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承認欲求が強い人の問題・克服法のまとめ

承認欲求が強い人の問題・克服方法①

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。 コラム①では

  • 承認欲求の意味
  • マズローの欲求の5段階仮説
  • 他者意識と承認欲求
  • ストレスへの影響
  • ストローク法
  • 改善する4つの方法

について解説します。

承認欲求を臨床心理士が解説しています本コラムでは「承認欲求」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。  

承認欲求とは?

承認欲求とは、人に認められたいという思いのことで誰にでもある欲求の1つです。

そのことを示したのが、アメリカの心理学者マズローが説明したマズローの欲求階層説です。

マズローの欲求階層説は、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる有名な理論です。

・第一階層は生理的欲求
生きていくための基本的・本能的な欲求
・第二階層は安全欲求
危機を回避し、安全・安心な暮らしを求める欲求
・第三階層は社会的欲求
集団に属し、仲間を求める欲求
・第四階層は承認欲求
他者から認められたい、尊敬されたいという欲求
・第五階層は自己実現欲求
自分の能力を引き出し、目標を達成したい欲求

▼マズローの欲求階層説の図はこちらです。

マズローの欲求階層説の図

欲求は

・5段階で構成される
・低次の欲求が満たされないことには上位の欲求を満たせない

という特徴を持っています。

そして、第五階層の自己実現欲求に到達する人は多くはないといわれています。自己実現にたどり着くのが難しいのは、承認欲求を満たすことが難しいことも関係するのかもしれませんね。

また承認欲求は上位の欲求となりますが、強すぎると人に認められることにエネルギーを使うことになるため、抑うつやストレスを抱えてしまうことになります。

このような特徴がある承認欲求について、適度に満たすための正しい知識を全5回にわたって解説していきたいと思います。

他者意識が影響している

中高生を対象に、承認欲求とストレス反応を検討した研究があります(石井・荻田・善明,2017)。

この研究では承認欲求をよく思われたいという因子で検討しています。彼らの報告では、よく思われたい≒承認欲求や自己不全感など4つの因子の背景に他者意識があることが確認されています。

結果がパス図で示されています。パス図とは、変数間の因果関係や相互関係を表したものです。

このモデルのパス係数は、自己不全感から他者意識が0.37、他者意識から利他主義は0.89、他者意識から人に良く思われたい(承認欲求)が0.57で、他者意識から自己抑制に関してほとんど影響がないことがわかりました。

つまり、よく思われたい≒承認欲求が強い人は、自分が中心の意識ではなく、他者の意識を中心として物事を考えて行動していると考えられます。

他人が自分の考えや行動基準になる場合、緊張感や不安感が高くなってしまうことがわかっています。この状態では、なかなか自分自身をうまく表現できることは難しくなるでしょう。

承認欲求が高いとストレス反応が強い

つぎに、石井ら(2017)の研究で承認欲求と各ストレス反応の関連を検討した報告を見ていきましょう。

対象は先ほどと同じく中高生です。ストレス反応は、「不機嫌・怒り」「抑うつ・不安」「無気力」「身体反応」の4つを合わせたものです。

▼結果は以下の表になりました。

この表からいえることは、

全体
承認欲求の強い人は
全般的にストレス反応が強い

男子
承認欲求が強いと
抑うつ・不安、無気力が高まり
ネガティブな感情や身体反応は表現されない

女子
承認欲求が強いと
全般的なストレス反応が強くなる

ということです。男女ともに表現の仕方は異なりますが、承認欲求が強い抑うつや不安などのストレス反応につながることは共通していることがわかります。

承認欲求は誰でも持つ欲求で、背景には他者意識が存在しその欲求が強すぎると抑うつや不安のようなストレス反応を引き起こす可能性があることをご紹介しました。

健全な承認欲求は目標達成のモチベーションにつながる可能性もあるかもしれません。しかし、その欲求が強すぎると自分を追い込む場合も考えられるので注意が必要です。

強い承認欲求の問題・解決策

それではここで、強い承認欲求から起こる問題について、具体的な解決策について考えていきましょう。承認欲求が強い原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①自分への肯定的ストロークを増やす

自己否定が強い 
承認欲求が強い人の多くは、自分はだめだという自己否定が強い傾向があります。自分はだめだと思うから、他人に認められようとする気持ちが強くなってしまうのです。逆に自分で自分を認めている自己肯定感の高い人は、他人に認められようとする気持ちはあまり強くありません。では、この強い自己否定を和らげ、自己肯定感を高めるにはどうしたらよいのでしょうか?

肯定的ストロークを使おう
本コラムでは、解決策として「自分への肯定的ストロークを増やす」方法をご紹介します。ストロークとは「関わり方」「人との接し方」を意味します。自己肯定感を高めるためには、「無条件の肯定的ストローク」が有効です。

「無条件の肯定的ストローク」とは、何かやったときにだけ肯定される条件つきの肯定ではなく、何もなくても肯定されることです。無条件の肯定で自己肯定感を高めていきましょう。自己肯定感が低い・・・という方はコラム②をぜひ参考にしてくださいね。

②自分の意見を大切にする

他人に合わせすぎている
承認欲求の強い人は、自分の意見よりも他人の意見を優先する傾向があります。例えば、AとBがあったとします。自分はAがいいと思っています。そしてBはAに比べて人気があり、多くの人が欲しがるのもBです。この時承認欲求が強い人は、自分がいいと思うAではなく、みんなが認めているBを選びます。この考え方が強いと、自分の気持ちや意見がわからなくなってしまい、結果的に他人に合わせすぎることになってしまうのです。

自分の意見を大切にする
これまで他人に合わせすぎてきた人は、自分の意見がわからなくなっている可能性があります。本コラムでは解決策として「自分自身の本音を確認する」作業を提案します。自分自身の本音を確認することで、自分の意見を大切にできるようになるでしょう。他人に合わせすぎてしまう、自分の意見がわからないという方は、コラム③の解説と練習問題に取り組んでみてください。

③内発的動機付けを高める

自分の目標がない
承認欲求が強い人は、人から認められることを基準に目標設定する傾向にあります。人から認められることを基準にした目標だと、目標に対して意欲がわかなかったり、継続しにくいものになってしまいます。また頑張って目標を達成したとしても、達成感はあまり得られないでしょう。人から認められることばかりを目標にしていると、本当に自分がやりたい目標というのは見つけることができません。

自分なりの目標を設定する
自分なりの目標を設定することで、自分中心の視点にシフトすることが大切です。本コラムでは「自分の感情に注目した目標設定」の方法をご紹介します。自分なりの目標を設定したい!という方は、コラム④の練習問題にチャレンジしてみてくださいね。

緩め方を知って人間関係を楽に

強い承認欲求の問題の原因には「自己否定が強い」「他人に合わせすぎてしまう」「自分の目標がない」の3つが大きく関わっていることがわかりました。次回以降は、ちょうどよい承認欲求を目指す具体的な方法について解説していきます。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

まずは自分自身と向き合い、承認欲求の強さの原因を知ることが、自己実現への第一歩です。承認欲求は悪い欲求ではありません。適度に持てば自分のモチベーションに繋がりますが、過剰に持てば自分を追い詰めることに繋がります。

次回は、強い承認欲求の問題を解消する1つ目の「自分への肯定的ストロークを増やす」についてご紹介します。お楽しみに!

★承認欲求とは誰でも持つ欲求!緩め方を知って人間関係を楽に

*出典・参考文献
石井麻美子, 荻田純久, & 善明宣夫. (2017). 中学生・高校生を対象とした過剰適応に関する研究: 承認欲求とストレス反応の関係から. 教職教育研究: 教職教育研究センター紀要, (22), 101-110.
上村有平. (2007). 青年期後期における自己受容と他者受容の関連: 個人志向性・社会志向性を指標として. 発達心理学研究, 18(2), 132-138.
廣瀬清人, 菱沼典子, & 印東桂子. (2009). マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈.



適度に持つことで人間関係を楽にしよう