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焦燥感とは?イライラの原因と解決策を専門家が解説

焦燥感


焦燥感とは?イライラの原因と解決策を臨床心理士が専門解説①

「焦燥感」を専門家が解説します

みなさんはじめまして!臨床心理士の森です。普段は精神疾患を抱える方の心理検査やカウンセリングを行っています。

当コラムでは「焦燥感」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりと対策をお伝えしたいので、読むのに全部で8分ほどかかります。ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。

みなさんは「焦燥感」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。あまりなじみがないという方もいれば、自分は焦燥感のかたまりだ、と感じる方、今まさに焦燥感に駆られている!という方もいるかもしれません。

焦燥感とは?

大辞林 第三版によれば、“思うように事が運ばなくていらいらすること”を指します。簡単に言えば、“いら立ち焦ること”ですね。

焦燥感とは?イライラすること心理学の分野では、焦燥感や焦りについて、まだじゅうぶん研究されているとは言えません。焦燥感の定義や英語訳に定説はなく、かなり広い概念を含んでいると考えられます。例えば、焦燥感には、“十分な時間的ゆとりがない”という感覚がつきものです。これを心理学の実験で確かめた研究があります。

生和(1993)は、80名の参加者に、「4+9+2」のような3つの数字を足すという課題を与えました。

条件1:
自分のペースで答える

条件2:
制限時間があり

条件3:
計算を間違う → ヘッドフォンから大きな音がなる

条件4:
制限時間があり

計算を間違う → ヘッドフォンから大きな音が聞こえる

それぞれの条件で実験を行い、不安の程度と心拍数を測定しました。その結果、制限時間がある(条件2)の時、たくさん答えようとして誤答が増える傾向が見られました。また、全体を考察すると、時間が切迫するという状況は人にとってストレスになることが示唆されました。

このように、“十分な時間的ゆとりがない”と感じる焦燥感とストレスとは密接な関係があるのかもしれませんね。このコラムでは、焦燥感について知りたい方、焦燥感を何とかしたい方、焦燥感とうまく付き合いたい方向けに、焦燥感について正しい知識を解説していきたいと思います。

焦燥感と心理状態

ここでは、一般的な若者がどのように焦りを体験しているのか、心理学の研究をひとつ紹介しましょう。西村(2009)は、20~30代の男女20名にインタビューを行い、内容を統計学的に調査しました。その結果以下の3つの特徴があることがわかりました。

1:焦りやすい場面

・時間を意識する機会
・他者を意識する機会
・予想外なことが生じる場面

2:心理状態

このままでは追いつかない!
自分で何とかやらなくては!
どうすればいいのか分からない!
自分には対処できないのでは!

このように焦りが生じると、“このままでは追いつかない”“やらなくては”“戸惑い”“自分に自信がない”といった心理状態に陥ることが分かります。この心理状態が長期化したり深刻化すると、抑うつにつながりそうですね。

焦燥感の対処法とは

焦燥感はうつ病の症状?

焦燥感はうつ病の症状のひとつとして挙げられます。椅子に座っていられず部屋を歩き回ったり、そわそわと手足を動かしたりしてしまうなどの症状です。このような焦燥感のために日常生活がままならないという場合や2週間以上の気分の落ち込みを伴う場合は、うつ病の可能性があります。

また、英語圏でいう焦燥感(agitation)には、自分や他人を傷つけかねないほどの攻撃性が伴う場合も含まれます(Garriga, M et al,. 2016)。このような強く激しい焦燥感がある方は、早急に医療機関を受診した方が良いでしょう。

ここまで激しくなくても、焦燥感があると心が落ち着かず、不快な思いをします。焦燥感が持続すると過度なストレスとなり、心身にとってダメージになることにつながり、注意が必要です。

焦燥感

ここで「焦燥感診断」をしてみましょう!

全くそう思わない あまり思わない どちらでもない ややそう思う とてもそう思う
1.
いつも忙しくしている
2.
セカセカしていることが多い
3.
声をあらげてしまうことがある
4.
目標を決め、達成に向かって努力する
5.
完璧にしないと気がすまない
6.
取り組む時に十分な時間がないとうろたえる
7.
列に並んで待つことはイライラする
8.
時間にルーズな人にイライラする
あなたの生まれた年は?
あなたの性別は?  
診断についての注意

焦燥感診断について

注意事項

・当焦燥感尺度は臨床心理士・精神保健福祉士の監修のもと作成しました。

・当尺度は医療的な診断を行うものではありません。

・当尺度は予備調査の段階のものです。あくまで参考程度にご使用ください。

以下に尺度についての手順や趣旨が明示されています。焦燥感尺度について疑問を持たれた方、専門家の方、興味がある方はご一読ください。

 尺度作成の趣旨

現代社会では、多くの方がメンタルヘルスに関わる疑問や問題解決の糸口を主にスマートフォンでの検索やアプリを入り口とする傾向があります。この入り口で方向性を誤ると、メンタルヘルスの改善から遠のいてしまうケースもあります。

そこで弊社では、メンタルヘルスの問題につながりやすい種々のトピックを取り上げて、簡易的な自己診断ができる尺度を作成することとしました。

 

焦燥感尺度作成の条件

尺度作成の手順

*これまでの焦燥感研究

焦燥感とは、苛立ち焦ることを意味するが、心理学の分野で一貫した定義は今のところ確立されていない。焦燥感や焦りに関する研究は限られているが、時間的切迫感や時間不安といった近接概念を取り上げた研究がある。タイプA行動パターンは、時間的切迫感が強い一群であり、いわゆるせっかちで、達成欲求が高いなどの特徴を持つ。日本においては、タイプA行動パターンを測定する尺度は、瀬戸ら(1997)によって開発されている。これには、敵意行動、完璧主義の2つの下位尺度が含まれている。

一方、時間不安は、時間に追い立てられるような感覚のことを指し、強迫性障害との関連も指摘されている。生和・内田(1991)は、時間不安を測定する尺度を作成し、これは苛立ちと不安の2つの下位尺度で構成されている。

 

<焦燥感診断 参照文献>

畑潮・小野寺敦子 (2009) エゴ・レジリエンスとタイプA行動パターンとの関係について. 目白大学 心理学研究, 5, 107-116.

生和秀敏・内田信行(1991)「時間不安の測定」. 広島大学総合科学部紀要Ⅲ, 15, 71-85.

瀬戸正弘・長谷川尚子・坂野雄二ほか(1997)「日本的タイプA行動評定尺度(CTS)」開発の試み. カウンセリング研究, 30, 199-206. 

*焦燥感尺度の抽出について

上記の3論文の中で用いられている項目を参考にした。焦燥感を総合的に自己診断できるよう、代表的な因子である、時間的切迫感、敵意行動、完全主義、焦り、苛立ちを構成する項目を含めることとした。

その結果、以下の項目が抽出された。

いつも忙しくしている

セカセカしていることが多い

声をあらげてしまうことがある

目標を決め、達成に向かって努力する

完璧にしないと気がすまない

取り組む時に十分な時間がないとうろたえる

列に並んで待つことはイライラする

時間にルーズな人にイライラする

 

これら8項目について、以下のような5件法を採用する。

1=あてはまらない

2=どちらかというとあてはまらない

3=どちらともいえない

4=どちらかというとあてはまる

5=あてはまる

自己診断結果の見方

5〜20点 焦燥感は低い

長所:時間に追われることなく、自分のペースで行動することができます。人や物に当たることが少なく、穏やかな人間関係を望みます。たとえ目標が達成できなくても、柔軟に次の一手を考えます。注意点:仕事をする上で納期管理や待ち合わせ時間などでルーズになる可能性があります。メリハリをつけるように気をつけましょう。

 

20〜24点 焦燥感はやや低い

長所:あまり時間に追われることなく、比較的マイペースで行動することができます。大声をあげたり早口でまくし立てたりするようなことはごく少なく、穏やかなほうでしょう。たとえ目標が達成できなくても、そのことにこだわりすぎず、別の方法を見つけることができます。注意点:仕事をする上で納期管理や待ち合わせなどでルーズになる可能性があります。メリハリをつけるように気をつけましょう。

25〜31点 焦燥感はやや強い

長所:時間に追われるように活動的に動き、業績を上げることができます。目標を立て、それに向かって邁進している方が多いでしょう。納期に厳しく、また時間もしっかり守ろうとします。注意点:何もしない時間があると漠然と罪悪感を覚えてしまうことはありませんか。忙しくしていても、たまにはひと呼吸おいてリラックスしましょう。

 32〜40点 焦燥感はかなり強い

長所:これと決めたらひたむきに熱中することができます。目標達成のためには積極的に行動しますし、人と対決することも厭わない意思の強さがあります。時間に追われながらも、仕事や学業、興味のあることなどに全力で取り組もうとします。責任感の強さや几帳面さも特徴で、周囲の人は安心して仕事を任せることができます。注意点:完璧主義的なところがあります。忙しさのあまり心身の調子を崩したりしやすいので注意が必要です。

 

*尺度の限界

本尺度は予備調査を行う段階のものである。従って、信頼性と妥当性が未だ確立されていないと言える。自己診断結果は現状と今後についての参考程度に留めるよう留意されたい。 

*今後の予定

回答数を十分集め、他尺度との関連を統計学的に検定することで、信頼性と妥当性を確かめる予定である。

強い(MAX 40)

低い(MIN 8)

あなたのライン

男性
女性

強い(MAX 40)

低い(MIN 8)

あなたのライン

あなたが所属する群

820 焦燥感は低い

長所

時間に追われることなく、自分のペースで行動することができます。人や物に当たることが少なく、穏やかな人間関係を望みます。たとえ目標が達成できなくても、柔軟に次の一手を考えます。

注意点

仕事をする上で納期管理や待ち合わせ時間などでルーズになる可能性があります。メリハリをつけるように気をつけましょう

2024点 焦燥感はやや低い

長所

あまり時間に追われることなく、比較的マイペースで行動することができます。大声をあげたり早口でまくし立てたりするようなことはごく少なく、穏やかなほうでしょう。たとえ目標が達成できなくても、そのことにこだわりすぎず、別の方法を見つけることができます。

注意点

仕事をする上で納期管理や待ち合わせなどでルーズになる可能性があります。メリハリをつけるように気をつけましょう

2531点 焦燥感はやや強い

長所

時間に追われるように活動的に動き、業績を上げることができます。目標を立て、それに向かって邁進している方が多いでしょう納期に厳しく、また時間もしっかり守ろうとします。

注意点

何もしない時間があると漠然と罪悪感を覚えてしまうことはありませんか。忙しくしていても、たまにはひと呼吸おいてリラックスしましょう。

 

3240点 焦燥感はかなり強い

長所

これと決めたらひたむきに熱中することができます。目標達成のためには積極的に行動しますし、人と対決することも厭わない意思の強さがあります。時間に追われながらも、仕事や学業、興味のあることなどに全力で取り組もうとします。責任感の強さや几帳面さも特徴で、周囲の人は安心して仕事を任せることができます。

注意点

完璧主義的なところがあります。忙しさのあまり心身の調子を崩したりしやすいので注意が必要です。

 

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焦燥感を解決する3つの方法

焦燥感の解決する3つの方法セルフチェックはいかがでしたか。焦燥感が高いと判定された方は、今現在、心が落ち着かず不快な思いをしていることでしょう。そこで当コラムでは、焦燥感が高まる原因と解決策を提案させていただきます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね。

①サイコロジカル・ファーストエイド

焦りに拘る人は注意!
焦燥感に駆られている最中は、焦りのあまり慌てたり、ミスが増えたり、視野が狭くなったりしがちです。実は焦燥感は「あせっちゃいけない」と考えうほど悪化しやすいのです。

サイコロジカル・ファーストエイドとは
焦燥感が強い人の対処法として、まずは落ち着いて冷静になることが大切です。そのために役に立つ心理学の知識として、サイコロジカル・ファーストエイドがあります。サイコロジカル・ファーストエイドとは、災害などの緊急時にどのような心理的援助をしたらよいかを体系的にまとめたものです。焦燥感から心を落ち着かせるために、このサイコロジカル・ファーストエイドの考え方が有効です。あせっちゃいけない!とパニックになりやすい方はコラム②を参考にしてみてくださいね。

②マインドフルネスで脱中心化

衝動性が高い人は注意
日常的に落ち着きがない、慌てやすい、焦りやすい、という方は感情に巻き込まれる心の癖がついています。早口で話す、時間や予定に追われるように行動する、不注意になりがち、という方は注意が必要です。

脱中心化とは
最近の臨床心理学でブームなのが、マインドフルネスという心理療法です。マインドフルネスとは、大事なことに注意を向ける、という意味です。脱中心化とは何事にもとらわれないことを指し、焦燥感に駆られたままの状態から解き放たれるために有効な方法です。焦燥感から抜け出して冷静になりたいという方はコラム③を読んでみてくださいね。

③認知行動療法

べき思考が強いと焦りやすい
強い焦燥感を抱いている人は、ひとつの考え方にとらわれてしまっている場合があります。例えば、○才までに結婚しなくては!などと、“~すべき”と考えやすい傾向があります。固定観念にとらわれて焦ってしまっている方は要注意です。

認知再構成法とは
“~すべき”と考える、べき思考をゆるめるには、認知行動療法の技法のひとつ、認知再構成法が有効です。考え方の幅を広げ、焦燥感から解放されるはずです。~すべき!と考えることが多い方は、コラム④を参考にしてみてください。

次回は焦燥感の対処方法を解説

このように、焦燥感を抱くのは「あせっちゃいけない!と考えすぎる」「感情へ巻き込まれる」「べき思考い」が原因となることが多いようです。次回以降は焦燥感に対処する方法について解説していきます。焦燥感とうまく付き合えるようになると、何事も落ち着いて取り組みやすくなります。これからご紹介する方法を生活の中で実践していくことで、少しずつ焦燥感の扱いが上手になっていくことでしょう。

次回の、焦燥感コラムは「サイコロジカル・ファーストエイド」ついて解説します。次回もお楽しみに!

★焦燥感はストレスフルな状態。3つの原因に適切な対処をしよう
心理学講座

*出典・引用文献・参考文献
Garriga, M et al,. (2016) Assessment and management of agitation in psychiatry: Expert consensus. The World Journal of Biological Psychiatry, 17 (2), 86-128.
西村詩織 (2009) 日常生活で体験される焦りのプロセス-成人期前期の焦りに注目して-. 心理学研究, 80 (5), 381-388.
生和秀敏(1993)時間不安の実験臨床心理学的研究(1)-課題解決場面における検討-. 健康心理学研究, 6 (2), 21-28.
高橋三郎ら監訳(2014) DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院..

 



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