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ストレングスモデルの意味とは?福祉,看護,管理職

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ストレングスモデルの意味とは?

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「ストレングスモデルの活用」についてご相談を頂きました。

相談者
30歳 女性

お悩みの内容
私は現在、福祉関係で生活困窮者の支援をしています。転職したばかりで、業界経験は浅いです。上司から口を酸っぱくして「相談者のストレングスに目を向けなさい」と言われます。

自分なりに勉強はしているのですが、ストレングスモデルについて理解を深めたいです。よろしくお願いします。

上司の方は援助者として、すばらしいと思います!ストレングスモデルは、福祉、医療、ビジネスの現場で必須の理論です。是非最後までご一読ください。

ストレングスモデルの意味

歴史

ストレングスという言葉は元々は、アングロサクソン系の中で福祉や医療の現場で日常的に使われてきたとされています。

有名になったのは、1997年で、カンザス大学福祉大学のラップ教授が「TheStrengthsModel」を執筆し、世界中で活用されるようになっていきました。

[Charles A. Rapp]のThe Strengths Model: Case Management with People Suffering from Severe and Persistent Mental Illness (English Edition)

 

意味

ストレングスはざっくりと「強み」という意味がありますが、学者により様々な定義がなされています。

全ての人が持つ、目標、才能、自信、資源、人材、機会
(Rapp&Goscha,2006)

異なったものが各々に有する優れたもの
それぞれがもつ、うまく生きていく力
(狭間,2001)

このように学者によって定義に若干の違いはありますが、人生を充実させるためのあらゆる資源を、ストレングスと考えると良いでしょう。

使用場面

ストレングスという言葉は、福祉関係の援助者が口癖のように使う用語です。例えば、生活保護を受けている方が、社会復帰を希望されているとします。

この時、私たち福祉の援助者はストレングス視点を持って、本人の強みを一緒になって発見していかなくてはなりません。

例えば、保護を希望されている方が、ネットに詳しいというストレングスを持っているとします。その際は、

ネットを使った仕事の検討
ネット関連の職業訓練
孤立しているクライアントは
趣味でつながるSNSを提案

などの視点が必要になります。

これは一例ですが、ストレングスには様々な種類があり、強みを柔軟かつたくさん検討することが援助者には必要なのです。ストレングス

ストレングス視点を高める方法

ストレングス視点を高める方法としては、初学者の方は以下の6つを意識することをおすすめします。

①VIA‐ISモデルの活用
②リフレーミング法
③ライフチャート法
④長所発見本棚セラピー
⑤傾聴力をつける
⑥ストレングスコラム法

それぞれ援助職、管理職としては必須の知識となります。以下詳しく解説していきます。

 

①VIA‐ISモデル

強みの種類

セリグマン(2004)は、ストレングスを測定する「VIA-IS(Values In Action Invent  Of Strengths)」というツールを開発しました。

VIA-ISは、200以上の哲学・経典から抽出した、6分野24の指標です。以下の表をぜひ押さえておきましょう。

ストレングスの測定VIA-IS

 

VIA-ISの使い方

VIA-ISを実際に活かすには、以下の2段階あります。

①強みのピックアップ
指標の中から、被援助者の強みだと思う指標をピックアップする

②どう役立てるかを考える
その強みをどのように役立てていくかを一緒に考えます。

具体例
「正義感が強い」
という強みを持っている方

・法律関係の仕事に就く
・困った人を助ける福祉関係を目指す
・警察官になる
・ボランティアに応募する

警察官のイラスト(職業)


「慎重さが高い」
という強みを持ってる方
・安全管理技術者をめざす
・ファイナンシャルプランナーがいいかも
・医療関係のお仕事
ストレングスの見つけ方活かし方


このように、強みをポジティブにとらえてみることで、強みを社会に生かすことができるのです。援助者の方は、被援助者の価値観を傾聴し、社会にどう生かせるかを一緒に発想できるようにしておきましょう。

②リフレーミング法

リフレーミングとは視点を変えることで、前向きな長所を発見していく手法です。福祉や医療の現場では、被支援者は自信を失っていることが多く、自分の性格にダメ出しをしたり、挫折で苦しんでいることが多いです。

そのような被支援者と話すときに、タイミングを見てリフレームを一緒にしてみると、思わぬストレングスが発見されることがあります。

例えば

おとなしい性格

をリフレーミングするとどうなるでしょうか?

いやされる
圧迫感がない
警戒心を与えない
相手の時間を大事にできる

などの長所としてとらえなおすことができそうです。おとなしい…だけでは見えない長所をリフレーミングで発見できるようにしていきましょう。

リフレーミングの練習をもっとしたい方は以下のコラムを参照ください。

リフレーミング力をつける

 

③ライフチャート法

ライフチャート法は、人生を総合的に振り返ることで、自分自身の強みに気がついて行く手法です。具体的には以下のような図を作成しながらストレングスを見つけていきます。

自分の軸を決めよう

横軸に年齢、縦軸は幸福度を表します。援助者の方は、適切なタイミングで被援助者の方に、この図を書いてもらいます。そして、幸福度が下がった原因や上がった原因を充分傾聴していきます。

特に重要なのは、幸福度が上がった原因でそこには、沢山のストレングスが発見できるはずです。ライフチャートについては下記のコラムで詳しく解説しています。参考にしてみてください。

ライフチャート法の活かし方

 

④本棚セラピー法

本棚セラピーとは自分の長所や資源に目を向けていくことでストレングスを発見していく方法です。例えば、こんな感じの本棚をイメージします。ここにたくさんの知識や長所を入れていきます。

コンプレックスを克服する練習

シンプルにできるワークなので、ストレングスを発見する際にとても有効です。項目は自由にアレンジ可能なので、被支援者と相談しながらカテゴリを決めていくと良いでしょう。詳しくは以下のコラムを参照ください。

長所を発見,本棚セラピー

⑤傾聴力をつける

ストレングスを把握する上では、相談者の方と充分話し合う必要があります。この時大事なのが、傾聴力です。傾聴力がある援助者は、相談者と温かい関係を築き、その信頼を元に、深いレベルの自己開示を引き出していきます。

その深いレベルの自己開示により、その人が大事にしている基本的な価値観を発見することができます。基本的な価値観は、その人の生き方そのものにかかわってくるので、ストレングスの中でも重要度が極めて高いです。ストレングスの発見能力は傾聴力がベースになることをおさえておきましょう。

傾聴スキルがやや不足している…と感じる方は、筆者が主催する人間関係講座がおススメです。講座では

・相手の話を受け止めるスキル
・質問力を向上させるワーク
・共感トレーニング
・相槌や表情の練習

などを行っていきます。トレーニングをしっかりしたい方は下記を参照ください。

傾聴力をつける人間関係講座

ストレングス,傾聴力

⑥ストレングスコラム法

自分の強みを探す方法に、ストレングスコラム法があります。ストレングスコラム法は、山本(2014)が開発した、日々の生活の中から、自分の強みを発見していく手法です。

やや難易度が高い手法となりますが、より発展的な学習をしたい方は、以下の折り畳みを参考にしてみてください。

ストレングスコラム法は、認知行動療法のコラム法をベースに作られています。コラム法は、落ち込みなどの不快な気分に陥った時に、以下の項目を埋めていくことで、別の捉え方で状況を再認識することができます。

捉え方を変えるコラム法

まずは「①出来事」を記入します。そして、出来事の後の気分やその強さを「②気分」に書き込みます。そして、その時浮かんだ考えを「③自動思考」に、「④根拠」には自動思考の根拠となる事実を書き込みます。

つづいて、他の考え方や事実がないかを「⑤反証」で、なるべくたくさん書き出します。「⑥適応的思考」、最後に考えを整理した時の気分とその強さを「⑦気分」に書き込んで完成です。

具体例

このコラム法を改変したストレングスコラム法では、次のようになります。

ストレングスコラム法

ポイントは、反証です。

(でも)…はよかった
(でも)…はしている/できた
…は前よりちょっとはよくなっている
(でも)…はある/いる
…力はある
(でも)…は好き
したい/なりたい
…はできそう

いろいろな面から反証することで、自分のストレングスを探していきます。ストレングスコラム法では、自分の強みとして何があるかを中心に考えを整理するのに役立ちます。

結果として「もう少し頑張ってみよう」など、ポジティブな気持ちが出てくるといいですね。まずは項目を埋めて、自分の強みは何かを再確認してみてください。

詳しくはこちらの久留米大学機関リポジトリに論文が公開されています。


まとめ

繰り返しになってしまいますが、人間はだれしも強みを持っていて、その強みを社会や仕事とつなげる手伝いをするのが、福祉家や管理職の仕事です。

率直なことを言えば、相談してくる方の中には社会常識がなく、攻撃的な方もいると思います。やりとりをしていく中で援助者自身が疲弊してしまうことも多々あると思います。

そんな方でも、一緒になって向き合えば、きっとキラリと光るダイアのような強みを発見できるはずです。その強みを一緒に見つけていくのが、仕事の面白さなのかなと感じています。

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
・Press Wood, A. M., Linley, P. A., Maltby, J.,Kashdan, T. B., & Hurling, R. (2011).Using personal and psychological strengths leads to increases in wellbeing over time: A longitudinal study and the development of the strengths use questionnaire. Personality and Individual Differences, 50,15-19
・ニューセンチュリー英和辞典,三省堂,1987,p.1279
・大竹恵子(2005)ポジティブ心理学から見た新しいパーソナリティの提案ー人間のポジティブな人格特性(character strengths)について 東北学院大学 日本パーソナリティ心理学会発表論文集14巻
・Peterson, C., & Seligman, M. E. (2004).Character strengths and virtues: A handbook and classification. UK.: Oxford University
・高齢者ケアにおけるストレングスの概念  佐久川, 政吉; 大湾, 明美; 宮城, 重二  沖縄県立看護大学紀要  2010

・社会福祉の援助観 ストレングス視点・社会構成主義・エンパワメント 狭間香代子 筒井書房 2001 

・ストレングスモデル 精神障害者のためのケースマネジメント Charles Rapp and Richard Goscha(田中英樹訳) The Strength Model Case Management with People with Psychiatric Disabilities   金剛出版 2008