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部下の叱り方コツ,大人向け

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部下の叱り方コツ,大人向け

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「叱り方のコツ」です。

叱り方のコツ

相談者
33歳 男性

お悩みの内容
私は今年から、ある販売店の店長になり、アルバイトを5名、社員を2名の指導をしています。遠慮がちな性格なので、うまく叱ることができません。

その一方で、イライラが爆発し、この前かなり強い口調で叱ってしまいました。その結果バイトが1名やめてしまいました。どうすればうまく叱ることができるでしょうか。

叱り方はバランスが難しいですよね。当コラムでは叱り方のコツについてしっかり解説していきます。是非最後まで御一読ください。

叱り方を間違える悪影響

永冨(2016)は、正社員365名を対象に職場でハラスメントを受けたときに、どのようなプロセスで高いストレスになっていくかをモデル化しています。その結果が以下の図です。

叱り方 ストレス

このように、ハラスメントが多いことが、職場の人間関係を悪化させています。そして、人間関係の悪化が仕事の自由さを奪い、様々な心理的ストレスにつながっていることが分かります。

つまり、パワハラ・セクハラのような常識を逸脱した叱り方は、従業員のあらゆるストレスを増加させてしまうと言えます。思いやりのある叱り方を心がけたいところですね。

叱り方がうまくなる8つの方法

ここからは心理学の理論を活かしながら、上手に叱る、8つのコツを解説していきます。

 ①叱るに値する人間になる
 ②ラポールの形成を大事に
 ③叱られる方は痛い!を自覚
 ④無条件肯定-サンドイッチ法
 ⑤焦点充て法
 ⑥選択案提示法
 ⑦自己決定法
 ⑧マインドフルネス力

ご自身の生活に活かせそうなものを組み合わせてご活用ください。

①叱るに値する人間になる

まずはじめに心がけることは、あなた自身が自分を磨いているかという点です。部下は尊敬できない人から叱られても反発するだけで全く心に響きません。

倫理観があり、誠実であり、努力家で、嘘をつかず、たまにユーモアで笑わせてくれる。こんな上司が言うことであれば、誰でも素直に聞きたくなるものです。叱る前に、まずは自分自身が叱るに足る人物であるように努力しましょう。

②ラポールの形成を大事に

人は信頼していない上司、嫌いな上司からの叱責には、反抗的になってしまいます。皆さんも嫌いな上司から、怒られたらやっぱりムカッときますよね。

この点、叱り方がうまい方は、普段のコミュニケーションから信頼関係を築いていきます。信頼関係の構築は「ラポール形成」と言います。ラポール形成の方法はいたってシンプルです。

挨拶を笑顔でする
お疲れさまという
ありがとうとたくさん言う
悩みがないか定期的に聞く
たまには雑談する

こんな日々のコミュニケーションが叱る時の土台になるのです。叱り方は、叱る時以外の態度が大事だということをおさえておきましょう。ラポール形成に自信がない方は下記のコラムを参照ください。

ラポール形成コラム

ラポール形成,叱り方

③叱られる方は3倍痛い!を自覚

「叱るに足る人間になる」「ラポールを築く」の2つができればいよいよ叱る段階に入ります。次に意識したいことは、

叱られる側は3倍痛い

という事です。誰かをつねったとします。このとき、あなたは全く痛くないですが、つねられたほうは痛いのです。叱る時も同じです。自分が思っている以上に、相手は叱られると傷つく、ということを意識しておきましょう。

叱り方 つねる

④肯定サンドイッチ法

ここからは具体的な叱り方のコツをお伝えします。まずは肯定サンドイッチ法を覚えましょう。肯定サンドイッチ法は

肯定する
否定する
肯定する

と否定を肯定でサンドイッチするしながら叱る手法です。

サンドイッチ法

サンドイッチの図のように、柔らかいパンで具材を挟むことでゴツゴツとした食感が和らぎます。叱り方も同じで、肯定で「挟む」ことで印象が大きく変わってくるのです。

登場人物
・上司の花子さん
・新入社員の太郎くん


状況
・太郎くんは会議でプレゼン担当になっていた
・プレゼン資料の1部のデータが間違っていた
・上司の花子さんは叱りたい

叱り方例
今日はプレゼンお疲れさまでした!
はきはきと話せていて聞き取りやすかったです。
(肯定)

反省点として、データの1部が間違っていたのは残念でしたね。次回はリサーチを意識しましょう。
(否定)

ただ、まだまだ慣れない時期なので、次回はもっとうまくなると思います。初回としてはばっちりでしたね♪
(肯定)

 

⑤焦点充て法

叱り方で大事なことは、叱る対象を広げないことにあります。そこで肝となるのが「焦点充て法」です。焦点充て法では、叱るべき内容にフォーカスして注意していきます。

例えば、遅刻をする癖がある部下がいたとします。この時、以下のように叱るのはOKです。

おはよう~
(肯定)

5分遅刻だぞ!だめだぞ~
(焦点を充てた否定)

もしかして最近つかれてる?ちょっと心配
(肯定)

あくまで遅刻だけに焦点を充てて、肯定で挟んでいるので、受け入れられやすい叱り方になっています。一方で、以下のように叱るのはNGです。

おはよう~(肯定)
5分遅刻だぞ!まったくだらしないなあ。
そういう気持ちが仕事へ現れているんだよな
(人格否定)

遅刻を注意するはずが、拡大して関係のないところまで飛び火しています。部下としては自分の人間性を否定された気持ちになり、心に傷を負ってしまうかもしれません。叱る時は焦点を充てるということをしっかり意識しましょう。

⑥選択枝提示法

選択肢提示法とは、こちらから解決策を複数提示して相手に選んでもらう叱り方です。相手が問題をどのように解決すればよいかわからない状態で活用できます。

例えば、作業スピードが遅い部下がいたとします。
この場合は以下のように複数の選択肢を提案して、どれが良いか?本人に選んでもらうと良いでしょう。

Aプラン:定期的に上司が様子を見る
監視がプレッシャーとなるかもしれないけど、効率が上がることが予想されるよ♪

Bプラン:25分毎に5分間の休憩を挟む
これはポモドーロテクニックと呼ばれる手法だよ。適度に休憩を取ることで集中力がキープできるよ!

プランC:タスクを細分化する
仕事を細かく捉えることで、スモールステップで肩の力をぬいてできるよ!

このように解決策を3つほど提示して、その中から相手に選択してもらいます。大事なことは、上司が決めるのではなく、部下が選択できるようにすることです。

強制されたという感覚が薄いので、叱られた感じが少なくなる効果があります。

叱り方

⑦自己決定法

自己決定法は、選択肢法以上に、相手の主体性を尊重する方法です。ざっくりと

自分の頭で考えさせる

教育法になります。こちらから相手の考えを引き出す質問を行い、主体的に原因・解決策を考えてもらいます。例えば、

・どうしたらミスが改善できると思う?
・ミスが起きた原因は何だと思う?
・ミスをすることの問題点は何だと思う?

というような質問をしていきます。このように、相手に考えさせることで能動的な解決を促します。自分の頭で考えるため、責任感やモチベーションのUPが期待できます。

⑧マインドフルネス

叱るのが下手な方は、感情に任せて、快不快で叱ります。感情的に怒ると、人は論理性を失い、建設的な議論ができなくなります。

そこでオススメなのがマインドフルネス力をつけることです。マインドフルネスとは、自分自身を観察する力、冷静に眺める力を意味します。マインドフルネスを理解する上では、以下の2つのワードを抑えておく必要があります。

①自動操縦
感情に流されて自動的に行動してしまう状況です。例えば、部下がミスをした時に怒りに任せて怒鳴ったり、暴言を吐いてしまうといった状態です。

②脱中心化
自分の感情や思考に巻き込まれない状態です。思考や感情はあくまでも、一時的な現象にすぎないとして観察していきます。

このうち、脱中心化を意識して行うことで、冷静で合理的な叱り方になります。感情に巻き込まれないため、自分のエネルギーも消耗しません。

以下2つの具体例を作成しました。参考にしてみてください。

登場人物
自動操縦で叱る上司
新入社員の太郎くん

状況
太郎くんはクライアントとの商談に遅刻
クライアントは幻滅している様子
上司は叱りたいと思っている

叱り方 コツ

 

自動操縦
(なんでこんな時に遅刻するんだよ!あ~イライラする。ムカつく!!)

叱り方
お前クライントにどれだけ迷惑かけてるかわかってんの?
こんな大事な日に遅刻するなんて危機感なさすぎ!!

このように、上司はイライラした気持ちに流されてしまっています。その結果、頭ごなしに太郎くんを叱るばかりで、建設的なアドバイスがありません。

 

登場人物
脱中心化で叱る上司
新入社員の太郎くん

状況
太郎くんはクライアントとの商談に遅刻
クライアントは幻滅している様子
上司は叱りたいと思っている

脱中心化
(なんででこんな時に遅刻するんだよ!…あ…イライラしている自分がいるな…このままだと感情的に叱ってしまうな。冷静になろう。)

叱り方
商談おつかれさま。〇〇の意見の時、的確だったよ。ただ残念だったのは遅刻だね…太郎はいつも仕事は丁寧だから意外だったよ。何かあったかな。

このように、自分の感情・考えを客観視して、冷静に叱っていることが分かります。マインドフルネスを学ぶことで、感情的に巻き込まれない合理的な叱り方を身に付けることができるのです。

特にカッとなりやすい、感情的に叱りやすい方は以下のコラムを参照ください。


マインドフルネス練習

叱り方のコツ

まとめ

このように叱り方には様々なアプローチがあります。基本的にはラポール形成をしっかり行ったうえで、思いやりのある叱り方をしていきましょう。

上手に叱ることで、部下のモチベーションをキープもしくは、向上させることができます。ぜひご紹介したテクニックを活用してみてくださいね。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
・永冨陽子. (2016). 職場のハラスメント状況下におけるストレッサ―の生起過程. 大阪経大論集, 66(5), 243.
・松永(2008)現代青年の 友人関係 に 関する研究 Kurume University Psychological Researeh 2eO8,No .7,77−86