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内向的な性格で生きづらい…強み,メリットに変える方法

内向的な性格で生きづらい…強み,メリットに変える方法

皆さんこんにちは。
公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。

今回のお悩み相談
「内向的な性格で生きづらい」

内向的な性格

相談者
32歳女性 会社員

お悩みの内容
私は昔から内向的な性格でした。集団行動が苦手で、自分の趣味に没頭するタイプです。性格と考えて、あきらめている部分もありますが、楽しそうに人間関係を築いている人に対してコンプレックスも感じます。

自分の性格とどう折り合いをつけていけばいいでしょうか。

私は公認心理師として、日々たくさんの方のお悩みを聞いています。内向的な方はコンプレックスを持っていることが多く、自己否定的な傾向があると感じています。

ただ心理師の私からすれば、内向的な人は長所の塊に見えます。実際心理学の様々な研究で、内向的な人は合理的である、知性がある、などの特徴があることがわかっています。

内向的 悩み

当コラムの趣旨は、そんな内向的な人の力を徹底的に引き出すことを目的として、気合を入れて書いていきたいと思います。

内向的の意味とは?

内向的という概念は実は、古くから考えられてきました。まず初めに内向的な性格について歴史をたどっていきましょう。

ユングと内向性

外向性と内向性をはじめて分類されたのは1920年代のことです。スイスの精神医学者であるユングはユング・内向的人間には2つの思考の方向性があると主張しました。

内向性
 自分の内面に意識が向く
 自分の内面を洞察する
 孤独になりやすい
 控えめな振る舞いが多い
 ハイキング,釣りなどを好む


外向性
 外の世界に向く
 興味が外界に注がれる
 社交的である
 活発に会話をする
 パーティー,地域の活動を好む

ユングが提唱した2つの分類は、1つの考え方として、受け継がれていました。その後、性格の統計的な分析が進んでくると、実際に内向的という概念があるということも分かってきました。

外向性とビックファイブ

1990年代には、内向性を測る指標として、ゴールドバーグという心理学者が提唱したビックファイブという性格尺度がよく使われるようになっています。ゴールドバーグ・外向性・内向性

ビッグファイブとは、基本的な性格の次元を5つであらわすという仮説です。その5つの指標の中には、外向性-内向性という項目があります。

両者の違いは下記となります。

外向性
 社交的で人懐っこい
 気さくな態度
 臨機応変な対応
 自信を持って挑戦

内向性
 人間関係では控えめ
 主観的認識を基準に行動する
 躊躇、反省が多い
 受け身の姿勢
 人をよく観察する

ユングが提唱した概念とよく似ていますね。このように歴史的、統計的に見ても2つのタイプは実際に存在すると言えそうです。

簡易診断

内向性については、簡易診断を作成しました。あくまで参考となりますが、自己診断をしてみるといいかもしれません。

 

内向的と遺伝研究

性格と遺伝率

近年の遺伝研究では、性格はおおむね、30~70%程度遺伝すると言われています。もし内向的だと感じている人は、半分は持って生まれたもので、もう半分は生き方が影響していると言えます。

外向性-内向性の遺伝率

行動遺伝学の安藤教授(2011)によると、外向性の遺伝率は46%とされています。これは言い方を変えると、外向性の逆概念は内向性なので、内向性の遺伝率もおよそ50%と推測できます。

環境と遺伝の影響

最近の研究では、遺伝の問題と環境が組み合わさることによってその性質がより顕著になると考えられています。

例えば、元々も内向的な人が、勉強をすると、より内向性を発揮するようなイメージです。

私たちは元々持った気質と環境の掛け算で、より内向的になったりより外向的になったりするのです。

遺伝,内向的

 

内向的な人の長所と短所

現在までの心理学の研究では、内向的な人には、様々な長所と短所があることが分かっています。以下それぞれについていくつかの研究を紹介させて頂きます。気になる項目がありましたら展開してみてください。

長所,強み

川原・松岡(2007)らは、大学生を中心とした335人を対象に内向性・外向性を調査をしました。以下の図をご覧ください。

図を見ると

内向型の人は
合理的に考える傾向
直感的にはあまり考えない傾向

この2点が読み取れます。

内向的な人は、考えを自分の中でしっかり熟成させ、論理的に考えることができそうですね。

現実の職業からも考えてみましょう。モナッシュ大学経済学部の講師である、ゴードン(2016)は6,000人の被験者を対象に調査を行いました。

その結果、60%の弁護士と90%の弁理士が内向的であることが示されています。 

内向的な人は、情報を外部に求めるだけではなく、それをきちんと頭の中で考え、新しい情報を生み出す力があります。

成功者の例で言いますと、ビルゲイツがこのタイプだと言われています。成功者は熟考し、社会に新しい価値観を生み出していくのです。

内向的な人は、集団でわいわい考えるよりも、一人でじっくり考えることを好みます。そしてこの傾向により創造的なアイデアが生み出されます。

Steiner(1966)の研究では、集団で考える場合と、個人で考える場合を比較し、「アイデアの総数」
  と
「独創的なアイデアの数」
を調査しました。その結果が以下のグラフです。

孤独感 原因

このように「個人条件」の方がグラフが伸びていることが分かります。集団になってアイデアを出す際も、個々にアイデア出した方が量も質も高まるのです。

外向性の集団では一見アイデアが出ているようでもそ質が高いわけではないかもしれません。

内向的な方は、孤独に自分の中で考えを煮詰めていきますが、その分密度の濃いアイデアを生み出すことができそうです。

 

短所,弱み

内向的な人は会話に参加するのが難しい傾向があります。それには以下の3つが関係しています。

1.興味を持つのに時間がかかる
内向的な人は興味を持つのに時間がかかるという特徴があります。特に周りが自分の良く知らない話題について話している時は、無言になってしまうことが多いです。

2.初速が遅い
内向的な人は1回1回考える時間が必要なので、どうしても会話に入るのが遅くなりがちです。特に多人数での会話はパン食い競争なところがあり、早くしゃべった人が主導権を握りやすいです。

そのため、飲み会などで早口な人がいる状況では、会話に入りにくい状態になってしまします。

3.集団が苦手
人数が多ければ多いほど、声が大きく話すスピードが速い人が優先されるようになります。どちらにも自信がない内向的な人にとっては、大人数での会話は苦痛になりやすいのです。

医学博士の村山ら(2002)は、群馬県のある市の住民健康診断の受診者(男性144人、女性217人、年齢平均58.5歳)を対象に抑うつとライフスタイルの関連を質問紙調査によって調べました。

その結果、60歳以上の女性において「内向性」が友人数を減らす原因になることがわかりました。

内向的 友人

このように、内向性の高さが友人数の減に影響を表していることが分かります。

村山ら(2002)の研究では、60歳以上の女性において「内向性」が抑うつを重くする要因であることがわかりました。下図をご覧ください。

抑うつ

内向性と抑うつがプラスの相関を示しています。これは内向性が高いほど、抑うつも高くなること意味しています。

内向的な人は親戚・友人との付き合いが少なく、病気の相談ができない状況にあると言えるでしょう。

村山ら(2002)の研究では、60歳以上の女性において「内向性」は、疾病の苦しみを増やすことが分かります。下図をご覧ください。

内向的

このように、内向性は疾病苦の増加に影響していることがわかります。つまり、内向性が高い人は病気で苦しみやすいと考えられます。

 

内向的な人と生活での工夫

ここまで内向的な人の特徴について解説をしてきました。ここからは内向的な性格の方が陥りやすい悩みを前提に、7つの側面から対策を提案させて頂きます。

・劣等感は持つ必要なし
・性格リフレーミング
・知的活動に活かす
・緊張への対処
・断るときは断る
・会話の基礎は学ぶ
・決断力をつける

使えそうだな!と感じるものがありましたら是非参考にしてみてください。

 

①劣等感を持つ必要なし

私の経験上、80%ぐらいの方は、外向的な方に対して、劣等感を持っています。例えば、飲み会などの社交場面では、外向的な方が会話の主導権を握ることが多く、内向的な方は孤立することが多いです。

下世話な話をしてしまえば、合コンなどでは、内向的な人はアピールする暇もなく終わってしまうことがあります。こういった経験が蓄積されていくと、劣等感を持つのも仕方がないと言えます。

しかし、内向的な人には知性や合理性という最大の武器があります。確かに短期的な勝負では不利な面もありますが、しっかり内面をアピールする機会があれば、仕事でも恋愛でも充分挽回が可能です。

劣等感を持つよりも、ぜひ自分の良さを認め、力強く内向性を活かしていってください。劣等感があるな…と感じる方は下記のコラムも参考にしてみてください。

劣等感の改善コラム

 

②性格リフレーミング

性格リフレーミングとは、一見短所と思える性格の光の部分を探していく手法です。例えば、内向的ですと、先程挙げたように、熟考できる、合理的に考えられるという長所があります。

内向的であることは、武器になります!!その武器を徹底的に考え、磨いていきましょう。特に内向的な性格が短所であるという感覚が強い方は、下記の性格リフレーミングに挑戦してみてください。

きっとたくさんの長所が発見できると思いますよ。
内向的を強みに変える「性格のリフレーミング」

 

③知的活動に活かす

内向的な人の長所の筆頭は知的面、論理面になります。もし進路に迷った場合は、ご自身の気質にあった分野に進むことをオススメします。

調べることが好き、研究が好き、コツコツ作り上げる作業が好きという方は、研究職、職人、エンジニア、漫画家、文筆家など様々な分野でその長所を活かせると思います。

環境の選択で迷ったときは是非、ご自身の気質も検討材料の1つにしてみてください。

 

④緊張への対処

内向的な方は緊張しやすいことが分かっています。人と話すときに緊張する、重要な仕事が近づくと緊張するという方は、緊張をほぐす方法を覚えておくといいでしょう。詳しくは下記のコラムを参考にしてみてください。

緊張をほぐす方法

 

⑤我慢は禁物

内向的な人は、考えすぎて、いつの間にか相手の要求を受け入れてしまうことがあります。いやなことをされたらきちっと断ることも大事です。

自分の身を守るために、断る力もつけておきましょう。詳しくは下記のコラムを参考にしておいてください。

断り方コラム

 

⑥会話力の基礎は学ぶ

内向的な人でも、社会人である以上、必要最低限の会話力はやはりつけておいた方がいいでしょう。社会は人間関係で成り立っている部分がかなりあります。

アナウンサーのようにはきはきと話す必要はないですし、漫才師のようなユーモアは必要はないと思います。あくまで最低限の会話力はつけておくという目標で充分だと思います。

下記のコラムでは会話の基本的なスキルを網羅しています。お時間があるときにトレーニングをしてみてください。

会話が続かない…を改善コラム

 

⑦決断力をつける

内向的な人は考える時間が長く、決断に時間がかかる傾向があります。一度決断すると情報を示唆した分失敗はすくなくなるのですが、考えすぎるのもリスクがあります。

人生で考えすぎてチャンスを逃すことが多かった…という方は下記のコラムを参考にしてみてください。

優柔不断を改善コラム

 

まとめとお知らせ

まとめ

今回は内向的な性格について解説してきました。性格は、水や火と同じで、自分の敵にもなりますし、大きな味方にもなります。

内向的な皆さんが、その性格を充分活かして、才能を発揮されることを願っています。またそういった社会を作り上げていくことが大事だと感じています。

 

講座のお知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・自分の長所の探し方
・リフレーミング練習
・心理療法の学習
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方は下記お知らせをクリックして頂けると幸いです。お待ちしています(^^)

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
川原正広, & 松岡和生. (2007). 外向型・内向型における注意機能特性と情報処理スタイルの関連性. 現代行動科学会誌, (23), 1-10.
辻平治郎(1998). 5因子性格検査の理論と実際―こころをはかる5つのものさし. 北大路書房
村山侑里, 山本林子, 山口実穂, 山崎千穂, 中澤港, & 小山洋. (2012). 群馬県農村部における抑うつ状態とライフスタイル要因との関連. 北関東医学, 62(1), 41-51.
松久眞実. (2012). 自尊感情の向上を目的とした認知的側面への介入に関する実践的研究. プール学院大学研究紀要, 52, 119-132.

Gordon, Leslie A. (January 1, 2016). “Most lawyers are introverted, and that’s not necessarily a bad thing”. ABA Journal. Archived at the Wayback Machine. Archived from the original on January 8, 2016.

遺伝マインド –遺伝子が織り成す行動と文化 (有斐閣Insight) 単行本(ソフトカバー) – 2011/4/11
安藤 寿康 (著)