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焦燥感とは?イライラの原因と解決策を専門家が解説

焦燥感とは?原因と解決策-臨床心理士が解説‐入門①

はじめまして。公認心理師の川島です。今回のテーマは「焦燥感」です。

  • 改善するお悩み
  • 焦りでイライラしている
  • 焦燥感がある
  • 追い込まれている感覚がある

全体の目次
入門①焦燥感とは何か?
入門②時間キッチリレベル改善
入門③なるべく〇〇法
入門④お悩み整理法
発展-マインドフルネス
発展‐相手への怒りを改善
発展-お悩み相談掲示板

入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。

もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

焦燥感とは?

焦燥感とは何か?

みなさんは焦燥感と聞いてどのような印象を持つでしょうか。大辞林 第三版によれば、

思うように事が運ばなくていらいらすること

とされています。現代社会は時間との戦いや、ノルマとの戦いがあります。

試験まであと1か月!
納期まであと10日!
子どもを迎えに行かないと!
部下がいうことを聞いてくれない!

様々な場面で焦燥感を覚えやすい環境です。

心理的影響

私たち心理師の世界でも焦燥感はかなり重要なワードで、「怒り,敵意,攻撃性」として様々な研究があります。以下研究をいくつか紹介させて頂きます。

気になるタイトルがあったら展開してみてください。

髙橋・山本(2016)が教員200名、学生360名を対象に調査した研究によると、怒りは集中力の欠如につながることが示唆されています。

焦燥感,怒り,集中力

焦燥感がある状態は、イライラしやすくなり、怒りっぽくなります。その結果、落ち着いて作業をすることができず、集中力が低下していくと考えられます。

焦燥感をもつ→心理的QOLの低下

橋本・織田(2008)は都内大学生・大学院生286名を対象に「短気や敵意」と「心理的QOL」について調査を行いました。心理的QOLとは、穏やかに過ごす、楽しく人生を過ごしているなどがあたります。

その結果が下記の図となります。

短気,心理

焦燥感から短気になったり、他人に対して敵意を持つと、人生でトラブルか多くなり、幸福感が下がると言えます。当たり前ですが、焦っている時やイライラしている時は幸せではないですよね。

焦燥感を抱いている人は「幸せではありません」と表現しているともいえるのです。できればイライラする時間を減らして、一度しかない人生を幸福に過ごせるようにしたいものです。

短気や敵意は体に悪い

橋本・織田(2008)は都内大学生・大学院生286名を対象に「短気や敵意」と「身体的QOL」がどのような関係にあるのか調査しました。その結果以下のようなことがわかりました。

身体的QOL(クオリティオブライフ)とは、体の面での健康度を意味します。以下の図はこれらの結果を表したものです。まずは、短気から見ていきましょう。

短気と心理的QOL

図のように短気が高いほど、身体的QOLが下がることが分かります。すぐに怒ってしまう人は、心も体も健康的になりにくいと言えそうです。

続いて、敵意との関係です。

敵意と身体的QOL

図のように他人に対してイライラしている時は、身体的QOLが下がることがわかります。敵意があると、ストレスと結びつきやすい交感神経が優位になります。一時的なものであれば問題ないのですが、交感神経が常に働いていると、不眠やストレス症状につながります。

怒りと冠動脈疾患のリスク

井澤ら(2004)は、男子大学生20名を対象に「敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連」において、怒りと生理的な影響の研究を行いました。その結果、衝動的な怒り情動を表す「短気」が、収縮期血圧・拡張期血圧の上昇と関連を示す結果が得られました。

怒りに関する研究と身体への影響

結果から、怒りコントロールができない人は、日常場面でも怒り喚起時に高い心臓血管反応性を示す傾向があるため、冠動脈疾患に罹患しやすい可能性があることがわかったのです。

 

焦燥感とは?イライラすること

焦燥感はなぜ起こるのか?

私たちの心にはなぜ焦燥感が起こるのでしょうか?西村(2009)は、20~30代の男女20名にインタビューを行い、どんなときに焦るか?を統計学的に調査しました。その結果、

・時間を意識する
・予想外の出来事
・他者への期待が高い

の3つが大きな原因になっていました。また公認心理師としての現場感覚では

・精神疾患の可能性

も絶えず考えています。

時間を意識する

納期が間に合わない、周りが結婚しているなど時間に追われる際に焦燥感を持ちやすくなります。特に仕事上の悩みで焦燥感がある方は、時間的なゆとりを失っている可能性が高いです。

例えば、過労死ラインは月の残業時間が80時間となっています。時間のストレスは非常に大きいので要注意です。

焦燥感には、“十分な時間的ゆとりがない”という感覚がつきものです。これを心理学の実験で確かめた研究があります。生和(1993)は、164名の参加者に、以下のそれぞれの条件を比較しました。

条件1:不快な音を鳴らす
条件2:30秒に時間短縮

その後、「不安度の増分」を比較しました。

皆さんならどの条件が嫌でしょうか?その結果が下図となります。少しだけ意味を考えてみましょう。

焦燥感 不安

上記のように、オレンジの大きなエラーがなる群よりも、30秒の制限時間ありの群の不安感がかなり高くなっていますね。

このような結果から私たちの焦燥感には、「時間」がとても影響していていることがわかります。もし今焦燥感がある場合は、時間にゆとりを持つことが解決策の一つとして挙げられそうです。

さらに、時間を短縮された群は誤答率(ミスの数)も多いことが同研究によって報告されています。研究結果についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

        「誤答率の増分」

*今回は生和(1993)の実験をシンプルに解説しました。興味がある方はページ下部記載された出典を読んでみてください♪

 

焦燥感の対処法とは

べき思考

焦燥感が強い方は~しなくては!~すべき!と絶えず目標とノルマに急き立てられています。1日中「べき!べき!べき」という感覚がある方は要注意です。

 

他者への期待が高い

部下が言うことを聞かない、旦那が子育てをしない、子供言うことを聞かないなど、人間関係によりイライラすることがあります。

特に人間関係の焦燥感は、相手への期待値の高さが原因になることが多く、これを下げることが1つのカギになります。

予想外なことが生じる

台風が迫っている、新しい突然プロジェクトリーダーに指名されたなど、自分のキャパシティーを超える可能性がある出来事があると焦燥感を持ちやすくなります。

必要以上に悲観的に考えないなど、考え方が現実的か見直していく必要があります。

認知症、精神疾患

焦燥感は認知症や精神疾患で頻繁にみられる症状です。例えば、認知症の1つであるピック病ではイライラしやすくなることが分かっています。

その他、更年期障害、うつ病、統合失調症、境界性人格障害なども焦燥感を持ちやすくなります。

今まで穏やかだったのに、急にイライラするようになった…そんな方は認知症などが原因の場合があります。思い当たる節がある方は下記をクリックしてください。

焦燥感と認知症,精神疾患の関係

焦燥感が長期的に続いたり、度を超えるような激しいイライラの場合は精神疾患を疑うものもあります。ここでは、特に注目すべき疾患について4つ紹介をしていきたいと思います。その疾患とは、

①統合失調症
②うつ病
③双極性障害
④認知症

です。

①統合失調症

統合失調症とは、妄想や幻聴など症状を特徴とする、精神疾患です。「他の人が話しかけてくる」幻聴や、「周りが不気味な感じがする」といった妄想などがあります。

統合失調症が発症した際、イライラすることがあり、ひどい時には暴力行動がみられることがあります(Rossら, 2013)。

被害妄想や迫害妄想など、自分に被害的な妄想が多いと、焦燥感やイライラが出て、時には強い攻撃性につながることがあります。

②うつ病

うつ病とは気分の落ち込みや、意欲の低下などの症状を特徴とした精神疾患です。人口の3~5%がうつ病とされており、非常に多い精神疾患です。

うつ病と焦燥感に近い「怒り」との関連も指摘されています。横山(2014)はうつ病と絡めて、“怒り発作”の概念を取り上げています。“怒り発作”とは、

・過去6か月間、イライラ感が認められる
・些細な煩わしい出来事に対し過剰に反応する
・過去1ヶ月間に1回以上の怒り発作がある
・怒り発作が自分のもともとの性格とはそぐわないものと感じている

などの基準により定義されます。こうした唐突に焦燥感(イライラ)の表出を見せる人は、うつ病を伴う比率が高いと考えられています。

うつ病とイライラとの関係

③双極性障害

双極性障害とは、躁病とうつ病を繰り返す疾患です。特に躁の状態は、気分のテンションが高く、活発になる状態です。躁病の症状としては、

・気分の高揚が異常に長い
・なんでもできそうな気がする
・ずっと話しつづけてしまう
・アイディアが次々と出てくる

などの特徴があります。こうした特徴は職場や家庭でも問題になることがあります。例えば、自信が過剰なため、上司の意見に怒りを爆発させたり、部下のミスを激しく注意するなどトラブルに発展します。

もし、気分の高揚が続いて自信に満ち溢れた態度が目立ち、相手にイライラをぶつけるようになってきた場合は双極性障害を疑う必要があります。

コントロールできない怒りの原因とは

④認知症

認知症というと、物忘れや徘徊などが症状の高齢者の疾患だと思う人も多いかと思います。しかし、認知症には40代や50代で発症する、若年性認知症というのがあります。特に焦燥感に関する若年性認知症は「脳血管性認知症」が挙げられます。

脳血管性認知症とは、脳卒中など脳の血管が切れたり、詰まってしまうことで脳の組織が損傷することで発症します。主な症状として、
・頭痛
・めまい
・吐き気
など身体的な症状があります。

また、精神的な症状として
・イライラ(焦燥感)
・抑うつ
・注意力の低下

などがあります。これら症状の現れ方の特徴として、突然症状が出たり、急に症状が軽くなったりと、変動しやすいことがあります。

コントロールがきかないほどの焦燥感がある場合は、脳の器質的な障害が関係している場合もあります。身体的な体の異常もないかも含めて、診断していく必要があります。

当てはまると感じる場合は心療内科や精神科の受診も視野に入れましょう。判断基準については動画を作成したので参照ください。

 

焦燥感があるイライラする

診断・チェック

ここから先は焦燥感を改善する方法をお伝えします。成果を把握するためこちらで定期チェックをされることをおすすめします。

焦燥感を解決する3つの方法

焦燥感はこれらの要因が複雑に関連して起こるものです。もし皆さんが焦燥感があるとしたら上記のどれかにあてはまるのではないでしょうか。

心理学の分野では、焦燥感や焦りについて、これまで数多くの研究が行われてきました。当コラムでは、基礎的な改善策を提案させていただきます。具体的には

入門②時間きっちりレベルを改善
入門③なるべく〇〇法
入門④お悩み整理法

です。

入門②時間キッチリレベル改善

焦燥感の大きな原因は時間価格がタイトすぎるという点にあります。時間感覚はとくに仕事をするうえで、信頼性につながるので大事な感覚です。

しかし、24時間きっちりしすぎているのは考え物です。例えばプライベートの時間まで焦るような感覚があるかたは要注意です。

焦燥感が強い方はまず時間感覚の見直しが必須です。以下のコラムを参考にしてみてください。焦燥感の対処法「時間キッチリレベルを下げる」

入門③なるべく〇〇法

強い焦燥感を抱いている人は、○才までに結婚しなくては!などと、“~すべき”と考えやすい傾向があります。

べき思考をゆるめるには、なるべく〇〇法が有効です。考え方の幅を広げ、焦燥感から解放されるはずです。~すべき!と考えることが多い…という方は、以下のなるべく法を練習してみてください。

焦燥感が強い時の対処法!なるべく法

入門④お悩み整理→ゆとり法!

頭の中がいっぱいで焦燥感を抱いている時は、お悩み整理→ゆとり法というテクニックがあります。

具体的には、優先順位を決めて着実にやるべきことを片づける方法です。焦って逆に効率が悪くなってしまう…という方は入門④をぜひご覧ください。

焦燥感を改善する「お悩み整理法」

発展編

焦燥感を改善する手法としては心理学のなかで様々なものが開発されています。ここではおすすめのコラムを発展編としていくつか紹介させて頂きます。

マインドフルネスで冷静になる

最近の臨床心理学でブームなのが、マインドフルネスという心理療法です。マインドフルネスとは、大事なことに注意を向ける、という意味です。

焦燥感から抜け出して冷静になりたい…という方はマインドフルネスを学ぶことで、今ココに集中できるようになります。

焦燥感は脱中心化ワークで改善!マインドフルネス

人に焦燥感を持つ=期待値が高い

もしあなたが人にイライラしやすい傾向があったら、それは他人への期待が高すぎるのかもしれません。対人関係で他人に対しての焦燥感を感じることが多い方はこちらの動画を参考にしてみてください。

専門機関で学習する

 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理療法教室のページを参照ください。

次回の焦燥感コラムは「時間キッチリレベルの見直し」を解説します。お楽しみに!

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • ひかり
    • 2020年4月10日 6:50 PM

    コメントさせて頂きます。
    お金の不安や悩みは尽きないですよね。
    楽しく儲けたいと思うのなら、お金に対して白黒(善悪)を付けないことが大切です。
    お金に対するメンタルブロック(固定概念)を外すことです。
    苦労しないとお金が入って来ないと決めつけてしまうとそのような物事が現実として投影されます。
    お金の入口を一つの収入だけだと決めつけない方が良いです。
    簡単に言うとお金の入口は、宝くじ,ギャンブル,投資,頼れる人に頼る等。
    こうして考えてみると色々な方法があります。
    個人的に私のおすすめは宝くじです、特にビンゴ5がおすすめです。
    ご参考になりましたら幸いです。

    返信する
    • TOM ありま
    • 2019年12月8日 1:45 PM

    お金がたりない、収入たりない、体力限界
    楽して儲けたかったなあ…

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献・参考文献
大学生における攻撃性とQuality of Lifeの関連性 2008 橋本 空,織田 正美 健康心理学研究  日本健康心理学会編集委員会 編
Garriga, M et al,. (2016) Assessment and management of agitation in psychiatry: Expert consensus. The World Journal of Biological Psychiatry, 17 (2), 86-128.
西村詩織 (2009) 日常生活で体験される焦りのプロセス-成人期前期の焦りに注目して-. 心理学研究, 80 (5), 381-388.
生和秀敏(1993)時間不安の実験臨床心理学的研究(1)-課題解決場面における検討-. 健康心理学研究, 6 (2), 21-28.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院..

・井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 早稲田大学