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元気がないときの問題・原因と対処法

元気がないときの問題・原因と対処法①

はじめまして!臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。今回は「元気」についてお話していきます。コラム①は元気について基礎的な話を5分程度させていただきます。目次は以下の通りです。

  • 元気がでない感情とは
  • フィンクの危機理論
  • 無理に明るくするのはNG
  • 長期化する問題と症状
  • うつ病の危険性
  • 心の安定と日射量の関係
  • 診断とチェック
  • 3つの方法で症状を改善

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^) それでは早速、元気の基礎から解説させて頂きます。

「元気が出ない…」とは?

仕事や恋愛、人間関係でのできごとから、元気が出ない事ってありますよね。そんな時は

・何もする気が起きない
・ひとりで過ごしたい
・ネガティブな気持ちが止まらない

など、ツライ気持ちで苦しくなってしまう事もあります。

明確な理由から元気がない場合、短い期間であれば問題はありません。人はツライ気持ちの時に、自分自身と向き合ったり人生について深く知ろうをするからです。このような経験が自己成長や人生に深みを出してくれるとも言えますから、元気が出ないことは自然な感情でとても大切な経験ともいえます。

フィンクの危機理論

ここで、フィンクの危機理論について見ていきましょう。

フィンクの危機理論は「危機を経験した本人がその状況を受け入れていく過程を支援する」理論で、看護の場面などで活用されています。フィンクは、心の整理には4つの段階があると主張しています。

1:衝撃
迫りくる危険や脅威から思考が混乱し、気持ちの落ち込みがとても強い時期です。泣いたり、食欲がなかったり、体がだるいなどさまざま症状が現れます。

2:防衛的退行
現実が受け入れられず、葛藤する段階です。失敗や挫折や喪失体験と向き合いながら、自己の存在を維持しようとします。

3:承認
強い不安から再度混乱をしながらも、自分の心と向き合い、少しずつ元気のない状況と折り合いがついていく時期です。周囲に話をするなど、蓋をしていた悲しみが外に出るようになります。

4:適応
少しずつ穏やかさを取り戻し、好きなことや新しいことを始めるなかで、積極的に自分にとってプラスになることを取り入れるようになる時期です。元気が出ない出来事を前向きに解釈して進んでいけるようになります。

このように人はツライ出来事に直面しても、元気が出ない状況を自然と回復する力があるのです。

無理に明るく!はNG

先ほどご紹介したフィンクの危機理論の衝撃」「防衛的退行」の2つの時期には「抑圧」という心の防衛機制が働くことがあります。抑圧とは、本来なら落ち込むべきことを心の奥底にいったんしまうイメージです。

人は元気がでないようなツライ出来事に直面し受け止めることができないときには、落ち込む状態をいったん保留にすることもあるのです。

このような心の防衛機制にはとてもエネルギーがいるため、限界があります。また、落ち込むべき時に落ち込まず、元気が出ないにもかかわらず強引に明るくいようとすると、胃潰瘍や月経不順など心身症という病気になることがあります。

元気が出ない気持ちをしっかり処理せずため込むと身体の不調につながることもあるのです。この意味で元気が出ない理由が明確にあれば、自然な流れとして落ち込むことが大事なのです。

長期化は注意!問題・症状

元気が出ない状況は、自然に対処すればある程度の時間で改善していくものです。しかし、長期的に元気がでない状態で、理由なく落ち込んでいる場合には注意が必要です。

元気がでない状況が長期化する場合、次のような症状に発展することがあります。

・抑うつが強くなる
・対人関係での不安が強くなる
・気分障害になりやすい

また気分の落ち込みから元気が出ない時には、ネガティブ思考になりがちです。

ネガティブ思考をぐるぐる巡らせている状態が続くと社交不安や抑うつを強めることになるので注意が必要です(城月, 笹川, & 野村,2007; 長谷川, 金築& 根建,2009)。

ネガティブ思考と抑うつ

ここでネガティブ思考と抑うつについて研究を見ていきましょう。

神谷・幸田(2016)は、「ネガティブ思考」が与える心理的な影響について研究しました。

▼こちらは、論文を一部改変して作成した図です。

元気が出ない状況を解説

ネガティブ反すう思考とは、マイナスな考えをぐるぐると何度も繰り返してしまう思考を意味します。

この図から過去現在否定的と自己否定が、ネガティブ反すう思考や将来否定を高め、将来否定とネガティブ反すうが高まることで、抑うつ気分を強くなることがわかります。

つまり過去や現在に対してマイナス感情をもつこと、自分を否定的に捉えることで、将来まで否定しがちになり、抑うつ気分を強めてしまうのです。

元気がない状況でネガティブ思考をぐるぐる巡らせている中で、過剰な自己否定や、過去や現在をマイナスに捉えている場合は特に注意が必要です。

うつ病とは?症状・危険性

ここでは、うつ病についての危険性についてみていきましょう。

心理学では、少しの元気がでない状況から深刻な落ち込みまで連続線上にあると考えられているため、少しの気分の落ち込みがうつ症状につながることは十分に考えられます。元気がでない状況が長期化すれば、抑うつ気分が強まるため注意が必要です。

うつ病の基本的な症状はこちらです。

・強く抑うつ気分
・喜びや興味の喪失
・疲れやすさ

うつ病は深刻化すると、最終的に過剰に自分を追い詰めてしまうことにもつながるため早めの対処が必要です。

警察庁(平成29年)の自殺統計によると、健康問題での自殺で最も多かった原因はうつ病となっており、身体の病気や統合失調よりもうつ病の方が多いことがハッキリと出ています。

自殺状況の図から元気がでない問題を解説

元気でない状況がつづくなかで、うつ症状が少しでもみられたら、症状が小さいうちに対処しておくようにしましょう。もし消えてなくなりたい・・・死にたいというような感覚がある方は、精神科の受診を視野に入れましょう。

日射条件が影響?

何かの出来事でショックを受けて、元気がでないことは自然な反応です。しかし、元気がでない理由がはっきりとしない、何となく元気がでない…と言うこともあります。このような抑うつには季節や周期の関連があることがさまざまな研究で報告されています。

福岡(2003)は、国内の自殺、交通事故、犯罪、それぞれの発生件数を調査事例に、各種の起床要素との関係について国内外の研究論文を検討し調査しました。その結果、次のようなことが分かりました。

・自殺件数は不照日数とは関連がある
・自殺は季節性とも関係がある(社会的環境や行事など)

つまり、日光などの生理的な問題と、繁忙期や入社時期など社会的にストレスがかかりやすい時期に気分が落ち込み、抑うつが起こりやすいということです。

また、厚生労働省(2008)の調査でも、日射量がうつ病に関わっていることを示唆しています。

下の図は各都道府県のうつ病患者数の統計を色で表しています。赤いほど患者数が多く、青いほど患者数が少ないことを示しています。うつ病の患者数は北海道が最も多いことが分かりますね。日射量とうつ病患者数の統計地図

北海道が最も多い理由は、北海道は雪が多いため日射量が少なく、十分に日光を浴びることができないためとだと考えられています。

このように日光を浴びないことは、元気がでない、気分が落ち込むなどの原因の1つとして、十分に考えられます。

元気がでない原因・対処法

本コラムでは、元気がでないときの自分の気持ちとの付き合い方について、対処法を提案させて頂きます。まず消えてなくなりたいと感じるぐらい症状が重い方は精神科の受診を視野に入れてください。

そのほかの方は心理療法も効果的です。精神科と心理療法どちらが適切かわからない場合は以下の動画も参照ください。心の面から改善したいという方は動画を飛ばしても大丈夫です。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
 チャンネル登録くださると励みになります!

ここからはいくつかの心理学的な側面からの改善方法を紹介します。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①フィンクの危機理論

無理に明るくしてしまう
落ち込む気持ちを抑えて、無理に明るく元気にふるまってしまうと、元気がでない状況を長引かせてしまいます。空元気で過ごすことはとてもエネルギーがいるうえ、長く気持ちを抑えてしまうと心身症になる可能性があることをコラム冒頭でもお伝えしましたね。落ち込む気持ちは自然な流れとして表現することも大切です。

4つのプロセスで健康的に回復 
本コラムでは、コラム冒頭でお伝えしたフィンクの危機理論をベースにしたワークをご紹介します。健康的に落ち込み、元気を取り戻す方法を見つけて行きましょう。健康的に落ち込むって??…と思った方フィンクの危機モデルを勉強してみたい!という方は、コラム②のワークに取り組んでみてくださいね。

改善策2に進む前に30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

②リフレーミングで捉え直す

ネガティブ思考が強い
気分が落ち込みやすい、元気がなかなかでない…という人は、ネガティブ思考傾向が高いといわれています。ネガティブな側面に注目しやすい、認知の歪み傾向がある人は要注意です。物事を必要以上にネガティブに捉えてしまうと、自分の思うような結果につながらず悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

捉え方を変えてポジティブに修正
本コラムではネガティブ思考を修正する方法として、物事の枠組みを捉えなおす「リフレーミング」をご紹介します。ネガティブな思考が出てきたら、ポジティブに捉えなおしてみましょう。新たな手立てや発見も得られるかもしれません。ネガティブに捉えがち…と言う方は、コラム③をチェックしてみてくださいね。

③ソーシャルサポートの活用

ひとりで抱え込んでしまう
いったん気分が落ち込むとなかなか元気がでない…という人は、直面している問題をひとりで抱え込む傾向があります。困ったことや問題をひとりで抱え込むと、物事を多角的に捉えることが難しくなり直面する問題の解決がおくれたり、解決できないという状況になる可能性もあります。困った出来事を抱え込んで、負担に感じてしまう事が多い人は注意が必要です。

周囲のサポートに甘えよう
困ったときには、ソーシャルサポートを積極的に利用しましょう。ソーシャルサポートとは、社会的関係の中でやりとりされる支援です。家族や友達、職場の同僚など、ソーシャルサポートはたくさんあります。本コラムでは、さまざまなソーシャルサポートを使って問題を解決する方法をご紹介します。ソーシャルサポートの具体例や方法を知りたい!という方はコラム④を参考にしてみてくださいね。

④身体面からのアプローチ

元気がでない原因は体の問題?
睡眠が不規則、身体の不調、食生活の乱れがあると気分が上がりにくいと言われています。例えば、充分に睡眠によって様々な脳内物質が分泌されます。

その脳内物質の中には、やる気と深く関係している「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などが含まれているため、寝不足や不規則な睡眠によって3つの脳内物質が分泌されにくい状態が続くと、日中に元気がなくなってしまうというメカニズムが完成します。普段から病気がちな人は要注意ですね。

規則正しい生活を
まずは生活習慣の改善から行いましょう。コラム5では、元気がない状態から抜け出す身体の面からのアプローチについて解説していきます。最近体がだるくて元気がない…、不規則な生活が続いている…という方は、コラム⑤を確認してみてください。

元気がでないときの対処法

4つの方法で元気がでないときを乗り切る!

元気がないときの原因には「無理に明るくしてしまう」「認知の歪み」「問題をひとりで抱え込んでしまう」「体の問題」が原因となることが多いようです。次回からは原因の解決策を具体的に紹介していきます。

次回は、元気がないときを改善する方法の1つ目「フィンクの危機理論」を解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★元気がでない状況が長期的になる場合は早めの対処が必要
心理学講座

コメント

1件のコメント

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    • ゆう
    • 2019年3月20日 3:29 PM

    落ち込み気味でも、無理に明るくしようとするのは、今の世の中「元気=ポジション=好ましい」という傾向があるからではないでしょうか。また元気ないことを自己開示できない人間関係しか持てない人が増えているからでしょうか。
    落ち込んだら、まずは暗い曲を流しつつ、布団にくるまるのがいいですね!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
押谷葉子, 山田尚登, & 高橋三郎. (1994). 感情障害エピソード反復の周期性と季節性. 精神医学, 36(11), 1197-1202.
樫村正美, & 岩満優美. (2007). 感情抑制傾向尺度の作成の試み. 健康心理学研究, 20(2), 30-41.
城月健太郎, 笹川智子, & 野村忍. (2007). ネガティブな反すうが社会不安傾向に与える影響. 健康心理学研究, 20(1), 42-48.
長谷川晃, 金築優, & 根建金男. (2009). 抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の確信度と抑うつ的反すう傾向との関連性. パーソナリティ研究, 18(1), 21-34.
厚生労働省 患者調査 2008年