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神経質な性格を改善する,治す方法

神経質な性格を改善する,治す方法

皆さんこんにちは。
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。私達は現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。

今回の相談
「神経質な性格」

神経質について事例をもとに解説

相談者
33歳 女性 

お悩みの内容
私は昔から神経質な性格で、ずっと苦しんできました。

ウイルス気になり、外出がほとんどできない
鍵をかけ忘れたのではないかと家に確認しに帰る
相手の発言の矛盾が気になり細かく指摘してしまう

こんな状態が毎日続いています。不眠も長くあり、体も疲れ気味です。30代の後半はもう少しおおらかな自分になりたいと考えています。

どうすればいいでしょうか?

些細なことが気になってしまうと、心が休まる暇がないですね。相談者の方は、日常生活全般について、神経質になってしまう傾向があると感じました。

当コラムでは改善するための対策をしっかりお伝えします。参考にしてみてください。

神経質の意味とは?

意味とは?

まず初めに神経質の意味から抑えていきましょう。神経質は100年以上も前から心理学や精神医学の世界で使われてきた言葉で、以下の意味で使われます。

心のあり方
体の反応

が極端になっている状態

以前は神経症という病気として認定されていました。それぐらい心や体の問題と密接にかかわりがあるのです。

神経質の対象

神経質は比較的広い概念で、心と体の両方にあります。

五感が敏感
聴覚、嗅覚、触覚、温度変化など、体で感じる感覚がとても敏感な場合があります。相談者の方は肌に触れられたり、小さな音に反応してしまうので、体の器官が人よりも反応しやすい可能性があります。

エラーへの敏感さ
不均一なものを発見しやすい、不完全なものが気になる、確率が低いものを過剰に気にする場合があります。合理的な考え方が苦手な傾向があります。

人間関係の敏感
他人の表情や、雰囲気の変化に敏感、他者に対する共感力が高いなどの特徴がみられることがあります。

神経質になる原因

神経質になってしまう原因は、先天的なものと後天的なものがあります。

先天的なもの
私たちは、身長や体重や顔つきなどそれぞれ個性があります。これと同じように、脳や体の仕組みにも個性があり、五感や情報処理に偏りがある場合があるのです。

例えば、自閉症スペクトラムの方の中には、匂いにすごく敏感な方がいて、科学的な薬品の匂いに触れると具合が悪くなる方もいらっしゃいます。

後天的なもの
神経質は考え方の偏りや文化圏によっても変わってきます。例えば心理学の世界では認知の歪みという言葉があります。認知の歪みとは、極端な考え方、偏った考え方を意味します。

これは認知行動療法という手法でトレーニングをすると随分改善していきます。改善するということは、後天的な部分もあるという事になります。

どれぐらい遺伝するのか?
実際に神経質な性格はどの程度遺伝するのでしょうか?

行動遺伝学者の安藤(2000)の研究では神経質の遺伝率は41%、家庭環境は7%、外部環境が52%とされています。*性格と遺伝コラム神経質遺伝率

 

神経質と心の問題

神経質は過剰になると様々な心の問題を引き起ります。

恐怖症
神経質が過剰になると特定の状況や対象が怖くなります。例えば、広場が怖い、人が怖い、とがったものが怖い、特定に数字が怖いなど、その対象は多岐にわたります。

不安障害
神経質が過剰になると、根拠のない不安が膨らみやすくなります。例えば、ウイルスにはちょっとでも外に出ると、伝染すると考え、外出が困難になったりします。

強い不安感があるため、行動が制限され、社会生活が困難になることがあります。

ヒステリー
怒ったり、泣いたり、落ち込んだり、感情の起伏が激しくなります。様々な刺激に反応してしまうため、そのたびに感情が揺さぶられとても疲れてしまいます。

心気神経症
実際には病気でないにも関わらず病気と思い込む方がいます。病院の検査を繰り返したりすることもあります。

診断とチェック

神経質な傾向は数字にするとある程度、レベルが分かると思います。あくまで参考値となりますが、客観的な数字を知りたい方はこちらの診断をチェックしてみてください。

 

神経質を改善する5つの対策

ここからは神経質を改善する5つの方法を提案させて頂きます。

・自分の傾向を把握する
・環境を整える
・現実検討力をつける
・行動療法で少しずつ慣れる
・森田療法を学ぶ

ご自身に合いそうなものがありましたらご活用ください。

自分の傾向を把握する

まず初めに自分がどんな状態で神経質になりやすいか考えましょう。メンタルヘルスが良好な方は、自分自身を客観的に把握できることが分かっています。

神経質と言っても、比較的緩いタイミングと、すごく過敏になるタイミングがあると思います。そのギャップに答えがあることも多々あります。

まずは自分自身の神経質な傾向を整理してきましょう。

環境を整える

次に考えることは、環境設定です。

私の経験則となりますが、特に五感に関する神経質さは、先天的な問題であることも多く、改善は難しい面もあります。

例えば、音に敏感な方は、どんなに訓練をしても改善は難しい傾向があります。このような場合は自分の生活環境を整える必要もあります。

私が相談を受けた事例では、都内に住んでいた方が、思い切って静かな郊外に引っ越したところかなり症状が改善した例もあります。

自分自身が安心して過ごせる生活環境をなるべく整えるようにしてください。

現実検討力をつける

神経質が考え方の影響を受けている可能性が高い場合は、心理療法を学習していくことで改善が可能です。

カウンセリングでよく行われる手法は「現実検討力」をつける練習です。現実検討力は、

・裏付ける証拠はあるか?
・確率計算をしてみる
・むしろ別の問題が起こるのでは?

など自分の考え方を客観的かつ現実的に考えていく練習をしていきます。

例えば、

外に出るとウイルスにかかる!
絶対に外出してはいけない!

と考えている方がいたとします。この考え方が現実的か考えていきます。

外に出るとウイルスにかかるという学説はどこにもない
外に出る=感染リスクはゼロに近い

外出をしないと別の健康リスクが出る

など現実的な証拠をベースに考えていくのです。考え方に合理性を欠いているかも…と感じる方は下記の練習問題にチャレンジしてみてください。

 

それではさっそく練習してみましょう。以下タロウさんの事例となりますが、ご自身に当てはめて考えて反証してみましょう。

事例 タロウさんはある朝、上司にあいさつしました。「おはよう」と返ってきたのですが、眉間には深いしわが寄っていました。神経質なタロウさんは、自分のあいさつに問題があったのでは?もしくは…何か仕事でやらかしたのかもしれない… と考え込み、仕事に手がつけられません。

① 「あいさつに問題があったのでは」という考えを裏付ける証拠はありますか?

② 「仕事でやらかした」確率はどれぐらいですか?

③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?

 

********解答例*********

① 「あいさつに問題があったのでは」という考えを裏付ける証拠はありますか?
→笑顔できちんと目を見てあいさつした。あいさつが問題である証拠はない。

② 「仕事でやらかした」確率はどれぐらいですか?
→たまにミスはしているが、致命的なものはない。仕事が原因で起こっている可能性は5%以下。

③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?
→今までも硬い表情であいさつが帰ってきたこたがあったが、それは相手が忙しかったから。その後は、笑顔で接してくれた。

 

3つの質問で反証したところ、タロウさんの神経質な考え方は、現実的ではない可能性が高いことがわかります。タロウさんは「今忙しかったのかも」と言い聞かせて、神経質な考えを止めるようにしました。

事例 ミチコさんは神経質な性格で、カギをかけわすれているのではないか?と考え始めると止まらなくなります。ひどい時は、1駅進んでから帰宅したこともあります。今日も1駅進むと、カギをかけ忘れたいないか?気になってきました。3つの質問を通して反証してみましょう。

① 「カギをかけ忘れた」証拠はありますか?

② 「カギをかけ忘れた」確率はどれぐらいですか?

③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?

 

**********解答例***********

① 「カギをかけ忘れた」証拠はありますか?
→カギは持ってきているし、記憶の中ではかけた気がする。確実に忘れたという証拠はない。

② 「カギをかけ忘れた」確率はどれぐらいですか?
→1年で実際かけわすれたことは1度もなかった。1パーセント以下。

③ 同じような状況で、今までどんなことが起きましたか?
→確認しに帰っても毎回カギがかかっていた。


+現実検討
ミチコさんの神経質な考え方は、現実的ではない可能性が高いことがわかります。ミチコさんは「気にしすぎかもしれない。さすがに家に戻るのは時間がもったいない」と言い聞かせて、神経質な考えを止めるようにしました。

 

心配性を3つの質問に答える反証で対処

 

行動療法で少しずつ慣れる

曝露療法とは簡単に説明すると、神経質になってしまう状況に、実際にチャレンジをしていくことで克服していく方法です。以下の図をご覧ください。曝露

このように、神経質になってしまう場面も、ずっとその状況にさらされると、回数を重ねるごとに少なくなっていきます。

「何度も」挑戦することから曝露療法と呼ばれています。

具体的には
・嫌な刺激に慣れる
・避けていた状況を改善
・行動力をつける

これらのチャレンジを行っていきます。暴露療法は比較的余裕が出てきたときに行うものです。興味がある方は下記のコラムを参照ください。


神経症を治す「曝露療法」で慣れる

 

森田療法あるがままが鍵

森田療法は日本人である森田正馬によって考案された精神療法です。森田は神経症の症状は注意が注意を呼ぶことにより起こると考えました。これを“精神交互作用”と言います。

精神交互作用の図

心身の不快な症状にばかり注意を向けると、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。森田療法では、不安や恐怖心は消すのではなく、あって当然だと考えて、“あるがまま”に受容することを基本とします。

神経質を改善する古くからある手法でとてもおススメです。森田療法を知らない方はぜひ下記のコラムをご一読ください。

森田療法の基礎

まとめとお知らせ

まとめ

神経質な傾向は、心理的、身体的に負担が大きくなることもありますが、過剰になりやすい状態を分析して、避けたり、考え方を改善すればある程度は対処できるものです。

さらに言えば、偏った考え方、反応ができるということはうまく活かせば、天才的な才能として活かすことすらできるかもしれません。

皆さんがご自身の神経質さとうまく付き合っていけることを切に願いします。

講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・神経質な考え方の改善
・思考をほぐす方法
・気になって仕方がない…を改善

など練習していきます。興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

 

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • イグアナさん
    • 2020年2月28日 10:30 PM

    それは、HSPの可能性がありますね。
    実は、自分も匂いや音に敏感です。
    確かにしんどいですし、限界に感じることもあるかと思います。
    自分は、そういう自分がめんどくさいと感じることが多いです。
    ですが、それが悪いことでもないですし、絶対に治さないといけないものでもないと思います。
    ただ、治せなくても、何か紛れるようななんていうか自分が好きなことをして、気を紛らわしたりして少しでもコントロールできたら少しは気持ち的に楽になるのかなと思います。
    あと、自分なんかは、敏感だからこそ色んな悩みがあるのですが、悩むときはとことん悩みますし、落ちるときはとことん落ちます。
    悩んでいる自分を否定しないようにはしています。
    確かにしんどいですが、自分と向き合うきっかけにもなりますし、しんどいときはぐっすりと休むほうが自分的にはリラックスできるからです。
    あとは、周りに相談するとか・・・。

    返信する
    • みつひで
    • 2020年2月28日 4:18 PM

    始めまして。私は、現在 音と匂いに過敏です。時計の秒針の音や雑音、印刷物や洋服の染料の匂いを不快に感じます。もう 限界です。どなたかアドバイスをお願いします。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.

わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望
高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989
加藤(2001)対人ストレスコーピングとBig Fiveとの関連性について 9 巻 2 号 p. 140-141

心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観,安藤 寿康,講談社 (2000)