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彼氏,彼女と価値観が合わない時の対処法

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彼氏,彼女と価値観が合わない時の対処法

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「価値観が合わない」です。

相談者
20歳  男性

お悩みの内容
彼女と一緒に過ごしているときは楽しいのですが、価値観が合わないことが多く、僕が我慢をして彼女に合わせています。時には意見がぶつかり喧嘩になってしまうこともあり、一緒にいることに疲れてしまうこともあります。価値観の違う彼女とよい恋愛関係を続けられるか心配です。価値観のズレがあっても長く付き合っていくことはできるのでしょうか。

大切な彼女と自分に価値観ズレを感じたときには、将来を考えると不安になることも多いと思います。お互いの価値観を大切に、よい関係を長く続けたいですよね。

そこで当コラムでは、価値観が合わない時の対処法を解説します。是非最後までご一読ください。

恋愛や結婚と価値観

恋愛の入り口は価値観が大事

まずは恋愛の始まりと価値観について統計を見ていきましょう。男女1,411人(男性668人、女性743人)にアンケート調査を実施し「付き合う時に重視すること」を聞きました(バチェラーデート調べ[1])。 その結果が以下の通りです。

男女とも約8割が交際相手の「価値観を重要視」していることがわかりました。価値観が合うことは、お互いを尊重しよい関係を築く大きな役割を果たします。そのため、恋愛の入口で価値観を重視することは納得の結果と言えるでしょう。

別れの原因1位は価値観

調査では、別れた理由についても調査をしています。その結果は以下の通りです。

男女ともに約8割が「価値観の違い」を別れの原因に挙げています。価値観のズレは、恋愛関係を継続するうえで深刻な問題となることが多いようです。

価値観のズレは、意見や行動に食い違いを生み、些細なことでの喧嘩の引き金にもなります。このような状況では、お互いが理解し合い、受け入れ合うことが難しくなり関係を修復できなくなってしまうのかもしれません。

このように、恋愛の始まり、別れ、ともに価値観が最も重視されているのです。

価値観がズレる原因

先ほどの調査では「長く付き合うために必要な価値観」についてもまとめています。その結果、1位は「連絡の頻度/会う回数」、2位は「結婚観の違い」、3位は「金銭感覚の違い」、4位は「趣味」とわかりました。

1位:連絡の頻度/会う回数

心地よい連絡の頻度は、人によってさまざまです。毎日連絡をしたいという人もいれば、必要な時だけ連絡を取れば十分だと思う人もいます。いつでも一緒にいたい人と、自分だけの時間も重視したい人との価値観では、大きなズレが生まれてしまいます。その結果、別れにつながってしまうことがあるのです。

2位:結婚観の違い

恋愛や婚活では、結婚についてどのような価値観をもっているのかが見えてきます。家族の役割や結婚の目的、結婚後の生活スタイルなど、考え方の違いから喧嘩をするカップルは珍しくありません。育ってきた環境や文化を理解できず、価値観の大きなズレを生んでしまうこともあります。

3位:金銭感覚の違い

恋愛や婚活では、金銭感覚についてもどのような価値観をもっているのか気になるところです。節約をして質素に生活をしたい人や出費を気にせず生活をしたい人など金銭感覚は人によってさまざまです。そのため金銭感覚の違いが価値観の大きなズレにつながり最悪の場合、別れにつながってしまうのです。

4位:趣味

趣味に対する価値観は、恋愛や婚活において大切です。共通の趣味があれば関係を深めるのに役立ちますが、趣味に対する考え方が大きく違うと価値観のズレが生じてしまう可能性があります。趣味に多くの時間を費やす彼氏と、別のことに重きを置いている彼女とでは、価値観が合わなくなってしまうのです。

価値観の違いへの対処法

ここからは価値観が違う場合の対処法を6つお伝えします。

① 何気ない会話が土台
② 本音で話し合う覚悟を持つ
③ アイメッセージ法
④ 気分一致効果
➄ 曖昧さ耐性を持つ
⑥ 共通体験を増やす

①何気ない会話が土台

何気ない会話が関係の土台を築きます。些細な出来事や関心のある話題を共有することで、お互いの考えや感情、興味や関心を知ることができ、お互いの価値観を共有しやすくなります。

MDRT日本会(2006)[2]は、既婚男女 516名を対象に、夫婦の意識調査を行いました。その結果の一部が以下の図です。

夫婦の会話 会話時間

このように「離婚する可能性なしと回答したグループ」の方が、会話時間が多いことがわかります。強い絆がある関係であれば、価値観のズレを感じた場合にも率直に意見をだしながら適切に対処し、よい関係を続けられるでしょう。具体的には以下のような対策が挙げられます。

朝食や夕食を一緒に取る
食事をする時はテレビを消す
パートナーの話を受け止める
自分の話を積極的にする

このような会話の習慣作りが、価値観を共有する土台となります。会話が苦手な方は、以下のコラムも参考にしてみてください。

会話がつづかないコラム

②本音で話し合う覚悟を持つ 

日常的に会話をすることができれば、話し合う土台ができた段階となります。価値観がズレたとしたら、価値観の違いについても話し合う時間を持ちましょう。

伊藤ら(2017)[3]は、子育て期・中年期の男女1882名を対象に、夫婦のコミュニケーションと関係の満足度について調査をしました。この研究の一部が下図となります。

夫婦の会話がない 自己開示

こちらの図は、夫婦の自己己開示が多いほど、関係の満足度は高まる傾向にあります。自分が当たり前だと思っている習慣が、パートナーにとって当たり前ではないこともあります。

価値観のズレについて率直に話し合いをすることで、お互いがどのような価値観を持っているのかが分かります。互いを理解しあうことで価値観のズレを乗り越えることができるでしょう。

③アイメッセージ法 

自己開示をするときに、ネガティブな話になると、素直に言えない時もあると思います。こんな時に有効なのが、アイメッセージという手法です。

アイメッセージは、「私」を主語にして主張する方法です。主語を「私」にすると、相手に配慮しながら自分の意見をやわらかい印象で伝えられます。具体例は以下のような伝え方です。

(私は)私は毎週会えたらうれしい…
(私は)結婚してもキャリアは積みたい‥
(私は)料理は薄味が食べやすい…
(私は)休日は家でゆっくりしたい派…
(私は)スマフォばかり見ていて悲しい…

このように、主張すると、角が立たず、自分の気持ちを相手に伝えることができます。本音をなかなか言えない…と感じる方は、相手に要求する前に、まずは主語を自分にして自分の気持ちを表現することから始めていきましょう。

アイメッセージの使い方

④気分一致効果

気分一致効果は、気分のいい時は心を開きやすいという心理現象です。私たちは良い気分の時は気持ちが緩み、悪い気分の時は警戒しやすいものです。

パートナーと価値観のズレから喧嘩になった場合には、相手が楽しい気分になれる場所で話し合いをすれば、関係を修復しやすく互いの理解も深まりやすいです。気分一致効果を活用したコミュニケーションを心がけてみましょう。具体的には以下のような対策が挙げられます。

ゆっくり話せる公園で話し合いをする
週末にドライブしながら話し合いをする
大好きなお店で食事をしながら本音で語り合う

このように、まずは気分が穏やかでいられる場面を設定してから、話し合うのがコツです。

気分一致効果とは

➄曖昧さ耐性を持つ

いざ話し合ったとしても、結局は価値観がズレたままのこともあります。こんな時に以下のように極端に考えると、別れの原因になってしまいます。

食事の価値観が合わない、だから別れた方が良い
子育ての教育の価値観が合わない、こんな人とは別れるべきだ
専業主婦になるかどうかの価値観が合わない、こんな人とは別れるべきだ

このように、ある1つの部分に焦点をあてて、白黒つけて、無理やり自分に合わせようとすると、別れの原因になりやすいです。

ここで参考になるのが、曖昧さ耐性という言葉です。曖昧さ耐性とは、あいまいな状況にどれくらい耐えられるかを示した概念です。曖昧さ耐性がある人は、中途半端な状況をそのままに、楽しんだりすることができます。一方で、曖昧さ耐性がない人は、中途半端な状況に耐えられず結論を急いで出してしまう傾向があります。

価値観のズレを感じたときには、結論を急がず過ごしてみると長く安定した関係を築けるでしょう。

食事の価値観って色々だから、合わないこともある
子どもの教育の価値観は、じっくり話していきたいね
仕事と家庭での役割は、互いの意見を尊重していけるといいね

このように、完全に一致することを期待するのではなく、多少の違いはあいまいなままで良しとしながら、お互いの立場を尊重することが大切です。なんでも白黒つけないと気が済まない・・・と感じる方は以下のコラムを参照ください。

曖昧さ耐性の意味とは

⑥共通体験を増やす

価値観のズレを感じたら、共通の体験を増やしてみましょう。また趣味や活動を一緒にはじめて新しい視点を共有することもオススメです。共通の体験を増やすことで、お互いの絆が深まり、価値観のズレがあってもよい関係を築くことができるでしょう。

共通体験としては、楽しい体験、困難を一緒に乗り越える体験が挙げられます。楽しい体験としては以下が挙げられます。

ホットプレートを使って一緒に料理をする
スポーツ観戦に一緒に行く
映画鑑賞をしてそのあと感想を話し合う
一緒においしそうな店を調べて食べに行く

このような楽しい共通体験は、ポジティブな共通の記憶を持つことにつながります。困難を一緒に乗り越える体験としては以下が挙げられます。

難易度の高い登山に一緒に行く
一緒にスポーツの大会に出る
副業を一緒にはじめて儲ける
子育てを一緒にして助け合う

このような苦楽を乗り越える共通体験は、互いの絆をより強いものにします。お互いをより深く理解するとともに、パートナーへの感謝の気持ちをもつ機会にもなります。お互いに助け合い、支えあったことで関係をより深めることができるのです。

まとめ動画

最後に、筆者の川島達史が価値観が合わない時の対処法を動画で解説しました♪まとめとして参考にしてみてください。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

・会話がはずむ♪会話の基礎練習
・彼氏,彼女の話を聞く,傾聴力トレ
・楽しい時間を過ごす,話し上手トレ
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

出典

[1]株式会社バチェラーデート,2022年8月,価値観重視で付き合って、価値観の不一致で別れる人約7割!”恋愛SDGs”には事前の価値観確認が重要要,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000086724.html
 
[2]MDRT(Million Dollar Round Table)(2006).日本会「40代~50代の『夫婦の意識調査』~会話不足は熟年離婚のシグナル~」報道資2006.11.13 
 
[3]伊藤裕子・相良順子・池田政子(2017)「夫婦のコミュニケーションが関係満足度に及ぼす影響―自己開示を中心に―」文京学院大学人間学部研究紀要 Vol.9,No.1,pp.1~15.