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愛着障害とは?愛着の意味・愛着行動の種類・愛着形成の方法を心理の専門家が解説

愛着障害


愛着障害とは?愛着の意味・愛着行動の種類・愛着形成の方法-専門家が解説

「愛着」を心理の専門家が解説

はじめまして!臨床心理士の竹元です。私は臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングを行っています。今回は「愛着障害」についてお話していきます。愛着障害、愛着の意味などを心理の専門家が解説しています愛着障害の意味、愛着障害にまつわる研究、愛着障害とメンタルヘルスの関連、そして、愛着形成のヒントについてお話ししていきたいと思います。少し長いコラムとなりますが、ぜひ最後まで読んでみてください。

愛着障害とは何か

みなさんは「愛着」という言葉で何か思いつくことはありますか?愛着とは「慣れ親しんだものに深く心がひかれる」というのが一般的な意味です。

例えば
・古くなったカバンだけど、愛着がわいて捨てられない
・子供の頃から大切にしているから愛着がある

といった使い方をしますね。しかし心理学での愛着は、一般的な意味と違った捉え方をします。

心理学での愛着は人と人との気持ちの結びつきを指します。例えば、恋人や配偶者、パートナーと「さまざまな事を打ち明けて話す」「困った時に相手を頼りにする」といった、親しい人との内面的な関係です。心理学では、重要な他者との関係をどのように持っていくかが愛着のテーマとして研究されてきました。いくつか紹介させて頂きます。愛着とは?心理学の捉え方について解説しています

「愛着」研究の歴史

「愛着理論」は、元々はボウルビィという精神科医・精神分析家が提唱しました。ボウルビィは、戦争で被災した孤児と関わる中で、「泣いたときにあやしてもらう」「適切なタイミングでミルクをあげる」といったような母性的な養育と心身の健康的な発達が関係していることに気づきました。

母性的な養育の体験が欠けていると、子どもは気持ちをコントロールすることや適切に表現することが難しいといった情緒面の問題を現す傾向があり、成長の遅さや体調不良などの問題も見られることが多かったようです。愛着体験が欠如する問題とは?情緒不安や大量不良を引き起こす実は、愛着関係は、他者に依存しすぎず、適切に助けを求める能力に近いことが分かっています。言い換えると、他人との距離感を大事にしながら、甘えるときは甘えられる感覚に近いと言えます。愛着体験がかけていると、職場など社会的な関係において、過剰に相手に依存をしたり、逆にすべてを自分で抱え込み、一切他人を信用しないなどの問題が現れることがあります。

メンタルヘルスにどんな影響?

ここで、具体的に愛着の問題点を調査した研究を報告しておきます。丹羽(2005)は、大学1年生628名を対象に、「大学入学時の対人関係不安と愛着不安」について調査を実施しました。

具体的には、
・愛着不安高い群
→親などとの重要な他者と情緒的に支えられていいない愛着不安の高い群

・愛着不安低い群
→他者から情緒的に支えられてる愛着不安の低い群

に分け、それぞれ大学にうまくなじめているかを調査しました。その結果は以下のような特徴があることがわかりました。

①入学時に不安が大きい
愛着不安高い群のほうが低い群より対人不安が強い。愛着不安がある人は、入学時に友達ができるか?という不安が大きく、愛着不安が少ない方は、友達ができてうまくやっていけるという感覚を持っていると解釈できそうです。

②3か月後も不安の大きさは継続
どちらも対人関係不安は下がるが、愛着不安が高い群は高い対人関係不安を示しています。得点としては3ヶ月経過後で、やっと低い群の入学時期の得点にやっと近づいています。

愛着不安と対人関係不安のグラフ(丹羽(2005)の研究の一部を掲載)

大学という新しい環境で、愛着不安の低い人の方が、友達などを作って慣れるスピードが早いと解釈できるのです。このように、愛着は実際に社会適応の土台になっていると考えられます。*今回は論文の一部を抜粋し加工しています。詳しくは出典をご確認ください。

愛着と恋愛関係

他にも、異性関係と愛着との関連性を調査した大坊ら(2003)の研究では、大学生449名に調査を行いました。そこでは、安定した愛着を持つタイプは、異性と恋愛関係となることに対してポジティブなイメージを持っている傾向が強いという傾向が示されました。

反対に、回避型の愛着を持っているタイプについては、恋愛関係に対してネガティブなイメージを持っていることが示されました。このように、恋愛関係などの重要な他者と親しい関係を持つという点でも、やはり安定した愛着を持つということが示されています。

愛着障害とは?

愛着については、その不安定さが大きくなると「愛着障害」と呼ばれることがあります。愛着障害とは、「母親をはじめとする養育者との間で幼少期に安定した愛着を深める行動が断たれた事で引き起こされる対人面や情緒面での問題症状」のことです。

愛着障害は診断名のため、精神科などで用いられる世界保健機関(WHO)が定める「ICD-10」の診断基準を元に診断されます。診断基準は、簡単に要約すると

A.5歳以前の発症

B.対人関係の不安定さ
 誰にでも助けを求める
 感情の移り変わりが激しい
 あまり他者とつながりを持とうとしない

などが挙げられます。愛着障害の診断基準は子どもを指していますが、大人になっても愛着障害の状態が続いたり、大人になってから愛着障害の状態を持つことがあります。近年話題のアダルトチルドレンなども重なる部分もあるのではないかと思われます。

愛着の種類・特徴は?愛着スタイルを知ろう!

もし愛着障害の疑いがある場合、どのように愛着障害を克服していけばいいのでしょうか。この点についてはまずは自分の状態を理解することから解決が始まります。そこで愛着の種類や特徴を子ども版・大人版に分けてご紹介します。

①子どもは4種類の愛着スタイル

エインズワースという研究者は、赤ちゃんを対象にストレンジ・シチュエーション法で研究を行いました。

ストレンジ・シチュエーション法とは、赤ちゃんがお母さんと過ごしている部屋があります。しばらくしてお母さんだけが退室してもらい、その代わりに知らない人が入室して、赤ちゃんと2人きりになってもらいます。知らない人が退出して、再度その後お母さんに戻ってきてもらった時の赤ちゃんの反応を見るという方法です。

この方法で、子供の愛着の特徴は4種類に分けられています。

・安定型
・回避型
・葛藤型
・無秩序型

それぞれの特徴は以下のようになります。

安定型
お母さんがいなくなると不安に思う。お母さんが返ってくると、素直に喜ぶことができる。あるいは、泣いて寂しさを伝えることができる。

回避型
お母さんがいなくなっても、泣いたりしない。お母さんが戻ってきたあともよそよそしい。

葛藤型
そもそもお母さんとなかなか離れることができない。あるいは、お母さんが戻ってきたあとも、喜びの感情もあるが、怒りの感情などを示すことがある。

無秩序型
赤ちゃんのお母さんに対する態度に一貫性がない。急に怒ったり、泣いたり、寂しさを伝えることもある。

②大人の愛着障害の種類と特徴

大人の愛着障害については、「不安」と「回避」という点に着目します。「不安」が大きい人は、「自分が愛されているのか」「見捨てられるのでは」「拒否されないか」といった心配を持ちやすいタイプです。例えば恋人を束縛するという行動の背景には、こうした不安感の強さに何とか対処しようとして、そばにいてもらうように恋人に働きかけているというのが理由の1つとしてあると思います。

「回避」が大きい人は、他者との間に情緒的な距離を置き、どんなことでも自分一人でやろうとします。簡単にいうと、当たり障りなく人と付き合い、あまり人に心は開かないタイプの人です。その背景として、人は信じられないし、愛せないので、自分だけが頼りだと感じている傾向もあるのではないかと考えられます。ある程度日常生活をそれで何とか過ごしていますが、時々寂しさを感じる人もいます。

この2つの点に着目して、その度合いの強い・弱いで、大人の愛着の種類を4つに分類しています。

大人の愛着障害かも?愛着の種類やパターンをチェックする表それぞれの特徴は以下のようになります。

自律・安定型
不安が少なく、回避もしていない、一番健康なタイプです。困った時は悩みを打ち明けたり、相談をしたりなど他者を信頼して関わることができるし、親密な関係をもつこともできます。自分自身も安定していると言えます。おそらく充実した対人関係を持てていると言えるでしょう。

不安型
不安が大きく、相手にしがみつくタイプです。親密でありたいと強く願っていますが、安心して離れることができないのでしがみついてしまいます。他者からどう評価されるかということがとても気になり、拒否されたり、見捨てられることを過度に心配しています。自分自身も疲れてしまいますし、相手にとっても負担に感じられることがしばしばあります。

拒絶・回避型
不安は低く、他者と距離を置くタイプの人たちです。人のことは信用しておらず、感情表現を抑えて自分を律しようとしています。日常生活では、ある程度適応的に機能することもありますが、親密な関係をプライベートで持つという点に課題を持っていることが多いようです。

恐れ・回避型
不安が高く、他者との関係を回避するタイプの人たちです。「他人は怖い」「きっと嫌われるに違いない」「どうせ人は私を見捨てて去っていくだろう」といったことを予期して、親密な関係を回避します。トラウマなどの傷つき体験を抱えた人などに見られます。あまり親しい関係を持てずに、対人関係が、ストレスとなってしまうことが多いでしょう。

子供と愛着形成

愛着の種類は、子ども・大人いずれも4つに分けられます。愛着障害を改善する方向として好ましいのはいずれも安定型のタイプというのはお分かりいただけましたか。ではこの愛着はどのように形成されていくのでしょうか。

小さい子どもの頃からを思い返すと、親との間で愛着関係が育まれてきました。「わがままを聞いてもらった」「泣いたときにあやしてもらった」などの体験は、まさにそれです。このような体験を通して、幼少期にお母さんと子どもの間での「愛着」が育まれることは、子どもにとって心の支えとなります。つまり愛着体験を積み重ねることで愛着障害は改善していくことができます。

大人の愛着障害に解決策

また子どもの頃に愛着関係が育まれなかった場合でも、親しい友達や恋人ができることや、そこでの関係性のあり方などを試行錯誤することなどで少しずつ愛着障害は改善できることが分かっています。ここで愛着障害をkうぃぜんするヒントを2点ご紹介します。

①限界吟味をしない

愛着関係を他者に求めすぎる
「自分が見捨てられるのではないか」といった強い不安感や、親しい関係になった人に「自分のことをすべてわかってほしい」と思うことなどが特徴としてあげられます。このようなタイプは、重要な他者との関係を壊してしまう可能性があり注意が必要です。このような心理的な特性を限界吟味ということがあります。この人はどこまで愛してくれるのだろう?と考えるあまり、様々な試し行為をしないようにしましょう。

相手も尊重した関係を目指す
「自分のすべてを受け入れてほしい」という人は、相手も尊重した関係を目指す様にしましょう。このようなタイプの方は、自分が求めたものが返ってこないと不安になりやすい傾向があります。あなたの重要な人も、あなたとの関係性を継続できるように努力してくれています。その人が、大切に思ってくれている部分を探し、そこに目を向けていくと良いでしょう。

そして「いなくなるのが不安で仕方がない」という想いを抱くときもあると思います。その時は、少しだけ我慢できるよう努力してみましょう。例えば、相手にしがみつこうとするのではなく、一呼吸ついて別の事に打ち込むなど、自分なりの不安感への対処方法を見つけていってください。そうすると、自分も相手も居心地の良い関係でいられるのと思います。

②適度に甘える

愛着関係を上手く求められない
これは愛着の種類「回避」型に近いタイプです。人間だれしも困ったときには、助けが欲しくなる気持ちがあります。しかしこのようなタイプは「どのように助けを求めていいかわからない」「そもそも他者を信頼することができない」といった気持ちが壁となり、上手く人とつながれません。そのため、職場で仕事を抱え込んでしまったり、仕事がうまくいってもプライベートが充実できない状況があるかもしれません。

普段からのコミュニケーションを大切に
このようなタイプの方は、普段からコミュニケーションを大切にするよう心がけましょう。まずは、あなた自身がいきなり内面的な話をするのではなく、話しやすいところからコミュニケーションをとる等、コミュニケーションの回数を多くしていくのがコツです。

気持ちの面でのコミュニケーションが徐々にできるので、相手に自分の内面を話せるかどうか見極めるのも良いでしょう。限界吟味のように過剰に愛情を求めないのであれば、適度に甘えるのはOkです。悩みを抱え込みすぎず、相手のタイミングも見ながら悩みを相談するなどしましょう。愛着形成で良い対人関係を築く

バランスの良い対人関係で愛着形成

当コラムでは愛着障害と愛着形成について解説をしてきました。愛着障害の特徴は極端な対人関係を表現してしまうということです。

自分と相手は違うところもあるけれど、分かち合える部分があったり、一緒に生きていくことができるという面を意識することで、少しずつ気持ちをつなぎ合わせていくことができ愛着形成につなげる事ができます。

他者と愛着形成するのは、とても地道な作業なため、意識はしているものの湧き上がる気持ちを抑えきれずに極端な行動に移ってしまうということがあるかもしれません。時には3歩進んで2歩下がることもあるかもしれませんが、他者とのコミュニケーションでの試行錯誤を通して、粘り強く取り組んでみてください。

バランスの良い対人関係を意識していくことで、愛着の問題の改善や愛着形成を目指してくださいね。

専門家の講義を受けたい方へ

今回は、「愛着障害」をテーマにお話しをしてきました。愛着の意味は?愛着障害とは?など愛着について最後までお読みいただき、ありがとうございました!愛着関係も、自分も相手も大切にしたコミュニケーションの1つです。コラムでご紹介した内容が、みなさまの豊かな対人関係につながれば幸いです。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

★愛着は、対人関係に欠かせない要素。大人でも練習で愛着形成はできる

*出典・参考文献
・Bowlby, J. (1969), Attachment and loss, Vol. 1: Attachment. New York: Basic Books
・Bowlby, J. (1973). Attachment and loss: Vol. II: Separation, anxiety and anger. New York: Basic Books.
・INGE BRETHERTON(1992) THE ORIGINS OF ATTACHMENT THEORY:JOHN BOWLBY AND MARY AINSWORTH  Developmental Psychology , 28, 759-775.
・上地雄一郎(2015)メンタライジング・アプローチ入門 北大路書房
・中尾達真・加藤和生(2004)” 一般他者” を想定した愛着スタイル尺度の信頼性と妥当性の検討 九州大学心理学研究 5 19-27
・丹羽智美(2005) 青年期における親への愛着と環境移行期における適応過程 パーソナリティ研究 13 156-169
・金政祐司・大坊郁夫(2004)青年期の愛着スタイルが親密な異性関係に及ぼす影響
・融 道男・小見山 実・大久保 善朗・中根 允文・岡崎 祐士 (2005) ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン 医学書院



原因に応じた形成方法で豊かな対人関係を