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SNS疲れを改善する方法‐診断もあり

SNS疲れの原因と対策-精神保健福祉士が解説

みなさんはじめまして!社会心理学の専門家・精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「SNS疲れ」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • SNSの現状と問題
  • 診断・チェック
  • SNS疲れのデメリット
  • 社交性が高まるメリットも
  • 依存症の特徴と問題
  • SNS疲れを緩和する3つの方法

それでは早速心理学の研究を紹介しながら解説させて頂きます。

SNSの現状と問題

皆さんはLINEやTwitter、InstagramなどのSNSを利用していますか?日本国内のSNS利用者数は2020年末には7,900万人を超えるといわれています。これは、インターネットユーザの約8割を示す数字です。ソーシャルメディア(SNS)は、日本はもとより世界中に定着し日常生活に欠かせないツールになっています。

一方で楽しむために始めたはずのSNSが

「以前の様にSNSを楽しめない…」
「SNSに疲れた…」
「SNSの事を考えると気が重い…」

など、SNSに「疲れ」を感じる人が多くなっています。

総務省「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2019年9月)によると、特に10代に関して平成29年度の調査と比べて大幅に増加傾向にありました。

10代のSNS平均利用時間比較総務省調べ

厚生労働省研究班(代表・尾崎米厚鳥取大教授)の調査によると、ネット依存が疑われる中高生は全国で推定93万人に上ることが分かっています。

SNSを利用するときには、スマホなどのモバイル機器を使うため、知らず知らずのうちに長時間利用してしまうのかもしれません。一方でSNSには友達とつながることができる、時間を選ばない、情報が豊富に得られるなどもメリットもあります。そこで、当コラムではSNSのメリットとデメリットを中立的な立場からお伝えしたいと考えています。

SNSへの依存は孤独感を強める

SNS疲れ‐問題点とは?

まずはSNS疲れのデメリットについてみていきましょう。SNSは効率よく他人コミュニケーション取るためには非常に便利なツールですが、酷使すると心身ともに疲弊してしまうことが分かっています。具体的には
①身体的リスク
②時間の浪費
③依存症リスクです。
動画での解説もあります。テキストがお好みの方はそのまま飛ばして読み進めてください。

SNS疲れデメリット①-身体的リスク
河合ら(2011)の同研究では、SNSには以下のような問題があることが分かっています。調査の結果、以下のグラフのようなデメリットがあることが確認できました。「視力の低下」や「睡眠不足」など身体的な問題を悪化させるリスクがあることが分かりますね。

SNS依存と利用実態とその影響

朝から昼間にかけての時間は学校や会社にいる人がほとんどなため、SNSの利用は主に「夜間」であると考えられます。ネット上でのコミュニケーションが盛り上がると、やり取りが深夜まで続いてしまい、結果として睡眠時間は大幅に削られてしまいます。

睡眠は、「身体的な健康」や「精神の安定」に強く関係しますので、このような生活を長く続けると心も体も不健康になってしまいます。

実際に依存症専門外来・久里浜医療センターの中山(2015)先生のトルコの中高生を対象にした調査では、BMI(体格指数)25以上(正常値22)の人は、インターネット依存が無い人と比べて、ネット依存している人BMIがかなり高い割合だったことが示されています。

BMI指数25以上でのネット依存の割合

最悪の場合、身体の炎症から様々な不調が起きたり、うつ病を発症するなど深刻化する可能性があるため、注意が必要です。

SNS疲れデメリット②-時間の浪費
SNSのデメリットは身体的なリスクだけにとどまらず、「将来のために使う時間」や「趣味の時間」などの大切な時間を失うことも念頭に置かなくてはなりません。以下のグラフはSNSによって「どんな時間を犠牲にしたか?」を調べたものです。

ソーシャルの利用実態とその影響

ネット上でのコミュニケーションは「楽しい」ものですが、一方で「勉強」「趣味」「仕事」などやるべきことに手を付ける時間が少なくなってしまいます。その結果、インターネット上では友達が多いものの、人生に充実感がない、仕事や勉強がうまくいかないといった副作用が現れてしまうのです。

このように、SNS疲れには健康に害を与えたり、時間を浪費してしまうことが問題だと言えます。依存せずに、必要に応じて活用する必要があるかもしれません。

SNS疲れデメリット③-依存症リスク

日常生活に欠かせないSNSですが、SNS上の人間関係に傾倒しすぎてしまうと、依存症のリスクが増します。SNS依存とは「SNSを利用したい気持ちを自分の意思でコントロールできない状態」
の事です。

・ネット依存症の死亡例
インターネット依存は、世界的に見ると、欧米諸国よりも中国や韓国・日本などのアジア圏において、問題が深刻化しているようです(中山,2015)。特にショッキングな事例としては、2002年に韓国光州のインターネットカフェで、86時間不眠不休でオンラインゲームを続けた24歳男性が「急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」で死亡しました。

この事態を受けて、韓国では「青少年夜間ゲームシャットダウン制」を導入したり、学校での入学時スクリーニングを行い、インターネット依存の早期発見・防止策を講じているとのことです(大嶋ら,2017.ほか、 日経電子版2013.8.16付記事 等)。

・6割の学生がネット依存傾向
2011年7月より、日本で最初に依存症外来を設立した久里浜医療センターの報告によると、従来のネット依存の傾向は、オンラインゲームが多かったようです。しかしこの報告がなされた2011年ごろから、スマートフォンの普及によってSNSへの依存が急速に増大し、かなり深刻な事態になりつつあったようです。

大嶋ら(2017)の大学生を対象にしたインターネット依存に関する調査を行いました。調査では、キンバリーヤングの依存度テスト(Internet Addiction Test)日本語版を使用しています。その結果、問題ユーザーとみなされた学生は55%、重篤問題ユーザーとみなされた人は5.8%でした。

つまり学生の60%以上インターネット依存傾向があるということになります。

ネット依存度テストの得点

調査では、同時に同じ学生らにスマートフォンの使用について質問をしています。どの学生も1日おおよそ3-5時間くらい使用し、歩きスマホもたまにしてしまうと答えた人が多くいました。このように、我々の生活の中で、気付かない間にどんどんとスマホやネットに対する依存度が高まっていっているようです。

・SNS依存がトップ
インターネット依存の中でも、SNSなどのコミュニケーションに関する依存度は、特に高いことが分かっています。下記はスマートホン保有者のインターネット利用目的の中で、高い依存傾向がある率を示したグラフです。SNSの利用は、他の利用目的と比較して依存傾向の高い人が多いことが分かります。SNSの利用に関して依存傾向が高い事を示すグラフ・女性がなりやすい
総務省・安心ネットづくり協議会(平成23年)は、インターネットと依存との関係について、携帯電話向けサービスの利用者を対象に、依存傾向について調査を行いました。

SNS疲れが強いのは女性が多い

厳し目の基準で依存
3.8%
緩やかな基準で依存
11.0%
性別でみると男性よりも女性の依存傾向が強い結果となりました。

SNSのメリットとは?

続いて、SNSのメリットを考えていきましょう。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
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SNSのメリットは、
・遠くにいる友達とコミュニケーション
・長い間連絡しなかった友人と再会できる
・同じ趣味をもった人と出会える
・知らない分人の考え方に触れる
・地位の違う人の考え方を知る

等、「コミュ力UP」の効果が期待できると考えられます。実際に、河合ら(2011)の研究では、「SNSのメリット、デメリット」について調査が行われています。日本最大級のSNSのユーザー約1500万人に対してアンケート調査を行いました。そのうち、71,926ユーザーからの回答があり、以下のようなメリットがあることが分かったのです。

SNS依存と利用実態 

最も大きなメリットは「人との交流」です。現実に顔合わせなくとも他者とつながることができるSNSの特徴を考えればうなづけるところでしょう。しかし、少し意外なのは、現実のコミュ力も上がることです。ネット上のコミュニケーションにハマっている人は、現実ではおとなしいイメージを持たれがちですが、実際には社交性が高まっているのです。

SNSは、文字はもちろん写真や動画も送付する事ができるため、リアルな情報をより手軽でスピーディーにやり取りすることができます。その他、SNSは現実世界ではなかなか得られない人間関係や情報の広がりを作ってくれるため、SNSは日常生活に欠かせないコミュニケーションツールといえますね。

簡易診断:SNS疲れをチェック!

当コラムではSNS疲れについて簡易診断を作成しました。現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。一度診断してみることをお勧めします。

SNS疲れ診断とチェック!②

SNS疲れを緩和する方法

依存症状は波があることが多いため、家族など周囲がSNS依存と捉えることができず、症状を悪化させてしまうケースがあります。特にスマートフォンなどで行う機会が多いため、周囲の目が行き届きにくくなります。

SNSに疲れを感じたり、利用に関して気になることがあれば、早めに対策することが依存症の回避につながります。ここからは、SNS疲れを緩和するための「上手な付き合い方」を3つご紹介します。

1:マイナスとプラスを知ろう

SNS疲れの症状は、特に真面目な人に出やすい傾向があります。SNSへのアクセスに義務感を覚えたり、ネット上の人間関係に気遣いをするなど、心身共に疲れてしまいます。

まずは、自分の状況を客観的に捉えて「SNSに疲れている自分」に気付くことからはじめます。そして、利用することで「失うもの」「得るもの」を紙に書きだし、どれぐらいの利用なら自分にとって「バランスが良いか」を考えましょう。

自分の状況について冷静に考えることで、適切な利用方法が見えてきます。

SNS疲れの対策を心理学の専門家が解説

例えば
「失うもの」
・家族との会話
・友人と遊ぶ時間
・趣味の時間
・健康

「得るもの」
・新しい出会い
・タイムリーな情報
・友人の状況がすぐにわかる

「バランス」
・平日…SNSは1日2~3時間
・休日…家族や友人と過ごす・趣味の時間を優先

自分が納得できるバランスで決めましょう。

2:ルールを作る

SNSに疲れている状況に気付けたら、利用制限のルールを決めて回復を目指しましょう。ポイントは、自分にとって無理がない「具体的なルール」にすることです。しっかり守っていくことで自分にとってバランスの良いSNS利用ができます。

時間や場所の制限で対策例えば
「時間の制限」
・23時以降は使わない
・1日1時間以内にする
・土日、祝日は使わない

「場所の制限」
・移動時間のみ
・塾にはもっていかない
・会社ではロッカーにしまう

また、SNSでの投稿に「即座に返信(即レス)しない」という利用制限もオススメのルールです。相手に「即レスしない人」というイメージをもってもらうのも、自分が楽しむために必要です。

即レス癖のある方は
「2~3時間程度で返信する」
など、自分にとって無理のない制限ではじめてみましょう。

3:ハマれるものを探す

家族や近隣の人とあいさつをしたり、会話をするなど現実世界でのコミュニケーションを増やすことは、SNSへの傾倒を減らすことにつながります。可能ならカフェや飲み屋、地域のボランティア活動など、継続して関われるコミュニティに所属することができると、安定したメンタルヘルスを保つことができます。

特に、健康的でハマることができるコミュニティに所属するのはオススメですね。

例えば、
・ヨガ
・サッカーサークル
・楽器演奏
・ジム  など

現実世界でのコミュニケーション機会を増やすことを意識して、SNSに傾倒しない場所づくりをしていきましょう。

孤独感を強めない方法

ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

SNS疲れは早めの解消を心がけよう

SNSのメリット、傾倒することの問題、上手に付き合っていくポイントを解説しました。いかがでしたか。SNSの改善には時間がかかるかもしれません。しかし、ゆっくりでもしっかり対処していけば必ず回復が目指せます。自分なりのルールを決めてじっくり対処してSNS疲れを緩和していきましょう。

★3つ対策でSNS疲れを緩和!現実世界とSNSはバランスが大切

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
総務省(2019)平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000082.html
河井大介(2014).ソーシャルメディア・パラドクス―ソーシャルメディア利用は友人関係を抑制し精神的健康を悪化させるか社会情報学, 3, 31-46
片山友子 水野(松本)由子 (2016) 大学生のインターネット依存傾向と健康度および生活習慣との関係性 総合健診 2016年43巻6号,9-15
総務省 平成26年版 情報通信白書 第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト, 第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築
河井ら(2011)SNS依存とSNS利用実態 日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 26(0), 265-270, 2011
大里貴子・松本さゆり・五味愼太郎,他「大学生におけるインターネット依存と学年ならびに日常生活状況の関連性に関する調査」,Campus Health,51,195-197,2014.
小寺敦之(2013),「『インターネット依存』研究の展開とその問題点」,東洋英和女学院大学『人文・社会科学論集』31.
Canan F,Yildirim O,Yildirim T, et al:The relationship between internet addiction and body mass index in Turkish adolescents.CyberPsychol Behav Soc Netw,17,40-45,2014.
佐藤 寛・松原正平・石川信一・高橋 史・佐藤正二(2014),「発達的観点に基づくインターネット依存の疫学調査」,研究助成論文集(50),68-76,明治安田こころの健康財団.
中山秀紀(2015),「特集:現代の若者のメンタルヘルス 若者のインターネット依存」,日本心身医学会,55:1343-1352.
三原聡子・前園真毅・橋本琢磨,他「わが国成人におけるインターネット嗜癖者数の5年間の変化.日本アルコール・薬物医学会抄録集,p210,2014.