好き嫌いが激しい人,すぐに別れる人の心理とは
みなさんこんにちは!
公認心理師の川島達史です。私は現在コミュニケーション講座の講師をしています。
今回のテーマは
「人の好き嫌いが激しい,すぐに別れる人」
です。
相談者
30歳 女性
好き嫌いが激しい
お悩みの内容
人間関係が長続きしません…。人の好き嫌いが激しく、一度仲良くなってもちょっとしたトラブルで嫌いになってしまいます。
サークルや習い事に参加しても長続きしません。彼氏ができても、すぐに別れてしまいます。
相手の態度や振る舞いがちょっとでも気に障ると、一緒にいるのが億劫になってしまいます。どうしたらいいのでしょうか。
すぐに人を嫌いになってしまうのですね。そのせいで、人間関係が希薄になってしまうのは、とても辛いことだと思います。
今回は、人の好き嫌いが激しい方向けにメカニズムと対策を解説していきます。是非参考にしてみてください。
好き嫌いの心理「分裂」とは?
好き嫌いが激しい人の心理
好き嫌いが激しい人の心理の1つに「分裂」という心理学の概念があります。今回はこの分裂に焦点を充てて解説していきます。
分裂(splitting)はフランスの心理学者であるジャネが発見した概念で、アンナ・フロイトによって以下のように定義づけられています。
自己と他者の
肯定的特質
否定的特質
両方を全体として捉えることができない状態
分裂癖がある人は
人の良い面を見ているときは
良い面しか見れないので
大好きになります。
一方で
一度悪い面を見つけると
良い面の一切を見れなくなり
悪い面のみを見ることになります。
その結果、大嫌いに嫌いになってしまうのです。
もう少しわかりやすくすると
右目は良い面しか見れない
左目は悪い面しかみれない
このような状態だったとして、分裂癖がある人は片目ずつでしかみれない状態になるのです。
より深く理解したい方は以下の例を展開してみてください。
登場人物
・たけし君
好き嫌いが激しい 分裂癖がある
・かずお君
正義感が強く社会貢献への意識が高い
普段から礼儀正しく、社会のために活躍している
たけし君はかずお君が飲み会の席で、人の悪口を言っているのを目撃しました。
たけし君はかずお君の良い面を見れなくなり、悪口を言ったかずおくんのイメージだけを何度も頭のなかで繰り返してしまいます。
その結果、たけしくんは、(かずお君は実は裏の顔があり、とんでもないやつだ!)と考え、距離を置くようになりました。
登場人物
・よしみさん
好き嫌いが激しい SNSが本音と考える
・のりお君
表裏があるタイプ
好き嫌いが激しい人には、つぎのような発言があります。
「Twitterのつぶやきが本音。リアルでの発言は偽りだ!」
会社の飲み会に参加した「よしみさん」は、いつも前向きな「のりお君」が、「楽しい♪~」と言いながら飲み会を盛り上げている様子を見たとしましょう。
一方で「のりお君」は、帰宅後のTwitterで「会社の飲み会苦痛」とつぶやいていました。
不運なことに「のりお君」のTwitterでのつぶやきを見た、好き嫌いが激しい「よしみさん」は、「のりお君」の良い面を一切見れなくなってしまいました。
登場人物
・はなこさん
好き嫌いが激しい 特に人の食べ方にこだわりがある
・たろう君
誠実 親切 不器用なタイプ
好き嫌いがある場合は、
「○○さんの食べ方許せない!お付き合いをできない!!」
と思ってしまうことがあります。
「はなこさん」にとって、「たろう君」は理想的な人でした。しかし、お付き合いを続けるうちに、「たろう君」のとても残念な点に気づきました。
食事が下品…好き嫌いが激しい「はなこさん」は自分の理想と異なる「たろう君」の一面を許すことができず、「たろう君」の良い面に目を向けられなくなってしまいました。
分裂癖の原因
分裂について理解は進みましたでしょうか。次に原因を考えていきましょう。児童心理分析家 メラニー・クラインは、幼少期の親子関係に分裂癖の原因があると主張しています。
分裂ポジション
授乳を経験した女性ならわかると思いますが、おっぱいには
・よく出るおっぱい
・出ないおっぱい
の2つに分けられます。
この時赤ちゃんは、おっぱいに対して
「良いおっぱい」
「悪いおっぱい」
と考え、
「良いおっぱいは好き」
「悪いおっぱいは嫌い」
と考えます。この時点であかちゃんは良い部分と悪い部分をうまく統合できません。
分裂ポジション
最初は、良い悪い、おっぱいとしてか考えなかった赤ちゃんも、ある時期から、「母親の存在」に気づきます。ここで赤ちゃんは、
「お母さんのおっぱいには良い部分・悪い部分がある。
「お母さんのおっぱい悪く言ってゴメン…全部含めてお母さんが大好き」
と「統合する」経験をする練習をしていきます。
赤ちゃんは、小さいながらも自分の行動の負の部分を認め、お母さんを全体的に捉えていくのです。この心理状態を抑うつポジションと言ったりします。
好き嫌いが激しいひとは統合ができない
分裂ポジションから抑うつポジションに移る練習ができなかった幼児は、好き嫌いが激しくうまく感情をコントロールできません。この傾向は大人になっても引き継がれていくとされています。
すぐに別れる癖を改善する方法
人の好き嫌いが激しい方は、このように分裂癖が1つの原因として考えれます。ではどうすれば分裂癖を直すことができるのでしょうか?
具体的には以下の3つを提案させて頂きます。
・まずは気が付く
・総合的に見る
・リフレームする
参考になりそうな内容がありましたら活用ください。
まずは気が付く
まずはじめに、好き嫌いが激しい自分を観察する力をつけましょう。
「今自分は相手を嫌いになっている状態だな」
「嫌いな部分だけを見つけるモードになっているな」
と自分自身を観察するのです。
このように自分自身を観察することを、メタ認知と呼びます。メタ認知力がつくと、自分の感情を冷静に扱うことができるようになります。
一度嫌になると止まらなくなる…という方は下記のコラムでメタ認知の練習をしてみてください。
好き嫌いを統合する
自分の感情に気が付いたら次に、相手の長所も含め全体として見るように努力していきます。
〇〇さんの△△がすごくいや!
大嫌い!
と考えてしまったら、先程解説したメタ認知をして自分の状態に気が付きます。
そして
でも…B、C、Dはすごく良いところ…
とたくさんの長所も考えていきましょう。そうして、最後は統合していきます。
〇〇さんは、Aがちょっと嫌だけど、
でも、B,C,Dはすごく良いところ。
人間は完璧な人などいない
長所も短所もあるのが人間
それぞれの個性があるからこそ人間らしい
と考えるようにしましょう。人間を全体として捉え、1つのキャンパスのように眺めるのがコツです。
リフレーミング
相手の長所を探すには、リフレーミング力をつけることが効果的です。リフレーミングは、1つの対象に対して、様々な考え方をすることで、思考をほぐしていく手法です。
例えば、
食べ方が汚い方がいたとしましょう。分裂癖がある方は一回嫌だな!と感じるとなかなか視点を変えられません。
一方でリフレーミング力がある方は
気取らず食べている
おいしそうに食べている
神経質でなくおおらか
とプラスに考えることもできます。このように柔軟な見方を増やせると分裂癖も改善できるでしょう。
考え方が狭くなりやすい…と感じる方は以下のコラムも参考にしてみてください。
仕上げ動画とまとめ
仕上の動画
*動画がお好みな方は、下記を参考にしてみてください。気に入って頂いたらチャンネル登録を頂けると励みになります。テキストがお好みな方は飛ばしてご覧ください(^^
まとめ
人間だれしも良い面と悪い面をもっています。いずれの面も、その人の一面でしかありません。自分の理想とは違う部分を見つけたとしても、それはその人の個性一つでしかありません。
相手のいろいろな面を統合して、全体的に見ていくようにしましょう。
おしらせ
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皆さんとお会いできることを楽しみにしています。