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ユマニチュードケアとは?意味や歴史

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ユマニチュードケアとは?意味や歴史、技法の効果などを解説

皆さんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島です。今回のテーマは「ユマニチュード」です。


改善するお悩み
・ユマ二チュードってなに?
・技法の特徴や効果が分からない
・介護・看護の質を高めたい

当コラムにたどり着いた方は、介護職・看護師の方が多いかもしれません。高齢者ケアの中で相手と信頼関係を築く手法として「ユマニチュード」というものがあります。

今回は、ユマニチュードを使ったコミュニケーションの方法を基本からしっかりとお伝えしていきます。

目次は以下の通りです。

・ユマ二チュードとは?意味・歴史
・研究事例
・4つの柱を知ろう
・ユマニチュードやり方
・ユマニチュードの事例

高齢者介護・看護に携わる全ての人にお役に立てる内容となっています。ぜひ最後までご一読ください。

ユマニチュードケアとは何か?

定義

そもそも、ユマニチュードケアとは、どのような意味があるのでしょうか。野本(2017)によると、ユマニチュードは以下のように定義されています。

「人間らしさ」を意味し「人とは何か」「ケアをする人とは何か」を問う哲学と、それにもとづく150を超える実践技術から成り立っている。

ユマニチュードとは、高齢者や認知症患者を中心に用いられている、コミュニケーションにもとづいたケア技法です。

 

歴史

ユマニチュードは、1979年フランスのイブ・ジネストとロゼット・マレスコッティの 2 人によって開発されました。

その後フランスから世界に広がり、日本には2014年ころからユマニチュードの研修や講演が開かれるようになりました。

現在は、福祉の世界をメインに活用されおり、患者さんとの心地よい関わり方として利用されています。

ユマニチュードとは

 

ユマニチュードケアの実践場面

ユマニチュードケアは3つの段階で実践されていきます。

・回復を目指す
・機能を保つ
・最後まで寄り添う

段階に合わせて「あなたを大切に思っています」というメッセージをケアす人に送り続けます。

※提唱者の1人であるイヴ・ジネストが来日した際の動画です。
実際のケアの参考してみてください♪

 

研究事例

ユマニチュードは心理学の分野でさまざまな研究が行われています。以下それぞれ折りたたんで記載しましたので、気になる項目をクリックして展開してみてください。

宗形ら(2015)は、看護師に1カ月間ユマニチュード学習してもらい、学習前と学習後の対応にどんな違いが出るかを調査しています。

調査では、以下の3つのユマニチュードスキルにポイントを当てて研究を行いました。

・触れる
・話す
・見る

まずは、「触れる」から見ていきましょう。結果が以下の図です。

このように、学習前は0%だったのものが、学習後には37%に増えています。

 

続いて、「話す」の結果を見ていきましょう。以下の図をご覧ください。

このように、学習前より学習後の方が2倍以上もグラフが伸びています。

 

最後に「見る」の結果を見ていきましょう。

上記のように、学習前と比べて学習後の方が大きくグラフが伸びていることが分かります。ユマニチュードを学習することで、アイコンタクトの量が増えたり、相手の顔を見る回数が大幅に増えるのです。

大坪ら(2020)は、ユマニチュードに関する25件の論文を集計し、ユマニチュードがどのように実践され、評価されているのかを調査しています。

その結果の1つに認知症患者へユマニチュードで関わりを行う前の反応と、行った後の反応を比較したものがあります。以下の表をご覧ください。

このように、ユマニチュード前と後でケアの姿勢や質が上がっていることが分かります。

ユマニチュード前は認知症患者からの暴力・暴言に恐怖を感じていたり、逆に恐怖を与える行動をしてしまっていました。

そこで、ユマニチュードを活用したところ、「患者に対する抵抗が減った」「安心感を与えられた」などの実感を感じた介護士・看護師の方が多かったのです。

 

ユマニチュードケア4つの柱

ユマニチュードには150を超える技法がありますが、その中でも以下の4つが柱として挙げられています。

見る
②話す
③触れる
④立つ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①見る

「見る」ときのポイントは以下の通りです。

・目の高さを合わせる
相手の目線と水平になるよう高さを合わせて見つめます。目線を水平に合わせることで、相手と自分は平等な存在であることを表現する効果があります。  

・真正面から見つめる
顔を真正面から見つめることで、信頼や安心感を示す効果があります。また親密度を表すときには、相手と顔を少し近づけるといいでしょう。

・3秒以上目線を合わせる
3秒以上じっくりと目線を合わせて、アイコンタクトを取ります。普段は3秒以上目を合わせる機会は少ないです。

そのため、長いあいだ相手と視線を合わせることで好意や愛情を表現できます。(石川, 坂根, 本田, 伊東,& 竹林, 2015)。

 

②話す

・ポジティブな言葉を使う
前向きな言葉を使って話しかけます。トーンは優しく、穏やか話しかけるよう意識します。

・オートフィードバックを使う
相手の反応がない場合は、自分の様子を実況中継する「オートフィードバック」を用いると良いでしょう。たとえば「あったかくなりましたね」「気持ちいいですか」などの言葉をかけをします。

 

③触れる

・背中から触れる
相手とよい関係を築くためには手順を踏むことが大切です。頭、胸、顔、といったプライベートゾーンから触れるよりも、背中、腕など触れられても、不快になりにくい部分からタッチするようにしましょう。

・優しく触れる
ポジティブな雰囲気でゆっくりと、なでるように優しく触れます。力づくで行わないようにします。また、手首や足をつかむとネガティブなメッセージを伝えてしまうため避けるようにします。

 

立つ

ジネスト, マレスコッティに(2016)によれば、患者は1日にトータル20分立つことができれば、寝たきりにならないと言及しています。

自分で立ち上がる力を失わないためには、援助者がよりそうながら、患者の立つ時間を促すことが大切です。

立つことは骨に荷重をかけて骨粗しょう症を防いだり、筋力の低下を防ぐなどのメリットがあります。また、援助者が励ますことで、自信を取り戻すことにもつながります。

ユマニチュード実践4つの柱と効果

 

ユマニチュード技法の事例

ユマニチュード技法4つのポイントを、事例で確認していきましょう。

事例
・太郎さんは、介護士3年目
・認知症患者の花子さんの介護に苦労
・花子さんは暴言・暴力が激しい
・太郎さんはユマニチュードを活用してみる

 

①見る

・相手と目の高さを合わせる
→車いすに座る花子さんと、
同じ目線になるようしゃがむ

・顔の真正面に合わせて近づける
→花子さんを真正面から見て、
適度に近づく

・3秒以上のアイコンタクト
→花子さんの目を見て、
話を聞き続ける

 

②話す

・ポジティブな言葉を使う
→花子さんに笑顔で
「今日も素敵ですね」と伝える

・オートフィードバッグ
→「気分は良くなりましたか」
などを伝える

 

③触れる

・背中から触れる
→車いすからベッドに移す時は
背中から触れていく

・やさしく触れる
→上手くできたら優しく二の腕に触れながら
笑顔で褒める

 

④立つ

・すぐに車いすに乗せない
食堂に向かう時に、花子さんが歩ける距離までは
自分で歩いてもらう

・清拭などのケアは立ってもらう
清拭やオムツ交換、服を着せるなどの時は、
なるべく花子さんに立ってもらいました。
そして丁寧に励ましていきました。

ユマニチュード技法を意識したところ、花子さんは暴力・暴言が少なり、笑顔も増えるようになりました。以前よりも明るくなり、太郎さんの介護もしやすくなりました。

 

関連コラム

最後にユマニチュードに関連するコラムをご紹介します。より学びを深めたい方は下記コラムを参考にしてみてください。

信頼関係コラム

信頼関係を深める方法を学ぶと、比例してユマニチュードに技術も高まっていきます。高齢者ケアする上では、やはり相手との信頼関係がとても重要です。

そのため、人はどんな条件があって相手を信頼するのか?という部分を学んでおくようにしましょう。

信頼関係についてより深く知りたい方は下記をご覧ください

信頼関係の意味とは?築く,構築

 

共感力コラム

高齢者ケアに当たる上で、お話を共感的に傾聴する能力が必要です。共感力を向上させると、高齢者のメンタルヘルスが向上し、免疫力も高くなっていきます。

福祉職の方は是非共感トレーニングも意識してみてください。

共感力,トレーニング

 

ユマニチュード技法まとめ

まとめ

今回はユマニチュード技法について紹介しました。ユマニチュード技法は、相手に優しさや思いやりを伝える技法です。

日常の人間関係でもの活用できる非常に実践的なテクニックですから、ぜひ取り入れてみてください。

 

講座のお知らせ

公認心理師、精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・浅野 壮志,小田島 裕美,宮 聡美 他(2008)性格5因子とポジティブ・ネガティブ感情,ストレス反応,対人不安の関連 7 号 p. 113-133
・細田 絢, 田嶌 誠一 2009 年 学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 57 巻 3 号 p. 309-323
・「ユマニチュード」 という革命: なぜ, このケアで認知症高齢者と心が通うのか. 誠文堂新光社.イヴ・ジネスト, ロゼット・マレスコッティ, & 本田美和子. (2016)
 ・優しさを伝えるケア技術   :  ユマニチュード   .  心身医学   , 56(7), 692-697.本田美和子   . (2016). 
・野本 玲子 神戸医療福祉大学紀要 2017 ユマニチュード”の哲学と、教員に求められる資質能力の育成 : 社会福祉学部の教職課程における教員養成からの一考察