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罪悪感を消す方法,手放す5つの方法

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罪悪感を消す方法,手放す6つの方法

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「罪悪感を消す方法」についてご相談を頂きました。

コンプレックスとは

相談者
35歳 男性

お悩みの内容
もう20年以上になりますが、私は中学生のころ、いじめの加害者になってしまったことがあります。当時の私は倫理観がなく、今では本当に反省しています。

一方で、罪悪感からいまだに相手を傷つけてしまっている夢を見ます。そのたびにうなされています。最近は、不眠が続いていて、体に倦怠感があります。

そろそろ自分を許し、晴れやかな生き方ができるようになりたいのです。何かできることはありますか。

過去の罪をずっと気にしているのですね。罪の意識を持つことは悪いわけではないのですが、20年以上前の出来事で不眠が続いているのは心配です。当コラムで罪悪感とうまく付き合うための対策を立てていきましょう。

罪悪感とは何か

まず初めに、罪悪感の性質についておさえていきましょう。罪悪感には2つの種類が存在することが分かっています。

①前向きな行動をしなかった

ポジティブな行動をすべきだったたのにできなかった時、罪悪感は芽生えます。

好きな異性に告白できなかった
親孝行できなかった
お礼を言えなかった
謝罪ができなかった
もっと勉強すべきだった

などがあたります。

②ネガティブな行動をしてしまった

してはいけないネガティブな行動をしてしまった時、罪悪感は芽生えます。

悪口を言って傷つけてしまった
いじめをしてしまった
浮気をしてしまった
軽犯罪を犯してしまった
ギャンブルで散財してしまった

これらがあたります。

皆さんが抱えている罪悪感はおそらくどちらかに分類されるのではないでしょうか?

罪悪感

罪悪感のプラス面

これらの罪悪感は、私たちにどのような影響があるのでしょうか?まずはプラス面から考えていきましょう。

プラス面① 未来への反省機能

心理学者の久崎(2002)[1]は、罪悪感の機能を

自分の過失を修復するため
過失を今後しない意思を持ち続ける
自省や抑制できるようになる

と主張しています。私たちは罪悪感を持つからこそ、未来に同じ過ちをしないよう反省できるのです。

プラス面② 誠実さの裏返し

罪悪感を持てることは、誠実な精神が育っている証拠です。

有光(2001a)[2]は、大学生292名を対象に、性格特性を調査しました。その結果、罪悪感は「誠実性」に関連していることがわかりました。下図を概観してみてください。

罪悪感と誠実性との関係

罪悪感と誠実性は正の相関を示していることがわかります。罪悪感が強い方は、真面目に物事に取り組み、誠実に生きようとする気持ちが強いと言えそうです。

プラス面③ 周囲に協力できる

罪悪感があることは、周囲への配慮が得意で、仲間と協調しようとする傾向にあると言えます。

有光(2001a)[2]の研究では、罪悪感は「調和性」とも関連していることがわかりました。下図をご覧ください。

罪悪感と調和性は正の相関を示していることがわかります。罪悪感が強い方は、和を重んじる姿勢が強く、周りに協力する一面があると言えそうです。

プラス面④ 健全な人間関係につながる

有光(2001b)[3]は、4年生および短期大学の学生329名を対象に罪悪感特性と健康について調査しました。その結果、罪悪感がある人は、男女ともに社会活動を健康的に営むことができることがわかっています。

例えば、仕事でミスをし、同僚がフォローしてくれたとします。この時、「自分のせいで悪いことをしたな」と罪悪感を抱いた場合、謝罪をする、お返しをする、などの行動をして、相手との関係を深めることができます。

プラス面⑤ 優しい人になれる

大西ら(2009)[4]では、小学生・中学生646名を対象に児童・生徒の罪悪感が、いじめにどのような影響を与えるかを調べました。その結果が以下の図です。

罪悪感 いじめ

上図は、罪悪感を予期できる人ほど、周囲と異なる人を省いたり、無意味にいじめを行ったり、何かの制裁としていじめを行う傾向が少ないことを意味しています。

ここからは推測となりますが、罪の意識を持てる人ほど、相手を傷つけることが減り、やさしい行動がとれると推測できます

罪悪感のマイナス面

次に罪悪感のマイナス面について解説します。

マイナス① 自尊心が低下する

自分の罪を重くとらえ、強い罪悪感を長期間持ち続けるとマイナスの影響が出てきます。心理学の研究では、ネガティブな出来事を何度も思い出すと、自尊心が低下し、楽観的に考えることができなくなることがわかっています。

マイナス② 孤立しやすくなる

今岡ら(2017)[5]は中学生596名を対象に罪悪感について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

罪悪感 居心地

このように、罪悪感が芽生えると、ネガティブな気持ちになり、居心地が悪いと感じたり、信頼されていない感覚になることがあります。その結果、人間関係が閉鎖的になり、社会的に孤立しがちになってしまいます。

マイナス③ 自分を傷つける

自尊心が低下すると、自分は傷つくべきだと考え、リストカット、暴飲暴食、乱れた性生活などを行うことがあります。

罪の意識を持つことは悪いことではないですが、自傷行為で改善しようとすると、最悪自殺に発展してしまうことがあるので注意が必要です。

マイナス④  自己不全感

有光(2001a)[2]の研究では以下の結果も出ています。

こちらは罪悪感を覚えるほど自己不全感が増すという意味があります。自分を責める気持ちを、長期間何度も思い出すことは危険です。自責の念に年にかられると、自分のダメな部分ばかりに目が向き、前向きに物事を考えることが困難になってしまいます。

 

罪の心理をなくすことが出来ない人の特徴

罪悪感とうまく付き合う方法

ここまで解説したように、罪悪感は2面性がありますが、もしマイナス面が強くなっている場合は、以下の6つの対策を参考にしてみてください。

①ポジティブ行動を増やす
②ネガティブ行動を減らす
③言葉にして謝罪する
④罰を形や行動で償う
⑤昇華で社会に貢献する
⑥メンタライゼーション力

①ポジティブな行動を増やす

罪悪感を改善する基本は、ポジティブ行動を増やすことが基本となります。

・親孝行をする
・人にやさしくする
・感謝を伝える
・チャレンジを積極的にする

これらの行動をコツコツ積み重ねていけば、過剰な罪悪感は少しずつほぐれていきます。前向きな行動を迷っていたら是非、実行してみてください。後悔することが減り、メンタルヘルスも向上するでしょう。

②ネガティブな行動を減らす

同時に大事なことは、ネガティブな行動を減らしていくことです。

・必要以上に自分をディスらない
・暴言を吐かない
・犯罪を犯さない
・浮気をしない

など、自分や周りの人を傷つけるような行動を減らすのが基本です。

罪悪感は過去の行いのことが多く、簡単には取り返しがつかないと思いますが、これ以上の罪悪感を増やさないように、これからの未来は上記の2点を心がけていきましょう。

③言葉にして謝る

対人関係で過ちをおかしてしまい、まだその方との関係が続いている場合は、言葉にして謝ることが基本です。謝罪ができないままだと、罪の意識が蓄積してしまい、ぐるぐると心の中にたまってしまいます。

「自分が悪い」と感じるなら、やはり自分の口で謝罪をすることがなにより大事です。謝罪は相手のためでもあり、自分のためでもあります。謝罪ができないか、ぜひ検討してみましょう。

顔と顔を合わせて誠実に謝罪をすれば、自分も相手も前向きに行動できるようになるものです。謝罪を検討できそうな方は下記のコラムを参考にしてみてください。

謝罪の仕方,気持ちが伝わる謝り方

④罪を形や行動で償う

罪を償うときは、言葉だけでなく行動することも大事です。例えば、万引きをしてしまって、スーパーに謝罪をしにいったとしましょう。

店長さんが優しく許してくれたとしても、目に見える形で行動を示さなくてはなりません。具体的には、

お店のトイレ掃除をする
店の前の掃き掃除を1週間する
もうしない旨の反省文を提出する
許してくれるならスーパーを使い続ける

などが挙げられます。自分の罪に応じた、なんらかの行動を行い、罪を償うようにしましょう。

⑤昇華で過ちを糧にする

罪悪感がある状況では、堂々と生きることができず、遠慮がちになるものです。一方で、罪悪感は形を変えれば、前向きな行動や社会貢献へのエネルギーに変えることができます。

これは心理学の用語で、「昇華」と呼ばれる概念になります。例えば、過去にいじめをしてしまった経験がある方は、

自分の体験を語りいじめを予防する
いじめの対策機関に募金をする
自分の子供にしっかりといじめに対する教育をする
職場いじめで困っている人を助ける

などが挙げられます。

罪を自分を責めるだけで終わらせるのではなく、困っている人を助ける活動にいかしましょう。もしタイミングがあれば、カミングアウトをしてもいいかもしれません。

罪を認め前向きな活動をしている方は、周りに勇気を与えると思います。「昇華」をもっと理解したい方は下記を参照ください。

昇華の理解深める

⑥メンタライゼーション力をつける

山口(2012)[6]は、大学生167名を対象に、メンタライゼーションと自責、他責との関係性について調査を行いました。メンタライゼーション力とは、自分や他者の行動の裏側にある考え方や感情を、観察したり推測する力を意味します。その結果は以下の通りです。  

自責の念 3つの罪悪感

調査結果によれば、メンタライゼーション力が低い人ほど、自己責任に陥りやすい傾向がありました。つまり、自己責任に陥りやすい人は、一般的な心理的な動機を理解せず、自分自身に責任を負わせる傾向があると考えられます。

メンタライゼーション力をつけるには、登場人物を紙の上に書いて、洞察するエクササイズなどがあります。自分や周りの気持ちを考えるのが苦手…と感じる方は参考にしてみてください。

メンタライゼーション力をつける

まとめ

筆者の私も実は幼少期に、ある女の子の見た目を嘲笑してしまい、泣かせてしまったことがあります。30年近く経った今でも罪悪感が残っています。タイムマシンがあったら当時に戻り自分をしかりつけたいです。

私も3児の父親になりました。子供にきちんと教育し、また私自身心理学の教育活動を通して、暖かい社会を創ることで、その女の子に償って生きたいと考えています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

しっかり身につけたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・罪悪感を糧に,前向きな行動を増やす
・過去の過ちを成長に,リフレーミング練習
・心を整理する,心理療法
・健康的な人間関係を築く方法

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

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助け合い掲示板

12件のコメント

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    • 2024年3月14日 7:16 AM

    心の痛みが伝わってきました。
    若気の至りは誰にでもあります。
    ねっこさんはちゃんと反省する気持ちがある素敵な人です。
    大丈夫ですよ!

    返信する
    • ねっこ
    • 2024年2月15日 6:45 PM

    中学2年生です。親のお金を盗んでいた時期がありました。年末にそのことがバレてしまい、バレたのは2回目です。何度も取り続けていて、一度バレた時に取っている場所を教えていない場所がありました。そのせいで自分はまた取り続けてしまいました。ですが2回目年末にバレた時にお父さんの財布から盗っていたことをまだ言えていません。もう言える気もありません。ですが、おとなになって話そうと思っても罪悪感が消えず、毎日そのことをふと思い出してしまうと行動ができなくなります。自分がやったことがバカなのは承知しています。兄と一緒に盗ったりもしました。一人でも取りました、父の財布からは自分しか盗ってないのではと思います。はっきり言ってもう自殺してしまおうとしか思えません。自分の友だちが余命宣告されたのでその友達の分まで生きようと思っています、ですが自分が死ねばいいと思ってしまいます。大人になったら絶対返すと決めています

    返信する
    • しょうがく2ねんせい
    • 2023年11月18日 9:27 AM

    音楽のテストがあって、みんなの前で一人ずつうたうっていう形しきで、ずっと前からきんちょうしてて、いざテストになったとき、へんなこえがでて、つぎの子がうまくて差をかんじて、とびだしちゃった。ほかの先生がなぐさめてくれた。でもほかのみんなはなにもしてこなかった。だから、みんなずるいって思ってたのかな。

    返信する
    • とも
    • 2022年7月3日 6:25 PM

    自分が大嫌いです。
    つい嘘をついてしまったり、やってはいけないことをやってしまったり。
    今、後悔と罪悪感と自己嫌悪でいっぱいです。
    心がもやもやして、とてもつらいです。
    考えないようにしようと思っても1人になるとどうしてもそのことを思い出し、後悔し、あの時こうすればよかった、私のばか、と自分を責めてもやもやし、その繰り返しです。

    返信する
    • 西
    • 2022年7月3日 6:00 PM

    高校生です。母に禁止されていることをしてしまいました。バレなければ良いと軽い気持ちでした。
    後悔と罪悪感でいっぱいです。
    1人でいると心がモヤモヤして、とてもつらいです。
    自分が大嫌いです。

    返信する
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] 久崎 孝浩 (2002). 恥および罪悪感とは何か: その定義, 機能, 発達とは 九州大学心理学研究, 3, 69-76.
 
[2] 有光 興記 (2001a). 罪悪感, 羞恥心と性格特性の関係 性格心理学研究, 9, 71-86.
 
[3] 有光 興記 (2001b). 罪悪感、恥と精神的健康との関係 健康心理学研究, 14, 24-31.
 
 
[5] 今岡 多恵, 庄司 一子(2017).中学生の罪悪感機能尺度の開発および罪悪感の程度,学校適応感との関連 発達心理学研究28巻3号