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神経質な性格を改善する,治す方法とは?

入門①神経質な性格を改善,治す方法

はじめまして!公認心理師の川島達史です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。

本コラムは「神経質」がテーマでです。

対象となるお悩み
・細かい事が気になり疲れる
・相手の表情を敏感に察知して不安になる
・咳払い,つばなどが嫌で仕方がない

神経質について事例をもとに解説

全体の目次は以下の通りです。

  • 入門①反証法で神経質改善
  • 入門②暴露療法で少しずつ慣れる
  • 入門③森田療法であるがまま
  • 発展神経質と病気の話
  • 発展ヒポコンドリー性基調とは?
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、神経質な性格を改善する基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。

神経質の意味とは?

語源

神経質は、心理を表す言葉として比較的なじみがある言葉です。改めて言葉の語源から探っていきましょう。

神経質は英語では、nervousと表記されます。神経質

これは

nerve 
osus

が組み合わさった言葉です。

nerveは中世ラテン語から派生した言葉で「神経」を意味します。

osusは原始インドヨーロッパから派生したことばで「いっぱいにする」という意味があります。

nervousは神経がいっぱいで、神経質と訳されるわけです。

体の仕組み

右図をご覧ください。こちらは人間の神経の図です。私たちの体には、神経が全身に伸びていて、体を動かしたり、痛みを感じたり、匂いを感じたり、重さを感じたりします。

神経質とはこれらの神経が活発に活動している状態を意味します。

神経はさらに2つに分けられます。具体的には、副交感神経と交感神経があります。下図を見てみてください。
ナーバス,交感神経

交感神経の方が活発に動いている感じがしますよね。交感神経は、興奮したり、集中力を高める神経です。ナーバスになるとは、交感神経が過敏になっていると言い換えることもできます。

神経質とは何か

HSP研究

神経質について、最近ではHPSということばで語られることが多くなってきています。HSPはアメリカの心理学者、アーロン博士が1996年に提唱した概念で

Highly Sensitive Person

と綴られています。直訳すると「とても敏感な人」と訳されます。

HSPの特徴

刺激に敏感
聴覚や嗅覚、触覚などの体で感じる感覚がとても敏感

失敗や間違いへの繊細さ
些細な失敗や、小さなエラーを気にする

微妙な変化に気づく
他人の表情や、雰囲気の変化に敏感、他者に対する共感力が高い

などの特徴があります。当てはまる項目が多い方は注意が必要です。

原因は情報処理の過剰

HSPは脳内の情報処理の過剰な働きが原因であるといわれています。例えば、小さな物音に対して普通の人が、30に感じるものが、HSPの人では100くらいに感じることがあります。

これは、脳内の情報処理が過剰に働くためです。

HSPの人は、感覚に対する処理能力がとても高いため、ちょっとした物音でも、脳内では大きな刺激として処理されてしまうのです。

神経質と精神疾患

現代のナーバスと精神疾患

現在では、神経質な人は以下の精神疾患にかかりやすいことが分かってきています。

恐怖症
特定の状況や対象が怖くなる。広場が怖い。人が怖い。とがったものが怖いなど。

不安障害
根拠のない不安を持つこと。交通事故にあうのではないか。火事になるのではないかなど。

ヒステリー
怒ったり、泣いたり感情の起伏が激しい。やや演技的である。

心気神経症
実際には病気でないにも関わらず病気と思い込む。病院の検査を繰り返したりする。

診断・チェック

ここからは神経質を改善する方法をお伝えします。成果を確認するために、定期的な診断・チェックをオススメします。

入門①認知療法,反証法

精神疾患の目安

神経質な状態は短期的で、理由がはっきりしている場合はそこまで問題ではありません。例えば、受験の1か月前、大きなプロジェクトが迫っている。こんな状態であれば、だれでもナーバスになるものです。

一方で、特に大きな理由がないにもかからず些細なことが気になって仕方がない感覚が続き、不眠、イライラ、抑うつ感が続く場合は上記に当てはまる可能性が出てきます。

3つの基本的な対処法

もしあなたが神経質で参ってしまっている場合は下記の改善策を参考にしてみてください。入門編でお伝えするのは以下の3つのやり方です。

  • 入門①反証法で神経質改善
  • 入門②暴露療法で少しずつ慣れる
  • 入門③森田療法であるがまま

いずれも長年、神経質な方へ実施されてきた心理療法です。お悩みの方は基礎として練習してみてください。

「反証」の具体的な方法

「3つの質問+現実検討」をしてみよう

さっそく入門①、反証の練習を進めていきましょう。神経質な人は、非現実な考え方をする傾向があります。この非現実な考えを現実的にしていくことを反証と言います。

具体的には以下の3つの質問を自分に投げかけるようにしてみてください。

①裏付ける証拠があるか?
神経質が現実に起こるという証拠や根拠はあるでしょうか。探してみてください。

②何%の確率で起こりるか?
本当に起こりそうな確率は何%でしょうか。数値化してみましょう。

③過去の実績の結果は?
過去に、同じようなことがあった場合、どのようなことが起き、その結果どうなったでしょうか。

+現実検討
最後に①~③までを見て、自分の考えが現実的かじっくり検討していきます。非現実的だと感じたら、考え方を修正していきます。

心配性を3つの質問に答える反証で対処

練習問題①

それではさっそく練習してみましょう。以下タロウさんの事例となりますが、ご自身に当てはめて考えて反証してみましょう。

事例 タロウさんはある朝、上司にあいさつしました。「おはよう」と返ってきたのですが、眉間には深いしわが寄っていました。神経質なタロウさんは、自分のあいさつに問題があったのでは?もしくは…何か仕事でやらかしたのかもしれない… と考え込み、仕事に手がつけられません。

反証① 「あいさつに問題があったのでは」という考えを裏付ける証拠はありますか?

反証② 「仕事でやらかした」確率はどれぐらいですか?

反証③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?


+現実検討

 

 

********解答例*********

反証① 「あいさつに問題があったのでは」という考えを裏付ける証拠はありますか?
→笑顔できちんと目を見てあいさつした。あいさつが問題である証拠はない。

反証② 「仕事でやらかした」確率はどれぐらいですか?
→たまにミスはしているが、致命的なものはない。仕事が原因で起こっている可能性は5%以下。

反証③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?
→今までも硬い表情であいさつが帰ってきたこたがあったが、それは相手が忙しかったから。その後は、笑顔で接してくれた。

+現実検討

3つの質問で反証したところ、タロウさんの神経質な考え方は、現実的ではない可能性が高いことがわかります。タロウさんは「今忙しかったのかも」と言い聞かせて、神経質な考えを止めるようにしました。

練習問題②

事例 ミチコさんは神経質な性格で、カギをかけわすれているのではないか?と考え始めると止まらなくなります。ひどい時は、1駅進んでから帰宅したこともあります。今日も1駅進むと、カギをかけ忘れたいないか?気になってきました。3つの質問を通して反証してみましょう。

反証① 「カギをかけ忘れた」証拠はありますか?

反証② 「カギをかけ忘れた」確率はどれぐらいですか?

反証③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?


+現実検討

 

 

**********解答例***********

反証① 「カギをかけ忘れた」証拠はありますか?
→カギは持ってきているし、記憶の中ではかけた気がする。確実に忘れたという証拠はない。

反証② 「カギをかけ忘れた」確率はどれぐらいですか?
→1年で実際かけわすれたことは1度もなかった。1パーセント以下。

反証③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?
→確認しに帰っても毎回カギがかかっていた。


+現実検討
ミチコさんの神経質な考え方は、現実的ではない可能性が高いことがわかります。ミチコさんは「気にしすぎかもしれない。さすがに家に戻るのは時間がもったいない」と言い聞かせて、神経質な考えを止めるようにしました。

*講師の視点
確認行為は普通は1回すれば気が済むのですが、神経質な人は何回か確認しないと気が済まないことがあります。しかし、ミチコさんのように「反証」を用いることで神経質にならず、現実的な考えに切り替えることができます。

動画で認知療法

講師川島達史が動画で認知療法を解説しています。しっかり練習したい方は参照ください。

 

認知行動療法と効果

反証練習はいかがでしたか?入門①の最後に、神経質の改善について見てみましょうMichelら(2003)は、神経質な傾向が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。

研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法を施した群と施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。結果は下の図の通りです。心配性と対処法による効果が分かる図集団認知行動療法を施した群では、治療後に心配の度合いが大幅に改善しました。ここでは心配だけを取り上げていますが、その他の不安や抑うつなども改善されていました。この研究から、集団認知行動療法が神経質の改善にもであることが考えられます。

心配性の対処法で気持ちを楽にしよう

入門② 暴露療法で少しずつ慣れる

ここまで入門①、反証法を解説してきました。入門②以降は以下の項目を練習していきます。

  • 入門①反証法で神経質改善
  • 入門②暴露療法で少しずつ慣れる
  • 入門③森田療法であるがまま

入門②,曝露療法で少しずつ克服

曝露療法とは簡単に説明すると、神経質になってしまう状況を繰返すことで克服していく方法です。以下の図をご覧ください。曝露

このように、神経質になってしまう場面も、ずっとその状況にさらされると、回数を重ねるごとに少なくなっていきます。「何度も」挑戦することから曝露療法と呼ばれています。

入門②では行動の面での改善も目指します。

入門②の神経質改善目標
・嫌な刺激に慣れる
・避けていた状況を改善
・行動力をつける
入門②,神経症を治す「曝露療法」で慣れる

入門③森田療法あるがままが鍵

森田療法は日本人である森田正馬によって考案された精神療法です。森田は神経症の症状は注意が注意を呼ぶことにより起こると考えました。これを“精神交互作用”と言います。

精神交互作用の図

心身の不快な症状にばかり注意を向けると、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。

森田療法では、不安や恐怖心は消すのではなく、あって当然だと考えて、“あるがまま”に受容することを基本とします。

入門③の神経質改善目標
・一度考えると止まらない…を改善
・神経質な考えを受け流す
・あるがままの精神が身につく
入門③神経質を改善「森田療法」

 

4つの方法で神経質な性格を緩和しよう

発展コラム

入門①~③が終わった後により深く神経質な性格を深く理解、改善したい方は発展編を参照ください。

病気の関係,種類

神経質な性格や考え方は過剰になると、全般性不安障害、心気症など様々な精神疾患にかかるリスクがあります。病気との関連を理解したい方はこちらを参照ください。

病気との関係,全般性不安障害,心気症

HSPとは何か

最近の研究では神経質になりやすい傾向として、ハイリーセンシティブパーソン=HSPの研究が盛んになってきました。音が大きいのが苦手、人間関係で傷つきやすいという方は下記のコラムを参考にしてみるといいかもしれません。

HSPの意味とは,神経過敏な人

ヒポコンドリー性基調

森田正馬は、自己の心身に病的なものがあると思い込むことをヒポコンドリー性基調と呼びました。ヒポコンドリーについて興味がある方はご一読ください。
ヒポンドリー性基調とはなにか

助け合い掲示板とお知らせ

次は入門②,暴露療法に進みます。もし興味がありましたら以下も参照ください。

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムは愛着について考え方が多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・神経質な考え方の改善
・基本的な心理療法の学習
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方は↓お知らせ↓をクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。それでは入門②に進みましょう!

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • イグアナさん
    • 2020年2月28日 10:30 PM

    それは、HSPの可能性がありますね。
    実は、自分も匂いや音に敏感です。
    確かにしんどいですし、限界に感じることもあるかと思います。
    自分は、そういう自分がめんどくさいと感じることが多いです。
    ですが、それが悪いことでもないですし、絶対に治さないといけないものでもないと思います。
    ただ、治せなくても、何か紛れるようななんていうか自分が好きなことをして、気を紛らわしたりして少しでもコントロールできたら少しは気持ち的に楽になるのかなと思います。
    あと、自分なんかは、敏感だからこそ色んな悩みがあるのですが、悩むときはとことん悩みますし、落ちるときはとことん落ちます。
    悩んでいる自分を否定しないようにはしています。
    確かにしんどいですが、自分と向き合うきっかけにもなりますし、しんどいときはぐっすりと休むほうが自分的にはリラックスできるからです。
    あとは、周りに相談するとか・・・。

    返信する
    • みつひで
    • 2020年2月28日 4:18 PM

    始めまして。私は、現在 音と匂いに過敏です。時計の秒針の音や雑音、印刷物や洋服の染料の匂いを不快に感じます。もう 限界です。どなたかアドバイスをお願いします。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.

わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望
高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989
加藤(2001)対人ストレスコーピングとBig Fiveとの関連性について 9 巻 2 号 p. 140-141