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不信感を抱く理由と対処法を心理の専門家が解説

不信感


不信感を抱く理由と抱いた時の対処法を心理の専門家が解説①

「不信感」について専門家が解説します

みなさんはじめまして!臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。

当コラムでは「不信感」をテーマに専門家が解説をしています。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。 

みなさんは、相手を信じられない、信じることが恐いと思ったことはありますか?信じていた人に裏切られたという経験をした後は、他人を信じることがこわくなりますよね?不信感が強いと、次の様な事を感じるようになるかもしれません。

・他人を信じられない
・すぐに疑ってしまう
・何か隠しているのではない?と思う

不信感について心理の専門家が解説

これまで心理学では、

・不信感とは何か?
・他者への不信感が強い人の特徴
・不信感を克服する方法

などたくさん研究されてきました。まずは、その研究をご紹介します!

不信感と心理的な影響

まず、不信感とは何でしょう?不信感とは、心理学辞典によると、信じていない思い、信用できない気持ちです。不信感の強さは個人の健康なパーソナリティと密接に結びついています。

他者に対して不信や猜疑心を抱き、冷笑的で否定的な態度を取る人は、対人関係で怒りや恨みを頻繁に経験しやすい(Smith & Frohm, 1985)といわれています。また不信感の強い人は、敵意を伴う苦悩と関連が深く、対人問題を感じやすいこと(Gurtman, 1992)が報告されています。

逆に安定した信頼感を持つ場合、人は対人問題を感じることが少ない(Gurtman, 1992)と言われています。

不信感につながる要因は年齢により変化する!

天貝(1995)の研究では、他者への不信や信頼は、加齢に伴いおのおのがより多義的になり増加していくという発達的変容が示されています。

不信感に影響を与える大きな要因は、

・友人からのサポート感(10代~)
・家族からのサポート感(30代~)

であると言われています。10代や20代では、友人関係が個人にとってとても重要なものに位置づけられるので、友人からのサポート感がなければ不信感を強く感じます。30代以降では家族や家庭がとても重要なものに位置づけられるので、家族からのサポート感がなければ不信感が強まるということです。

ここで不信感が強まることにより

・環境へ適応することが難しくなる(中井・ 庄司2006)
・無気力になる(下坂, 2001)。
・対人関係が希薄になる(山中,1995)。

などの問題が生じると言われています。

不信感とは?年齢によって変化する

不信感が強い人と信頼感が強い人の違いとは?

以下は、不信感や信頼感のバランスにおいてみられる個人の対人関係の特徴を表した図です。

不信感とは、他人を信じられないという気持ちです。性悪説に近いイメージです。

信頼感は、他人は信じられるという気持ちです。性善説に近いイメージです。

 

信頼感と不信感における統合実際の社会的関わりの様子を表した図枠内の人の人間関係の特徴をご説明します。

1:低い信頼/低い不信
そもそも良い面も悪い部分もそう多くはないと考えます。人間関係についての興味が希薄化しやすく、表面的な関係になりやすくなります。限られた人と少し狭い範囲での人間関係になります。

2:高い信頼/低い不信
人はそもそも良い面を持っていて、悪い面はすくないと考えます。理由なく他人を疑うことはなく、他者を信頼する傾向にあります。警戒心がなく、たくさんのポジティブな経験をし、他者との信頼関係をたくさん作ることができます。

3:低い信頼/高い不信
人はそもそも良い面をもっておらず、悪い面を持っていると考えます。、他者に対して用心深く、警戒心が高い傾向にあります。その結果、自分と他者との間の関係を効果的に維持することが難しくなります。

4:高い信頼/高い不信
高い信頼/高い不信の人の特徴とは、人は良い面、悪い面、どちらも持っていると考えます。信頼できる人は強く信頼し、不信感を持つ人には強く不信感を持ち、はっきりと区別する傾向にあります。その結果ポジティブな経験もネガティブな経験も多くなります。

以上の研究結果からは、不信感だけ低ければ良い、信頼感だけが高ければ良いわけではないことが理解できると思います。良い人間関係をつくることができるのは、信頼感と不信感のバランスが取れている枠内2の高い信頼/低い不信の特徴を持つ人たちです。この特徴を持つ人たちは、他者とちょうどよい距離を保ちたくさんのポジティブな経験をすることができます。

 

不信感の問題のセルフチェック

不信感の問題のセルフチェックをご用意しました。 不信感に関する質問の中から、あなたの普段の性格や行動を表しているかをお答えください。以下の項目で、最も当てはまるものを一つ選んでください。回答が終わったらすべての項目の得点を合計してくださいね。

不信感の問題について分かるセフルチェックの表

セルフチェックの傾向と対策

0~14点
不信感の問題は低めの傾向
不信感の問題は低めの傾向にあります。人から裏切られたときなどに一時的に不信感を持つことはあるかもしれませんが、それが日常で継続的な問題になることは少ないと考えられます。もしも日常生活の中ではっきりとはしないけれど、他人に不信感を抱いてしまうという場合には、具体的に何に不信感を持っているのかなど丁寧に振り返ってみることが必要かもしれません。

15~29点
中等度の不信感の問題傾向
あなたの不信感の問題はやや高めです。一見他人からは問題があるようには見えませんが、こころの中では人を信頼できない、疑ってしまう、物事を思いきり楽しめないということに気づいているかもしれません。軽度の不信感は誰しも持っていますが、過剰に感じすぎてしまうと心身を苦しめることにもつながります。今抱いている不信感は持っていて当然のものなのか、過剰なものなのか、自分の本音を確認することが必要かもしれません。

30点以上
不信感の問題が強い傾向
不信感の問題が強い傾向にあります。日常生活の中で不信感を抱いていることによりできなくなっていることがあるなど問題が生じている可能性があります。強い不信感は社会不安障害や抑うつなどにつながる恐れもあります。今抱えている不信感を少しでも軽減できるように問題を整理することなどできることから始めてみましょう。 

不信感の原因と解決策

セルフチェックの結果はいかがでしたでしょうか。あまりいい結果が出なくても、現状を知ることが大切です。そこで本コラムでは、不信感を解消できない原因と解決策を提案させて頂きます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

 

①脱フュージョン力をつける

「考え」と「現実」の境目
不信感で困っているひとは、相手へのネガティブなイメージが頭から離れない傾向にあると言われています。例えば、以前他人に裏切られ不信感が高い人は、人は裏切るものだというイメージが先行してしまいがちです。そのイメージが自分を苦しめ、本来信頼しても良い人を信頼できなくなっているかもしれません。

「考え」と「現実」を区別しよう
自分の考えと現実を混同し、現実よりも自分の考えが優位になるプロセスのことを認知的フュージョンと言います。これでは、現実的な人間関係の中で人を信頼することは難しくなるでしょう。そこで自分の認知的フュージョンを振り返り、ネガティブなイメージに振り回されることなくバランスの良い現実検討を目指します。これを脱フュージョンと言います。私は思い込みが激しい・・・と感じる方コラム②を参考にしてみてくださいね。

 

②不安階層表で回避行動を克服

ら回避行動が増えている人は要注意! 
不信感が強い人は、親密な人間関係を築く場面で他人に関わることを回避している傾向があります。不信感が強いために日常生活で他人と関わる場面への回避行動が増えている人は要注意です。

恐怖を克服し他人を信頼する方法 とは ?
不信感が強いために他人と親密になることを回避している場合には、恐怖が本当に起こることなのか確かめていくことが有効です。そこで対人関係で怖いと感じることを不安階層表にリストアップしていきます。それを段階的に実行していきます。逃げ癖がついている・・・と感じる方コラム③を参考にしてみてくださいね。

 

③適切な自己開示で相互理解

自己開示の苦手な人は要注意! 
不信感が強い人は、他人に適切な自己開示ができないために相手との距離が縮まらない傾向にあると言われています。自分から自己開示ができなければ、相手から本音が語られることはないためお互いのことが良く分からず、信頼していくことは難しいでしょう。 

適切な自己開示をして相手と信頼関係を築く方法とは?
これまでの研究で、相手の自己開示の程度と自分の自己開示の間には関連があることが認められています。自分が自己開示することで相手からの自己開示が行われ、お互いに相手を知ることができます。自己開示をすることが少ない・・・という方コラム④を参考にしてみてくださいね。

次回は 自分の考えと行動を区別しよう!

過剰に強い不信感は、気分や感情に影響を与えることや、他人と親密になることを回避することにつながることもわかっています。 過剰な不信感のせいで対人関係にストレスを感じる、楽しめないことはとても残念なことですよね。

今抱いている不信感により困難な状況になっている場合には、自分の持っている不信感と信頼感のバランスを振り返ってみることが大切です。何か新たな気づきを得られることでその後の行動も変化してくるでしょう!

次回の不信感コラムでは、「脱フュージョン力をつける」について解説します。一緒に不信感を改善していきましょう。

★不信感が強い人はストレスが多い!不信感と信頼感はバランスが大切!
人間関係講座

*出典・参考文献
天貝由美子. (1995). 高校生の自我同一性に及ぼす信頼感の影響. 教育心理学研究, 43(4), 364-371.
天貝由美子. (1997). 成人期から老年期に渡る信頼感の発達. 教育心理学研究, 45(1), 79-86.
Gurtman, M. B. (1992). Trust, distrust, and interpersonal problems: a circumplex analysis. Journal of personality and social psychology, 62(6), 989.
 Lewicki, R. J., McAllister, D. J., & Bies, R. J. (1998). Trust and distrust: New relationships and realities. Academy of management Review, 23(3), 438-458.
中井大介, & 庄司一子. (2006). 中学生の教師に対する信頼感とその規定要因. 教育心理学研究, 54(4), 453-463.
下坂剛. (2001). 青年期の各学校段階における無気力感の検討. 教育心理学研究, 49(3), 305-313.
Smith, T. W., & Frohm, K. D. (1985). What’s so unhealthy about hostility? Construct validity and psychosocial correlates of the Cook and Medley Ho scale. Health Psychology, 4(6), 503.
桾本知子, & 山崎勝之. (2008). 大学生における敵意と抑うつの関係に意識的防衛性が及ぼす影響. パーソナリティ研究, 16(2), 141-148.
山中一英 (1995). 対人関係の親密化過程に関する質的 データに基づく-考察 名古屋大学教育学部紀要, 42, 127-134.



3つの解決策を実践しよう