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SNS疲れを改善する方法‐診断もあり

SNS疲れ‐簡易診断と原因・対策・調査

はじめまして!公認心理師の川島です。
今回のテーマは
「SNS疲れ」
です。

全体の目次
・SNSの利用状況
・過剰利用の問題
・メリット
・簡易診断,チェック
・4つの解説策

 

 

はじめに

ソーシャルメディア(SNS)は、日本はもとより世界中に定着し日常生活に欠かせないツールになっています。一方で楽しむために始めたはずなのに

「以前の様にSNSを楽しめない…」
「キラキラしている人ばかりで疲れる…」
「コメントが気になって学力があがらない…」

など、SNSに「疲れ」を感じる人が多くなっています。SNSは私たちの敵なのでしょうか?味方なのでしょうか?当コラムではSNSを健康的に使用する方法をしっかりお伝えしていきます。

SNS疲れ

 

SNSの使用状況

まずはじめにSNSの利用状況を確認していきましょう。

利用人数

日本国内のSNS利用者数は2020年末には7,900万人を超えるといわれています。これは、インターネットユーザの約8割を示す数字です。特に若い人でラインやTwitterなど全く使っていない人を探す方が難しい時代になってきています。

SNSは1日の10%を締める

総務省のメディアの利用時間に関する調査によると、特に10代に関して平成29年度の調査と比べて大幅に増加傾向にありました。

10代のSNS平均利用時間比較総務省調べ

1日90分とすると1日の活動時間の10%近くをSNSで過ごしていることになります。あくまでこちらは平均ななので人によっては1日中SNSの中で過ごしている人もいると推測されます。

インターネット依存の症状

下記は厚生労働省が2017年に中高生を対象に行った調査の一部です。調査では、インターネット依存での社会生活をいくつかの項目に分けています。

今回は、結果を分かりやすくするために、以下の3項目取り上げています。

①過剰使用
意図したより長い時間の使用

②渇望
インターネットの使用を待ち望む

③制御不能
時間を減らしたり、止めることに失敗する

SNS依存

依存症のレベルとしては、推定93万人に上ることが分かっています。21世紀に新しく生まれた病としてこれから解決していかなくてはなりません。

 

SNSへの依存は孤独感を強める

SNSの光と影

SNSは実際私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか?デメリットとメリットの両面から考えていきましょう。以下それぞれを折りたたんで記載しました。気になる項目を展開してみてください。

デメリット

・視力低下,睡眠不足

河合ら(2011)の同研究では、SNSには以下のような問題があることが分かっています。調査の結果、以下のグラフのようなデメリットがあることが確認できました。

SNS依存と利用実態とその影響

「視力の低下」や「睡眠不足」など身体的な問題を悪化させるリスクがあることが分かりますね。

朝から昼間にかけての時間は学校や会社にいる人がほとんどなため、SNSの利用は主に「夜間」であると考えられます。ネット上でのコミュニケーションが盛り上がると、やり取りが深夜まで続いてしまい、結果として睡眠時間は大幅に削られてしまいます。

・肥満との関連
実際に依存症専門外来・久里浜医療センターの中山(2015)先生のトルコの中高生を対象にした調査では、BMI(体格指数)25以上(正常値22)の人は、インターネット依存が無い人と比べて、ネット依存している人BMIがかなり高い割合だったことが示されています。

BMI指数25以上でのネット依存の割合

最悪の場合、身体の炎症から様々な不調が起きたり、うつ病を発症するなど深刻化する可能性があるため、注意が必要です。

・死亡するケースも

特にショッキングな事例としては、2002年に韓国光州のインターネットカフェで、86時間不眠不休でオンラインゲームを続けた24歳男性が「急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」で死亡しました。

この事態を受けて、韓国では「青少年夜間ゲームシャットダウン制」を導入したり、学校での入学時スクリーニングを行い、インターネット依存の早期発見・防止策を講じているとのことです(大嶋ら,2017.ほか、 日経電子版2013.8.16付記事 等)。

SNSのデメリットは身体的なリスクだけにとどまらず、「将来のために使う時間」や「趣味の時間」などの大切な時間を失うことも念頭に置かなくてはなりません。以下のグラフはSNSによって「どんな時間を犠牲にしたか?」を調べたものです。

ソーシャルの利用実態とその影響

ネット上でのコミュニケーションは「楽しい」ものですが、一方で「勉強」「趣味」「仕事」などやるべきことに手を付ける時間が少なくなってしまいます。その結果、インターネット上では友達が多いものの、人生に充実感がない、仕事や勉強がうまくいかないといった副作用が現れてしまうのです。

・ネット依存症とは

日常生活に欠かせないSNSですが、SNS上の人間関係に傾倒しすぎてしまうと、依存症のリスクが増します。SNS依存とは「SNSを利用したい気持ちを自分の意思でコントロールできない状態」の事です。

・ゲーム依存からSNS依存への広がり
2011年7月より、日本で最初に依存症外来を設立した久里浜医療センターの報告によると、従来のネット依存の傾向は、オンラインゲームが多かったようです。しかしこの報告がなされた2011年ごろから、スマートフォンの普及によってSNSへの依存が急速に増大し、かなり深刻な事態になりつつあったようです。

・6割の学生が依存傾向

大嶋ら(2017)の大学生を対象にしたインターネット依存に関する調査を行いました。調査では、キンバリーヤングの依存度テスト(Internet Addiction Test)日本語版を使用しています。その結果、問題ユーザーとみなされた学生は55%、重篤問題ユーザーとみなされた人は5.8%でした。

ネット依存度テストの得点

調査では、同時に同じ学生らにスマートフォンの使用について質問をしています。どの学生も1日おおよそ3-5時間くらい使用し、歩きスマホもたまにしてしまうと答えた人が多くいました。

このように、我々の生活の中で、気付かない間にどんどんとスマホやネットに対する依存度が高まっていっているようです。

インターネット依存の中でも、SNSなどのコミュニケーションに関する依存度は、特に高いことが分かっています。

下記はスマートホン保有者のインターネット利用目的の中で、高い依存傾向がある率を示したグラフです。SNSの利用は、他の利用目的と比較して依存傾向の高い人が多いことが分かります。SNSの利用に関して依存傾向が高い事を示すグラフ・女性がなりやすい
総務省・安心ネットづくり協議会(平成23年)は、インターネットと依存との関係について、携帯電話向けサービスの利用者を対象に、依存傾向について調査を行いました。

SNS疲れが強いのは女性が多い

厳し目の基準で依存
3.8%
緩やかな基準で依存
11.0%
性別でみると男性よりも女性の依存傾向が強い結果となりました。

 

メリット

河合ら(2011)の研究では、「SNSのメリット、デメリット」について調査が行われています。日本最大級のSNSのユーザー約1500万人に対してアンケート調査を行いました。

そのうち、71,926ユーザーからの回答があり、以下のようなメリットがあることが分かったのです。

SNS依存と利用実態 

最も大きなメリットは「人との交流」です。現実に顔合わせなくとも他者とつながることができるSNSの特徴を考えればうなづけるところでしょう。

SNSを活発に行う方は、コミュニケーション能力が向上する傾向があると推測されます。以下の図を見ると依存傾向の方の方が、人との交流やコミュ力が高い傾向にあることがわかります。

SNS依存と利用実態

なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

・現実の友人との交流機会
SNSをよく使う方は現実の友人数も増える傾向にあるため、社交性が高まると推測されます。

・SNS上でもマナーは求められる
SNS上とは言え、所詮は人間同士のやり取りです。悪口を書き込む人は嫌われますし、人と楽しませる文章を書く人は好かれます。この意味では、SNSでの経験もコミュニケーション能力を向上させる1つの要因になっていると推測できます。

メリットの1つに表面的な人間関係が生み出す価値があります。こちらは動画を作成したので興味がある方はご覧ください。 

 

簡易診断:SNS疲れをチェック!

ここからはSNS依存を改善する方法をお伝えします。成果を把握するために定期的なチェックをオススメします。

SNS疲れを緩和する方法

SNSに疲れを感じたり、利用に関して気になることがあれば、早めに対策することが依存症の回避につながります。ここからは、SNS疲れを緩和するための「上手な付き合い方」を4つ提案いたします。

・マイナスとプラスを紙に書きだす
・ルールを作る
・メタ認知力をつける
・打ち込むものに集中する

マイナスとプラスを書き出す

SNS疲れの症状は、特に真面目な人に出やすい傾向があります。SNSへのアクセスに義務感を覚えたり、ネット上の人間関係に気遣いをするなど、心身共に疲れてしまいます。

そして、利用することで「失うもの」「得るもの」を紙に書きだし、どれぐらいの利用なら自分にとって「バランスが良いか」を考えましょう。

失うもの例
家族との会話 友人と遊ぶ時間 趣味の時間 健康を害する 勉強時間を失う

得るもの
新しい出会い タイムリーな情報 普段言えない悩みを相談 遠い友達とコミュニケーション

SNS疲れの対策を心理学の専門家が解説

ルールを作る

SNSに疲れている状況に気付けたら、利用制限のルールを決めて回復を目指しましょう。ポイントは、自分にとって無理がない「具体的なルール」にすることです。しっかり守っていくことで自分にとってバランスの良いSNS利用ができます。


「時間の制限」
・23時以降は使わない
・1日1時間以内にする
・土日、祝日は使わない

「場所の制限」
・移動時間のみ
・塾にはもっていかない
・会社ではロッカーにしまう

時間や場所の制限で対策

SNSでの投稿に「即座に返信(即レス)しない」という利用制限もオススメのルールです。即レス癖のある方は「2~3時間程度で返信する」など、自分にとって無理のない制限ではじめてみましょう。

メタ認知力

SNS疲れになりやすい方は、自分をコントロールすることができず、気が付いたら長時間没頭していたというう方が多いです。この気が付いたら…状態を改善するには「メタ認知力」をつけることをオススメします。

メタ認知力とは、自分を冷静に観察する力です。この力がつくと自分自身の行動を制御できるようになります。自分を止められない感覚がある方は以下のコラムを参照ください。

メタ認知力UPコラム

 

打ち込むものに集中する

最後は私のカウンセリング上の経験談から解決策を提案いたします。SNS疲れを起こしやすい人の特徴に「嫌われてはいけない」「仲良くしなくてはいけない」と過剰に考える傾向があると感じています。

人間である以上仕方のないことではありますが、一方で嫌われたくがないために、偽りの自分を演じたり、ネット上でのいいねを集めることに執着しても、疲れるだけです。

SNSを過剰に利用している時間はある意味で、人生でなすべき仕事を失っていることになります。人生の目的を定め、そこに集中していけば、SNS依存は解決される可能性が高いです。

是非、打ち込めるものを見つけ、若いエネルギーをぶつけるようにしてみてください。人生の目的については以下のコラムを参照ください。

アイデンティティの確立,意味

SNS依存から脱却する

 

発展編

ここからは発展編です。SNS疲れを解消するためにヒントになりそうなコラムを紹介させて頂きます。

見捨てられ不安

友人からの返信がない…登録数が減少すると不安になる…という方は見捨てられ不安がある可能性があります。誰かとつながっていないと不安で仕方ないという方は以下のコラムを参照ください。

見捨てられ不安とは何か

共依存関係

特定の方と毎日20回以上やり取りする場合は、共依存関係になっている可能性があります。共依存関係になるとお互いの領域に踏み込み、一見仲がよさそうでも閉鎖的で、問題が起こりやすくなります。思い当たる方は下記を参照ください。

共依存の意味と対策

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・メタ認知力を高める訓練
・感情コントロール技法
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
総務省(2019)平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000082.html
河井大介(2014).ソーシャルメディア・パラドクス―ソーシャルメディア利用は友人関係を抑制し精神的健康を悪化させるか社会情報学, 3, 31-46
片山友子 水野(松本)由子 (2016) 大学生のインターネット依存傾向と健康度および生活習慣との関係性 総合健診 2016年43巻6号,9-15
総務省 平成26年版 情報通信白書 第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト, 第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築
河井ら(2011)SNS依存とSNS利用実態 日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 26(0), 265-270, 2011
大里貴子・松本さゆり・五味愼太郎,他「大学生におけるインターネット依存と学年ならびに日常生活状況の関連性に関する調査」,Campus Health,51,195-197,2014.
小寺敦之(2013),「『インターネット依存』研究の展開とその問題点」,東洋英和女学院大学『人文・社会科学論集』31.
Canan F,Yildirim O,Yildirim T, et al:The relationship between internet addiction and body mass index in Turkish adolescents.CyberPsychol Behav Soc Netw,17,40-45,2014.
佐藤 寛・松原正平・石川信一・高橋 史・佐藤正二(2014),「発達的観点に基づくインターネット依存の疫学調査」,研究助成論文集(50),68-76,明治安田こころの健康財団.
中山秀紀(2015),「特集:現代の若者のメンタルヘルス 若者のインターネット依存」,日本心身医学会,55:1343-1352.
三原聡子・前園真毅・橋本琢磨,他「わが国成人におけるインターネット嗜癖者数の5年間の変化.日本アルコール・薬物医学会抄録集,p210,2014.

飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究  平成29年度報告書 分担研究報告書