいる

こんな気持ちで、自分を受け入れる姿勢を持つようにしましょう。以下のコラムでは自己受容のコツについて解説しています。

なかなか自分を受け入れられない…という方はご活用ください。

自己受容コラム

まとめ

ここまで見てきたように、人見知りを克服するには「遺伝的な部分は受け入れ、努力で改善できる部分はしっかり対処していく」ことがポイントです。

人見知りな自分を否定するのではなく、あるがままな自分を認め、その上で、人見知りへの改善に取り組むことが大切です。

皆さんが、穏やかで温かい人間関係を築かれることを願っています♪

 

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人見知りな自分と公認心理師の元でうまく付き合えるようになりたい方は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

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など練習していきます。筆者の川島も講師をしています。皆様の御来場を是非お待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリック♪↓

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Buss, A. H. (1984). A conception of shyness. Avoiding communication: Shyness, reticence, and communication apprehension, 39-49.
Eggum Wilkens, N. D., Lemery Chalfant, K., Aksan, N., & Goldsmith, H. H. (2015). Self conscious shyness: Growth during toddlerhood, strong role of genetics, and no prediction from fearful shyness. Infancy, 20(2), 160-188.
Sen S, et al.’s (2004) Meta-analysis of the association between a serotonin transporter promotor polymorphism (5-HTTLPR) and anxiety-related personality traits. Am J Med Genest
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫 対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100
キム(2005)韓国と日本の大学生における対人不安と同一性,公的自己意識,相互依存的自己との関係 
パーソナリティ研究 14(1), 42-53, 日本パーソナリティ心理学会
252 乳児期における人見知りについて : 個体識別の認知との関連で(発達7,口頭発表) 日本教育心理学会総会発表論文集 19(0), 172-173, 1977
日本精神神経学会 監修 (2014) DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
石田靖彦 (1998) 「友人関係の親密化に及ぼすシャイネスの影響と孤独感」. 社会心理学研究 , 14 (1) , 43-52.
心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観,安藤 寿康,講談社 (2000)