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焦燥感とは?イライラの原因と解決策を専門家が解説

焦燥感とは?原因と解決策-臨床心理士が解説①

はじめまして!臨床心理士の森、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本サイトでは「焦燥感」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • 焦燥感とは何か?
  • 「時間がない」が強く影響?
  • 焦燥感と抑うつ
  • 攻撃性の増加
  • マインドフルネスで改善
  • 診断とチェック

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^) それでは早速、焦燥感の基礎から解説させて頂きます。

焦燥感とは?

みなさんは「焦燥感」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。大辞林 第三版によれば、“思うように事が運ばなくていらいらすること”を指します。簡単に言えば、“いら立ち焦ること”ですね。

問題:焦燥感でQOL低下

焦燥感にはどのような問題点があるのが起こるのでしょうか。焦燥感は心理学の世界では「怒り,敵意,攻撃性」として研究されてきました。

橋本・織田(2008)は都内大学生・大学院生286名を対象に、「短気や敵意」と「身体的QOL・心理的QOL」がどのような関係にあるのか調査しました。その結果以下のようなことがわかりました。

焦燥感をもつ→身体的QOLの低下
身体的QOL(クオリティオブライフ)とは、体の面での健康度を意味します。イライラする、すなわち焦燥感を抱くことで、体調面で悪影響があることがわかります。イライラしている時は、交感神経が優位になります。一時的なものであれば問題ないのですが、交感神経が常に働いていると、不眠やストレス症状につながります。

焦燥感をもつ→心理的QOLの低下
心理的QOLとは、穏やかに過ごす、楽しく人生を過ごしているなどがあたります。焦燥感から短気になったり、他人に対して敵意を持つと、人生でトラブルか多くなり、幸福感が下がると言えます。当たり前ですが、焦っている時やイライラしている時は幸せではないですよね。

以下の図はこれらの結果を表したものです。まずは、短気から見ていきましょう。

短気とQOLとの相関図

図のように短気が高いほど、身体的QOL・心理的QOLが下がることが分かります。すぐに怒ってしまう人は、心も体も健康的になりにくいと言えそうです。

続いて、敵意との関係です。

こちらも身体的QOL・心理的QOLが下がるという結果が出ていますね。感覚的にもわかりやすいと思いますが、他人に敵意を持つひとほど不健康な状態になりやすいと言えます。

英語圏でいう焦燥感(agitation)には、自分や他人を傷つけかねないほどの攻撃性が伴う場合も含まれます(Garriga, M et al,. 2016)。このような強く激しい焦燥感がある方は、早急に医療機関を受診した方が良いでしょう。

焦燥感を抱いている人は「幸せではありません」と表現しているともいえるのです。できればイライラする時間を減らして、一度しかない人生を幸福に過ごせるようにしましょう。

焦燥感とは?イライラすること

焦燥感が起こる時

西村(2009)は、20~30代の男女20名にインタビューを行い、どんなときに焦るか?を統計学的に調査しました。その結果、時間、他者意識、予想外の3つの条件で焦燥感を持ちやすいことがわかりました。また脳の機能低下や、精神疾患においてもイライラしやすくなることがあります。

時間を意識する

納期が間に合わない、周りが結婚しているなど時間に追われる際に焦燥感を持ちやすくなります。特に仕事上の悩みで焦燥感がある方は、時間的なゆとりを失っている可能性が高いです。例えば、過労死ラインは月の残業時間が80時間となっています。時間のストレスは非常に大きいので要注意です。

焦燥感には、“十分な時間的ゆとりがない”という感覚がつきものです。これを心理学の実験で確かめた研究があります。生和(1993)は、164名の参加者に、以下のそれぞれの条件を比較しました。

条件1:不快な音を鳴らす
条件2:30秒に時間短縮

その後、「不安度の増分」を比較しました。

皆さんならどの条件が嫌でしょうか?その結果が下図となります。少しだけ意味を考えてみましょう。

焦燥感 不安

上記のように、オレンジの大きなエラーがなる群よりも、30秒の制限時間ありの群の不安感がかなり高くなっていますね。このような結果から私たちの焦燥感には、「時間」がとても影響していていることがわかります。もし今焦燥感がある場合は、時間にゆとりを持つことが解決策の一つとして挙げられそうです。

さらに、時間を短縮された群は誤答率(ミスの数)も多いことが同研究によって報告されています。研究結果についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

        「誤答率の増分」

*今回は生和(1993)の実験をシンプルに解説しました。興味がある方はページ下部記載された出典を読んでみてください♪

 

焦燥感の対処法とは

焦燥感がある

他者を意識する

部下が言うことを聞かない、旦那が子育てをしない、子供言うことを聞かないなど、人間関係によりイライラすることがあります。特に人間関係の焦燥感は、相手への期待値の高さが原因になることが多く、これを下げることが1つのカギになります。

予想外なことが生じる

台風が迫っている、新しい突然プロジェクトリーダーに指名されたなど、自分のキャパシティーを超える可能性がある出来事があると焦燥感を持ちやすくなります。必要以上に悲観的に考えないなど、考え方が現実的か見直していく必要があります。

認知症、精神疾患

焦燥感は認知症や精神疾患で頻繁にみられる症状です。例えば、認知症の1つであるピック病ではイライラしやすくなることが分かっています。その他、更年期障害、うつ病、統合失調症、境界性人格障害なども焦燥感を持ちやすくなります。今まで穏やかだったのに、急にイライラするようになった…そんな方は認知症などが原因の場合があります。

焦燥感があるイライラする

焦燥感はこれらの要因が複雑に関連して起こるものです。もし皆さんが焦燥感があるとしたら上記のどれかにあてはまるのではないでしょうか。改善するには、1つ1つ丁寧に扱っていく行く必要があるでしょう。心理学の分野では、焦燥感や焦りについて、これまで数多くの研究が行われてきました。いくつかの研究を紹介したいと思います。

焦燥感を解決する5つ

当コラムでは、焦燥感に対する改善策を提案させていただきます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね。

①認知行動療法

べき思考が強いと焦りやすい
強い焦燥感を抱いている人は、ひとつの考え方にとらわれてしまっている場合があります。例えば、○才までに結婚しなくては!などと、“~すべき”と考えやすい傾向があります。固定観念にとらわれて焦ってしまっている方は要注意です。

認知再構成法とは
“~すべき”と考える、べき思考をゆるめるには、認知行動療法の技法のひとつ、認知再構成法が有効です。考え方の幅を広げ、焦燥感から解放されるはずです。

~すべき!と考えることが多い…という方は、認知行動療法を学ぶことで焦燥感に対処でき、落着きを取り戻すことができます。

認知再構成法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・認知再構成法とは
・ワークで実践しよう!
・動画で理解を深めよう
焦燥感が強い時の対処法!認知再構成法②

②期待値を下げて落着きを

期待が高すぎる
期待が高すぎると、その期待が脅かされた時に「なんとかしなきゃ…」という焦りが強くなってしまいます。理想が高ければ高いほど、興奮してしまい、感情がコントロールしづらくなります。

ギャップを修正する
そこで、「より現実的な」期待に思考を修正することが大切です。焦燥感に気づき、期待が高すぎないかを客観的にチェックしていきます。

大きな理想を抱いて、焦ってしまう…という方は期待値を下げる方法を学ぶことで、落着きを取り戻すことができます。

期待値を下げるをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・焦燥感=期待が高い
・焦燥感を和らげる
・実践!ギャップを修正
焦燥感の対処法「期待値を下げる」がコツ③

③お悩み整理法で頭を整理!

ミスがミスを呼ぶ
焦燥感を抱いていると、やるべきことに手当たり次第を行動してしまいミスが多くなります。すると対処すべき問題が逆に増えて、さらに焦るという悪循環に陥ってしまいます。「何かしなきゃ」と漠然とした焦燥感をが強い方は一度、頭の中を整理する必要があります。

お悩み解決法とは
頭の中がいっぱいで焦燥感を抱いている時は、お悩み整理法というテクニックがあります。具体的には、優先順位を決めて着実にやるべきことを片づける方法です。

焦って逆に効率が悪くなってしまう…という方はお悩み解決法を実践することで、焦燥感を和らげることができます。

お悩み整理法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・焦って行動すると…
・優先順位を決めて実行
・やらなくていい仕事は捨てる!
焦燥感で何も手につかない!を解決する「お悩み整理法」④

④マインドフルネスで脱中心化

衝動性が高い人は注意
日常的に落ち着きがない、慌てやすい、焦りやすい、という方は感情に巻き込まれる心の癖がついています。早口で話す、時間や予定に追われるように行動する、不注意になりがち、という方は注意が必要です。

脱中心化とは
最近の臨床心理学でブームなのが、マインドフルネスという心理療法です。マインドフルネスとは、大事なことに注意を向ける、という意味です。脱中心化とは何事にもとらわれないことを指し、焦燥感に駆られたままの状態から解き放たれるために有効な方法です。

焦燥感から抜け出して冷静になりたい…という方はマインドフルネスを学ぶことで、今ココに集中できるようになります。

マインドフルネスをより深く知りたい方は下記をご覧ください
・自動操縦とは
・感情の客観視
・キャベツの千切りの例
焦燥感は脱中心化ワークで改善!マインドフルネスを解説⑤

⑤精神科の受診

周囲に当たり散らしてしまう、攻撃的な言動が止まらない、1日中イライラしている、そんな強い焦燥感がある場合は心療内科や精神科の受診も視野に入れましょう。判断基準については動画を作成したので参照ください。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画で解説しています。
 チャンネル登録くださると励みになります!

⑤専門機関で学習する

 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理療法教室のページを参照ください。

焦燥感簡易診断

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
焦燥感簡易診断で焦りをチェックしよう⑦

焦燥感の対処法を学ぼう

このように、焦燥感を抱くのは「あせって極端に行動をしてしまう」「感情へ巻き込まれる」「焦ってミスをする」が原因となることが多いようです。次回以降は焦燥感に対処する方法について解説していきます。

焦燥感とうまく付き合えるようになると、何事も落ち着いて取り組みやすくなります。これからご紹介する方法を生活の中で実践していくことで、少しずつ焦燥感の扱いが上手になっていくことでしょう。

次回の焦燥感コラムは「認知再構成法」ついて解説します。次回もお楽しみに!

★焦燥感はストレスフルな状態。3つの原因に適切な対処をしよう

目次

①焦燥感とは?-概観
②認知再構成法とは
③「期待値を下げる」がコツ
④「お悩み整理法」で落着きを
⑤焦燥感は脱中心化ワークで改善
⑥「精神疾患」が原因!?
⑦焦燥感簡易診断とチェック

コメント

1件のコメント

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    • TOM ありま
    • 2019年12月8日 1:45 PM

    お金がたりない、収入たりない、体力限界
    楽して儲けたかったなあ…

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献・参考文献
大学生における攻撃性とQuality of Lifeの関連性 2008 橋本 空,織田 正美 健康心理学研究  日本健康心理学会編集委員会 編
Garriga, M et al,. (2016) Assessment and management of agitation in psychiatry: Expert consensus. The World Journal of Biological Psychiatry, 17 (2), 86-128.
西村詩織 (2009) 日常生活で体験される焦りのプロセス-成人期前期の焦りに注目して-. 心理学研究, 80 (5), 381-388.
生和秀敏(1993)時間不安の実験臨床心理学的研究(1)-課題解決場面における検討-. 健康心理学研究, 6 (2), 21-28.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院..