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人が怖い心理を克服する方法

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人が怖い心理を克服する方法

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「人が怖い心理の克服法」についてご相談を頂きました。

人が怖い,克服したい

相談者
24歳 男性 会社員

お悩みの内容
私は中学生の後半ぐらいから、人が怖いという気持ちが出てきました。初対面の人と話すとき、人前に立つとき、異性と話すとき、ものすごく緊張します。

そのため、お昼ご飯は1人で食べ、休日は1人で過ごすことが多いです。

このままではあまりにも寂しい人生になると感じています。人が怖い心理を克服したいと思っています。どうすれば克服できますか?

人が怖いと、人間関係ですごく疲れてしまいますよね。実は私も同じ症状に悩まされ、社交不安障害という病気になったことがあります。ひきこもり、視線恐怖、自殺企図も起こり、生きる気力を失っていたこともありました。

人が怖い,克服

そんな私も40歳間近となり、当時の私が陥っていた心理状態を、客観的に分析できる年齢になってきました。当コラムでは、心理学の知識と私の体験談を合わせてお話できればと思います。

是非最後までご一読ください。

なぜ人が怖くなるのか

まず初めに人が怖いという心理の原因を探っていきましょう。

12~15歳に怖くなる

人が怖いという心理は、12~15歳の頃から急激に強くなります。下記の図は社交不安障害の発症年齢となります。少し眺めてみてください。

 

人が怖い 

青色の10~15歳が突出しているのがわかります。病気というと、普通は子どもか高齢者がかかりやすいものですが、人が怖い心理は健康的であるはずの12~15歳に起こるのです。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

私的から公的自己意識へ

私たちは小学高学年までは、私的自己意識の世界で生きています。

サッカーがしたい!
お菓子をたべたい!
一日中遊んでいたい

など自分の気持ちを優先し、活発に生きているのです。

公的自己意識とは何か?

一方で、12~15歳になると「公的自己意識」がどんどん高まっていきます。公的自己意識とは「人の目を気にする心理」です。

異性から嫌われたくない
かっこよくみられたい
内申の点数をかせぎたい
友人から孤立してはいけない

などが挙げられます。12~15歳はこの公的自己意識が爆発的に増えていくのです。

同時に、思春期の青年は、心も未発達です。コントロールの方法がまだわからないので、公的自己意識の爆発をコントロールできず、人が怖い気持ちが抑えられなくなるのです。

堀井(2001)は高校生(256名)と大学生(271名)の男女に対して、公的自己意識と対人恐怖傾向に関する研究を行っています。

公的自己意識

このように、対人恐怖傾向が高いと公的自己意識も高いという結果が出ています。周りの目を気にする心理と、人が怖いという悩みはとても関連しているのです。

 

人が怖い,人の目を気にする

人が怖い,深刻な問題

人が怖い気持ちが過剰になると、実際どのような悪影響があるのでしょうか?

回避行動

人が怖い気持ちが大きくなると、人と関わることに強烈な不安を伴うので、会話場面を避けるようになります。深刻になると引きこもりになるかたもいます。

会話力の低下

人と接する時間が減ると、会話力を成長させる機会を失うことになります。会話は、傾聴力、発話力、豊かな表情、人の気持ちを考える…様々なスキルが必要になります。

思春期はこれらのスキルを成長させる重要な時期なのですが、人が怖い感覚がある方は、経験値が不足し、未熟な状態のままで社会に出てしまいます。

大人になってから、仕事や恋愛で苦労する方もたくさんいます。

社交不安障害のリスク

人が怖いという気持ちが深刻になると

社交不安障害
赤面恐怖症
視線恐怖症
醜形恐怖症
自己臭恐怖症

などを発症することがあります。こうした症状をそのままにしておくと、周りの目ばかりを気にしてしまい、根拠もなく自分を責めることが多くなります。

社交不安障害はうつ病と関連することも多く自殺企図が現れることもあります。筆者の川島も、社交不安障害が重度な時期に自殺の危険がありました。

人が怖い,人の目を気にする

人が怖い克服する8つの方法

ここからは人が怖い悩みの解決策を紹介していきます。これまで心理学の世界では様々な改善法が開発されてきています。今回は私の経験も抑えて、以下の8つのやり方を提案させて頂きます。

①私的自己意識を強くする
②失敗過敏を和らげる
③論理療法を学ぶ
④会話の自主練をする
⑤行動範囲を広げる
⑥森田療法の活用する
⑦漸進的筋弛緩法を学ぶ
⑧医療機関を利用する

すべて行うのは大変なので、上記の中でご自身の状況に合いそうなものを、組み合わせて活用してみてください。

自分の見た目に自信がない

対策① 私的自己意識を強くする

当コラムの前半でもお伝えした通り、人が怖い気持ちの中核は「公的自己意識の過剰さ」です。改善するためには、

 公的自己意識を減らす
 私的自己意識を増やす

この2点が必須です。人の目を気にする傾向がある方は、下記のコラムをぜひ参考にしてみてください。後半にトレーニングがあるので取り組んでみてくださいね。

人の目を気にする意識の改善

 

対策② 失敗過敏を和らげる

人が怖い気持ちがある方は、会話をするときに失敗過敏があることがわかっています。

恥をかいてはいけない
緊張してはいけない
欠点を見られてはならない

上記のような感覚がある方は、発言をするたびに緊張してしまい、疲れてしまいます。失敗過敏を改善するには、考え方を積極的に修正していく必要があります。

例えば、

はじをかくのも愛嬌♪
たまには好きな話題を話そう
そうだ!すごく面白かった
YUTUBEの話をしよう

と考えるのです。このように前向きな表現をすると、会話も楽しくなってきます。

対人関係で失敗のイメージをしてしまう方は、下記のコラムを参考にしてみてください。より詳しく練習することができます。

失敗怖い…を前向きにする練習

 

対策③ 論理療法を学ぶ

人が怖いという気持ちがある方は、極端な考え方に囚われていることがあります。例えば、

緊張していると弱い人間と思われる
話し下手は嫌われる
赤面すると評価が下がる

こうした強い思い込みが見られます。これらの思い込みを改善するには、本当に自分の考えが正しいのか?現実的に考える練習が必要です。

非現実な考え方になっているかも…と感じる方は下記のコラムを参照ください。考え方を見直し、心をほぐす練習をすることができます。

論理療法の基礎

 

対策④ 会話の練習をする

人が怖い方は、傾聴スキル、発話スキルが低い傾向があります。こうしたスキル不足から、さらに人と接することを避ける悪循環に陥ります。

会話の力を取り戻す手法としては、体系的に学び、反復練習を繰り返すことが大事になります。具体的には筆者が主催する人間関係講座がおススメです。

筆者の川島は心理学の大学院で会話研究を行ってきました。講座では、傾聴力、発話力を鍛えるトレーニングをたくさん行っていきます。人と接してもうまく話せない…と感じる方は以下の講座を参照ください。

会話力をつける,人間関係講座

人が怖い,会話練習

対策⑤ 徐々に行動範囲を広げる

人を避けることが習慣になっている方は注意が必要です。心理学の研究では、人を避けると、余計に人が怖くなることが分かっています。

人と接する苦手意識を克服するには、

最終的には人と直接会話することで克服する

と決意をしなくてはなりません。

しかし、いきなり社交的な場面に行くと、失敗して余計に自信を失ってしまうリスクもあります。大事なことは、スモールステップを作って行動範囲を徐々に広げていくことです。

例えば、

まずは挨拶だけできればOK
天気の話を10秒をする
最近食べたごはんの話をする

こんな形でスモールステップを作って、少しずつ成長できればOKです。具体的には下記の行動療法で詳しく解説しました。現実の場面でチャレンジをする段階で是非活用してみてください。

スモールステップー行動療法

 

対策⑥ 漸進的筋弛緩法

人間の心と体はつながっています。人と会話をするときに

緊張して体が硬直する
胸がドキドキする
呼吸が乱れる
汗が噴き出す

上記にあてはまる方は体ほぐすエクササイズがおススメです。具体的には、筋肉の緊張と弛緩を繰り返してリラックスする、漸進的筋弛緩法をトレーニングしてみてください。

漸進的筋弛緩法を練習する

対策⑦ 森田療法を学ぶ

克服する方法としては森田療法がとてもおすすめです。森田療法は、以下の習慣を目指す心理療法です。

人が怖い気持ちを無くそうとするのではなく、自然なものとして受け入れながら、目的に沿って行動する

特徴的なのは、人と話すときに生じる、怖さ、不安、苦手意識を受け入れる…と言う考え方です。この考え方は、「あるがまま」と表現することもあります。

人と話すときの不安や恐怖はゼロにすることはできません。そんな自分を最後は受け入れながら、力強く生きて行くことを森田療法は教えてくれます。

私自身も救われ、思い入れが強い心理療法です。是非一度学習してみてください。

森田療法,あるがまま,目的本位

対策⑧ 薬物療法

人が怖いという気持ちが強く、会話が全くできないような状態の方は、医療の助けを借りるようにしてください。

対人不安は決して恥ずかしいものではなく、世界中の研究者が、あなたのために研究を重ね、不安を和らげるためのお薬を開発しています。以下対人恐怖とお薬について解説をしています。

特に症状が重たい方は参考にしてみてください。

薬物療法の基礎

 

まとめ

人が怖いという気持ちは、放置しておくといつのまにか深刻な状況になってしまうことがあります。当コラムの知識を、ご自身のため、そして親しい方のために、役立てて頂けるとすごくうれしいです。

皆さんが、過度に人を恐れることなく、健康的な人間関係を築かれることを切に願っています。

講座のお知らせ

人が怖い心理を公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり改善したい方は、私たちが開催している心理学講座をおすすめします。講座では

・過剰な公的自己意識の改善
・不安を軽くする,心理療法の学習
・緊張をほぐすトレーニング
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方は下記の看板をクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。↓詳細は下記の看板をクリック↓

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4件のコメント

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    • 匿名
    • 2020年10月7日 9:23 PM

    めっちゃ分かる‼

    返信する
    • みみ
    • 2020年10月7日 9:20 PM

    私は不特定多数のいろいろな人が怖いです。目が合っただけで顔がこわばってしまいます。外に出るのが億劫ですね

    返信する
    • 塾長が怖い
    • 2020年9月26日 6:51 PM

    僕は塾長が怖いです。
    怖いより「恐怖」でしょうか
    「あれが終わってないこれもしてない」
    塾に行っているのに会社の残業をするように「お前10時まで居残りな」とよく言われます。
    両親には心配ばかり。
    もう嫌です。

    返信する
    • 望美
    • 2019年6月15日 9:20 PM

    私は、中学1年生の女子です。私のクラスに、好きな人がいて、告白も、4月にしました。返事ももらいました。でも、その1か月後、冷たい言動でツッコんできたり、近くに私に対してじゃないかもしれないですが、悪口を言ってきたりします。 でも、私は、(彼も頑張っているのかもしれない)と、責める(?)ことはしません。言い返したりもしません。
    なぜなら、

    ・兄弟が上に兄(高1)下に弟(小2)がいる(らしい)
    ・働き者(率先して働く)
    ・言動は冷たいけど 本当は優しいと思うから
    ・周りの人に頼っていない(何でも自分でやろうとしている)
    ・頑張っていると思うから(学校に来る事・家での態度)

    もしかしたら、学校では、家での本当の姿とか本当の自分をみせていないかもしれないからです。 本人がそうかどうかはわかりません。でも、もしそうだったら助けてあげたいです。自分もそういうことがあったので、助けてあげたいです。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
対人不安の生起・維持プロセスの理論モデルに関する展望 : 回避的行動と自己愛, 他者への関心の葛藤という観点から 向井 靖子,東京大学大学院教育学研究科紀要 41, 319-326, 2002-02-25
いわゆる対人恐怖症者における「悩み」の構造に関する研究,横浜国立大学教育紀要 14, 1-33, 1974-10-05
LSAS-J:Liebowitz Social Anxiety Scale 日本語版 監修:独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長・総長 樋口輝彦

羽健二・森田正哉(2015),「特集:社交不安症<総説> 『社交不安症の疫学 -その概念の変遷と歴史-』」,不安症研究,7(1),p18-28.

Dennis,C. (2014), Mental health: Asia’s tigers get the blues.Nature,429,696-698.

  • 日本精神神経学会 監修 (2014) DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
  • 音羽健司・森田正哉 (2015) 社交不安症の疫学―その概念の変遷と歴史―

World Health Organization, 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター(訳)(2014).自殺を予防する 世界の優先課題.

堀井 俊章 横浜国立大学教育人間科学部紀要.  横浜国立大学教育人間科学部 編 16, 135-143, 2014-02