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愛着障害入門①症状,診断基準,対策

入門① 愛着障害とは何か?種類や克服法①

はじめまして!臨床心理士の竹元、精神保健福祉士の川島です。今回のテーマは「愛着障害」です。

  • 改善するお悩み
  • 愛着障害かもしれない
  • 幼少期の家庭環境が悪い
  • 見捨てられ不安がある
  • 全体の目次
  • 入門①愛着障害とは何か?診断
  • 入門②子供の愛着障害と対策
  • 入門③大人の愛着障害と対策
  • 発展発達障害,人格障害との関連
  • 発展Harlowの実験
  • 発展内的作業モデル
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

愛着障害とは何か?歴史

愛着形成の失敗がもたらすもの

愛着障害は、育ての親と愛情を持った関係を持てなかったために、心理面で様々な問題を抱える障害です。

幼少期の、愛情のある関係はなぜ大事なのでしょうか?児童心理学の専門家であるボウルビィは、戦争で被災した孤児と関わっていました。その結果、戦争孤児には

・粗暴である
・情緒不安定である
・成長しても攻撃性が残る

という心理的な問題を抱えることが分かったのです。

ボウルビィはなぜこのような問題が起こったのか?と疑問を持ちました。そして戦争孤児をよく観察したのです。

その結果、戦争孤児には、泣いたときにあやしてもらえない、適切なタイミングでミルクをもらえない、充分な愛情が注がれていないという問題があることがわかりました。

愛着形成の重要性

ボウルビィは研究を重ね、人と健康的なコミュニケーションをするには、土台となる養育者と適切な「愛着」を築くことが大事であると主張するようになりました。

心理学辞典(1999)では「愛着」を以下のように解説しています。

赤ん坊は生後6.7か月になると母親が部屋に出ていくと泣くようになる。ほかの人がいくらあやしても泣きやまないが、母親が受け取るとぴたりと泣きやむ。ボウルヴィは愛着を特定の情緒的な結びつきと名付けた(一部簡略化)。

その後の研究において、このような愛着形成に失敗をすると、
 ・すぐにかんしゃくを起こす
 ・人との交流に無関心になる
 ・攻撃的になる
 ・見捨てられ不安が強くなる

など、様々な問題が起こることがわかってきたのです。

発達障害と愛着

愛着障害と幼児

愛着形成に問題を抱える幼児は愛着障害と診断されることがありますが、医療機関で診断されることは稀です。実際に愛着障害と診断される方の10%程度という説もあります。

愛着障害には以下の2種類があります。より深く学習したい方はクリックしてみてください。

反応性愛着障害

反応性愛着障害とは

・励ましても素直に喜ばない
・親への警戒や悲しみがある
・人と目を合わせず抱き着く

などの特徴がみられる障害です。直感的な表現では、警戒心があり、素直に甘えることができないような状態の幼児が当てはまります。

反応性愛着障害


虐待など不適切な養育環境が原因と考えられています。環境が改善されれば、反応性愛着障害も改善されると考えられています。

*以下詳しい診断基準を掲載しました。
少し難しいので入門の方は飛ばして頂いて大丈夫です。

*参考資料
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き(2014) 医学書院


反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害

A.以下の両方によって明らかにされる,大人の養育者にたいする柳制され情動的に引きこもった行動の一貫した様式:

(1)苦痛なときでも,その子どもはめったにまたは最小限にしか安楽を求めない.
(2)苦痛なときでも,その子どもはその子どもはめったにまたは最小限にしか安楽に反応しない.

 

B.以下のうち少なくとも2つによって特徴づけられる特続的な対人交流と情動の障害
(1)他者に対する最小限の対人交流と情動反応
(2)制限された陽性の感情
(3)大人の養育者との威嚇的ではない交流の間でも、説明できない明らかないらただしさ,悲しみ,または恐怖のエピソードがある,

 

C.その子どもは以下のうち少ないとも1つによって示される不十分な養育の極端な様式を経験している.
(1)安楽.刺激.および愛情に対する基本的な情動欲求が養育する大人によって満たされることが特続的に欠落するという形の社会的ネグレクトまたは剝奪
(2)安定したアタッチメント形成の機会を制限することになる,主たる養育者の頻回な変更(例:里親による養育の頻繁な交代)
(3)選択的アタッチメントを形成する機会を極端に制限することになる,普通でない状況における養育(例:養育者に対して子どもの比率が高い施設)

 

D.基準Cにあげた養育が基準Aにあげた行動障害
の原因であるとみなされる(例:基準Aにあげた障害が基準Cにあげた適切な養育の欠落に続いて始まった).

 

E.自閉症スペクトラム症の診察基準を満たさない.

 

F.その障害は5歳以前に明らかである.

 

G.その子どもは少なくとも9カ月の発達年齢である.
該当すれば特定せよ 特続性:その障害は12カ月以上存在している.
現在の重症度を特定せよ 反応性アタッチメント障害は,子どもがすべての 症状を呈しており,それぞれの症状が比較的高い水準で現れているときには重度と特定される.

 

E.その子どもは少なくとも9カ月の発達年齢である.
該当すれば特定せよ 特続性:その障害は12カ月以上存在する.

 

現在の重要度を特定せよ
脱抑制型対人交流障害は,子どもがすべての状況を呈しており,
それぞれの症状が比較的高い水準で現れているときは重度特定された.

脱抑制愛着障害

脱抑制愛着障害とは

・過剰な愛情要求
・誰とでも愛着を求める
・過度になれなれしい

などがみられる障害です。直感的には、通常の人懐っこさを超え、過剰な愛情要求がみられる幼児に診断されることがあります。

養育者が頻繁に変わる状況は脱抑制愛着障害の1因という説もあります。どの大人にも愛着を求める一方で、子ども同士のかかわりは苦手だと言われています。

*以下詳しい診断基準を掲載しました。
少し難しいので入門の方は飛ばして頂いて大丈夫です。

*参考資料
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き(2014) 医学書院

脱抑制型対人交流障害
A.以下のうち少なくとも2つによって示される,見慣れない大人に積極的に近づき交流する子どもの行動様式
(1)見慣れない大人に積極的に近づき交流することへのためらいの減少または欠如
(2)過度に馴れ馴れしい言語的または身体的行動(文化的に認められた,または年齢相相応の社会的規範を逸脱)
(3)たとえ不慣れな状況であっても,遠くに離れて行った後に大人の養育者を振り返って確認することの減少または欠如
(4)最小限に,または何のためらいもなく,見慣れない大人に進んでついて行こうとする.

 

B.基準Aにあげた行動は注意欠如・多動症で認められるような衝動性に限定されず,社会的脱抑制行動を含む.

C.その子どもは以下の少なくても1つによって示される不十分な養育の極端な様式を経験している.
(1)安楽,刺激,および愛情に対する基本的な情動欲求が養育する大人によって満たされることが特続的に欠落する形の社会的ネグレクトまたは剝奪
(2)安定したアタッチメント形式の機会を制限することになる,主たる養育者の頻回な変更(例:里親による養育の頻繁な交代)
(3)選択的アタッチメントを形成する機会を極端になる制限することになる,普通ではない状況における養育(例:養育者に対して子どもの比率が高い施設)

 

D.基準Cにあげた養育が基準Aにあげた行動障害原因であるとみなされる(例:基準Aにあげた障害が基準Cにあげた病理の原因となる養育に続いて始まった).

 

E.その子どもは少なくとも9カ月の発達年齢である.
該当すれば特定せよ 特続性:その障害は12カ月以上存在する.

 

現在の重要度を特定せよ
脱抑制型対人交流障害は,子どもがすべての状況を呈しており,
それぞれの症状が比較的高い水準で現れているときは重度特定された.

 

大人の愛着不安

大人になってから診断名つくことは稀ですが、我々心理師は、愛着不安について検討課題に挙げるケースがかなりあります。

なぜなら愛着形成に関する問題は、生涯影響するからです。具体的には

・対人不安
・自己肯定感の欠如
・刹那的な恋愛観

など人生を通して影響を与えると言われています。

もし、よくあてはまるな…と感じる場合は幼少期の愛着形成が影響してる可能性があります。

当コラムでは愛着不安について簡単診断を作成しています。現在のご自身の状況を理解されたい方はこちらの診断を参考にしてみてください。

 

愛着不安と対人不安研究

成人になってからの影響について、1つ例を挙げたいと思います。

丹羽(2005)は、大学1年生628名を対象に、「大学入学時の対人関係不安と愛着不安」について調査を実施しました。

丹羽は大学生を
・愛着不安高い群
→親などとの重要な他者と情緒的に問題を抱える群

・愛着不安低い群
→情緒的に健康的な関係を築いている群

2つグループに分けました。

その後、2つのグループが大学にうまくなじめているかを調査しました。その結果、以下のような特徴があることがわかりました。

対人不安と愛着図を見てもわかるように、入学直後は、愛着不安高群が対人不安が強く、その傾向は3か月後も持続していることがわかります。

このように、愛着は実際に社会適応の土台になっていると考えられるのです。

入門② 子供の愛着障害への対策

入門②以降は対策を考えていきます。

  • 入門①愛着障害とは何か?
  • 入門②子供の愛着障害と対策
  • 入門③大人の愛着障害と対策

子供が情緒不安定な場合

もしお子様が情緒面で長期的に問題を抱えている場合、愛着不安を持っている可能性があります。

特に入門①で挙げた、かんしゃくを起すと止まらない、声をかけても嫌がるなど、当てはまる項目が多い場合は対策が必要になってくるかもしれません。

親として心がける事

そこで、入門コラム②では親として子どもと接するコツについて解説をしています。愛着形成の土台は

「たくさん抱っこしてもらった」
「泣いたときにあやしてもらった」

などの基本的な愛着形成の継続が大事になってきます。子育てのコツを知りたい方は、以下のリンク先をクリックしてみてください。独身の方も将来の知識としてご一読をおすすめします。

・抱っこして歩く大作戦
・無条件の肯定ストローク法
・夫婦関係を円満にしよう
・親も成長しよう
愛着障害入門②子ども,幼児の保育・治療・種類

入門③ 大人の愛着障害への対策

影響は成人しても続く

もし過去に両親との関係が悪かった方は、愛着不安が根底に残っている可能性があります。

ネグレクトを受けていた
親が怒りやすい性格だった
愛されていた感覚がない

という方は注意が必要です。愛着は実際に社会適応の土台になっていると考えられます。幼少期に愛着障害がある方は友人関係や恋愛で躓きやすくなります。

成人になってからの対策

もし幼少期の親との関係が悪く、それが現在の自分に影響しているかもしれないと感じたら入門コラム③をご一読いただくことをオススメします。大人の愛着障害の分類や対策など解説していきます。

・見捨てられ不安と付き合う方法
・限界設定をする方法
・「適度な甘え」が大事

  入門③大人の愛着障害と治し方

発展編

ここから先は愛着障害をより深く理解したい方向けの内容となります。様々な研究や知識をお伝えします。

愛着障害についてもっと深く知識を得たい方、医療関係者や福祉関係の学生様は参考にして頂けると幸いです。

発展 発達障害,他の精神疾患との関連

愛着障害は、様々な精神疾患や心理的な問題と併存しやすと言われています。参考にしてみてください。

発達障害との違い,他の精神疾患との関連

発展 Harlowの愛着形成‐動物実験

愛着理論のベースとも言われる、Harlowのアカケザルの実験について解説をしました。

愛着形成とは何か?アカケザルの実験

発展 内的作業モデル

現代の愛着研究では内的作業モデルが盛んです。より深く愛着理論のメカニズムを知りたい方におススメです。

愛着形成と内的作業モデル

発展 曖昧さ耐性の欠如

愛着不安がある方は、あいまいさ耐性が低いことが分かっています。あいまいさ耐性と愛着不安について、解説と対応策について解説しています。

あいまいさ耐性コラム

まとめ+助け合い掲示板の活用

入門①まとめ

入門1の解説は以上となります。愛着障害は親の影響があるため、運命的なものともいえます。過去に戻るわけにもいかないので、嘆く方もいらっしゃいます。

ただ歴史上の偉人は愛着不安を抱えていることが多いと言われています。不安はある意味で、自分の特性で、情緒の豊かさや、人間関係の機微の源泉でもあります。しっかりと自分自身を理解して、前向きな特性としてほしいなと感じています。

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムは愛着について考え方が多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。それでは入門②に進みましょう!

助け合い掲示板

3件のコメント

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    • ひかり
    • 2020年4月1日 6:24 PM

    コメントさせて頂きます。
    おそらく他人の反応を確かめたい時期なのかもしれません。
    多かれ少なかれ人はそのような言動をすることがあります。
    小さい頃は家族や身近な人、同級生、等、でしたが成長する段階で自分より立場が上の人に失礼な言動をしてみたり人にちょっかいを出してみたりするものです。
    これだけでは愛着障害かどうかは分かりませんが、構ってもらいたいから、わざと悪いことをしている自覚があるのなら時と場合に合わせてコントロールすることができるでしょう。
    ご参考になりましたら幸いです。

    0
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    • たいな
    • 2020年1月11日 10:29 PM

    中2です。自分が愛着障害かははっきりとは分からないのですが、先生に構ってもらいたいからわざと悪いことをしてみたり、問題児のフリをしてみたりしてしまうことがあります。ですが、親の前ではいい子のフリをしています。本当の自分が分かりません。これって、やはり障害なのでしょうか?自分では分かりません。教えていただければ幸いです。

    0
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    • ひかり
    • 2019年5月18日 11:21 AM

    私は、ひきこもり型の傾向があります。
    他人との信頼関係が築きにくいです。
    私は幼い時から他人を信用するな、余計な事は話すなと教わってきたので、
    今でも他人と関わるのが怖く感じます。
    大人になってから(自分を受け入れてほしい)という気持ちが強くなってきたので、
    どのように表現してよいのか分からずに、相手に冷たい態度を取ったり、
    あえて突き放すような態度を取ったりと、(振る舞い)(しぐさ)などの、
    曖昧なメッセージを使って相手に伝えようとしてしまいます。
    素直に伝える表現の仕方が分からず悩む時があります。
    普段からのコミュニケーションを大切にするように心がけていきたいと思います。

    4+
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    • べり
    • 2019年3月4日 7:03 PM

    愛着障害を自覚しています。興味深く拝見しました。
    文章で読むと、なんだか安心しますね。
    子供と大人とそれぞれに解説があったのが分かりやすかったです。

    何故か診断はできませんでしたが、私は見捨てられ不安型ではないかと考えます。
    いきなり自分の内面的な話をしてしまう、というのは昔よくした失敗で苦笑でした。

    年を重ね随分改善したと思いますが、過去の経験から自分には安定した関係は作れないと強い思いがあり苦しいです。この後のコラムも読んでさらに改善させたいです。

    3+
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・丹羽智美(2005) 青年期における親への愛着と環境移行期における適応過程 パーソナリティ研究 13 156-169 名古屋大学

中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣