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マズローの欲求5段階説の意味とは

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マズローの欲求5段階説の意味とは

みなさんこんにちは!公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「マズローの欲求5段階説」です。

コラムを読み進めていくと、基本的な知識を抑えることができると思います。ぜひ最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

5段階説の意味とは

提唱者

マズローの欲求5段階説は、アブラハム・ハロルド・マズロー によって提唱された理論です。マズローはニューヨークで1908年生まれ、1970年に亡くなりました。

マズローの両親はユダヤ人で、貧しく、差別に苦しんでいました。母親との折り合いも悪く、友達もいなかったようです。外にも中にも平穏な日常はなかったとされています。一方で唯一、両親は教育熱心だったようです。

*マズローの生前の様子

マズローは、大学入学当初、法律を学んでいましたが、成績不良で大学を中退してしまいます。その後は心理学に関する複数の大学と大学院に進学し、研究を続けていきます。

マズローは1943年の論文「A Theory of Human Motivation」にて、初めて欲求5段階説を提唱します。「1」その後、1954年に「Motivation and Personality」「2」という本を出版し世界中に5段階説は広がっていきました。

マズロー,モチベーションとパーソナリティ

最終的に、ニューヨーク市立大学、ブランダイス大学で教授を勤め、アメリカ心理学会の会長にもなり、心理学の世界に極めて大きな影響を及ぼしました。

・1950年~1970年代
1950年代後半に経営学者でマサチューセッツ工科大学教授のダグレス・マグレガーによって、欲求5段階説をべースとしたリーダーシップ理論「X理論-Y理論」が提唱されます。このことがきっかけとなり、経営学でも活用される用語となりました。

・1960年代
1967年代、マズローは「人間性心理学」の重要性を訴えました。「3」自己実現、創造性、主体性、美、倫理などこれまで心理学が扱ってこなかった分野への研究を開拓しました。

さらに、1969年には人間性心理学を設立し、より超越的な欲求にもフォーカスを当てて研究を行いました。

・1990年代
ヴァージニア・ヘンダーソン(1995)「看護の基本となるもの」は看護界の基本的な文献ですが、この中でヘンダーソンは”基本的欲求”を紹介しています。

それは、マズローの基本的欲求と類似しているという指摘があり、看護の世界でも目にするワードになりました。

 

定義

心理学辞典(1999)によると、マズローの欲求5段階仮説(自己実理論)は以下のように定義されています。

人間の動機ないし欲求に力点置いた人格理論であり

①生理的欲求 ②安全欲求 ③所属と愛情欲求 ④自尊欲求 ⑤自己実現欲求

という五つの欲求を階層的に捉えているが特徴である。自己実現欲求はその最高段階に位置づけられ、これは、より低次の欲求が満たされて初めてその人にもたらされるものと考えられている。

つまり、人間の欲求は5つのステップで構成されており、欲求が満たされると、より次の階層の欲求が表れるとされるという理論になります。

マズローが示した欲求5段階とは、具体的には以下のようなピラミッド構造になっています。

マズローの欲求5段階説とは

段階ごとの意味

それでは、具体的に段階ごとの欲求をより詳しく解説していきます。イメージしやすくするため、最下層の生理的欲求から解説していきます。

①生理的欲求

日常生活を送るための基本的・本能的な欲求マズローの欲求5段階説 生理

「食欲」「睡眠欲」「排泄欲」といった体の働きにかかわる欲望ですね。人間に関わらず、動物であれば根本的に備わっており、生命維持の欲求と呼んでもよいでしょう。

私たちはなにはさておき、生きていかなくてはなりません。ピンチの時は他の感情よりも、基本的な生き延びる欲求が優先されます。

②安全欲求

危険を回避し、安全・安心な暮らしを求める欲求安全欲求

生理的欲求が満たされると、次にもとめるのが安全欲求です。天災、戦争、犯罪、経済的危機のない安全な生活を求めます。

法律、保険、警察、年金制度などはこの安全欲求が関わっています。

 

③所属と愛情欲求

グループに属し、仲間を求める、愛情を求める欲求マズローを理解

生理的欲求、安全欲求が満たされると、私たちは人間関係に目が行くようになります。

人間は社会的動物と言われています。一人で生きていく動物ではなく、たくさんの人と協力してはじめて生きていけるのです。

例えば、春の新生活をイメージしてみてください。クラス替え、中学・高校・大学・社会人と環境が変わる度に、周囲と馴染めるだろうか…という不安がありますよね。これは、所属と愛情欲求によるものと考えられます。

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④自尊欲求(承認欲求)

自尊欲求

他者から認められたい 尊敬されたい 尊重されたい という欲求

所属と愛情の欲求が満たされると、承認欲求が出てくるとされています。

人間関係の渦に飛び込むと、誰かに認められたい、地位を保ちたい、人気者になりたい、大事にされたい、という欲求が芽生えてくるのです。

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⑤自己実現欲求

人の欲求

自らの内にある可能性を実現する 自分の使命を達成 人格内の一致・統合をめざす

マズローによれば、自己実現欲求は最上位の欲求であるとされています。

様々な基本的な欲求が満たされると、私たちは、人生とはどうあるべきか?を考え始め、自分なりの人生を追求していくことになります。

自己実現欲求は、自我が芽生えた人間だけの欲求です。自我とは「自分」を意味します。私たち人間は、「自分」というものを発見し、一度しかない自分の人生をどう生きていけばいいのか?自問自答していくのです。

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欠乏欲求,成長欲求

欠乏欲求

マズローは①生理的欲求、②安全欲求、③所属と愛情欲求、④自尊欲求は欠乏欲求と分類していました。欠乏欲求は、D(Deficiency)動機と呼ばれることもあります。

欠乏欲求は足りないものを満たそうとするような欲求になります。そして、欠乏欲求は満たされると、それ以上は湧き起らないという性質があります。

例えば、お腹が減っていて、ご飯を食べ、満腹になるとそれ以上食べたいとは思いのが典型的です。欠乏欲求が満たされるとより高次の欲求が出てくるのです。

 

成長欲求

これに対して⑤自己実現欲求は成長欲求と分類されています。成長欲求は、B(Being)動機と呼ばわれることもあります。

成長欲求は永続的なもので、1つ満たされると、次の欲求が出てきます。例えば、メジャーリーガーのイチロー選手は、日本で首位打者を取り、アメリカでも首位打者を取り、さらに最多安打を獲得しました。現在は、野球の普及活動に活動的です。

5段階仮説,欠乏欲求,成長欲求

日常生活での活かし方

マズローの欲求5段階説はいかがでしたか。最後に日常生活での活かし方を提案させて頂きます。

モチベーションの基準にする

最近、モチベーションが上がらないという方は、自分がどの段階にいるのをかを把握して、上を目指してみてはいかがでしょうか。

例えば、日々の生活すら困っている段階で、自己実現を目指すのは少々負担が大きいかもしれません。思い切って、目の前の生活費を向上させるという目標を立ててもいいかもしれません。

逆に日々の生活が満たされ、愛情にも満たされた生活をしているにも関わらず、どこか充実感がない場合は、何らかの目標を見つけ、チャレンジしてもいいかもしれません。

ビジネスでの活かし方

ビジネスに使うのであれば、顧客がどのような欲求を持っているのかと、ターゲット設定をするために活用することもできます。

例えば、生活に困窮している方に、自己実現の提案をしてもピンとこないでしょう。逆に、すでに基本的な欲求が満たされている方に、安全欲求に関する商品を提案しても腑に落ちないでしょう。

経営者であれば、少額の賃金しか支払っていないのに、社員に自己実現を求めるのは、本末転倒です。逆にすでに十分な福利厚生を与えている場合は、新しいプロジェクトを任せて自己実現にチャレンジしてもらうなどもいいかもしれません。

心理学講座のおしらせ

マズローの欲求5段階仮説はいかがでしたか?日常生活でも充分活かせる心理学ですよね。是非ご活用ください。

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でもっと心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理学の基礎
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など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お待ちしています♪

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

出典・参考文献
Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review, 50(4), 370–396.
Maslow, A. H. (1954). Motivation and personality. Harpers.
村川治彦 アメリカにおけるニューエージ運動の源流とその特徴  P18
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
Henderson V.(1995).看護の基本となるもの.湯槇ます,小玉香津子訳.17-20.東京:日本看護出版会.