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緊張しない方法を専門家が解説

緊張しない,方法


緊張しない方法を専門家が解説①

緊張しない方法を専門家が解説します!

みなさんはじめまして!臨床心理士の兵働、橋爪です。私たちは臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングや精神保健に関する活動を行っています。当コラムは「緊張」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^; ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

 

みなさんは以下のような経験をしたことがありませんか?

・発表の前日はドキドキして眠れない
・人前で発表する時、緊張でうまく話せない
・大会の前にお腹が痛くなる

多くの人が感じたことがあるこのような感覚は、一般的に緊張と呼ばれています。日本人は生まれつき緊張しやすいという研究があります。

1996年11月にヴェルツバーグ大学精神医学部のPETER LESCH M.D(ピーターレッツ)博士は、遺伝子の一つ(S遺伝子)が心身の安定に必要な脳内伝達物質(セロトニン)の分泌に影響を及ぼしている事を発表しました。日本人はアメリカ人に比べ、「緊張し易い」S遺伝子が多いことがわかったのです。緊張は私たち日本人にとって良くも悪くも身近な気質なようですね。。

日本人は抱きやすい?緊張の問題とは

さてさて!ここでは「緊張」についての心と体の関係について解説します。緊張は気持ち、感情と思われる方もいるかもしれませんが、実はそれだけではありません。実は心と身体、両方が関連した生理現象なのです。

心や身体に表れる症状は、

①出来事(ストレッサーと言います)

②認知的評価

③ノルアドレナリン分泌

④ストレス反応(=緊張)

という流れで引き起こされます。

 

例えば

①人前に立つ

②失敗しちゃいけない!

③ノルアドレナリン分泌

④緊張

 

という具合で緊張することになるのです。

 

交感神経が活発に動くと緊張に

ノルアドレナリンが分泌されると、身体の中の興奮作用のある交感神経が活発になります。通常は心と身体をリラックスさせる副交感神経がバランスを保っているのですが、緊張状態では交感神経副交感神経よりも活発に活動しています。

交感神経が活発な時間が続くと、心も身体も休むことができずに体調を崩し、心の病気を患ったりします。短時間の緊張はそこまで問題にはならないのですが、長期化する場合は注意が必要です。

例えば、体調面では「夜眠れない」「胸がどきどきして心拍数が上がる」「暑くもないのにたくさん汗が出る」「お腹が痛くなる」「頭痛がする」「微熱が出る」「吐き気が出る」「息が荒くなる」などの症状があり、気持ちの面では「イライラしやすくなる」「注意が散漫になる」「何事にもやる気が起きない」などの症状があります。

盲点!緊張が起こる過程に本当の心理が

私の経験では、緊張を強く感じるかどうかは、個人差が結構あります。例えば、仕事でプレゼンをするとして、ある程度の緊張は誰でも感じるものですが、それを「億劫だ」「ストレスだ…」と感じるかどうかは人それぞれ違います。ではどうして緊張について個人差があるのでしょうか。

実は

①ストレッサー

②認知的評価

という一連の流れの部分に、ヒントがあるのです。心理学(臨床心理学)の専門用語では①のストレッサーを評価することを「②認知的評価」と呼びます。認知的評価とはストレスになりそうな出来事を自分がどのように評価するかという考え方をいいます。この認知的評価は大きくわけて以下の2つに大別されます。

脅威なのか評価する「一次的評価」
これは、自分にとってその出来事がどれくらい脅威のある恐いものか評価することです。例えば、100人の前で発表するという機会があったときに、脅威(TT)と考える人もいれば、チャンス!(^^)と考える人もいるでしょう。このように私たちはストレッサーが、「脅威なのか?そうではないのか?」という評価を行うのです。

できるか?できないか?確かめる「二次的評価」
次に私たちは物事そのものが遂行可能か評価します。簡単にいうと、失敗しそう(TT)と考えるか楽勝(^^)と考えるか評価することになります。例えばプレゼンを「難しい…」と思えば苦痛を感じストレスになるため、緊張や不安に繋がります。「できる!」と思えばわりとリラックスしてチャレンジできます。

このように「緊張」とは、認知的評価の結果、心や身体がプレッシャーで興奮している状態を「緊張だ!ストレスだ!」と脳が判断することで始まります。そして動悸や汗、声の震えなどさまざまな形で現れた心と体のサインをさらに感じると「やっぱり緊張だ!ストレスだ!」と心と身体にさらなる負荷がかかり、ストレスになっていきます。

 

今すぐ診断!緊張レベルを簡単チェック

これまで緊張が起こる過程についてご説明しました。「緊張をなくそう」と思いつめた方いらっしゃらないでしょうか?ここでホッとひと息、これからご紹介するチェックリストで日常生活でどの程度緊張しているかを見てみましょう。ぜひ試してみてください。

心の緊張度チェックリスト

当てはまる項目はいくつありましたか。それでは早速、診断結果を見ていきましょう!

診断 
7~10点
これは要注意!心や身体が日頃からかなり強く緊張しています。意識的に休息をとりリラックスしましょう。リラクゼーションやヨガなどもおすすめです。

4~6点
やや、緊張しています。時にはほっと一息、休息をとりましょう。

1~3点
緊張とリラックスの状態のバランスがよく、よい緊張感と いえます。ベストパフォーマンスが出せる状態です。

0点
とてもリラックスしていますが、もう少し緊張感が持ってもよいかもしれません。油断は禁物ですよ。

緊張の原因は3つの考え方

あなたのテストの判定はいかがでしたか。あまり良い結果が出なかった方も落ち込む必要はありません。緊張は誰でもするものですから、緊張しない事を意識するより緊張の程度を軽くしていく事が大切です。

先ほどは緊張になりやすい考え方である、「認知的評価」についてご説明しましたが、今回は緊張の度合いに差が出る価値観、その人の“物事の考え方”についてご紹介します。どんな物事の考え方が緊張を高めてしまうのでしょうか。以下に、緊張を高める原因となる3つの考え方を紹介します。

①悪い結果ばかり考える
人は何か行動を起こそうとしたときに、その結果を考える生き物です。どういう結果になるかを考えることは大切ですが、悪い結果ばかり頭に浮かんでしまうと緊張を高めてしまいます。

心理学の一分野である社会心理学では、自分が予想した通りの行動をとってしまう現象のことを「予言の自己成就」と呼んだりしています。緊張が強い人は、結果に捉われて自ら「予言の自己成就」を作り出しているかもしれません。結果に捉われすぎないコツや練習問題を交えながらコラム②で詳しくご紹介していきますね。

②周りの評価を気にする
周囲の人から自分がどのように思われているか気になるのは普通のことです。しかし、特に、緊張しやすい人は「うまくできなかったら、周りの人に見離されてしまうかも」などと考えがちではないでしょうか。このような考えは、緊張感を高めてしまうことになります。

このような場合は、まず緊張につながる考え方のクセに気付くことが大事です。気づく事で新しい視点や考え方を取り入れることができ、緊張をほぐしていくことができます。この緊張をほぐす練習方法はコラム③でご紹介していきます。

③高い目標設定をする
何か物事に取り組むとき、自分なりに目標を決めることは良いことです。しかし、その目標があまりにも高すぎると、目標がプレッシャーとなり緊張を高めてしまうことがあります。

自分にちょうど良い目標をもって、適度な緊張で取り組む事が大切です。コラム④では、上手な目標設定と緊張を和らげる方法についてご紹介します。

 

緊張しない法を確認しよう!

このように「悪い結果ばかり考える」「周りの評価を気にする」「高い目標設定」が緊張の原因となる考え方となることが多いようです。次回以降は緊張の原因に対する対処法、緊張しない方法を確認していきます。内容は以下の通りです。

コラム2 緊張をほぐす方法で克服しよう
コラム3 緊張をほぐすために必要な事とは
コラム4 緊張で吐き気も?!不安を軽減しよう

緊張は生理現象の1つですから、緊張しないように…と思っても取り除くことはできません。しかし、緊張を少し落ち着かせたり、緊張を低める方法を身につけることはできます。緊張とうまく付き合いながら、そして、時には緊張をうまく利用する方法で、あなたの人生をもっと豊かにしていきましょう!

次回は、緊張を高める原因のひとつ「悪い結果ばかり考える」の対処方法をご紹介します。次回の緊張コラムもお楽しみに!

★ 緊張は誰にでもある生理現象のひとつ
★ 緊張度チェックを確認して緊張しない方法を見つけよう
★ 緊張しない方法、緊張の対処方法を確認しよう
★ 緊張を高める考え方は3つある

 

出典
・Lesch KP, Bengel D, Heils A, Sabol SZ, Greenberg BD, Petri S, Benjamin J, Müller CR, Hamer DH, Murphy DL (1996) Association of anxiety-related traits with a polymorphism in the serotonin transporter gene regulatory region. Science 274:1527-1532
・対人ストレス過程の検証 加藤 司 教育心理学研究49(3),295-304,2001-09-30
・認知行動療法(坂野雄二 日本評論社,1995)
・心理臨床大事典〔改訂版〕(氏原 寛,亀口 憲治,成田 善弘,東山 紘久,山中 康裕 共編 培風館,1992)
・「心の緊張度」全国健康保険協会東京支部 http://kenkousupport.kyoukaikenpo.or.jp/check/coaching/q08.html



専門家である臨床心理士の兵働が詳しく解説します。