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フラストレーションが溜まる原因と発散方法

日付:

フラストレーションの発散方法

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「フラストレーションの発散方法」についてご相談を頂きました。

相談者
36歳女性

お悩みの内容
私は現在、フルタイムで働きながら1歳の子育てをしています。夫は現在単身赴任中です。
しかし、育児に追われ、仕事が中途半端になってしまい、失敗が続いています。

最近は不眠と体の疲れが取れず、精神的にも怒りっぽくなっていると自分でもわかります。フラストレーションが溜まっていく現状をどうにかしたいと考えてます。

よろしくお願いします。

フルタイムと育児が重なると、休日もなく、心が休まる暇がないですね。特に相談者の方は、仕事もきちんとしたい、と考えられているようなので、余計にフラストレーションが溜まると思います。

当コラムでは対策をしっかりお伝えします。参考にしてみてください。

フラストレーションの意味とは

意味とは

心理学の世界ではフラストレーションは以下のように定義されています。

なんらかの障害によって、行動が妨害され、その結果もたらされる不快な緊張状態(心理学辞典,1999 一部簡略化)[1]

私たちは普段、こうしたい、ああしたいという欲求がありますが、その欲求が満たされないとき、怒り、イライラ、ストレスなどが溜まっていくのです。

内部要因,外部要因

フラストレーションには内部と外部の原因があります。内部的なフラストレーションは基本的には個人で制御できる範囲内にも関わらずうまく行かない時に生じます。例えば以下が挙げられます。

感情をコントロールできず自暴自棄な行動をしてしまう
能力が不足し目標が達成できない
他者との比較による自己価値の低下
相反する2つの選択肢があり決められない

外部的なフラストレーションは個人では制御できない時に起こります。例えば以下が挙げられます。

天候の悪化による外出の制約
長時間の待ち時間や列に並ぶ必要性
交通渋滞や電車の遅延による時間のロス
税金が上がる

3つのプロセス

ワシントン大学のローゼンツアイクは1947年にフラストレーションを

①状況
②耐性
③反応

という3つの角度から検証する手法を開発しました[2]

状況

例えば2020年にコロナウイルスの問題が発生しました。このようにフラストレーションが溜まる可能性がある状況をフラストレーション状況と言います。

耐性

問題となる状況が起こったとしても、すべての人がストレスを抱えるわけではありません。ある人この時、考え方や環境をうまく調整することで、前向きに乗り越えていく人がいます。

このように問題となる状況に柔軟に対処する力をフラストレーション耐性と言います。耐性を高める方法は後程詳しく解説します。

反応

問題となる状況に対して、私たちは耐性を少なからず発揮しますが、キャパシティーを超えることも当然あります。その時は、イライラする、抑うつ感が出る、敵意が出る、などフラストレーション反応が起こります。

フラストレーション反応は長期化すると、様々な悪影響があります。以下、関連する研究を折りたたんで掲載しました。興味がある項目を展開してみてください。

心理的QOLの低下につながる

橋本・織田(2008)[3]は都内大学生・大学院生286名を対象に、「怒りや敵意」と「心理的QOL」の関係について調査をしました。心理的QOLとは心の面で豊かな生活を意味します。以下がその結果です。

短気・怒りと心理QOL

どちらも心理的QOLを下げるという結果になっています。フラストレーションが溜まって短気になったり、敵意を持つと、精神的にも穏やかでなくなり、幸福感が下がると言えます。

自尊心の低下につながる

桜井(2000)[4]は、大学生361名を対象に、自尊感情尺度の日本語版の作成を行いました。

その研究の中で「不機嫌・怒り」と「自尊心」との関連を調査しています。結果の一部が、下図となります。

フラストレーション,悪影響

図は不機嫌な状態と、自尊心は負の関係にあることを示しています。要約すると、フラストレーションがたまり、不機嫌な状態が続くと、自分を尊重する気持ちが減っていくと推測されます。

不機嫌な状況は、攻撃的になったり、他人からの温かい言葉が不足しがちです。そのため自尊心が低下していくリスクがあるのです。

身体的QOLの低下につながる

橋本・織田(2008)[3]は「怒りや敵意」と「身体的QOL」の関係について調査しました。以下がその結果です。

短気・怒りと身体QOL

フラストレーションが溜まることで、体の免疫機能が落ち、健康的でも悪影響があることがわかります。長い間、欲求不満な生活を続けると、体の健康においても、リスクがあることがわかります。

高血圧のリスクにつながる

井澤等(2004)[5]は、「敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連」において、男子大学生20名に対象に怒りと生理的な影響について研究を行いました。

その結果、衝動的な怒り情動を表す「短気」が、収縮期血圧の上昇と関連を示す結果が得られました。

怒り・短気と収縮期血圧

短気、敵意的でない人と比較して、日常的なシュチエーションでも怒り喚起時に高い心臓血管反応性を示し、その結果,冠動脈疾患に罹患しやすい可能性があることが判明したのです。

フラストレーションをため、イライラしていないか?気を付けるようにしましょう。

 

発散する7つの方法

ここからはフラストレーションを発散する7つの方法を解説していきます。

①アンガーマネジメント
②問題を直接解決する
③気持ちを表現する
④考え方をほぐす
➄助けを求める
⑥運動で発散する
⑦気晴らしをする

ご自身の生活に役立ちそうなものを組み合わせてご活用ください。

①アンガーマネジメント

ドイツの心理学者であるダラード(1939)[6]はフラストレーション攻撃仮説(Frustration-Aggression Hypothesis)を提唱しました。この仮説は、人々が欲求や目標を達成できず、フラストレーションをためると攻撃的な行動をしてしまうというものです。

例えば、仕事が忙しい、子育てが大変、お金がない、などの状況で、イライラしてしまい、他人に強くあたってしまう方は注意が必要です。

具体的な対策としては、アンガーマネジメントを学ぶことをおすすめします。アンガーマネジメントでは様々なやり方で気持ちを静めていきます。例えば、以下のような呼吸法が挙げられます。

鼻から4秒間息を吸い込む
4秒間息を止める
4秒間口から息を吐き出す
4秒間息を止める
1~4を4セット繰り返す

上記のやり方以外にも、アンガーマネジメントの手法はたくさんあります。口調が厳しくなっている…と感じる方は以下のコラムを参照ください。

アンガーマネジメントのやり方

②問題を直接解決する

南(1982)[7]は人間の動機は「欲求」→「動因」→「意欲」の3段階に分けられるとされています。すなわち、欲求が満たされないフラストレーション状態になると、行動する理由ができて、それが問題を解決しようとする意欲につながるのです。

直接解決を目指すコーピングは問題解決型コーピングと言われています。最も積極的なやり方と言えそうですね。例えば相談者の方ですと以下が挙げられます。

例)子育てについてヘルパーさんを雇う
  ITを駆使して仕事の効率を上げる
  部下を雇ってもらうように交渉
  残業を減らすように交渉する

問題を解決するときのコツは、いきなり全てを解決しようとするのではなく、優先順位を決めて、効果の高いものから取り組んでいくことが大事です。以下のコラムではそのコツを解説しました。

やることが多すぎて、どこから手をつければいいかわからない方は参考にしてみてください。

問題,悩み事を整理する方法

フラストレーション,整理

③気持ちを表現する

辛いで出来事を、日記に書いて表現したり、誰かに話をすることで心の整理をするやり方は情動解決型コーピングと言われています。

マイナスの感情は、感じないようにするのではなく、適度に表現していくと、改善しやすくなります。悩みを抱え込みすぎず、適度に表に出すように心がけましょう。

例)
現状を日記に綴る
辛い状況を母親に伝える
パートナーに相談する
旧友に愚痴をこぼす

心理学の世界では、悩みを表に出すと気持ちがスッキリすることを「カタルシス」と呼びます。詳しくは以下のコラムで解説しました。理解を深めたい方は参考にしてみてください。

カタルシスの効果

ストレスコーピングを理解

④考え方をほぐす

ストレス要因に対して見方や視点を変えたり、前向きな考え方にすることを、認知評価型コーピングと言います。心理学の研究では、考え方が固く、引き出しが少ないほどメンタルヘルスが悪くなることが分かっています。

現状を1つの角度から考えるだけでなく、様々な角度から柔らかく考えるようにしましょう。

例)
仕事がある,子供もいる,まずはこの状況に感謝
完璧を目指さず1つ1つできる範囲でやれば充分
100点でなくてOK 基本は60点で
後で振り返ればこの忙しさもいい思い出になる

考え方をほぐす手法としては以下のコラムが参考になると思います。考え方が堅くなっているな…と感じる方は参考にしてください。

リフレーミング
認知療法

考え方を見直す

➄助けを求める

周囲にアドバイスを求めたり、信頼できる人に打ち明けることを社会支援型コーピングと言います。孤独で悩みを抱えやすい方は、助けを求めるのがとても苦手です。

ですが人間の社会は助け合いです!辛い時は素直に助けを求めることもぜひ大事にしてください。


母親に育児を手伝ってもらう
会社の同僚に仕事をお願いする
市役所の子育て支援課で制度を聞く

支援の受け方については、ソーシャルサポートコラムで解説しています。悩みを一人で抱え込みすぎている…と感じる方はご一読ください。

ソーシャルサポートの受け方

ストレスの発散方法

⑥運動で発散する

睡眠、食事、運動など健康面からストレスを発散することを身体的コーピングと言います。私たちの心と体はつながっています。体の健康も確保するように心がけましょう。


昼休みに体操をする
休日は子ども一緒にお昼寝をしっかりする
月に1回だけ母親に
子どもを預け3時間だけ温泉に行く

身体をつかったストレス発散法は以下のコラムで複数解説しています。体にも疲れが溜まっている…と感じる方は参考にしてください。

ストレス発散-運動,呼吸,日光浴

 

運動で発散

⑦気晴らしをする

運動や趣味等によるストレス解消方法でリフレッシュすることを気晴らし型コーピングと言います。気晴らしは心の余裕を生み出し、結果的に仕事や子育ての質を向上させます。

隙間時間でもOkなので、自分の時間を持つようにしましょう。


スマフォの漫画を読む
移動時間は好きなYOUTUBEを見る
スポーツに打ち込む、読書にふける
夫と会う時は皆でカラオケに行く


ストレスコーピングと発散方法

まとめ

今回は、フラストレーションとは何なのか?6つの対処法を紹介しました。6つのコーピングスキルを活かしながら、心と体を改善し、充実した生活を送ってください(^^)心から応援しています。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

 ・フラストレーションの改善,トレーニング
 ・イライラ思考の改善,認知療法
 ・リラックスする心に,心理療法の学習
 ・暖かい人間関係を得る,ソーシャルサポート

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

フラストレーションが溜まる原因と発散方法,心理学講座

 

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • のんのん
    • 2021年12月16日 8:58 PM

    私には主人がいるのですが、喧嘩をした際に、私はプライドが高いのか、素直に自分の非を認めて謝ることが下手くそです。自分が悪いと分かっている状況でも、言い方がおかしいかもしれませんが、思考が完全に停止してしまい、物事をうまく考えられなくなって喧嘩が長引いてしまいます。それが原因で殴り合いの喧嘩になったりしてしまい困っています。冷静な時には自分の感情を分析することができるのですが、喧嘩の渦中にいるとなかなかうまく思考を働かせることができません。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
 
[2]ROSENZWEIG, S., FLEMING, E. E., & CLARKE, H. J. Revised scoring manual for the Rosenzweig Picture-Frustration Study (form of adults). J. Psychol., 1947, 24, 165-208. 
 
[3]橋本 空,織田 正美(2008).大学生における攻撃性とQuality of Lifeの関連性 健康心理学研究  日本健康心理学会編集委員会 編
 
[4]桜井 茂雄(2000).ローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版の検討 Bulletin of Tsukuba Developmental and Clinical Psychology,Vol.12 2000 
 
[5]井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍(2004).敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 
 
[6]Dollard, J, Doob, L., Miller, N. E., Mowrer, O. H., & Sears, R. R. (1939). Frustration and aggression. New Haven, CT: Yale University Press. (ドラード、J. 宇津木 保(訳) (1959). 欲求不満と暴力 誠信書房)
 
[7]南博(1982).人間行動学 埼玉県立川越図書館