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探求心を持つ,高める方法

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探求心を持つ,高める方法

皆さんこんにちは。現役経営者,公認心理師の川島達史です。私は現在こちらのコミュニケーション講座で講師をしています。今回のお悩み相談は「探求心を持てない」です。

探求心がない

<相談者>
32歳 男性

<お悩みの内容>
私は探求心が少なく、仕事も勉強も中途半端になりやすいです。そのせいか転職を何度も繰り返しています。年齢も32歳になり、心移りせず腰を据えて取り組みたいと考えています。探求心を持つ方法があったら知りたいです。よろしくお願いします。

心移りをしやすく、勉強や仕事に身が入らないのですね。当コラムでは、探求心を持つ効果と高める方法を解説していきます。是非最後までご一読ください。

探究心の効果

まずはじめに探求心を高めると、どのような効果があるかを確認していきましょう!っと言いたいところなのですが、心理学の世界では、探求心というワードでの研究は極めて少ないです。

心理学の分野では、探求心とほぼ同じ意味である「特殊好奇心」と言う用語で研究されてきました。そこで探求心の効果として、特殊好奇心の研究を紹介させて頂きます。

論理的思考ができる

斎藤(2014)[1]は大学生129人を対象に特殊好奇心と論理的思考について調査を行いました。その結果が以下の図となります。

論理的思考と探求心

特殊好奇心がある方は、物事を突き詰めて観察していくので、因果関係を論理的に把握する力があります。研究者になる方は、探求心が強く、同時に論理性にも優れていると言えます。

客観的に考えられる

斎藤(2014)[1]は、特殊好奇心と客観性の関係について調査を行いました。その結果が以下の図です。

客観性と探求心

特殊好奇心がある方は、自分の思い込みに左右されず、右から左から上から下から、様々な角度から、客観視していきます。その結果、誰も気がつかないような発見をすることができます。

粘り強くなる

心理学者の汀(2019)[2]は、大学生245名を対象に、特殊好奇心と勤勉性について調査を行いました。その結果が以下の図となります。

勤勉性と探求心

上図のように、特殊好奇心がある方は、勤勉性があることがわかりました。特殊好奇心がある方は、1つの対象に興味を持ち続け、真実を明らかにしようとしていきます。結果的に、飽きずに継続的に物事を進めることができます。

大らかになる

心理学者の汀(2019)[2]は、特殊好奇心と開放性について調査を行いました。その結果が以下の図となります。

開放性と探求心

上図のように、特殊好奇心がある方は、開放性が高い傾向があることがわかりました。開放性とは、自由に発想ができる、冒険心がある、おおらである、という意味があります。

探求心が強い方は、考え方が柔軟で、様々な角度からものを考えるため、常識や一般原則に捉われず、おおらかな考えになりやすいと推測できます。

探求心を高める7つの方法

ここからは、探求心を高める7つの方法を紹介します。

①まずは調べてみる
②面白そう!スタート法
③好奇心ツリーで広げよう
④やりたい!ベース優先法
⑤批判的思考を高める
⑥フロー状態で探求心を自足
⑦アウトプットで反応をもらう

生活に活かせそうなものを組み合わせてご活用ください。

①まずは調べてみる

以下の図は、人間の興味や好奇心の動きを整理しています。まずは理解度ゼロの部分を見てみてください。この段階では、全く情報がない状態なので、不安が強く、興味を持ちにくいと言えます。

好奇心の動き

一方で理解度が、60%ぐらいになってくると、不安感が減り、興味が格段に高まるのです。つまり知らない事でもあきらめたりせず、話を聞いたり調べたりすることで理解が進み、結果的に興味を持つことができます。

探求心を高める理解度を紹介

探求心がない…と感じる方は、実は探求心がないわけではなく、60%のラインまで調べる習慣がないだけなのです。本当に面白いかどうかはある程度理解してからでないとわからないのです。

最初は探求心がなくてもOK!そのうち楽しくなってくるさ!

これぐらいの気楽な気持ちで、仕事も勉強も取り組んでみてください。

②面白そう!スタート法

知らない事が出てきた時に、「つまらなそう」「知らないよ」「興味ない」とつぶやくと、自分の中での探求心スイッチが入りません。

おすすめなのは「面白そう」「え?どういうこと?」「新しい情報が手に入る」とつぶやくことです。このように初めの段階で、前向きな言葉を使うと、探求心スイッチが入りやすくなります。

心理学の研究では、自分への言葉がけ次第で、呼び起こされる感情が随分変化することが分かっています。探求心を刺激する言葉を自分の中で用意しておきましょう。

ちなみに私は「面白そう!」が口癖になっています。

探求心,面白そう

③好奇心ツリーで広げよう

3つ目は「好奇心ツリー」というワークを紹介します。好奇心ツリーは、好奇心の種を見つけ大きな森に育てていく方法です。具体的には、まずは調べたいテーマを幹にします。そして下記のように、関連する大きな分類を枝にして、葉っぱをつけながら木を成長させていきます。探求心を広げる好奇心ツリー

実際書いてみるとわかるのですが、段々と緑が生い茂って言うのが面白くて、探求心が刺激されるのが実感できると思います。好奇心ツリーについて詳しく知りたい方は下記をご参照ください

好奇心ツリーで探求心を刺激しよう

④やりたい!ベース優先法

人の行動は大きく分けて「課題ベース」「やりたい!ベース」の2つがあります。たとえば、漢字に強くなる!を例にすると以下のようになります。

*課題ベース
毎日漢字検定の教科書を1日3ページ進める

*やりたい!ベース
小説を読んで、気に入った漢字が出てきたら覚える

課題ベースは、力が着実につく行動といえますが、モチベーションを維持するのが難しい時もあります。そんな時には、やりたい!ベースで行動してみるのも探求心を継続するのにおすすめです。継続させるのが苦手という人はぜひ意識してみてくださいね。

目標を立てても長続きしない…という方は下記をご参照ください。

やりたいベースで好奇心を刺激する

探求心は感情ベース優先

⑤批判的思考を高める

向居(2012)[3]は大学生45名を対象に批判的思考がもたらす影響について調査を行いました。研究としては以下の2つのグループにわけて行われました。

*育成群
批判的思考を12回の講義で学ぶグループ
*統制群
批判的思考を学ばないグループ

その結果の一部が下図となります。まずは育成群から見ていきましょう。

探求心と批判的思考 

次に統制群の結果を見ていきましょう。以下のグラフをご覧ください。

探求心と批判的思考-統制群

このように批判的思考を学んだ育成群のみ探求心が向上していることがわかりました。日々の生活に落とし込むと「因果関係を考える」「客観的な事実を集める」「効果的な問題解決を考える」などを習慣にすると探求心を刺激できると言えそうです。詳しくは以下のコラムを参照ください。

ロジカルシンキングの鍛え方

⑥フロー状態で探求心を持続

近年の心理学では「フロー状態」が注目されています。「フロー状態(State of Flow)」という概念は、ハンガリー系アメリカ人の心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Csikszentmihalyi, M.R.) が1975年に提唱し[4]、1980年代と1990年代に流行しました。

フロー状態とは、時間感覚がなくなるぐらい、のめり込んでいる状態で探求心が活性化している状態となります。ミハイが提唱した、フロー状態のモデル図を見ていきましょう。縦軸は難易度を、横軸はスキルレベルを示しています。

フロー状態のモデル図

上記を見ると、スキルレベルが高く、難易度が高い課題にチャレンジしているときにフロー状態になりやすいことがわかります。具体的には、以下のようなシチュエーションが大事になります。

自分の能力なら頑張れば達成できそう
勝つか負けるかギリギリのライン
70%は理解できるけど30%わからない

詳しくは以下のコラムで解説をしました。詳しく知りたいという方はご参照ください。

フロー心理学の意味と活用法

⑦アウトプットで反応をもらう

新しい情報や知識を得たら、積極的にアウトプットしていきましょう。これまで知らなかった情報を周囲に発信すると、周りの人から前向きな反応をもらうことがあります。そうすると、調べるモチベーションが向上し、もっと調べようという気持ちが湧いてきます。

専門ブログを書いてみる
YOUTUBEで発信してみる
会社の会議で提案してみる
友人に話してみる

調べたことを発信する場は今の時代無限にあります。是非あなたが調べた知識、体験を周りに伝える場を持つようにしましょう。周りに伝えるのが苦手…と感じる方は以下のコラムを参照ください。

プレゼンテーションコラム

探求心,アウトプット

まとめ

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。コラムでもお伝えした通り、最初から100%の探求心を持つ必要はありません。最初は、お試しで調べてみてください。

大概のものはある程度理解できてくれば、楽しくなってくるものです。あれ?意外と面白いかも!!と言えるタイミングがあなたの探求心が刺激されている証拠です。

皆さんが探求心豊かに、仕事で活躍されることを切に願っています。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、現役経営者、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

・探求心を刺激する,心理学を学ぶ
・やる気がでる,フロー心理学の学習
・積極的に話す,人前で話す
・ビジネスコミュ力をUPトレーニング

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

探求心を持つ,高める方法,コミュニケーション講座

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]斎藤(2014).知的好奇心と批判的思考態度との関連 教心第56回総会
 
[2]汀逸鶴(2019).知的好奇心と認知的態度との関連 早稲田大学 優秀修士論文概要
 
[3]向居暁(2012).大学のゼミナール活動における批判的思考の育成の試み 日本教育工学会論文誌36 巻
 
[4]Csikszentmihalyi, M. (1975).Beyond boredom and anxiety: Experiencing flow in work and play. Hoboken, NJ: Jossey-Bass Publishers.