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不信感を抱く理由・3つの対処法を解説

不信感を抱く理由と3つの対処法①

はじめまして!臨床心理士の加賀、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「不信感」についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • もしかしたら自分を嫌い?
  • 信頼で判断力が向上する
  • 見捨てられ不安の影響
  • 脱フュージョン力を付ける
  • 逃げ癖を克服しよう
  • 適切な自己開示で相互理解

不信感について心理の専門家が解説

不信感と対人関係

・不信感とは何か?
まず、不信感とは何でしょう?心理学辞典によると信じていない思い、信用できない気持ちと定義されています。みなさんは、相手を信じられない・・・信じることが恐い・・・と思ったことはありますでしょうか。信じていた人に裏切られたという経験をした後は、他人を信じることがこわくなりますよね。。ただ・・・もし不信感が長期的に持続していたら注意が必要です。

・不信感が強いと苦悩しやすい
不信感の強い人は、敵意を伴う苦悩と関連が深く、対人問題を感じやすいこと(Gurtman, 1992)が報告されています。また、他者に対して、冷笑的で否定的な態度を取る人は、対人関係で怒りや恨みを頻繁に経験しやすい(Smith & Frohm, 1985)といわれています。人に対する不信感が強いと、友達になるために疑うことになるため、自分も相手も苦しい関係になってしまうのです。

不信感とは?年齢によって変化する

では私たちはどうして人に対して不信感を持ってしまうのでしょうか?また人を信じることにメリットはあるのでしょうか?いくつか心理学の研究を紹介させて頂きます。

研究① 不信感=自分への不信?

他人を肯定することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?高橋ら(2012)の研究では、大学生234名を対象に、「他人のポジティブ面に注目することの心理的な影響」を調べました。その結果は以下の通りです。

「他者肯定感」がある人は、自己肯定感が高まり、幸福感も高まることが分かりますね。自分のポジティブな面を考えることで、他人への不信感を和らげることにつながりますし、当然ですが、相手を軽視することが少なくなれば、不信感を改善することにつながります。

今回は「相関がある」ということなので、その逆も同じことが言えます。他人を低く見積もる「他者軽視」においてマイナスの相関を示しています。これは、他者肯定感が高い人ほど、他人を軽視する傾向が低くなることを表しています。

研究② 相手を信頼すると判断力が高まる

不信感が強いという人は「騙されるかもしれない・・・」と他人を疑う傾向が強い方もいるでしょう。他人を信頼しない方が、悪い人に利用されずに正しい判断ができるのではないか?と考えているかもしれません。

菊地・渡邊・山岸(1997)は、96人の大学生を、基本的な信頼関係が高い群と低い群に分け、信頼関係と情報選択実験を行いました。その結果、「相手を信頼する傾向の強い人」は、正確な行動をする」傾向があることが分かりました。

不信感

一見、他人を信頼しない方が、正確な行動がとれそうな感覚がありますが、信頼することでしか見ることのできない世界も多いようです。その意味でも、不信感を持ちすぎずに他人を信頼する姿勢は、一定のメリットがあるでしょう。

研究③ 見捨てられ不安の可能性

見捨てられ不安とは簡単に言うと、「いつかは自分から離れてしまう、仲良い人から見捨てられるのではないか」という不安から過剰に相手を束縛したり、問い詰めたりすることを意味しています。

例えば、スズキさんには、付き合って間もない異性がいたとしましょう。スズキさんはその方が大好きです。今日はお昼に、今日の食べたご飯がおいしかったとメールをしました。しかし、夜12時になっても返信がありません。いつもはマメな相手なのに今日に限ってメールがないのです。

見捨てられ不安を解消して孤独感を緩和する見捨てられ不安が強い方は

・どうして返信がこないの?
・気に触ることでも言ってしまったのかな?
・一人になってしまう・・・

こんな考えが頭に何回もよぎります。そうして、本当に私の事を好きなのか?と確認行動しすぎたり、愛情をもらえない相手に対して、敵意を向けてしまったりするのです。

カウンセリングをしていますと、

見捨てられ不安→人間関係のもつれ→一人になる→メンタルヘルスの悪化

という一連の循環が多く見受けられます。

診断とチェック

定期的に不信感簡易診断で自己チェックしておくことをお勧めしています。客観的な状況を知りたい方はご活用ください。
不信感簡易診断とチェック②

不信感を解決する3つの方法

ここからは、不信感を解消できない点について解決策を提案させて頂きます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①脱フュージョン力をつける

心の読みすぎに注意!
不信感が強い人のクセに「心の読みすぎ」があります。心の読みすぎとは、断片的な情報から相手の気持ちを決めつけてしまい、ネガティブな状況を描いてしまう考え方です。心の読みすぎは「考え」と「現実」の境目が分からなくなる認知的フォージョンを起こしている可能性が高く、不信感を抱きやすくなります。

「考え」と「現実」を区別しよう
認知的フォージョンは、自分の考えを「考え」と「現実」を区別し、現実的な考えに修正することが必要です。そうすることで、ネガティブなイメージに振り回されることがなくなり、バランスの良い考え方ができるようになります。これを脱フュージョンと言います。

心を読みすぎてしまう・・・という方は、脱フュージョンを学ぶことで不信感を軽減させることができます。

脱フュージョンをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・不信感と心の読みすぎ
・考えと現実のごちゃまぜ
・脱フュージョンの3手順
不信感を解決する「脱フュージョン」③

解決策2に進む前に少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

②逃げ癖を克服しよう

回避行動が増えている人は要注意! 
不信感が強い人は、親密な人間関係を築く場面で他人に関わることを回避している傾向があります。不信感が強いため、日常生活で他人と関わる場面への回避行動が増えている人は要注意です。

恐怖を克服し他人を信頼する方法 とは ?
このように回避行動は多くの場合は不信感を高めてしまいます。そこで、回避行動を減らして行くには自分の不安や恐怖を感じていることを段階的に行動していくことが効果的です。ちょっと勇気が必要な手法ですが、不信感を減らすには「行動すること」がとても大事なのです。そのひとつの方法として不安階層表を用いる方法があります。

不信感が強いために他人と親密になることを回避している場合には、恐怖が本当に起こることなのか確かめていくことが有効です。そこで対人関係で怖いと感じることを不安階層表にリストアップしていきます。それを段階的に実行していきます。

逃げ癖がついている・・・と感じる方は、段階的に行動することで少しずつ不安を克服することができます。

逃げ癖の克服をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・小さな不信が大きな不信に
・段階的に克服する方法
・練習問題で実践しよう
不信感を和らげる「逃げ癖」を克服しよう④

③適切な自己開示で相互理解

自己開示の苦手な人は要注意! 
不信感が強い人は、他人に適切な自己開示ができないために相手との距離が縮まらない傾向にあると言われています。自分から自己開示ができなければ、相手から本音が語られることはないためお互いのことが良く分からず、信頼していくことは難しいでしょう。 

適切な自己開示で信頼関係構築
自己開示は「お互いの自己開示のバランスがポイントです。自分が積極的に自己開示すれば、相手も開示しやすくなり互いに信頼を築きやすくなります。まずは、表面的な話題から自己開示をして、徐々に深い話題にしていくのがコツと言えます。いきなり深い話をしたり、逆に表面的な話題だけでも不信感は払拭できません。お互いの自己開示のバランスを取りながら、ゆっくり進めていきましょう。

自己開示をすることが少ない・・・という方は、適切な自己開示のバランスを知ることで、不信感を和らげることができます。

自己開示で相互理解をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・共通点・文脈的配慮
・聞き手の選択
・時間・場所の選択
不信感を抱かない3つのコツ!自己開示で信頼関係を築こう⑤

不信感よりも信頼感を増やそう!

強い不信感は、気分や感情に影響を与えることや、他人と親密になることを回避することにつながることもわかっています。 過剰な不信感のせいで対人関係にストレスを感じる、楽しめないことはとても残念なことですよね。

今抱いている不信感により困難な状況になっている場合には、自分の持っている不信感と信頼感のバランスを振り返ってみることが大切です。何か新たな気づきを得られることでその後の行動も変化してくるでしょう!

次回は、不信感簡易診断をご紹介します、一緒に不信感を改善していきましょう。(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★不信感が強い人はストレスが多い!不信感と信頼感はバランスが大切!

目次

①不信感を抱く理由-概観
②不信感簡易診断とチェック
③「脱フュージョン」で克服
④「逃げ癖」を克服しよう
⑤自己開示で信頼関係を築こう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
天貝由美子. (1995). 高校生の自我同一性に及ぼす信頼感の影響. 教育心理学研究, 43(4), 364-371.
天貝由美子. (1997). 成人期から老年期に渡る信頼感の発達. 教育心理学研究, 45(1), 79-86.
Gurtman, M. B. (1992). Trust, distrust, and interpersonal problems: a circumplex analysis. Journal of personality and social psychology, 62(6), 989.
 Lewicki, R. J., McAllister, D. J., & Bies, R. J. (1998). Trust and distrust: New relationships and realities. Academy of management Review, 23(3), 438-458.
中井大介, & 庄司一子. (2006). 中学生の教師に対する信頼感とその規定要因. 教育心理学研究, 54(4), 453-463.
下坂剛. (2001). 青年期の各学校段階における無気力感の検討. 教育心理学研究, 49(3), 305-313.
Smith, T. W., & Frohm, K. D. (1985). What’s so unhealthy about hostility? Construct validity and psychosocial correlates of the Cook and Medley Ho scale. Health Psychology, 4(6), 503.
桾本知子, & 山崎勝之. (2008). 大学生における敵意と抑うつの関係に意識的防衛性が及ぼす影響. パーソナリティ研究, 16(2), 141-148.
山中一英 (1995). 対人関係の親密化過程に関する質的 データに基づく-考察 名古屋大学教育学部紀要, 42, 127-134.
高橋ら(2012)ポジティブ側面への積極的注目に関する研究 : ポジティブ志向,主観的幸福感,ネガティブ認知,他者軽視との関連 学校教育学研究論集 26, 29-39, 2012-10-31