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SNS疲れの症状と5つの対策,簡易診断

SNS疲れの症状と5つの対策,簡易診断

皆さんこんにちは!
公認心理師の川島です。

今回のテーマは
「SNS疲れ」
です。


全体の目次
・SNSの利用状況
・デメリットとメリット
・簡易診断,チェック
・5つの解説策

はじめに

ソーシャルメディア(SNS)は、日本はもとより世界中に定着し日常生活に欠かせないツールになっています。一方で楽しむために始めたはずなのに

「以前の様にSNSを楽しめない…」
「キラキラしている人ばかりで疲れる…」
「コメントが気になって学力があがらない…」

など、SNSに「疲れ」を感じる人が多くなっています。SNSは私たちの敵なのでしょうか?味方なのでしょうか?当コラムではSNSを健康的に使用する方法をしっかりお伝えしていきます。

SNS疲れ

 

SNSの使用状況

まずはじめにSNSの利用状況を確認していきましょう。

利用人数

日本国内のSNS利用者数は2020年末には7,900万人を超えるといわれています。これは、インターネットユーザの約8割を示す数字です。

特に若い人でLINEやTwitterを使っていない人を探す方が難しい時代になってきています。

SNSの利用は90分を超える

総務省のメディアの利用時間に関する調査によると、10代のSNS利用時間は90分以上になっています。平成29年度の調査と比べて大幅な増加傾向にあります。

10代のSNS平均利用時間比較総務省調べ

1日90分とすると1日の活動時間の10%近くをSNSで過ごしていることになります。現場感覚としては、過剰になっていると感じています。

 

SNSの光と影

SNSは、私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか?デメリットとメリットの両面から考えていきましょう。以下それぞれを折りたたんで記載しました。気になる項目を展開してみてください。

 

デメリット

河合ら(2011)は、SNS依存のある方とない方の比較研究を行いました。以下の図をご覧ください。

SNS依存と利用実態とその影響

SNS依存傾向がある方は、ない方に比べて「視力の低下」や「睡眠不足」など身体的な問題を悪化させるリスクが高いと分かります。

加えてネット上でのコミュニケーションが盛り上がると、やり取りが深夜まで続いてしまいます。そのため、結果として睡眠時間は大幅に削られてしまいます。

依存症専門外来の中山(2015)はトルコの中高生を対象に調査を行いました。その結果、BMI(体格指数)25以上(正常値22)の人は、ネット依存傾向があることがわかりました。

BMI指数25以上でのネット依存の割合

SNSを利用している時は、身体を動かすことなく姿勢が一定となりがちです。そのため血液の循環が悪くなり、体つくりにも悪影響を与えます。

2002年韓国光州で起きたショッキングな事例があります。インターネットカフェで、86時間不眠不休でオンラインゲームを続けた24歳男性が「急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」で死亡したのです。

この事態を受けて、韓国では「青少年夜間ゲームシャットダウン制」が導入されました。学校での入学時スクリーニングを行い、インターネット依存の早期発見・防止策を講じているとのことです(大嶋ら,2017.ほか、 日経電子版2013.8.16付記事 等)。

長時間SNSを利用することは、「将来のために使う時間」や「趣味の時間」などの大切な時間を失うことも念頭に置かなくてはなりません。

以下のグラフはSNSによって「どんな時間を犠牲にしたか?」を調べたものです。

ソーシャルの利用実態とその影響

ネット上でのコミュニケーションは「楽しい」ものです。しかし一方で「勉強」「趣味」「仕事」など、やるべきことをする時間が少なくなってしまうのです。

・ネット依存症とは

日常生活に欠かせないSNSですが、SNS上の人間関係に傾倒しすぎてしまうと依存症のリスクが増します。SNS依存とは「SNSを利用したい気持ちを自分の意思でコントロールできない状態」の事です。

・ゲーム依存からSNS依存への広がり
2011年7月より、日本で最初に依存症外来を設立した久里浜医療センターの報告によると、従来のネット依存の傾向は、オンラインゲームが多かったようです。

しかしこの報告がなされた2011年ごろから、スマートフォンの普及によってSNSへの依存が急速に増大し、かなり深刻な事態になりつつあったようです。

・6割の学生が依存傾向

大嶋ら(2017)は、大学生を対象にしたインターネット依存に関する調査を行いました。その結果、

問題ユーザー
とみなされた学生は55%
重篤問題ユーザー
とみなされた人は5.8%

でした。

ネット依存度テストの得点

調査では、同時に同じ学生らにスマートフォンの使用について質問をしています。どの学生も1日おおよそ3-5時間くらい使用し、歩きスマホもたまにしてしまうと答えた人が多くいました。

下記はスマートフォン保有者のインターネット利用目的の中で、高い依存傾向がある率を示したグラフです。SNSの利用は、他の利用目的と比較して依存傾向の高い人が多いことが分かります。SNSの利用に関して依存傾向が高い事を示すグラフ

総務省・安心ネットづくり協議会(平成23年)は、携帯電話向けサービスの利用者を対象に、インターネット依存傾向についての調査を行いました。

SNS疲れが強いのは女性が多い

厳し目の基準で依存
3.8%
緩やかな基準で依存
11.0%

性別でみると男性よりも女性のネット依存傾向が強い結果となりました。

 

メリット

SNSは「人との交流」を促進します。河合ら(2011)は、SNSについての大規模調査を行い、71,926ユーザーの回答を分析しました。

その結果、依存傾向がある方は、現実の友人数も多いことが分かりました。

SNS依存と利用実態SNSで頻繁にやり取りをすることで、現実のコミュニケーションも促進されるといえそうです。

河合ら(2011)の研究から、SNSを活発に行う方は、現実でのコミュニケーション力が高い傾向にあることがわかりました。下図の一番下の項目をご覧ください。

SNS依存と利用実態

現実のコミュ力は依存者の方が高いことがわかります。なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

・現実の友人との交流機会
SNSをよく使う方は現実の友人数も増える傾向にあるため、社交性が高まると推測されます。

・SNS上でもマナーは求められる
SNS上とは言え、所詮は人間同士のやり取りです。悪口を書き込む人は嫌われますし、人と楽しませる文章を書く人は好かれます。

この意味では、SNSでの経験もコミュニケーション能力を向上させる1つの要因になっていると推測できます。

SNSのメリットの1つに表面的な人間関係が生み出す価値があります。表面的な人間関係が多い方は、情報網が広く、偏った考え方になりにくく、バランスがよくなります。

こちらは動画を作成したので興味がある方はご覧ください。 

 

簡易診断でSNS疲れをチェック

このようにSNSはデメリット、メリットがありますが、過剰になるとやはり危険になってきます。下記でご自身の状況を把握しておきましょう。

 

SNS疲れを緩和する方法

SNSに疲れを感じる場合は、SNS依存の入り口に入っていると言えます。ここからは、「SNSとの上手な付き合い方」を5つ提案いたします。

・マイナスとプラスを紙に書きだす
・ルールを作る
・メタ認知力をつける
・打ち込むものに集中する
・現実のコミュニケーションを大事に

ご自身の生活に組み合わせてみてください。

 

マイナスとプラスを書き出す

SNS疲れの症状は、特に真面目な人に出やすい傾向があります。SNSへのアクセスに義務感を覚えたり、ネット上の人間関係に気遣いをするなど、心身共に疲れてしまいます。

まずは、「長時間利用し続けると失うもの」を紙に書きだしましょう。

失うもの例
家族との会話 友人と遊ぶ時間 趣味の時間 身体の健康を害する 心の健康を害する 勉強時間を失う

このように紙に書きだすことで、デメリットを自覚し、SNSに依存しない意識を高めることができます。

SNS疲れの対策を心理学の専門家が解説

ルールを作る

SNSに疲れている状況に気付けたら、利用制限のルールを決めます。ポイントは、「具体的なルール」にすることです。


「時間の制限」
・23時以降は使わない
・1日1時間以内にする
・土日、祝日は使わない

「場所の制限」
・移動時間のみ
・塾にはもっていかない
・会社ではロッカーにしまう

「利用のルール」
・即座に返信(即レス)しない
・2~3時間程度で返信する
・知らない異性とは合わない

このようにSNSと健康的に付き合っていくための、自分のルールを決めましょう。

時間や場所の制限で対策

 

メタ認知力

SNS疲れになりやすい方は、自分をコントロールすることができず、気が付いたら長時間没頭していたという方が多いです。この「気が付いたら…」という状態を改善するにオススメなのが「メタ認知力」です。

メタ認知力とは、自分を冷静に観察する力です。この力がつくと自分自身の行動を制御できるようになります。自分を止められない感覚がある方は以下のコラムを参照ください。

メタ認知力UPコラム

 

打ち込むものに集中する

最後は私のカウンセリング上の経験談から解決策を提案します。

SNS疲れを起こしやすい方は、SNSでのイイネの数や友達の数など、人の目をすごく気にしています。一方で、SNSを健康的に利用している方は、人生でなすべき課題を自分なりにもって努力されている方が多いです。

人生でなすべき課題があると、SNSを利用している時間が減り、人の目がそこまで気にならなくなります。

SNSでの輝く自分にとらわれるのではなく、是非、打ち込めるものを見つけ、若いエネルギーをぶつけるようにしてみてください。

そうすれば自然と丁度よい距離感で、SNSと付き合えると思います。人生の目的については以下のコラムを参照ください。

アイデンティティの確立,意味

SNS依存から脱却する

現実の関係を優先する

最後は私なりのルールを参考までにお伝えします。私は同じコミュニケーションであればなべく「ダイレクト」に近い方を選択するようにしています。

例えば、
「ありがとう」であれば、
SNSではなく直接言ったほうが良いでしょう。

普段会える関係であれば、
SNSは簡単な連絡手段に止めて、
実際に会ったときにたくさん話すようにします。

人生はデジタル機器の中で消費するものではなく、やはり現実に重きを置いた方が充実すると思います。迷ったらより現実に使いコミュニケーションの手段を選択することをオススメします。

 

まとめとお知らせ

まとめ

繰返しになりますが、SNSにはメリットとデメリットがあります。当コラムの知識を活かしながら、ぜひ丁度良い距離感でSNSを利用してみてください。

SNSの利用はあくまで補完的に考えることをオススメします。目の前の大事な人とたくさん顔を合わせて、泣いたり笑ったりすることを大事にしてくださいね(^^)

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・暖かい人間関係築く練習
・メタ認知力を高める訓練
・感情コントロール技法
・傾聴技法,発話技法

など練習していきます。興味がある方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
総務省(2019)平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000082.html
河井大介(2014).ソーシャルメディア・パラドクス―ソーシャルメディア利用は友人関係を抑制し精神的健康を悪化させるか社会情報学, 3, 31-46
片山友子 水野(松本)由子 (2016) 大学生のインターネット依存傾向と健康度および生活習慣との関係性 総合健診 2016年43巻6号,9-15
総務省 平成26年版 情報通信白書 第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト, 第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築
河井ら(2011)SNS依存とSNS利用実態 日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 26(0), 265-270, 2011
大里貴子・松本さゆり・五味愼太郎,他「大学生におけるインターネット依存と学年ならびに日常生活状況の関連性に関する調査」,Campus Health,51,195-197,2014.
小寺敦之(2013),「『インターネット依存』研究の展開とその問題点」,東洋英和女学院大学『人文・社会科学論集』31.
Canan F,Yildirim O,Yildirim T, et al:The relationship between internet addiction and body mass index in Turkish adolescents.CyberPsychol Behav Soc Netw,17,40-45,2014.
佐藤 寛・松原正平・石川信一・高橋 史・佐藤正二(2014),「発達的観点に基づくインターネット依存の疫学調査」,研究助成論文集(50),68-76,明治安田こころの健康財団.
中山秀紀(2015),「特集:現代の若者のメンタルヘルス 若者のインターネット依存」,日本心身医学会,55:1343-1352.
三原聡子・前園真毅・橋本琢磨,他「わが国成人におけるインターネット嗜癖者数の5年間の変化.日本アルコール・薬物医学会抄録集,p210,2014.
飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究  平成29年度報告書 分担研究報告書