反抗期の時期,対処法,接し方
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している臨床心理士,公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「反抗期への対処法」です。全部で4つのコラムを執筆させて頂きました。
コラム1 反抗期はいつまで? 時期・対応
コラム2 第一次反抗期,接し方
コラム3 第二次反抗期,接し方
コラム4 反抗期がない原因,影響
私川島は現在、3人の子育てをしています。それぞれ「自我(わたし)」が芽生え、しっかりと自己主張するようになっています。毎日のように自己主張をして、「嫌だ!」と言う単語を1日30回ぐらい言うこともあります。
このような反抗期に私たち親はどのように対処していけばいいのでしょうか?当コラムでは、心理学における基礎知識と対策をしっかりお伝えしていきます。かわいい子供の反抗期を乗り越えていきましょう♪
反抗期とは?
定義
反抗期とは以下のように定義されています。
人の精神発達の過程で、他人の指示に対して拒否、抵抗、反抗的な行動をとることの多い期間のこと
(心理学辞典,1999)[1]
思春期段階のもので,親に対して反抗的な態度をとる時期
(石川,2013)[2]
つまり反抗期とは、心身が子供から大人に成長する過程で、他人に対して反抗的な行動をとることが多い時期と捉えるといいでしょう。
反抗期はいつ?時期・年齢
反抗期の年齢や期間には、個人差がありますが、一般的には、第一次反抗期、第二次反抗期の2回あるとされています。同じ反抗期でも、2つの反抗期は年齢により大きな違いがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
第一次反抗期の特徴
第一次反抗期はいつ?
高濠ら(2008)[3]は、97名の母親を対象に子供の反抗や自己主張についての調査を行いました。その結果の一部が下図となります。
こちらは2歳と3歳の頃の様子を比較して、70%の子供が反抗が強くなったことを意味しています。統計にもあるように、第一次反抗期は、3歳過ぎから4歳に起こるとされています。
この時期は、大脳の発達に伴い記憶力や言葉でのやり取りが向上してきます。この時期は、できるようになることも増えるので、なんでも自分でやりたがり、自己主張が強くなります。
第一次反抗期の効果
・自立を知る
自己主張の強まりは、自分が親と異なる人格であることを認識できた証と言えます。「やりたい!」「やりたくない」など自分の意思を主張することで自立の第一歩を踏み出すのです。
・自己抑制を学ぶ
脳機能が発達するとともに、子どもは気持ちのコントロールを学びます。そして「言うことをすべて聞いてもらえるわけではない」「世の中は自分勝手に過ごすだけではだめ」ということを理解するようになります。
・表現方法を学ぶ
欲求は癇癪ではなく言葉で表現した方がいいことを学びます。第一次反抗期は癇癪での表現が多いですが、親がきちんとしつけると、癇癪は時間の無駄であることを理解していきます。そうして言葉の力を磨いて自分の主張を効率よく伝える力が増していきます。
第一次反抗期のリスク
第一反抗期に、無視をする、怒鳴って解決する、暴力で抑え込む、などで子供を制御しようとすると、基本的信頼感が失われることがあります。基本的信頼感とは、自分や周りの人を信じられるという感覚を意味します。
基本的信頼感は生涯に影響すると言われています。この時期に安定した感覚を得られないと、成人してからも刹那的な人間関係になるリスクがあります。
第一次反抗期:子どもへの接し方
第一次反抗期は、「やっていいこと」「やってはいけないこと」をしっかりと教える時期です。子どもがやりたいという気持ちを一旦受け止め、ダメなものはダメ!と伝える一方で、危険がない限りはやりたいようにやらせることも大事になってきます。
具体的な接し方は、以下のURLで解説しました。3~5歳のお子様がいる方はご確認ください。
・環境づくりのコツ
・〇〇にゆとりを
・達成感を増やす仕掛け
第一次反抗期の対応「3〜5歳の子ども編」
第二次反抗期の特徴
第二次反抗期はいつ?
青野(1997)[4]は、女子大生155名を対象に第二反抗期について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。
図のように、反抗期を感じた時期は中学生に集中していることがわかります。一般的には小学校高学年〜中学生の時期に第二次反抗期が起こるとされています。
この時期は脳がさらに発達し、大人に近づいていく時期でもありますが、コントロール機能は未熟なため衝動的な行動が多くなるのが特徴です(Jensen, 2015)。[5]
親への反抗以外にも、社会的権威、制度、通例などに対しても反抗的な態度が表れます。
第二次反抗期の効果
・人生哲学の土台を固める
思春期は「考える春」の時期です。この時期は世の中の当たり前の価値観に疑問を持ち始めます。「勉強をなぜするのか?」「なぜ協調性が大事なのか?」「親に言われた通りでいいのか?」「先生の言う通りでいいのか?」当たり前の価値観に疑問を感じ考えはじめます。自分なりに考えることで、生き方の哲学を作り上げていくのです。
・対人関係を築く力
親や教師とぶつかり合うことで、主張すること、折り合いをつけことを練習していきます。さまざまな葛藤を乗り越える中で、バランスの良い判断ができるようになります。社会に出てから適切な対人関係を築く力を育んでいくのです。
・独立精神を養う
親から養ってもらうことに、恥ずかしさや、自分の無力さを感じ、独立精神を養っていきます。親に対してイライラすることで、自分で生きて行くための力を獲得するモチベーションに変えることができます。
第二次反抗期のリスク
第二次反抗期は、身体だけは立派な大人になっているため、物理的な行動のリスクが大きくなります。二次反抗期に対応を間違えると、家庭内暴力、家出、非行、薬物依存、いじめ、など人生を大きく左右する過ちを犯すリスクがあります。
第二次反抗期:子どもへの接し方
思春期の子どもは衝動性が強く、行動範囲も広がっているため、親としては目が届かなくなる時期です。大事なことは、日々の変化を感じ取れる家庭環境を作ることです。典型的な対処法としては食事を毎日一緒に食べることなどが挙げられます。
そして、男女でかかわりが少し異なってきます。思春期の男の子と女の子の特徴を把握したうえで、関り方を工夫することが大切です。具体的な接し方は、以下のURLで解説しました。小学生高学年~中学生のお子様がいる方はご確認ください。
・第二次反抗期の家庭環境づくりのコツ
・息子への接し方
・娘への接し方
第二次反抗期の対応「小学生・中学生編」
反抗期がない
従来は「反抗期は誰しもが経験するもの」という考え方が優位でしたが、今は反抗期を経験しない人も多くいることがわかってきています。研究によると、約50%の方が明確な反抗期がなかったともいわれています。
ただし、同じ反抗期がないケースでも、親が高圧的で反抗したくてもできなかったというネガティブなケースもあれば、親と十分話し合える環境があり、反抗するまえに決着してしまっていたという、健全なケースもあります。
反抗期がなかった…と感じる方は、理解を深めるため以下のリンクを参照ください。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・反抗期の気持ちを理解する,傾聴トレ
・子供が安心する,共感トレ
・家庭を明るく,会話練習
・家庭の健康度を上げる心理学
体験受講に興味がある方は下記のリンクからお待ちしています。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連