ジョハリの窓ゲームのやり方
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ジョハリの窓のやり方」についてご相談を頂きました。
相談者
32歳 男性
お悩みの内容
私は現在、就職の支援をしています。就職希望者が自己理解を深めることができるように、ジョハリの窓の知識や、ゲームのやり方を知りたいです。よろしくお願いします。
ジョハリの窓は、自己分析、教育指導、パーティーゲームなど様々な用途で使うことができます。是非参考にしてみてください。
ジョハリの窓とは何か?
提唱者と意味
「ジョハリの窓 (Johari window)」は、1955年にUCLAの心理学者である
ジョセフ・ルフト (Luft, J.) (1916–2014)
ハリー・インカム (Ingham, H.) (1916–1995)
によって提唱された歴史あるフレームワークです[1]。心理学辞典(1999)[2]によると、ジョハリの窓は以下のように定義されています。
個人間の開示的なコミュニケーションの程度を評価するために用いられるモデル。コミュニケーションを行う自分と他者という次元と、情報を知っているか知らないかに関する次元を組み合わせた4つの領域から構成される。
ジョハリの窓を理解すると、コミュニケーションのあり方を分析し、前向きに活かすことができます。
縦軸,横軸
ジョハリの窓では、コミュニケーションのスタイルを4つの窓に分類して考えていきます。まずは以下の図をご覧ください。
縦軸・横軸が2つの基準で分かれ、4つの窓がありますね。縦軸・横軸には、それぞれ以下の意味があります。
*縦軸
「周囲の人が知っている」は、自己開示を表します。周囲の人が知っている領域が大きい方は、本音を隠さず、素直な自己表現をする傾向があります。
*横軸
「自分自身が知っている」は、自己理解を表します。自分自身が知っている領域が大きい方は、自分について充分把握し、客観的にみた自分もよく理解している傾向があります。
ジョハリの窓では2つの軸をベースにして、4つの窓の大きさを検討し、コミュニケーションの長所と短所を分析していきます。
4つの窓,長所と短所
以下、ご自身がどれに当てはまるか?考えながら読み進めてみてください。
1.明るい窓が大きい人(Open self)
自分のことを充分理解し、自己開示がしっかりできる人を意味します。
長所
・積極的に自己開示を行う
・素直な感情表現ができる
・情報を開示しているので信頼されやすい
・空気が読める
短所
・個人情報の開示に無頓着
・ネガティブなことも隠せない
2.隠された窓が大きい人(Façade/hidden self)
自分のことを理解していますが、自己開示をあまりしない人を意味します。周りの目を気にする傾向があります。
長所
・個人情報を守れる
・控えめで相手を尊重できる
・客観的な自分を理解している
・相手を傷つけることは少ない
短所
・ミステリアスにみられる
・消極的になりやすい
・自分の殻に閉じこもりがち
3.盲目の窓が大きい人 (Blind self)
自己開示を積極的にしますが、自分を客観視できない人を意味します。
長所
・自己開示を積極的にする
・独創的な表現をする
・自分の世界観を大事にできる
短所
・相手を傷つけることがある
・空気を読めないことがある
・TPOを間違えることがある
4.未知の窓が大きい人 (Unknown self)
自己開示が不足し、客観的に見られる自分も理解していない人を意味します。
長所
・個人情報を守れる
・傷つかないで済む
・伸び代が大きい
・実は好かれているかも
短所
・ミステリアスな印象
・長所にも気づきづらい
・人間関係が広がりにくい
・TPOをわきまえない可能性
理想は明るい窓を広げる
ジョハリの窓を前提に考えると、
②盲目の窓
③隠された窓
④未知の窓
はコミュニケーション面で問題が大きくなる傾向があります。
理想は、①明るい窓を広げていくことです。積極的な自己開示を行い、周りから見られている自分をしっかり理解して、開かれたコミュニケーションを目指していきましょう。
診断シートの作り方
ここでは、ご自身のジョハリの窓を作成していきましょう。以下の質問に答えて、自分はどの窓が広いか考えてみてください。
点数をつける
紙に書き込む
さて、それぞれの合計点が出たら、いよいよ窓を書いていきます。まずは、紙とペンを用意して、長方形を書いてください。
次に、左上を「5」とし、左下を「20」として、最初の5問の合計点の位置から線を引いていきます。ここでは、例として「13点」で書いてみます。
そして、今度は右上を「20」として、残りの5問の合計点のラインから線を引いていきます。ここでは、例として「13点」で書いてみました。
これで完成になります。一番大きい面積の箇所が、あなたのスタイルとなります!
この場合だと、ギリギリ開かれた窓が一番大きいですね。このよう、横に一本、縦に一本を加えてどの窓が大きいか把握してみましょう。
以下それぞれの改善の仕方について解説しました。自己理解にぜひ役立ててみてくださいね。
盲目の窓が大きい方は、思ったことをそのまま口に出してしまう傾向があるため、知らず知らず相手に不快感を与えたり、傷つけたりしてしまう可能性があります。
・傾聴力をつける
自分を知るためには、相手の話をよく聞く姿勢を持つ必要があります。そのうえで、傾聴力をつけることがとても大事です。傾聴力については、こちらの傾聴コラムで詳しく解説しています。参考にしてみてください。
・ツールを使う
現代社会では、自己診断のソフトがたくさんあります。たまには客観的な数値で自分を把握してみることもオススメします。こちらの心理テストは私(川島)が監修して作成したものです。性格分析など様々な診断が可能です。良かったら使ってみてくださいね。
・動画で客観視してみる
現在はスマフォで綺麗な動画を撮ることができます。自分が話している姿を撮影して確認してみると、思わぬ発見があるかもしれません。
・自分の印象をズバリ聞く
自分を知る方法はいくつかありますが、1つはシンプルに自分の印象を聞いてみることです。「私の意見についてどう思う?」「今日の服装どう?」など、ズバリきいてしまっても良いかもしれませんね♪

ジョハリの窓ワーク
ジョハリの窓は、学校や職場で相互理解を促進するために実施が可能です。
伊藤ら(2018)[3]は、80名の中学生を対象として、ジョハリの窓ワークの効果を調査しました。その結果の一部が、以下の図です。
これは、ジョハリの窓についての授業終了時に、生徒たちにアンケート調査を行った結果です。「新しい自分を発見できた」「自分を表現することができた」のいずれも80%高い数字を出しています。
ジョハリの窓ワークは、自己理解を深める効果が期待できそうですね。私も主催するコミュニケーション講座でよく実施しています。盛り上がるのでオススメです♪
以下に、ワークの具体的な流れを解説します。
①質問・かいとうカードを作る
ジョハリの窓ワークでは、以下の質問・かいとうカードを使います。各自ダウンロードできるようにしてありますので、適宜お使いください♪
成人の方はこちらの質問リストがおススメです。
質問シート(成人の方はこちら)
未成年の方はこちらの質問リストがおススメです。
質問シート(未成年の方はこちら)
*質問シートサンプル
あくまで一例です。親密度に応じて適切にアレンジをしてください。
下記をクリックするとシートがダウンロードできます
かいとうシート
②発表者を決める
3~5人ほどのチームを作り、その中で1人発表者を決めます。机に質問カードを裏返し、ランダムにセットしておきます。
③発表者がカードを引く
発表者は1枚カードを引きます。そしてそのまま読み上げます!
私、川島はどんな本が好きだと思いますか?
③回答タイム
他のメンバーは解答シートに予想を記入して、ひとりひとり発表します。同時に理由も告げましょう。
川島さんは、雑学系の本を読んでいると思います!なぜならよくうんちくを話しているからです!
④答え合わせ
メンバーからの発表が終わったら、発表者が最後に自己開示をします。
実は私、昔から心理学の本が大好きで、15年間読み続けています!
⑤交代タイム
1人につき3~5分程度で交代しましょう。
⑥感想・ディスカッション
最後に全体で感想を話し合って終了です。(^^)ディスカッション時は、「ゲーム前と、ゲーム後」のそれぞれの印象を話しあいます。OPENな状態になっているので、お互いの信頼や好感度が上がっていることを実感するのがコツです。
⑦ワークの狙いを種あかしする
最後に講師から、日常生活での活かし方を伝えます。
・自己開示の重要性
積極的に自己開示をすることで、相手の警戒心がとれ、相互理解ができる。自己開示は勇気がいるが、過度に隠すのではなく、できる範囲で自分の話をしていくことが大事。
・他人から見た自分の重要性
相手から見た自分を教えてもらうことで、盲目の窓を小さくすることができる。人の意見に耳を傾けることが大事。
入門まとめ
ジョハリの窓をコミュニケーションに生かす方法はいかがでしたか。自分の新しい面に気づくことと、自己開示をして正確に自分を把握してもらうことは、円滑なコミュニケーションをとる上でとても大切です。
是非OPENなコミュニケーションを目指して活かしてみてくださいね♪
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・ジョハリの窓で4タイプのどれか診断
・ジョハリの窓ワークでOPENに
・他人から見た自分をりかいする
・自己開示力をつける練習
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
2件のコメント
コメントを残す
コメントさせて頂きます。
腹式呼吸と音読を始めたのですね。
心がリラックスできて良いですよね。
ご自身が楽しめることを継続していくのが一番良いですよね。
無理のない範囲で楽しんでくださいね。はじめまして。
無職で、ひきこもりがちです。
無気力で、すぐ疲れやすいです。
最近、腹式呼吸を始めました。朝、布団の中で、目を閉じて30回くらいします。
他、音読も始めました。
小さなことだけど、継続できそうだと思ったからです。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1]Luft, J., & Ingham, H. (1955). “The Johari window, a graphic model of interpersonal awareness”. In Proceedings of the Western Training Laboratory in Group Development. Los Angeles: University of California, Extention Division, Los Angeles.[2][3]伊藤 友美子・中條 和光 (2018). 自己の多様性に気づかせる授業実践 -“自己との対話”をとおして- 広島大学附属東雲中学校研究紀要中学教育, 49, 109-115.
研修の講師をする予定です。
川島先生のこのサイトに載っている、一人で行うジョハリの窓を個人ワークとして使用しても良いでしょうか?
一応「本来は数名で行い、他人の意見を聞き入れるのが正当ですが、今回は簡易版として」として使用できたらなと思ったのですが…
(失礼でしたらすみません😥)