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神経質な人の特徴や改善法を専門家が解説

神経質な人の特徴や治す改善法を解説①

はじめまして!臨床心理士の森、精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの心理学・人間関係講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「神経質」についてについてお話していきます。コラム①は神経質について基礎的な話を5分程度させていただきます。目次は以下の通りです。

  • 神経質とは何か?
  • ヒポコンドリー
  • 神経質と病名
  • 認知療法で改善
  • 多角的認知を付ける
  • あるがままとは

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^) それでは早速、神経質の基礎から解説させて頂きます。

神経質について心理の専門家が解説

神経質とは何か

皆さんは神経質という言葉にどのような印象を持っていますか。一般的には、細かいことが気になる性質という意味合いで用いられることが多いですが、心理学的にどのように定義されているのでしょうか。

心理学辞典(1990)では、以下のように記されています。

外部刺激に敏感に反応する、小心で不安を示しやすい、心身の状態のバランスを崩しやすく、身体症状を示しやすい、疲労しやすい、新しい環境に適応することに困難を感じる等を示す性格傾向を神経質という。

このように、不安を感じやすく、新しい環境が苦手という意味があります。

ヒポコンドリーとは?

・ヒポコンドリーと神経質
森田療法においては、神経質などの傾向を取り除こうとして、かえって囚われてしまうことにより、神経症が引き起こされると考えます。森田は、自己の心身に病的なものがあると思い込むことをヒポコンドリー性基調と呼びました。

ヒポコンドリー性基調がある方は、現実の自分をありのまま認められることができず、絶えず否定し続ける特徴があります。何をするにも、これでいいのか?と気になってしまい、空虚感があるのが特徴です。

ヒポコンドリーをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・神経質と森田療法
・ヒポコンドリーとは
神経質の原因「ヒポコンドリー」とは②

HSPと神経質

最近では神経質に近い概念としてHPSの研究が盛んです。HSPとは、Highly Sensitive Personの略で、直訳すると「とても敏感な人」と訳されます。HSPはアメリカの心理学者エイレン・N・アーロン博士が1996年に提唱した概念で、それ以降日本でも注目されるようになってきました。神経質とも関係が近いHSPの特徴について、少し紹介していきたいと思います。

・HSPの特徴とは

刺激に敏感
聴覚や嗅覚、触覚などの体で感じる感覚がとても敏感

ちょっとしたことで動揺しやすい
些細な失敗や、他人のちょっとした言動にも大きく動揺されやすい

微妙な変化にも気づきやすい
他人の表情や、雰囲気の変化に敏感、他者に対する共感力が高い

などの特徴があります。こうした特徴は神経質な人にも共通する部分かと思います。

・HSPは脳内の過剰処理が原因

HSPは脳内の情報処理の過剰な働きが原因であるといわれています。例えば、小さな物音でも普通の人であれば、3くらい感じるものが、HSPの人では10くらいに感じてしまいます。

これは、脳内の情報処理が過剰に働くためです。HSPの人は、感覚に対する処理能力がとても高いため、ちょっとした物音でも、脳内では大きな刺激として処理されるのです。

神経質な人もこうしたHSPと共通する特性があると考えられます。そのため、神経質な人は不快な音に敏感だったり、些細な変化にも気づきやすいことが考えられます。

ご自身がHSPに該当するかどうか簡易診断してみましょう。

HSPをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・HSPの特徴
・チェックしよう
・5人に1人は神経質
神経質な気質「HSP」ってなに③

精神疾患との関係

ここで、アメリカのAssari(2017)の論文を見てみましょう。この論文では1,219人のアメリカ人を対象として、1986年とその25年後の2011年に追跡調査を行いました。その結果、白人の場合、

1986年に神経質の傾向が高かった人は、
2011年、25年後のうつ病の罹患率が高かったのです。

下の表はこの論文で調査されたいろいろな項目のオッズ比を示しています。

神経質を解説するオッズ比

オッズ比とは、うつ病などの疾患などへのかかりやすさを表す数値で、1を超えると、疾患にかかりやすいと考えることができます。神経質のオッズ比は2.55ですから、1を超えており、神経質な人はうつ病にかかりやすいと言うことができるのです。

ちなみに、神経質がうつ病と関連が深いことは、日本人を対象とした研究でも確かめられています(今野ら, 2016)。敏感で気にしやすい傾向が強いと将来うつ病にかかりやすいとは、深刻な話です。

精神疾患との関係をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・うつ病との関連
・神経質と病名一覧
神経質と「精神疾患」の関係とは④

神経質簡易診断でチェック

神経質簡易診断を作成しました。ご自身の状況を把握したい方は、コラム1を概観した後、一度診断してみることをお勧めします。
神経質診断でチェック⑤

神経質3つの改善法

ここからは神経質の解決策について具体的に考えて行きましょう。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね。

① 認知療法で反証

・認知行動療法の反証
認知行動療法の反証とは、その考えが現実的なのか?を検討する方法で、
・神経質な考えが起こる確率は?
・その不安に根拠があるのか?
・本当に深刻な状況になるのか?

などと現実的な考えを導き出すための方法です。神経質な人は、考えすぎるあまり、現実的でない心配までしてしまうことがあります。こうした、考えの歪みを「反証」を使って修正することで、心配な気持ちを和らげることが期待できます。

Michelら(2003)は、神経質な傾向が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。

・反証の好影響
研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法を施した群と施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。結果は下の図の通りです。心配性と対処法による効果が分かる図集団認知行動療法を施した群では、治療後に心配の度合いが大幅に改善しました。ここでは心配だけを取り上げていますが、その他の不安や抑うつなども改善されていました。この研究から、集団認知行動療法が神経質の改善にもであることが考えられます。

認知行動療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・反証の具体的な方法
・実践するため質問集
神経質の治し方「認知行動療法で反証」⑥

心理学講座について♪

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② 多角的認知を付けよう

・選択的注目とは
ひとつのことに執着しすぎるタイプの神経質な人には、“ネガティブな選択的注目”という認知の誤りが多くあります。ネガティブな選択的注目とは、プラスの面には目もくれず、些細なネガティブな事だけを重視する認知のありかたです。

例えば、
上司から言われた中に
たった1つマイナスな
評価があったとします。

この時神経質な人はたとえ全体的には褒められていても、“自分は悪く評価されている”ことが気になってしょうがないのです。神経質な方はこうした選択的注目ばかりしていると、落ち込みや不安、怒りなどの不快な気持ちになりがちです。

そこで選択的注目をやめて、多角的な視点で捉え直すことができれば平常心でいられそうですね。例えば、1つマイナス評価があったら、全体としては褒められた。頑張った甲斐があった!こんな風に考えられるといいですね。

こうした、多角的認知を付けるには具体的な方法があります。

多角的認知をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・選択的注目
・ヨシオさんの事例
・練習問題で実践
神経質な性格は「多角的認知」を付けよう⑦

③ 曝露療法で少しずつ克服

・曝露療法とは何か
曝露療法とは簡単に説明すると、神経質が弱い場面から1つ1つ克服していく方法です。何度も不安場面を体験していくことで、どんどん不安が低下していきます。以下の図をご覧ください。曝露

このように、回数を重ねるごとに不安が少なくなっていきます。具体的には、不安度合いを低いものから高いものへと順に記した不安階層表に活用します。まずは、不安度が低い場面に「何度も」曝露することで、一段ずつ克服していきます。

不安階層表

ここで大事なことは
「神経質にならないことが目的ではない」
というこです。これは絶対に押さえておきましょう。神経質を克服するのではなく、
「神経質によって必要な行動を回避する癖
を克服するのですね。この点を間違えないようにしましょう。

曝露療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・スモールステップとは
・練習問題で理解しよう
神経症を治す方法「曝露療法」で恐怖に慣れよう⑧

④ 森田療法あるがままが鍵

・森田療法とは
森田療法は日本人である森田正馬によって考案された精神療法です。森田自身、幼少の頃から神経症症状に苦しみ、大学生の時には神経衰弱と診断されて服薬もしていました。ある時、服薬をやめて一生懸命に勉強に励んだところ、苦しかった症状がなくなるという経験をします。これが森田療法につながったと言われています。

・精神交互作用
では、なぜ神経症の症状は生まれるのでしょうか。それは、お腹が痛い、心臓がどきどきする、緊張するなどの不快な症状に注意を向けることで症状が強まり、ますます注意が向く…という悪循環が起きるからです。

これを森田療法では、“精神交互作用”と言います。

精神交互作用の図

心身の不快な症状にばかり注意を向けると、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。

例えば、

なかなか眠れない時で考えてみましょう。眠れないことに注意を向けて焦ってしまうと、余計に眠れなくなりますね。まずは、些細なきっかけに注意を向けすぎて、自ら症状を作り出す悪循環が起きていることに気づくことが大切です。そして、

悩みを取り除こうとせず「眠れないなら眠らなくてもよい」とあるがままの姿勢になりましょう。このように、森田療法では、不安や恐怖心は消すのではなく、あって当然だと考えて、“あるがまま”に受容することを基本とします。

森田療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・神経質と執着の関係
・あるがままを実践
神経質を改善するなら「森田療法」不安や恐怖の感情をコントロール⑨

 

4つの方法で神経質な性格を緩和しよう

神経質と付き合う

コラム1の最後に私のクライエントさんの例をお話しします。エミコさん(20代会社員)は次のような状態で、生きているだけでしんどいという心境になっており、カウンセリングに訪れました。

・子供の頃から人見知り
・他人のひと言ですぐに傷つく
・誰かが笑うと笑われていると考える
・仕事を完璧にやろうとする
 ため体調を崩す

医師によると、うつ状態ということでした。エミコさんは、自分の性格が神経質だと分かっており、それを何とか治したいと強く訴えました。

神経質について事例をもとに解説カウンセリングでは、少し時間をかけながら、神経質をなくすのではなく、うまく付き合っていく方法を考えることにしました。そこで、先ほど挙げた方法を一緒に試し続けました。

その結果、
「他者に対して敏感になってしまうのはもともとの性格で完全には治せないけれど、捉え方のバリエーションを増やしたり注意を逸らしたりすれば、ずいぶん楽にいられる」

と考えることができるようになりました。今もカウンセリングは続いていますが「自分が笑われているとは感じないようになった」
「仕事も休憩を取りながら疲れすぎないようにやれている」

そうです。神経質な性格は、ある程度遺伝的な傾向もあるので、完全に修正することはできないですが、うまく付き合っていくことはできるのです。

ツライ気持ちと上手く付き合う

神経質には、粘り強い、忍耐力がある、向上心が高いなどの長所もたくさんあります。そうした面は勉強や仕事ではとても重宝され、信頼されます。

このような特性は活かしつつ、落ち込みやとらわれを少なくできれば、生活がしやすくなります。このコラムを読んで、ぜひ神経質とうまく付き合っていけるようになってくださいね。

次回は、「ヒポコンドリーと神経質」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★神経質はうつ病と関連が深い!3つの方法で対処しよう
心理学講座

目次

①神経質な人-概観
②ヒポコンドリー
③「HSP」ってなに
④「精神疾患」の関係
⑤神経質診断でチェック
⑥「認知行動療法で反証」
⑦「多角的認知」を付けよう
⑧「曝露療法」で恐怖に慣れよう
⑨「森田療法」で受け入れよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
青木万里(2015)森田療法的アプローチによる心理教育―日記療法の手法を用いて―. 鎌倉女子大学紀要, 22, 23-33.
今野千聖・鈴木正泰ら(2016)一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究. 日大医誌, 75(2), 81-87
Assari (2017) Neuroticism predicts subsequent risk of major depression for whites but not blacks. Behavioral Sciences, 7,64.

わが国における 「神経質」 に関する研究の歴史的展望
高嶋正士, 共立女子大学 – 基礎科学論集: 教養課程紀要, 1989
加藤(2001)対人ストレスコーピングとBig Fiveとの関連性について 9 巻 2 号 p. 140-141