>
>
>

神経質な人の特徴や改善法を専門家が解説

神経質


神経質な人の特徴や治すための改善法を解説①

こんにちは、臨床心理士の森です。普段は、精神疾患を抱える方の心理検査やカウンセリングを担当しています。

本コラムでは「神経質」について、詳しく解説をしていきます。しっかりと対策までお伝えしたいので、読むのに全部で8分ほどかかります。ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。

神経質について心理の専門家が解説

神経質とは?

神経質という言葉は、日常的にもよく使われる言葉です。そのためみなさんにも、なじみがあると思いますが、あらためて辞書を引いてみると、神経質には次のふたつの意味があることが分かります。

<大辞林 第三版の解説>
1:刺激や変化に対し神経が過敏である性質。
2:些細なことまで気にかけるさま。

まとめると、敏感で気にしやすい、ということですね。心理学の分野では、神経質は性格を構成する重要な特性のひとつとされています。

また、森田療法という精神療法が神経質を詳しく扱っています。森田療法においては、神経質には次のような特徴があるとされます(青木, 2015より抜粋)。

・なんでも完全にやり遂げたい
・他者からの評価が気になる
・気になりだすと抜け出せない
・「できること」「できないこと」
  の区別が分からない

森田療法では、このような特徴を取り除こうとして、かえって囚われてしまうことにより、神経症が引き起こされると考えます。例えば、森田は、自己の心身に病的なものがあると思い込むことをヒポコンドリーと呼びました。ヒポコンドリー傾向がある方は、病気はないにも関わらず、病気があると神経質に思い込み、病院を変えながら検査を繰り返すという特徴があったりします。

神経質とうつ病は関連が深い?

ここで、アメリカのAssari(2017)の論文を見てみましょう。

この論文では、1,219人のアメリカ人を対象として、1986年とその25年後の2011年に追跡調査を行いました。その結果、白人の場合、

1986年に神経質の傾向が高かった人は、
2011年、25年後のうつ病の罹患率が高かったのです。

下の表はこの論文で調査されたいろいろな項目のオッズ比を示しています。

神経質を解説するオッズ比

オッズ比とは、ある疾患などへのかかりやすさを表す数値で、1を超えると、疾患にかかりやすいと考えることができます。神経質のオッズ比は2.55ですから、1を超えており、神経質な人はうつ病にかかりやすいと言うことができるのです。

ちなみに、神経質がうつ病と関連が深いことは、日本人を対象とした研究でも確かめられています(今野ら, 2016)。敏感で気にしやすい傾向が強いと将来うつ病にかかりやすいとは、深刻な話です。

神経質に関する病名

神経質な傾向は、過剰になると「神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害」(F40-48)として、精神疾患として診断されることがあります。種類はいくつかあります。

・恐怖症

特定の状況や対象が怖くなる。広場が怖い。人が怖い。とがったものが怖いなど。

・不安神経症

根拠のない不安を持つこと。交通事故にあうのではないか。火事になるのではないかなど。

・抑うつ神経症

無関心、無気力、憂鬱な気分が続く

・強迫神経症

反復的・持続的な思考にとらわれる「強迫観念」が出る。
手洗い、確認行為の繰り返しが起こる

・ヒステリー

怒ったり、泣いたり感情の起伏が激しい。やや演技的である。

・心気神経症

実際には病気でないにも関わらず病気と思い込む。
病院の検査を繰り返したりする。

もしこれらの項目にあてはまる場合は、心療内科や精神科の受診を視野に入れても良いかもしれません。

3つの原因と改善方法

ここでは神経質になる原因と解決策について具体的に考えて行きましょう。ここでは、大きく分けて3つの解決策をご紹介します。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね。

①認知療法で完全主義をゆるめよう

完全主義にはご注意
神経質によく見られる特徴のひとつに完全主義があります。完全主義とは、物事に対して完全を求めることです。完全主義には、高い目標を設定して努力できるという強みがあります。

その一方で、完全主義の傾向が強いと、
・何事も白黒はっきりつけないと気が済まない
・ちょっとしたミスでも許せない
・自分や他人に厳しい評価を下してしまう

と仕事や人間関係でも苦しくなってしまいます。

認知療法を使おう
完全主義に対処するには、認知療法が有効です。認知療法とは、認知、つまり捉え方のバリエーションを増やして、気持ちを楽にするための心理療法です。認知療法は、うつ病や不安障害などの精神疾患の治療に有効とされています。この認知療法を使って、完全主義をゆるめることが期待できます。落ち込みやすい…という方は、コラム②を参考にしてくださいね。

②コラム法で視野を広げる

ひとつのことに執着しすぎ
他にも、神経質によく見られるのは、どうでもいいことにこだわって、肝心なことを見失ってしまうという特徴です。あらゆることを無視して、些細なネガティブなことにだけ反応しやすい状態です。これを「選択的注意」と呼びます。「選択的注意」が多いと、せっかくのチャンスを逃したり、行動範囲が狭くなったりしてしまいます。

認知療法を使おう
「選択的注意」にも、認知療法が有効です。本コラムでは、他の捉え方にも客観的に注目できる「コラム法」を紹介します。視野が広がり、うまくいっていることにも目を向けられるようになりますよ。ひとつのことに執着しやすい…という方は、コラム③を参考にしてくださいね。

③森田療法であるがまま

神経質な人は恐怖心が強い
神経質な方は、恐怖心が強いと考えられます。恐怖心とは、不安や緊張、恐れといった感情・感覚のことです。神経質な傾向が強いと、恐怖心の原因がどこにあるかを追求しようとして、余計に恐怖心から離れられなくなってしまうのです。

森田療法の考え方をヒントにしてみる
神経質で恐怖心が強い方には、森田療法の考え方がお勧めです。森田療法は、日本人が考案した精神療法です。恐怖心の原因がどこにあるかを追求するよりも、“あるがまま”に恐怖心と付き合っていくことを模索します。恐怖心が強いために苦しんでいる…いう方は、コラム④を参考にしてくださいね。

4つの方法で神経質な性格を緩和しよう

神経質と付き合っていくことが肝心

ここで、私のクライエントさんの例をお話しします。

エミコさん(20代会社員)は次のような状態で、生きているだけでしんどいという心境になっており、クリニックに自ら訪れました。

・子供の頃から人見知り
・他人のひと言ですぐに傷つく
・近くで笑っている人がいると、自分が笑われているのではないかと考える
・仕事は完璧にやりたいため、時間がかかる

医師によると、うつ状態ということでした。エミコさんは、自分の性格が神経質だと分かっており、それを何とか治したいと強く訴えました。

神経質について事例をもとに解説カウンセリングでは、少し時間をかけながら、神経質をなくすのではなく、うまく付き合っていく方法を考えることにしました。そこで、先ほど挙げた方法を一緒に試し続けました。

その結果、
「他者に対して敏感になってしまうのはもともとの性格で完全には治せないけれど、捉え方のバリエーションを増やしたり注意を逸らしたりすれば、ずいぶん楽にいられる」
と考えることができるようになりました。今もカウンセリングは続いていますが「自分が笑われているとは感じないようになった」「仕事も休憩を取りながら疲れすぎないようにやれている」そうです。

神経質な性格は、ある程度遺伝的な傾向もあるので、完全に修正することはできないですが、うまく付き合っていくことはできるのです。

ツライ気持ちとうまく付き合う

神経質になる原因には、「完全主義的」「ひとつのことに執着しすぎ」「恐怖心が強い」の3つが大きくかかわっていると考えられます。次回以降は、神経質とうまく付き合っていくための方法について解説していきます。

神経質には、粘り強い、忍耐力がある、向上心が高いなどの長所もたくさんあります。そうした面は勉強や仕事ではとても重宝され、信頼されます。

このような特性は活かしつつ、落ち込みやとらわれを少なくできれば、生活がしやすくなります。このコラムを読んで、ぜひ神経質とうまく付き合っていけるようになってくださいね。

次回は、神経質と付き合う方法のひとつ目「認知療法で完全主義をゆるめよう」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★神経質はうつ病と関連が深い!3つの方法で対処しよう
心理学講座

*出典・引用文献
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.

わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望
高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989



3つの方法で上手に付き合っていこう!