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人が怖いのはなぜ?克服する方法・診断

人が怖いのはなぜ?克服する方法・診断

はじめまして。公認心理師の川島です。
今回のテーマは「人が怖い」です。

  • 改善するお悩み
  • ・人が怖い
  • ・人と話すと非常に緊張する
  • ・人の目がとても怖い
  • 全体の目次
  • 入門①対人恐怖の歴史
  • 入門②人が怖いはなぜ起きる?
  • 入門③問題とリスク
  • 入門④診断チェック
  • 入門⑤克服する方法
  • 発展練習問題
  • 助け合い掲示板

読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。ぜひ最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています

はじめに-私も大変苦労しました

みなさんは、こんな悩みを持っていませんか。

「人の目がとても怖い」
「緊張から言葉が出なくなる」
「人と話すととても疲れる」
「人からどう評価されるか気になる」
「手が震えたりたくさん汗をかく」

このような対人場面での恐怖が、日常生活に支障が出るほど強い場合は、対人恐怖症の可能性があります。

実は、筆者の川島は対人恐怖症になった経験があります。私の場合は、人が怖い感覚が14歳くらいからはじまり22歳まで続きました。

青春時代の大事な時期にこの病にかかり、大変苦労したと感じています。人が怖いという気持ち

症状が最も強かった時には、視線恐怖、吃音症、自殺企図も起こり、生きることに疲れていたこともありました。

この原体験を活かして、現在は公認心理師、精神保健福祉士として、活動しています。私もアラフォーとなり、当時の私が陥っていた心理状態を、冷静に分析できる年齢になってきました。

当コラムでは、学術的な話に私の体験談なども交えながらお話できればと思っています。

対人恐怖の始まりと広がり

対人恐怖の始まり

対人恐怖の概念は、日本人の精神科医 森田正馬が1919年に発見します。当時は、対人恐怖に関する研究は、世界的に見てもありませんでした。

森田は対人恐怖の心性を改善する治療法を体系化し、世界で初めての心理療法を開発します。現在は、森田療法として世界中で親しまれています。

世界中で研究が進む

日本では昔から「人に迷惑をかけてはいけない」といった感覚があり、対人不安を招きやすいと考えられてきました。

そのため対人恐怖は日本独自に発展をします。世界では、似たような症状があることが分かり徐々に研究が進みます。

アメリカでは、1980年代に精神医学会で「社会恐怖(social phobia)」という診断基準が用いられるようになりました。

最近の精神医学の世界では「社交不安障害」と呼ぶようになっています。

人が怖い,対人恐怖

人が怖い感覚はなぜ起きる?

約8割が10代で発症

「人が怖い」という感覚はなぜ起きるのでしょうか。

社交不安症の発症年齢にヒントがあります。

以下のグラフをご覧ください。社交不安障害を発症した人の約80%が10代で発症していることが分かります。

社交不安障害の発症年齢

図1. 社交不安障害の発症年齢(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアルより、一部改変)

 

もしみなさんに対人恐怖症の傾向があるとしたら、人が怖い感覚はおそらく12~15歳ぐらいから始まったのではないでしょうか?

ここでみなさんに考えて頂きたいことがあります。

一般的に病気は、子どもか高齢者に多く見られます。しかし、人が怖い感覚は健康的でエネルギッシュであるはずの10代に起こるのです。これは、なぜだと思いますか?

理由は大きく分けて2つあります。

人が怖い理由①公的自己意識

1つ目の理由は「公的自己意識」です。12~15歳は「公的自己意識」という心理が急速に発達していく時期だから人が怖くなるのです。

自己意識には「私的自己意識」と「公的自己意識」があります。

・私的自己意識
自分が主体となる意識です。自分がどうしたいか、自分はどう感じているかと考えます。

たとえば、
「ケーキがたべたい!」
「ゲームで遊びたい」
「おもちゃを買って」
これらはすべて、私的自己意識になります。

私的自己意識は、周囲の目を全く気にしません。そのため、以下のイラストのようにすがすがしいほど自己主張ができます。

私的自己意識小さな子供は人が怖いといった恐怖心は全くありませんね。一方で、私的自己意識と対照的な考え方に「公的自己意識」があります。

・公的自己意識
人の目を気にする心理です。他人が存在していてその他人の目を意識して考えます。

たとえば、
「馬鹿にされたくない」
「失敗してはじをかいてはいけない」
「かっこ悪いと思われたくない」
これらはすべて、公的自己意識になります。

人が怖い,人目を気にする

私たちは10歳ぐらいまでは、私的自己意識を主体に生きています。おやつが食べたい!ゲームがしたい!遊びにいきたい!子どもの頃は、自分勝手に生きていてもかわいいものです。

子どもは見た目も同じようなものですし、頭が多少悪くても、どうってことありません。楽しければいい!そんな痛快な生き方ができているのです。

・公的自己意識が増加
しかし中学生くらいになると、私たちは思春期を迎え、体や考えは変化をしていきます。

体に変化
男性なら13歳ぐらいから精子が出るようになってきます。これはなんだ!!とびっくりして、自分だけがおかしいのではないか?と周りの目を気にし始めます。

また女性は初潮を迎えたり、胸が膨らんでくるなどの変化が現れます。

私たちは、体の変化とともに周囲と自分とを比較しはじめるのです。

異性へ興味
さらには、思春期は強烈な異性への興味も膨らんできます。

好きなアイドルや好きな異性で、頭がいっぱいになる時間もあります。必然的にその人が自分のことをどのように考えいているのか?が気になりはじめます。

競争が始まる
さらには、勉強では成績で他者と自分との違いを比較できるようになり、部活ではレギュラー、補欠といった上下関係が生まれます。

私たちは痛快な生き方ができなくなり、周りとどう折り合いをつけていくか?を考えなくてはならなくなるのです。

大人になると、この辺のサジ加減はできるものです。しかし思春期の青年は、心も未熟です。

コントロールの仕方がまだわからないため、公的自己意識が暴走して対人場面で人が怖い感覚が強くなってしまうのです。

堀井(2001)は高校生(256名)と大学生(271名)の男女に対して、対人恐怖傾向と私的自己意識、公的自己意識に関する調査を行っています。

その結果が下図となります。対人恐怖傾向について、私的自己意識が高い群と公的自己意識が高い群を比較しています。

対人恐怖傾向が高いと公的自己意識も高いことが読み取れます。一方で、私的自己意識は対人恐怖心性と関連していません。

つまり、人が怖い感覚を改善するには、他人の目を気にしすぎず、自分主体の考えを増やしていくことがヒントになりそうです。

人が怖い,発言が不安

人が怖い理由②自己嫌悪

人が怖い感覚を強める原因の2つ目は「自己嫌悪」です。

思春期に公的自己意識が強くなると、周囲と比較した自分の価値について考えるようになります。

この時、心理的につまづくと自分の嫌いな部分ばかりが増えてしまうのです。

自分が嫌いな状況は、対人場面でとても負担になります。なぜならコミュニケーションで、嫌いな自分をさらし続けるためです。

私(川島)の場合は、赤面症状がありました。赤面する自分が非常に嫌いだったことで、人と接することが嫌で仕方がありませんでした。

このように思春期には、公的自己意識が増え、さらに自己嫌悪が加わることで、人が怖い感覚が強くなってしまうのです。

人が怖い感覚の問題・リスク

人が怖い感覚は私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?

回避行動

人が怖いことで、人間関係が苦痛になります。そのため、会話場面を徹底的に避けるようになります。

特に目的のない雑談場面、飲み会などがとても苦手になります。

会話力が低下

人と接する機会が減ると会話する機会が減ります。そのため、会話力が低下するという悪循環に陥ります。たとえば、1日1時間会話をする人と、しない人を10年で比較すると、3500時間ほどの差がつきます。

これだけの経験時間を補うのは、大人になってからのトレーニングではかなり難しいといえます。

妄想・非現実に発展

人が怖い感覚が強くなると、対人恐怖症に発展する可能性が高いです。そして症状が悪化すると、赤面恐怖症、視線恐怖症、自己臭恐怖症に発展することがあります。

これらの症状は放置しておくととても危険です。人間関係が妄想的になり、非現実的な思考で埋め尽くされてしまいます。

私のように引きこもりになり、自殺企図が出てくることもあります。

堀井(2014)は大学生4461人を対象に、対人恐怖心性について調査を行いました。

その結果、対人恐怖心性は、孤立恐怖、加害恐怖、登校回避などさまざまな感情に影響することがわかりました。

以下は「自己視線・醜形恐怖」の結果です。醜形恐怖とは、必要以上に自分の容姿をマイナス評価してしまう心の状態を意味します。

「.82**」というとても大きな正の相関です、人が怖い感覚に非常に影響を与えることが分かります。

人が怖い,対人恐怖症との関係

人が怖い感覚と醜形恐怖は結びつきが強いです。たとえば、目の大きさが気になる、スタイルが気になるなどを過剰に意識してしまいます。

カウンセリングでは、びっくりするほど美人な方も、現実以上に自分をマイナス評価してしまう状態があります。

人が怖い感覚が過剰になりすぎると、社会性を維持できなくなるリスクがあるため対応が必要です。

自分の見た目に自信がない

診断とチェック

人が怖い状態を客観的に知りたい方に、簡易診断をご利用しました。人が怖い状態がどの程度かによって、対応が異なります。一度診断してみることをおすすめします。

人が怖い状態を克服する方法

ここからは、人が怖い状態を克服する方法を紹介していきます。解決策はいろいろありますが、今回は入門編として、比較的取り組みやすい3つのやり方をお伝えします。

①私的自己意識で行動
②プラス視点に修正
③小さな目標にチャレンジ

① 私的自己意識で行動

人が怖い状況は、公的自己意識が肥大し、私的自己意識がないがしろにされている傾向でしたね。

人が怖い感覚を改善には、人の目を気にする心理を軽減することが大切です。

まずは自分自身がどうしたいか?(私的自己意識)を基準に人間関係を築いていくと改善しやすいいでしょう。トレーニングは、以下の動画を参考にしてみてください。

*もっと練習したい方は下記コラムの後半の練習問題にチャレンジしてみてください。

人の目を気にする意識の改善-私的自己意識を増やす

② プラス視点に修正

人が怖い感覚が強い人は、自己嫌悪から失敗過敏になりやすい傾向があります。

自分が嫌いな状態は、心に余裕がありません。そのため、これ以上傷つきたくない気持ちから

「人に嫌われてはならない」
「人前で緊張してはいけない」
「絶対にミスはできない」

とネガティブに考え、失敗過敏になるのです。失敗過敏を改善するには、考え方をプラス視点に修正していく必要があります。

「楽しい会話をしよう」
「友人と仲良く過ごそう」
「相手を褒めてみよう」

先ほどの考えと比較すると、プラス視点で捉えていることわかると思います。

対人関係の受け取り方と思い込み

対人場面をネガティブに捉えがちな人は、失敗は成功のもとコラムを参考にしてみてください。前向きなイメージをする練習ができます。

③ 小さな目標で回避癖を改善

人が怖い感覚が強い人は、回避癖の傾向があります。回避は、特定の不安を強くしてしまうことが心理学的に分かっています。

人が怖いから人を避けると、不安を強めてしまうのです。この意味で「回避を避ける」と、人が怖い状況を改善することにつながります。

不安が強い中で行動するのは、とても大変です。しかし、行動していかなくてはなりません。

まずは小さな目標を設けて、少しづつ行動範囲を広げていくのがおすすめです。具体的にはスモールステップー行動療法がおすすめです。ぜひ学習していきましょう。

具体的な改善イメージは、私が体験談を動画でお伝えしています。興味がある方は参考にしてみてください。

人が怖いを克服‐発展編

ここからは発展編です。人が怖い感覚を改善する、手法を学術的なものからユニークなやり方までいくつか紹介します。試してみたい!感じたら相性がいいかもしれません。

引き出しは多い方がいいと思います。是非たくさんの手法を練習してみてくださいね。

森田療法

対人恐怖症の伝統的な改善法です。入門トレーニングに乗せるか迷ったぐらいとても示唆に富んだ心理療法になります。私は森田療法と出会い人生観が変わりました。ぜひ一度学習してみてください。

森田療法,あるがまま,目的本位

赤面症,視線恐怖症改善

人が怖い感覚が重篤化すると、赤面症、視線恐怖症、自己集恐怖、書痙に発展することがあります。特に赤面症と視線恐怖症はよくみられる症状です。

当コラムと被る部分も多いですが、これらの症状が当てはまる方は下記のコラムを参考にしてみてください。

赤面症‐治療法コラム 
視線恐怖症‐治療法コラム

専門機関を利用する

 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、心理的な問題を改善し、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。

もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの初学者向けコミュニケーション心理学講座のページを参照ください。

助け合い掲示板

2件のコメント

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    • 男塾塾長ですか?
    • 2020年9月26日 10:47 PM

    それともダイレクトコミュニケーション塾長ですか?

    返信する
    • 塾長が怖い
    • 2020年9月26日 6:51 PM

    僕は塾長が怖いです。
    怖いより「恐怖」でしょうか
    「あれが終わってないこれもしてない」
    塾に行っているのに会社の残業をするように「お前10時まで居残りな」とよく言われます。
    両親には心配ばかり。
    もう嫌です。

    返信する
    • 望美
    • 2019年6月15日 9:20 PM

    私は、中学1年生の女子です。私のクラスに、好きな人がいて、告白も、4月にしました。返事ももらいました。でも、その1か月後、冷たい言動でツッコんできたり、近くに私に対してじゃないかもしれないですが、悪口を言ってきたりします。 でも、私は、(彼も頑張っているのかもしれない)と、責める(?)ことはしません。言い返したりもしません。
    なぜなら、

    ・兄弟が上に兄(高1)下に弟(小2)がいる(らしい)
    ・働き者(率先して働く)
    ・言動は冷たいけど 本当は優しいと思うから
    ・周りの人に頼っていない(何でも自分でやろうとしている)
    ・頑張っていると思うから(学校に来る事・家での態度)

    もしかしたら、学校では、家での本当の姿とか本当の自分をみせていないかもしれないからです。 本人がそうかどうかはわかりません。でも、もしそうだったら助けてあげたいです。自分もそういうことがあったので、助けてあげたいです。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・Elkind(1967) Egocentrism in adokesence  Child Development 38 1025-1034 永井撤(1987)対人恐怖的心性に関する心理学的研究 東京都立大学人文科学研究科博士論文堀井俊章(2006)対人恐怖心性尺度Ⅱの開発 –対人関係におけるおびえの心性を測定する試み- 学生相談研究 第26巻 第3号, 221-232

・上地雄一郎・宮下一博(2009)対人恐怖傾向の要因としての自己愛的脆弱性,自己不一致,自尊感情の関連性 パーソナリティ研究2009 第17 巻 第3 号 280–291

・Greenberger&Christine(2001) うつと不安の認知療法練習帳 創元社岡田努(2002)現代大学生の「ふれ合い恐怖的心性」と友人関係の関連についての考察 性格心理学研究 第10巻 第2 号69−84

・日本精神神経学会 監修 (2014) DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル

・城月 健太郎・児玉 芳夫・野村 忍・足立 總一郎 2013 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から― 心身医学, 53:408-415

・堀井俊章(2001) 青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要12,4